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2020年度米国防予算を読み解く:各軍の傾向と対策から見える今後の米軍の戦力構造

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CSIS AMTI graphic
南シナ海における中国航空機、ミサイル、レーダーの有効範囲(戦略国際研究センター作成)

2020 Budget: One Half Step Towards A Great Power Strategy

2020年度国防予算は大規模戦戦略へ半歩前進

The Trump defense budget takes significant steps to move from a focus on regional conflicts and counter-insurgency to a focus on great power conflicts. But the Army, Navy Air Force and Marines clearly are struggling with this balance.

トランプ政権の国防予算は地域紛争、対戦闘員作戦重視を離れ、大国間戦重視に切り替え。四軍は執行面でバランス調整に苦慮

By MARK CANCIANon March 25, 2019 at 7:01 AM


ャナハン国防長官代行はペンタゴンの2020年度予算は2018年の国家防衛戦略構想を完全実施する「傑作」になると予告していた。傑作と呼んでいいか疑問もあるが、これまでの地域紛争や戦闘員対応から大国間衝突へ中心を移す大きな一歩を国防総省が切ったのは間違いない。
.
とはいえ四軍は新方向とのバランス調整に苦労している。戦略構想が戦力整備を重視しているのは明確だが各軍は現実世界に生きているのであり、危機的状況に対応し、同盟国を安心させ、人道援助を提供しながら戦闘員他脅威に対する作戦を日夜実施している。以下今回の予算案のハイライトを各軍別に見る。

陸軍
米陸軍のFY2020戦力構成案では兵力削減目標が上位に来る。
pastedGraphic.png

州軍、予備役でも兵力削減が続く。

FY 2020 goal in FY 2019 budget
FY 2020 goal in FY 2020 budget
Change
Army National Guard
343,500
336,000
-7,500
Army reserve
199,500
189,500
-10,000

削減しても戦闘部隊数は変わらず、正規軍でBCT(旅団戦闘群)は31個、州軍は27個のままだが陸軍予算書では「砲兵隊、防空、情報、工兵を増加した戦力構造」を求めている。人員減の一方で部隊数が増えると配属人員を減らした部隊の出現を意味し、陸軍が目指す充分な人員配置と逆だ。新戦略に合わせた新規部隊創設は困難で予算上も治安部隊支援用の旅団5個編成との初期構想以上の余裕はない。
陸軍の兵員削減は新戦略構想が元だ。陸軍の削減で装備近代化を実現する提案がある。オバマ政権は正規軍を450千名に削減する提案をしたが、420千名までの削減も検討していた。
ただし入隊希望者が確保できないことで削減しているのが現状だ。2018年度は定員から7,500名不足し、補充できなかった。陸軍参謀総長マーク・ミリー大将は世界規模の任務遂行に人員増が必要と主張しており、予算書でも陸軍の現状は多忙とし、179千名が140カ国に派遣されている事実をあげる。目標は500千名のままだが、実現不可能とされる。そのため必要とされる能力と現実の乖離は陸軍で当面続く。つまるところ予算と募集難で解決となるだろう。
長期的には陸軍の戦力構造は国家防衛戦略により変化していく。その一環で年間50億ドルを新装備開発に回すが、実現は2023年ないし2024年だろう。

海軍
FY2020予算では海軍は戦力構成二案の中を移行する。2016年案と現在実施中で2019年までに完成する案がある。海軍は空母中心から分散型戦力や無人装備へ重点を移すと見られ、予算はこの移行を裏付けている。
Navy photo
USS Harry Truman

2016年評価はトランプ当選直後にでてオバマ政権構想の308隻から355隻に増やし、海軍の戦力目標を350隻規模と訴えた大統領選挙当選者に合わせた。内訳は空母12隻、大型水上艦104隻(駆逐艦、巡洋艦)、揚陸艦38隻、攻撃型潜水艦66隻とした。無人艦艇は含まない。
その後二年間の分析で355隻目標達成は大幅予算増がないと困難と判明し、そのため最新の30年間建造予定では既存艦艇の供用期間延長とくにDDG-51駆逐艦を図り、建艦予算を大幅増加して実現を図るとある。これで2030年代に355隻体制が実現し、これを維持する。
2018年、2019年と続けて海軍は既存設計の艦艇建造数を増やしており、駆逐艦、潜水艦を特に増やした。将来稼動する艦艇は既存設計の改良艦となる。新型フリゲート艦を期待はずれのLCS各艦の代わりとする提案があり、強襲揚陸用のLSDは既存のサンアントニオ級LPDを発展させる。また新型巡洋艦も将来登場しそうだ。
2020年予算でこの構想に反する動きが見られる。中でも論議となっているのがUSSハリー・S・トルーマン(CVN-75)の早期退役決定だ。空母は高費用でありながら長距離精密攻撃手段に脆弱との批判が寄せられていた。中国は空母を狙い撃ちする装備DF-21長距離ミサイルを開発した。空母航空戦力のF-18、F-35の戦闘半径はF-15やA-6の半分程度しかないため脆弱性がさらに高まったと言える。
早期退役に反対するのは従来型思考の面々でその主張は空母こそ海軍戦力の中心とし、産業界も現状の仕組みを維持したいとする。今後は議会が海軍の空母構想に抵抗する動きを見せるはずだ。
艦艇建造ではいろいろな様相が見え隠れする。
  • 2020年に無人水上艦二隻を調達し、以後毎年二隻建造を続けるのは大きな変化で無人水上艦の充実になる。各艦は試験的性格もあるのでRDT&E枠で予算を確保した。30年建艦案では実地評価の対象とし無人艦艇が現実の環境で機能するか確認の上、有人艦の代替手段にするか決めるとある。
  • 2020年度予算で以前計画があったLSD後継艦LXRあるいはLPD フライトIIは消え、このため一号艦建造は2024年以降となる。単純に予算配分のためなのか不明だが、かわりに潜水艦一隻を調達しており、揚陸戦装備の整備方針が変わったことを示しているのか、高性能ながら高価格の小規模建造よりも性能は劣っても分散型威力を発揮出来る艦船の大規模建造に切り替わったのか不明だ。
  • 新型巡洋艦は予算案に盛り込まれず、先送りのようだが海軍作戦部長によれば大型水上戦闘艦の必要性に変わりない。旧式タイコンデロガ級巡洋艦は今年も海軍は改修せず退役させるとしている。
戦闘艦艇の隻数は増加し、2020年に301隻、2024年度に314隻になるのはこれ以前の年度で予算化された艦が就役するからだ。人員規模は5,100名増え340,500名(現役隊員)とし、FY2020案は354千名に増やす。海軍は艦隊規模拡大に合わせ人員拡充にも懸命に努力している。
航空機近代化も続け、以前の構想から大きな変更はない。F-35各型合計30機、F-18は24機調達し、第4第5世代機混合の戦力構造を続ける。E-2Dホークアイ6機、P-8Aポセイドン6機、CH-53K大型ヘリコプター6機、CMV-22オスプレイ空母輸送機10機を導入する。無人機には中途半端な関心のままで、MQ-4Cトライトン2機、海兵隊向けMQ-9Aプレデター3機の5機のみ調達する。ただしMQ-25はボーイングに契約交付したことで前にすすみ、試作機製作のあと本生産が続く。

海兵隊
海兵隊は部隊規模を拡大しないと数年前に決定しているが、190千名ないし200千名まで拡大する提案がある。2020年度予算では186,200名体制が186,400名になる可能性もあるのは昨年同様だ。特殊部隊が若干の人員増となるが関心は即応体制と装備近代化にある。

空軍
海軍同様に空軍も色々なメッセージを出している。数年前の戦略は明白だった。第5世代機を導入し、第四世代旧型機は増やさない、たとえ部隊規模が縮小しても、というものだった。だが問題がふたつ発生した。空軍力維持で各種の要望に答える必要が生まれたこととF-35で問題が解決しないままになっていることだ。今年はバランスの取れた解決方法に向かうようだ。
その一つが人員増の継続で4,400名増やし511千名体制にする。人員増は5年めに入り、これまで人員削減に走ったあまり即応体制に悪影響が出た反動だ。また人員削減で装備近代化を実現する方針も撤回された。空軍予算書では386飛行隊体制の実現を引き続き求めているが、予算上は反映されていない。この実現を最も強く求めたヘザー・ウィルソン長官がまもなく退任する。
バランス感覚は調達で顕著だ。F-35は年間48機に抑えるが、議会は空軍の要望に応え2019年に56機分の予算を認めていた。年間60機調達の目標に達しない。代わりにF-15EX8機を調達する。この選択で航空分野で議論が生じており、一歩後退との批判がある。だがこれは海軍同様の選択を空軍で実現するもので、第4+世代機と第5世代機の混合運用により旧型機をそのまま運用し機材不足を招く事態を回避する。F-15EXとF-35のシナジー効果もあり、F-35のみの構成にして全体戦力がマヒする事態も回避できる。
空軍は軽攻撃機構想を放棄しておらず、関心を示すものの調達には向かっていない。
MQ-9リーパー調達を12機のみとする予算は大国間戦闘では同機の性能が不足することを反映し、ブラックの世界でUAV/PRV新型機の調達が期待される。空軍は一貫し無人機運用で先導的立場にあり、今後もその地位を守る必要がある。
核兵器近代化も続ける。その内容は大部分がオバマ政権時代に立案されている。極秘B-21開発に30億ドル、地上配備戦略抑止力装備はFY2019の414百万ドルから2020年度は570百万ドルに増やす。ただし核兵器近代化には下院民主党議員が疑問を呈しており、オバマ政権で想定のなかった長距離スタンドオフ兵器に713百万ドルを計上したが先行きが不安だ。こうした装備調達の決定から戦力構造の変化に影響が出そうだ。

文民
DOD文民では人員増が大きなニュースで、「連邦政府官僚制度」に疑念を呈する政権としては異例と言える。2020年の目標は757,800名で、2019年から5,200名増となる。ペンタゴンは人員増は2020年のみではなくここ数年連続しており、文民体制の充実は即応力につながると説明する。実際に文民多数は現場で部隊を支援しており、装備保全にも従事し、ペンタゴン周辺に集まっているわけではない。一つ悪いニュースは2020年は文民給与の凍結で退官者が増えそうなことだ。

先を見通す

2020年度は前年度比4.9パーセント増となり各軍で戦力構造強化と装備近代化が可能となる。ただし民主党に根強い懐疑的態度のためこのまま持続できないかもしれない。国防体制はすでにピークに達した可能性もある。その場合、米軍の戦力構造では低成長・中程度成長の間でのトレードオフはありえず、むしろ安定を取るか縮小に向かうかの選択を迫られそうだ。■
こうやって見ると陸軍がこれから大きく変化しそうですね。むしろ縮小しつつミサイル運用などに性格が変わるのでしょう。また予算の拠出先として利用されそうです。海軍、空軍の充実は既定路線ですが、それぞれ路線変更がこれから目立ちそうですね。とくに空母中心主義がどこまで抵抗しつつ現実を受け入れるのかが注目されます。空軍では現行の無人機では中露との戦いに性能不足とし新世代機の登場が期待されます。戦力の鍵をにぎるのはずばりB-21でしょう。予算規模ではさすがにこの水準は維持できなくなってきたと感じざるを得なくなってきたのでしょうね。中国が経済減速でも国防費を伸ばしているので今後米国にとって目の上のたんこぶということで非難されるでしょうね。

コメント

  1. 私は海軍のF-18調達に目が行きました。別の情報では今後5年間で、F-18E/F(ブロック3)を100機以上新たに調達するようです。F-35Cの戦力化が予定通りに進んでいない為らしいですが、ボーイングの救済という面だけでなく、F-35には未だ何か深刻な問題があるんでしょうか?どうもすっきりとは第五世代機への切り替えが行っていませんね。何ででしょう?(尤も、これはF-35Cに対してですが)

    返信削除
    返信
    1. 海軍はもともとF-35CですべてのF-18E/Fを代替するという計画ではありません。
      F-18には空中給油機としての任務がありそれをF-35Cでは代替出来ないからです。

      そちらの任務は無人機で代替させる予定でしたがゴタついているようです。そういう状況なのでF-18を追加調達することになったようです。

      F-35Cについては色々問題も出ていますが、F-18の調達についてはそれだけの要因ではない、ということです。

      削除
    2. 小林誠さん
      ご教示ありがとうございます。

      空軍は基本ステルス機しか調達する予定無し(政治判断のF-15EXを除き)と聞いていますが、海軍はこの先も併用し続けるのですね。この考えの違いはどこから来るのだろう?
      海軍は空母と言うステルス性無しの軍艦を運用するから、艦載機だけステルスにしてもあまり意味が無いという考えかな?それに、F-18をいつまで空中給油機にし続けるのかな?艦載機としてF-18が優れていることや、実績があることを考えても、勿体無い使いかただなぁ。ただでさえ、F-18の補修が間に合っておらず、運用できる機体の確保に苦労しているようなのに。。。

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