スキップしてメイン コンテンツに移動

B-52エンジン換装機の制式名称がB-52Jに決定。2020年代末までに実戦運用を目指す

 

B-52H型全機はエンジン換装だけでなく電子装備なども同時にアップグレードされ、「100年爆撃機」になりそうですね。Air & Space Forces Magazine記事からのご紹介です。

空軍の2024年度予算案によると、新しいロールスロイスF130エンジンを搭載したB-52HはB-52Jの制式名となる。



 今回の決定は、B-52H型の61年の耐用年数で最も重要な改良を受けるにあたり、数年間議論されてきた問題を解決する。

 「新しい民生エンジンと関連するサブシステムで改造したB-52H機は、B-52Jと制定される」と、空軍は2024年予算要求文書で述べている。

 というのも、B-52は新エンジンに加え、新しいレーダー、新しい通信・航法装置、武器など、2050年代まで信頼性と能力を維持することを目的とした改良を受けるため、空軍は改良型ストラトフォートレスでさまざまな呼称を検討していた。

 このように変更点が多いため、グローバル・ストライク・コマンドは暫定的な呼称を使用することを検討していた。

 B-52の改良兵器の1つは極超音速のAGM-183 Air-Launched Rapid Response Weapon(ARRW)とされていたが、2024年予算で空軍は、あと数回のテスト後に同プログラムを「終了」させ、極超音速攻撃巡航ミサイル(HACM)に重点を移すと発表している。

 B-52エンジン換装プロジェクトの名称も、Commercial Engine Replacement Program(CERP)からRapid Virtual PrototypingのCERP RVPへ進化したと、空軍は予算要求で述べている。

 エンジン換装の取り組みは、時間を節約し、より早く能力を得るためて開始された。このプログラムは、RVPの取り組みが終了した時点で、Major Capability Acquisitionとなると空軍は述べている。

 アップグレードはまた、その他変更への扉を開くと空軍は指摘している。

「B-52 CERPでB-52にさらなる能力をもたらすにつれて、新たなセキュリティ/認証要件(核硬化、サイバーセキュリティ、プログラム保護など)にも対処の必要がある。B-52 CERPの期間中、アップグレードが同時に行われるため、仮設施設や施設のアップグレード/修正が必要になる可能性があります」。

 空軍は、将来数年の防衛計画全体で30億ドル近いB-52調達を求めており、2024年の6,582万ドルという控えめな金額から始まり、2027年と2028年には各11億ドル以上まで膨れ上がる。

 このうち、レーダー近代化プログラムだけで8億4590万ドル、27年には2億7195万ドルとピークに達する。調達勘定には含まれないが、レーダー近代化プログラムに関連する研究、開発、試験、評価は3億7100万ドルで、2026年に終了するよう要求だ。RMPの調達資金で、74のレーダーキット、3つの訓練システムキット、2つの技術・製造開発キットを調達する。

 新レーダーは、海軍のF/A-18スーパーホーネット戦闘機に使用されているアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー、レイセオンAN/APG-79の亜種。このレーダーは、APG-166に代わるもので、空軍によると、「ベンダーがなくなる」深刻な問題や部品の問題で、2030年までに「サポート不可能」になるとしている。

 AESAは保守性を飛躍的に向上させるだけでなく、捜索、地形図作成、電子戦において重要な新機能を追加する。また、新型レーダーの物理的な設置面積は、現行システムよりもはるかに小さく、航空機の前部で成長能力が生まれる。B-52の機首に取り付けられている電気光学ブリスターは取り外され、新しいレーダーと新型レドームが設置される。

 再エンジン化プログラムは、RDT&E予算で25億6000万ドル、2025年に6億5000万ドルのピークを迎える。このプログラムでは、元の装備であるプラット&ホイットニー TF33エンジンをロールスロイスF130に置き換えるのが目的だ。F130はB-52に搭載される期間を通じオーバーホールの必要がないため、燃費が30%向上し、最終的にこの変更は元が取れると予想されている。

 「新エンジンとともに、CERPはエンジンストラットやナセル、発電システム、コックピットディスプレイなどの関連サブシステムを交換する」と空軍は述べている。「新しいエンジンと関連するサブシステムの開発、製造、設置は、76機あるB-52Hのレガシー機器と交換される」。

 これまでに支出された分を含め、B-52 CERP Middle Tier of Acquisitionの取り組みの総費用は、RDT&E含め13億2000万ドルと空軍は述べている。

 空軍は、新エンジンと新レーダーの両方を搭載したB-52Jが、2020年代末までに運用可能になることを期待している。■


It’s Official: The Re-Engined B-52 Will be the B-52J

April 5, 2023 | By John A. Tirpak





コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...