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クリミア半島奪還に向け準備に入ったウクライナ軍の選択肢。ウクライナ戦の最新状況(現地時間4月14日現在)

 



Ukraine Situation Report: Official Hints At New Weapons To Be Unleashed On Crimea

Ukraine MOD



ウクライナ政府高官がキーウが目標とするクリミア解放で「新型」兵器が爆発を引き起こしているた可能性を示唆した



クライナのトップ高官がクリミア攻略では国際法で許可されているあらゆる武器を選択肢に入れると述べ、最近の爆発数回は実験的な武器使用だとほのめかした。

 「クリミアはウクライナの領土であり、我々は領土の解放に役立つ国際法で禁止されていないあらゆる兵器を同地で実験し使用する」と、オレクシィ・ダニロフOleksiy Danilov国家安全保障・防衛評議会長官はツイートした。

 ダニロフは金曜日のウクライナ国営テレビで、以前伝えられたクリミアでの爆発事故数回は「新型」兵器による可能性を示唆した。

 Qirim通信によると、長官は「新型兵器のテストがクリミアで行われる可能性はある。可能性は排除しない」と述べた。

 ダニロフは詳しく説明しなかったが、以前取材したウクライナの防衛当局者は、キーウが解放を望むクリミアを攻撃する上で選択肢は3つあると述べた。2014年以来ロシアに占領されたままの半島の外側の境界線は、ケルソン州のウクライナ軍陣地から約50マイル離れている。


黄色で示したクリミア最北部の国境は、最も近いウクライナ軍から約50マイル離れている。 (Google Earth image)


 まず、無人航空機・水上艇だ。ウクライナは、ロシアの黒海艦隊の司令部があるセヴァストポリにこれらの武器で攻撃を何度か試みたが、機密問題を議論するために匿名を条件に、この当局者は、実行可能な選択肢ではなくなってきていると語った。無人航空機は深刻な被害をもたらす量の爆薬を備えず、ロシアは無人水上艇への対策を見つけたためという。

 もうひとつの攻撃手段は、ウクライナのロケット弾と、米国と同盟国がウクライナに提供したM142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)やM270多連装ロケットシステム(MLRS)から発射するGMLRS(誘導多連装ロケットシステム)弾などのスタンドオフ兵器だ。これらの弾薬の射程は最大で約80km(約50マイル)でクリミアの最北端への攻撃に十分な射程距離だ。

 また、米国はに地上発射型小口径爆弾(GLSDB)をウクライナ提供している。GLSDBの射程は約94マイル(約150キロメートル)で、以前攻撃を受けたロシアの飛行場とジャンコイの鉄道路線の攻撃に十分な距離だ。

 ウクライナはまた、全長7.6メートル(25フィート)のソ連製BM-30スメルヒ多連装ロケットシステム(MLRS)砲ロケットを改良した「Vilkha-M」ロケットを開発した。Vilkha-Mは射程距離110キロメートル(68マイル)、485ポンドの弾頭でターゲットを高精度で撃破できる。

 クリミアの標的を攻撃する3つ目の方法は、サボタージュである、と同高官は述べた。

 「サボタージュ集団は最も信頼性が高く、クリミアでの爆発の大半の源」と当局者は述べた。「破壊工作の手段を提供するウクライナ情報機関が扇動し、潜在的な反乱軍反乱集団が多数ある」。

 クリミアとロシアを結ぶウラジーミル・プーチン自慢の建造費40億ドルのケルチ橋が昨年10月に攻撃された。ウクライナはロシア領内で破壊工作を行い、パルチザングループがロシア占領地だけでなく、ロシア国内を攻撃している。

 同上関係者は、ウクライナは、1年前の昨日、ロシア海軍のプロジェクト1164スラヴァ級巡洋艦モスクヴァ撃沈に使われた、国産開発の対艦ミサイル「ネプチューン」の改造にも取り組んでいると付け加えた。

 「ウクライナは、ネプチューン・ミサイルを陸上目標に攻撃できるよう改造に取り組んでいます」と、同関係者は述べ、現時点では、海上の大型金属物を攻撃のみの設計だと付け加えた。「新型誘導・ホーミングシステムが必要で、ウクライナはそれに取り組んでいる」という。

 同上関係者は、現時点で欠けている重要部品は、ウクライナが米国・同盟国から調達を望んでいるマイクロチップだと述べている。

 「入手できれば、ネプチューンは360km(約225マイル)先のターゲットの攻撃ができる」と、同上関係者は語り、「かなり近づいた」。


最新情報

ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマクAndriy Yermak長官によれば、ロシア軍はドネツク州スロビアンスク市を砲撃し、少なくとも1人が死亡、少なくとも6人が負傷した。

 また、ロシアのSu-35「フランカーE」ジェット機がザポリツィア州オリヒフ市を攻撃し、家屋数軒と学校に損害を与えたとウクライナ当局が主張している。しかし、死傷者は報告されていない。

 ロシアに軍事援助を行う可能性を疑う西側の懸念に対して、中国の秦剛Qin Gang外相は金曜日、北京は全面戦争でどちらの側にも武器を販売しないと述べた、とAP通信が報じた。

「秦剛は、ロシアへの武器売却について明確な発言をした中国最高レベルの高官だ。同外相は中国が民生軍事で二重用途を持つ品目の輸出を規制するとも付け加えた」とAP通信は報じた。

 「軍事品目の輸出について、中国は慎重で責任ある態度をとる」と、秦は、訪問中のドイツでのに記者会見で述べた。「中国は紛争の関連当事者に武器を提供せず、法規則に従いデュアルユース品の輸出を管理・統制する」と述べた。

 空軍州兵のジャック・テイシェイラJack Teixeiraが逮捕された翌日、ワシントンポストは、漏洩した機密文書の大量公開によるさらなる影響を明らかにした。

 それによるとロシアの秘密部隊スペツナズは、全面戦争で壊滅的な打撃を受け、再建には数年かかるだろうと、同紙は入手した米国の機密評価を引用し報じた。

 「メッセージングプラットフォームDiscordを通じてオンラインでリークされた機密資料に、これまで報告されていないこの記述がある」とポストは報じた。「ロシア軍司令官が、前線歩兵部隊で特殊部隊に過度に依存していることが原因、と米国当局者は評価している。特殊部隊は、ウクライナ軍同様に、死傷者を大量に出している」。

 オランダは金曜日、ウクライナに提供・約束した装備品のリストを公表した。

  • 戦闘車両 T-72戦車(45両)、YPR装甲車(196両)、Fennek偵察車、Viking追跡車。デンマーク、ドイツと共同でレオパード1戦車(100両)

  • 火力支援システム PzH2000装甲榴弾砲(8基)、120mm迫撃砲。

  • 防空システム ペイトリオットランチャー(2基)とミサイル、MR-2移動式AA砲(100基)、ミサイル、スティンガーなど防空ミサイルシステム。

  • その他兵器 MAG、Minimi、.50などの各種マシンガン、(長距離)ライフル、ピストルなど。

  • 弾薬類 各種武器用の各種小口径弾薬、戦闘車両や銃システム用の重弾薬、LAWやパンツァーファウストなどの対戦車弾薬など。

  • センサー・観測機器 各種ドローンおよび関連機器(143台)、地上センサーなどのレーダー・探知システム、輝度増幅器や赤外線撮影装置などの暗視装置計1,037台。

  • 仮設橋梁 ベイリーブリッジ(15基)、M3ポンツーンシステム(6基)。

  • キッチン (モバイル) フィールドキッチン(31)。

  • 各種車両(441両) 4トントラック、Amarok車、救急車。

  • 地雷除去装置 スキャンジャック地雷除去装置(1)、ボゼナ地雷除去装置(2)、地雷探知機、地雷スパイク、EOD装置。

  • 船舶 (6) アルクマール級掃海艇2

  • 野戦病院 (10) テント (300) アグリゲート (676)

  • スペアパーツ 各種車両・(兵器)システム用。

  • 重機など クレーン(2)、ショベル(10)、フォークリフト(21)など。

  • 個人用装備 衣服、ヘルメット、シャードベストなど。

  • 食料品

  • 救急箱や医薬品など。

  • 燃料

オランダは、ウクライナに提供・約束した軍事援助のリストを公開した。 (Netherlands Defense Ministry)


 ロシアのランセットLancet滞空弾は強力な武器で、ウクライナの79K6ペリカンレーダーシステムが破壊されたと報告が入っている。

https://twitter.com/i/status/1646867528289796096


 全面戦争は、ウクライナの軍隊、民間人、インフラだけでなく、生態系にも大きな打撃を与えている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、紛争で永久に傷ついた自然風景を捉えた「The Beauty Of Ukraine」のスナップショットを掲載した。

 侵攻が始まった時点で、キーウのC.P.出版は、オデーサ出身のイエベン・サムチェンコ Yevhen Samuchenkoの風景写真集に取り組んでいたが、ロシア軍がウクライナの首都付近まで侵攻し、退避を迫られたとタイムズは報じた。

 「この本で紹介されている場所の多くは、戦争で大きなダメージを受けた」とリンダ・ボンダールは序文で書いている。失われたウクライナ人数十万人の命に加え、「自然もこの残忍で無意味な戦争で被害を受けた」。


 ロシアはマッドマックス的な兵器を展開し続けている。この場合、2M-3M25mm海軍砲をATS-59G砲兵トラクターに載せたものである。


 

ドローン映像では、一人のロシア兵が命からがら逃げ出し、胎児のように丸まった状態で写真を撮っている様子が映し出され、今にも破滅しそうな雰囲気で前線での恐怖を示す奇妙な映像だ。■




Ukraine Situation Report: Official Hints At New Weapons To Be Unleashed On Crimea

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED APR 14, 2023 10:35 PM EDT

THE WAR ZONE


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