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米海軍のレイルガン開発は難航している模様、かわりにHVP砲弾が脚光を浴びそう

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Railgun Derailed: The U.S. Navy's Ultimate Weapon Is in Trouble

Will it happen?
March 31, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy

海軍が電磁レイルガンに「本格的予算投入」すると宣言して一年足らず、ジョン・リチャードソン海軍作戦部長は500百万ドルを投じたスーパーガン開発がトラブル続きで複雑な気持ちだろう。
大西洋協議会でリチャードソン大将は10年にわたる同兵器の研究開発がいまだに艦船搭載実証もできず行き詰まっている状態を「事例研究としてみなさんなら『このイノベーションは実現しないかも』と言うのでは」と表現。
「電磁エネルギーの利用で爆発作用を使わない兵器にするのは技術的に難題です」と同大将が語ったとされる。「そのため今後も継続して開発、テストしていきたい」
2018年3月の議会公聴会で見せた本人の自信はどこに言ったのか。2017年12月に Task & Purpose はレイルガンは研究開発段階から先に進めない、艦艇搭載が困難なだけでなくペンタゴンの戦略能力開発室(SCO)が優先順位を変更したからだと伝えていた。
「レイルガンに本格的に予算投入する。テスト実施のためこれを続ける」とリチャードソンは議会で当時確約していた。「仕様より遅い間隔で発射を....短距離で実施した。今度は定格通りの発射で射程80から100マイルを狙う」と述べていたとMilitary.comが伝えていた。
Task & Purpose ではそれに先立ちSCOが超高速発射弾(HVP)に中心を移し、レイルガン用に想定されたこの砲弾を通常火砲から発射させようとしていると報じた。海軍はHVPをUSSデューイのMk 45 5インチ砲から2018年8月のRIMPAC演習で実際に発射した。
リチャードソンも優先順位付けの変更を認めている。「高速度発射弾は現行砲すべてで運用可能だ。レイルガンと別に各艦艇に迅速に供用可能。このためこれを最優先している。レイルガンについては作業を加速化したい」
一年前のリチャードソン大将は議会メンバーの前で「レイルガン開発が行き詰まっているというのは言い過ぎ」とまで述べていたとMilitary.comが伝えている。■
This article by Jared Keller originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on Twitter. This article first appeared in 2019

想定通りの進展を示していないのはハードウェア、ソフトウェアいずれでしょうか。あるいは両方が絡む問題なのでしょうか。常識を破る新兵器ですから一筋縄には進まないと覚悟もしていましたが。レイルガンが当面あらわれなくてもHVP砲弾が実用化され既存の火砲の威力が増すのであればそれはそれでいいのですが。

コメント

  1. レイルガン実現の最も大きな障害は、大電力をどうやって安定的に供給するか?ではないでしょうか。他にも問題はあると思いますが、現時点でも解っている大きな問題はこれではないかと思います。あとは、想定より飛距離が伸びず、火薬などの現行の発射方法との有意差が見当たらない、といった所ではないでしょうか。

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  2. 砲弾に大電流を流すのでは中に誘導装置を組み込むのが難しそうですね

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  3. レイルガンの技術障壁は砲身寿命のようです。

    原理的には砲身と砲弾の間には何らかの電気的接触がないといけませんが、物理的な接触では抵抗になります。そこで弾体の一部をジュール熱でプラズマ化させ伝導体として使います。またプラズマの膨張圧も加速に寄与します。

    ただプラズマは砲身を損傷させるので数発から数十発で交換が必要になりるとのこと。

    プラズマによる固体表面への浸食は素材的な方法論では防ぐことができないので、クリアは難しいようです。

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