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中国からの報道によると、国産エンジンへ換装したY-20Bで運用が始まっているようだ
西安Y-20軍用輸送機の最新型、エンジン換装機の新しい映像が登場した。国産のWS-20ハイバイパスターボファンエンジンを搭載したY-20Bは、ロシアが供給したソロヴィエフD-30KP-2エンジンに頼っていた初期モデルに比べ、大きな発展を遂げている。さらに、このY-20Bが人民解放軍空軍(PLAAF)で運用される可能性も指摘されている。
映像は、国営テレビ局CCTV-7が制作した人民解放軍コンテンツ番組「Military Report」で公開された。Y-20Bが空挺攻撃に使用される可能性を示している。
Y-20Bがパラシュートで荷物を投下する様子。 via Chinese internet
Y-20BがすでにPLAAFで運用されている可能性があるが、映像の機体にシリアルナンバーがないため、運用試験に使用されているプレシリーズ機体である可能性もある。一方、識別マークは、一般公開で隠されている可能性もある。
エンジン換装したY-20B。via Chinese internet
WS-20ターボファンは、Y-20の潜在能力を最大限に引き出すと同時に、外国のエンジンサプライヤーへの依存をなくす計画が想定されていた結果だ。ロシアの場合、ウクライナ戦争で供給問題が重要な考慮事項となっている。
出力に関しては、2016年に運用を開始したY-20Aが搭載したD-30KP-2の26,450ポンドに対し、WS-20は約3,000ポンドの推力と予想されている。D-30KP-2のような低バイパスエンジンは、同サイズの高バイパスユニットと同レベルの推力を生み出せず、効率も著しく低い。
WS-20高バイパスターボファン1基を搭載したIl-76LLテストベッド via Chinese internet
これを念頭に、中国の航空宇宙オブザーバーは、Y-20のエンジン換装型の出現を長く待ち望んでいた。そしてついに、The War Zoneが当時報じたように、WS-20を搭載したY-20の決定的な証拠らしきものが、2020年末に写真で登場した。機体は西安・延梁 Xi’an-Yanliang 基地で試験飛行していたようだ
WS-20が利用可能になる前から、中国はアメリカ空軍のC-17グローブマスターIIIに非常に近い同機にかなりの資源を投入しており、PLAAFが供用してきた低能力輸送機の老朽化に比べ大きな進歩を示となった。Y-20が登場する以前、PLAAFで最も効果的な輸送機は、同じくD-30KP-2を搭載したロシア製Il-76キャンディードだったが、北京は長い間、同型機を十分な機数調達するのに苦労し、20機ほどしか使用されていなかった。
これに対しY-20の生産スピードには特筆すべきものがある。
2019年12月、西安・燕梁基地で20機以上のY-20が注目された。PHOTO © 2019 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION
PLAAF近代化でのY-20Bの重要性は、エンジン換装の実行ペースにも反映されている。一時は、WS-20は2024年まで利用できず、その後も限定生産にとどまると予測されていた。しかし、PLAAFがB型の運用を宣言したということは、エンジンが必要な数だけ使える確信がある程度はあるからだろう。
この加速は、WS-20の優先順位が高かったのか、それともエンジン開発の問題が予想より少なかったのか、いずれにせよ、Y-20Bは現在、運用準備が整っているようだ。
中国はこれまで、ターボファンエンジン国産化で深刻な困難と闘っており、戦闘機計画を悩ませた。しかし、現在ではその問題はほとんど解決されたようで、例えばWS-10戦闘機エンジンは現在広く使用されている。
以前も述べたように、Y-20は、グローバルパワーにふさわしい、より遠くへの戦力投射と維持など、PLAの大きな野心を達成するため非常に重要な役割を担う。Y-20は99式主力戦車など大きく重い貨物を輸送できる。
Y-20Bにより、大量の装備品や物資を前線地域へ輸送する能力が向上し、アジア太平洋地域における中国共産党の持続的な活動を支援し、ミッションが実施可能になる。
WS-20は、アジア太平洋地域以外の基地を含む、より遠く離れた前線基地への補給に不可欠な、長い航続距離をもたらすだけでない。WS-20はフィールド性能も向上させるはずで、整備が不完全な路面での運用も想定されるこの種の輸送機にとって非常に重要だ。
Y-20は、オリジナルのD-30KP-2エンジン搭載型でも、相当の貨物を運べる。最大積載量は13万2000ポンドと報告され、これはPLAAFのロシア製Il-76キャンディッド空輸機の9万6000ポンドをはるかにしのぐ。
しかし、D-30KP-2エンジン搭載のY-20Aは、アメリカ空軍C-17の最大積載量170,900ポンドに及ばない。Y-20BがC-17との差をどの程度縮めたかはまだ不明だが、その一助となることは間違いない。
Y-20は、軍事空輸だけでなく、人道任務にも使用されており、特にCOVID-19発生への対応では、医療従事者と人道支援物資を武漢市に運んだ。
2020年2月、武漢の天河国際空港にて、COVID-19対応ミッション中のY-20AとIl-76の3機。Xinhua/Li Yun
しかし、Y-20Bで最も魅力的な点は、エンジン換装で他のバージョンが登場する可能性があることだ。
西安はY-20の民生用貨物機を提案しており、WS-20エンジンを搭載したY-20F-100として模型で展示している。中国製エンジンを搭載した民間機が登場すれば大きな追い風となる。一方、国際的な制裁に直面するロシアの航空宇宙産業では、特に商業チャーター空輸でIl-76が埋めているニッチを民間Y-20Bが埋めるかもしれない。
WS-20エンジンを搭載した民間機「Y-20F-100」の模型。VIA CHINESE INTERNET
Y-20U空中給油タンカーは、D-30KP-2エンジンで運用されており、将来的にWS-20を受領する明白な候補だろう。Y-20UはすでにPLAAFの台湾海峡上空での任務をサポートしており、エンジン換装型の積載量と効率の向上は、明らか効果を上げる。
タンカー能力は、PLAAFで不足が痛感されており、ソ連時代のIL-78ミダスの中古機が3機あるだけで、H-6バジャー爆撃機のタンカー改造機もある。PLAAFが南シナ海、東シナ海、台湾海峡で兵力を発揮する中、タンカー支援は、特に台湾への将来の軍事介入で不可欠となる。
また、Y-20ベースの空中早期警戒管制(AEW&C)プラットフォーム(おそらくKJ-3000と命名される)の噂も長くある。ここでも、WS-20パワープラントは非常に理にかなう。ただし、Y-20のレーダー機バージョンは今のところ未確認。
ただし、KJ-3000の風洞モデルがテストされたとの未確認情報もあり、2022年12月に公開されたモデルの写真(Y-20Bベースのデザインを示す)は、AEW&C派生機を物語るものかもしれない。一方、このモデルにはメインレーダーアンテナ用の伝統的なロトドームがなく、代わりに前部胴体の上下に一連の大型レドームと、スポンソンの前縁に小型フェアリングがあるのが特徴だ。このため、アメリカ海軍のE-6BマーキュリーのようなPLANの弾道ミサイル潜水艦(SSBN)と連携する、空中指揮所や長距離通信機ではないかと推測されている。中国がSSBNを常時1隻哨戒させ、持続的な第2撃抑止力を確保したというニュースも最近の動向を見れば納得できる。
レドーム搭載のY-20Bのモデルの真偽はともかく、エンジン換装された同輸送機は、しっかりその存在を明らかにしたようだ。Y-20Bは、軽視されてきたPLAAFの空輸能力を拡大し、将来的には他の型式の登場にもつながる可能性が高い。一方、Y-20が潜在能力を発揮すれば、中国にとって大きな戦略的前進となり、世界のトップグローバル大国の座につく野望の実現につながる。■
Our Best Look At China’s Re-Engined Y-20B Cargo Jet | The Drive
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED APR 6, 2023 2:32 PM EDT
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