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防衛予算は増えても根本的な欠陥が日本の防衛体制に存在する....継戦能力の不足に加え、人員不足もある。解決は可能か。

 

2023年3月10日、フィリピン海での二国間負傷者搬送演習中に陸上自衛隊のCH-47チヌークが、水陸両用強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)に着艦した。 U.S. Marine Corps Photo

例のない軍事近代化計画を開始し、防衛費を倍増させる日本で最も困難なハードルは、航空・海上・陸上の各自衛隊の運用態勢であると、元自衛隊トップが木曜日に述べた。

河野克俊退役海将は、韓国系米国人の安全保障政策グループのオンラインフォーラムで、USNIニュースの質問に答え、日本は長引く紛争に備え「整備能力が不足している」「燃料や弾薬の備蓄が不足している」と述べた。

河野は、1年余り前のロシアの侵攻に伴うウクライナ防衛で修理や備蓄が重要だと認識されたことを指摘した。

戦車、潜水艦、航空機に防衛費を使う一方で、日本政府は弾薬や燃料に「投資する余裕はなかった」と河野は述べた。河野は、NATO基準の国内総生産2%への安全保障費増加を歓迎した。沿岸警備、同盟国との情報統合、戦時在庫の再構築により多くの資金を投入できるからだ。

「長距離ミサイルだけでは不十分です」と河野は言う。「統合された情報源からの標的や損害評価に関する正確な情報が必要です。その後、自衛隊の指揮系統と司令部を再編することで、緊急時に米インド太平洋軍との連携を効率的にできる」と付け加えた。日本の新統合司令部は、2024年から運用開始される。

河野は、2024年から2027年の間が、台湾の自治民主主義国家としての将来をめぐる最も危険な「危機の窓」だと指摘した。北京が香港で反体制派を弾圧し、台湾に近い尖閣諸島で圧力を強めていると指摘し、ミサイルは防衛のもう一つの層を提供することができると述べた。「日本の自衛隊が「初めて」敵地攻撃が可能となる。

河野は、中国による台湾への軍事攻撃に米国がどう対応するかについて、ジョー・バイデン大統領が明確に発言したことで、ワシントンが何をするかという「誤解」が解けたと述べた。さらに、日本は米国の作戦の後方支援基地であり、状況が変われば紛争に深く巻き込まれる可能性があると付け加えた。台湾周辺の浅い海域では、日本の高度な対潜水艦戦の技術は必要ないが、日本は「ASW能力でグアム防衛に貢献できる」と河野は述べた。

「米国との緊密な協力は不可欠だ」と、90分のフォーラムで何度も語った。ロシアがウクライナで核ミサイルを使用すると脅しているのを踏まえ、「日本は抑止力を高めるため核政策を考え直す必要がある」と河野は述べた。これには、米国の核兵器を日本に駐留させることも含まれるかもしれない。河野は、政策の変更は政治的に「高い壁」のままだと付け加えた。

日本がミサイルを配備すると発表したことで、注目を多く集めたが、自衛隊トップを務めた河野は、自衛隊は「採用という非常に深刻な問題」に直面しており、危機対応能力に影響を与える可能性があると述べた。問題は2つあると指摘した:入隊者や幹部候補が減少していること、そして任務に就くことを希望する者が少なくなっていることだ。

約25万人の日本人が志願制の自衛隊に所属している。18歳から26歳の若者は、1994年の1700万人から現在は1050万人に減少している。海上自衛隊の定員は45,307人だが、2,000人ほど欠員している。

「日本は島国で海洋国家として、海軍と空軍に投資する必要がある」と河野は述べた。日本の安全保障は、朝鮮半島と中国本土を含む東シナ海に集中するという。

「安全保障環境はますます困難になっている」のは日本は中国、北朝鮮、ロシアという3つの核武装した敵に直面する可能性があるからだ。北朝鮮は、河野の公演直前に大陸間ミサイルの発射実験を行い、韓国大統領は日本の首相と首脳会談を行った。ミサイル発射は、米韓両国が拡大を計画している過去5年間で最大規模の軍事演習が終了し発生した。

今年初め、マイケル・ギルデー海軍作戦部長は、同じ安全保障グループで講演し、北朝鮮、中国、ロシアによる安全保障上の課題に対処する米日韓3カ国の協力は「もはや贅沢ではなく、必要なこと」だと述べていた。■

Japan Faces Readiness Hurdle As it Modernizes Military, Former Defense Chief Says

By: John Grady

March 17, 2023 3:35 PM

About John Grady

John Grady, a former managing editor of Navy Times, retired as director of communications for the Association of the United States Army. His reporting on national defense and national security has appeared on Breaking Defense, GovExec.com, NextGov.com, DefenseOne.com, Government Executive and USNI News.



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