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ルイジアナ州に放置されたままだったT-90A戦車の配送先が判明し、同戦車はすでに搬送された模様。

 


Destination Of Russian T-90 Tank Left At Truck Stop Comes Into Focus

Courtesy of Reddit user Mutantlight

ウクライナの戦場から持ち込まれたロシアのT-90A戦車は、アバディーン・テスト・センターに向かうようだ

イジアナ州のトラックストップに放置されたままのロシア製T-90A戦車の主砲銃身に貼られた輸送ラベルのおかげで、Peto's Travel Center and Casinoに放置される前に、どこから来てどこに向かっていたかもわかってきた。

ルイジアナ州在住のジョン・フェルプスの写真にある輸送ラベルには、「多国籍評価フィールドチーム」なる組織から送られたと記されており、出発地はポーランドのグディニア、目的地はテキサス州ボーモントで、西に約90マイル離れた場所にある。ラベルの「最終荷受人」は、アバディーン実験場6850 Lanyard Rd.の358号棟だ。アメリカ陸軍アバディーン・テストセンター(ATC)の本拠地だ。

This shipping label on the barrel of the T-90A tank provides details of where it came from and where it was headed. (Courtesy of John Phelps)

This shows the tank was shipped by something called the Multinational Assessment Field Team. (Courtesy of John Phelps)

This shows the "ultimate consignee" is the Army's Aberdeen Test Center in Maryland. (Courtesy John Phelps)

ウェブサイトによると、ATCの使命は以下の通り:

  • 国防総省内外の政府機関、非政府組織、国内外を含む正規顧客に対し、テスト、テストサポートサービスを提供する

  • 実機およびシミュレーションによる包括的なテストとトレーニングを実施する

  • 新技術を活用する。

  • 最先端の計測機器とテスト手法を開発する

ATCは「陸上戦闘、直接攻撃、実弾射撃の脆弱性テストで国防総省の主要機関」と述べている。「ATCは、多様な能力を持つ多目的テストセンターです。アメリカの戦士に優れた資材と技術を与える、世界クラスの試験、訓練、モデリング、シミュレーション、実験施設です」。

ATCが行うことの例として、2019年に、陸軍が民間航空機の爆発物に対する脆弱性をテストするために、古い747を爆破しようとしていた。

そうしたことを考えると、オープンソース情報調査(OSINT)によると昨年9月にウクライナがロシアから捕獲したT-90AがATCに行き着くのも納得がいく。しかし、同戦車からどれだけ学べるかは不明だ。

Warspotting.netのOSINTグループによれば、フロントフェンダーとリアフェンダーが損傷したT-90Aは、2004年に生産された、ロシア基準ではかなり近代的なものという。しかし、前回お伝えしたように、RedditユーザーのMutantlightとPeto's Travel Center and Casino(ルイジアナ州ロアノーク)の支配人Cody Sellersが共有してくれた写真を見ると、同戦車が明らかに完全装備の状態でないことがわかる。とはいえ砲塔には爆発反応装甲(ERA)コンテナが数個付いている。また、少なくともShtora-1自己防御システムの「ダズラー」はまだ装着されたままだ。各種機関銃は取り外されている。

Closeup view of the T-90A's current. (Courtesy of Reddit user Mutantlight)

(Courtesy of Reddit user Mutantlight)

また、一部のT-90Aが搭載していた欧米の火器管制部品が今回の車両にないことも特徴的だ。

ペンタゴンの陸軍本部に加えATCにも本誌は照会している。同戦車が何に使われるのか、どうやって米国に入ったのか、どこへ向かうのか、戦車の戦歴についての詳細、トラックストップに何日も放置されることでセキュリティ上の懸念はなかったのか、ERAコンテナは不活性なのか爆発物が入ったままなのか、などだ。

金曜日の午後、ATCの広報担当者は陸軍本部に回送し、昨日と今日、本誌が連絡を取った陸軍関係者は何も情報を提供してくれていないままだ。

また、トラックが故障してPeto'sで待機することになった時点で、どの企業が戦車を輸送していたのかも不明だ。昨夜午後8時(現地時間)にトラック運転席に書かれていた会社名はオハイオ州デイトンのAAAロジスティクスで同社関係者は、コメントを求めるメッセージに応じなかった。同上のセラーズ支配人は、運転手の1人が、トラックはメリーランド州に向かうと話していたと語った。アバディーン・テストセンターがある州である。

フェルプスによると、ラベルからアバディーンに向かっているのかとトラック運転手に尋ねたところ、運転手は「ええ、どうしてそれを知っているか」と言い、メリーランド州に向かっていると明かしたという。

オハイオ州デイトンのAAAロジスティクスのトラックが、昨夜、タンクを

運び出した (Courtesy Cody Sellers)

戦車の仕向け先ではある程度の答えは出たものの、多くの疑問が残ったままだ。破壊実験に使われるのか、外国装備に慣れる訓練に使われるのか、あるいは外国物資利用(FME)用途なのか、現時点ではまだ不明だ。

回答が得られ次第、記事を更新したい。■


Destination Of Russian T-90 Tank Left At Truck Stop Comes Into Focus

BYHOWARD ALTMAN, JOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 14, 2023 8:11 PM EDT

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