フィンランドのNATO加盟でいよいよ窮地に陥るロシアの今後を1945が解説しています。
ロシアは、征服地を保持するという最低限の意味では、まだ勝利する可能性を残している(それすらも疑わしいが)。しかし、その他重要な側面すべてにおいて、この戦争は大失敗で、さらに悪化している
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で大失態を犯したことは、今や広く理解されている。プーチンは、ウクライナ侵攻を既成事実化する電撃戦として計画した。1週間か2週間ですべてが終わるだろう。プーチンは一挙にソ連後の空間を再編成するつもりだった。NATOは不意を突かれ、ロシアのさらなる動きに怯える。中国はプーチンの大胆さに感心し、両国間の不均衡な経済関係を相殺するのに役立つ。世界は再び、戦略家プーチンに感銘を受けるだろう。
それどころか、戦争は高価で、恥ずかしく、衰弱した災難に化した。ロシアは、征服した領土を保持するという最低限の意味ではまだ勝てるかもしれない(それさえも疑わしいが)。しかし、他のあらゆる重要な側面において、この戦争は大失敗であり、良くなるどころか、悪化している。
戦争でGDPが激減している。政治的には、ロシアはほとんど孤独だ。中国とインドは制裁を支持しないものの、それ以外は距離を置いている。軍事的には、戦争は膠着状態に陥り、ウクライナ側にゆっくりと傾いている。ロシアはこの1年間、新たな領土を獲得していない。ウクライナはその後、攻勢に2回成功し、この春の終わりにはもう1回の攻勢が予想されている。そして今度は、戦略でロシアはまたもや逆境に立たされた。フィンランドがNATOに加盟したのだ。
フィンランドの加盟でロシア包囲網は続く
プーチンと彼の様々な擁護者たちは、NATO拡大がその周辺部でロシアの修正主義を強制していると何年も主張してきた。NATOが拡大していなければ、プーチンはクリミア、ジョージア、ベラルーシなどでゴタゴタしていなかったはずだ。
しかし、これは因果関係の論理を逆転させるものである。NATOは西欧の帝国主義から発展したのであって、東欧諸国が必死に加盟を望んだから発展したのである。そして、加盟の動機は、ロシア外交政策に対する不安という極めて明白なものであった。ロシアには、近隣諸国の多くを征服し、支配してきた長い歴史がある。旧ロシア帝国にはポーランドとフィンランドが含まれていた。東欧で帝国を築いたソ連は、1990年代にNATOに加盟した国々を支配していた。
ロシアが国境内で快適に暮らすことができ、「ロシア世界」の防衛といっ。た壮大な文明的使命にこだわらなければ、近隣諸国と平和に暮らせるかもしれない。しかし、ロシアの外交政策では、そのようなことは比較的まれだ。むしろ、ロシアの支配欲が、近隣諸国をロシアのパワーとのバランスに向かわせてきた。1990年代に脱出できたヨーロッパ諸国は、早期にNATOに駆け込んだ。フィンランドはプーチンに十分な脅威を感じ、長年の中立政策を断念した。スウェーデンもNATOに加盟予定で、ウクライナも加盟を望んでいる。
この戦争がもたらす広範な戦略的帰結は、さらに多くの国家をNATOに向かわせる。戦争は、ロシアが西側諸国から包囲されるのを緩和するのではなく、むしろ悪化させている。
フィンランドはNATOにとって資産となる
フィンランドが加われば、NATOは強化されるどころか弱体化するという懸念もある。フィンランドは、NATOの伝統的な西ヨーロッパの中心地から遠く離れている。ロシアとの長い国境がある。1939年から40年にかけて、ソビエト連邦と戦争をし、大敗を喫した。西側諸国がフィンランドを助けるという考えは、距離と天候のため鈍った。フィンランドは冷戦期にはソ連を刺激しないためNATOを避け、ここ30年はロシアを刺激しないため避けてきた。「フィンランド化」という言葉も、この中立的な姿勢を特徴づけるため生まれた。
このような懸念は、2つの理由で過大評価されている。第一に、フィンランドは、一般的な西ヨーロッパの軍よりもはるかに有能な軍隊を有している。実際、フィンランド政府はNATOに対し、より多くの予算を投じ、ロシアの脅威をより深刻に受け止めるよう働きかけている。ドイツやイタリアのような同盟国との関係を悩ませるタダ乗りの懸念は、当てはまらない。フィンランドは1940年の敗戦以来、必要ならばロシアと再び戦う体制を整えてきた。
第二に、ロシア軍は現時点で強力な通常軍を脅かす状態にない。ロシア軍は、ウクライナの泥沼でひどく疲弊している。ウクライナに勝てないのであれば、NATOに支援されたフィンランドに勝てる可能性はさらに低くなる。フィンランドを通常兵器で脅かすには、ウクライナから撤退し、ロシア軍を大規模に再建する必要がある。そして注目すべきは、ウクライナ侵攻前の10年間に行われたロシア軍の近代化が失敗したことだ。今日の軍隊がその結果として生まれた。フィンランドへのロシアの通常兵器による脅威は、少なくとも10年先のことになる。
要するに、フィンランドのNATO加盟は、ロシアにとって、またしても予期せぬ打撃となる。ロシアはウクライナで泥沼にはまり込んでおり、これに対抗できない。また、加盟は、世界の最先端経済圏からのロシアの孤立を悪化させる。さらに、スウェーデンが次に控えている。■
Finland Joins NATO: That Means Russia Has Truly Lost the Ukraine War - 19FortyFive
By
Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RobertEdwinKelly.com) is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University and 19FortyFive Contributing Editor.
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