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SLBM部隊への通信を担当する米海軍の次期TACAMO機は現行の四発ジェット機からC-130ベース機に交代する。空軍ICBM部隊向け通信機能は搭載せず。

 

Howard Altman


米海軍は、新型C-130ベースのE-XXで空軍向けのICBMの空中指揮統制任務を削除する


界関係者は、アメリカの弾道ミサイル潜水艦の空中戦略指揮統制支援を行う将来のE-XXが、空軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)および爆撃機ユニットとの通信能力を持たないことを確認した。

 現行の海軍E-6Bマーキュリー「ドゥームズデイプレーン」に代わるC-130J改修機は、当初はTACAMO(Take Charge And Move Out)弾道弾潜水艦通信ミッションのみを実行するとしていたが、、新しいハーキュリーズベースのプラットフォームも長期的にこの機能に限定されることがわかった。このことは、「ルッキング・グラス」ICBM通信の役割を果たす、生存可能な空中通信機と司令塔機での空軍のニーズの将来について大きな疑問を残す。現在、E-6Bはこの2つの機能と、国内有事のための二次的な緊急指揮所と通信の役割を担っている。


TACAMOミッションなどをこなしているのは米海軍のE-6Bマーキュリー「ドゥームズデイ・プレーン」だ U.S. Navy photo by Erik Hildebrandt U.S. Navy photo by Erik Hildebrandt

 

この開示は、昨日ワシントンD.C.郊外で開催された海軍連盟の海空宇宙シンポジウムで、E-XXの提供を競う下請け企業のチームのひとつを発表するイベントで行われた。ノースロップグラマンが率いるチームに、ロッキードマーチンのスカンクワークス、レイセオンクレセントシステムズ、ロングウェーブが参加する。

 ノースロップのグローバルサーベイランス部門の副社長兼ゼネラルマネージャー、ジェーン・ビショップは、メディアに対して、「当社は、米国海軍のE-XX TACAMOウェポンシステムを実現するために編成した優れたチームを発表する機会を得て、非常に興奮しています。E-XXのTACAMOは、C-130J-30をベースとし、生存性、信頼性、耐久性のあるコマンド、コントロール、および通信を提供します」。

 「航空機とミッションシステムの統合に関する当社の豊富な経験と、原子力事業を支援するための運用可能なソリューションの作成に関する当社の専門知識を合わせると、ノースロップグラマンは海軍のE-XX TACAMOウェポンシステムを提供する最適なパートナーになります」と、ノースロップのマルチドメイン指揮統制プログラム担当副社長のジャニス・ジルヒは、同社のメディアリリースで述べている。「海軍のE-2プログラムで実証したように、当社は海軍の運用要件を満たすのを支援する長年のパートナーである」。

 一方、Sea Air Spaceシンポジウムでジェーン・ビショップは、E-XXの任務が「核兵器を搭載した...弾道潜水艦との交信 」であると改めて強調した。しかし、それは現在のE-6Bの任務の一部に過ぎない。


オクラホマ州ティンカー空軍基地で、戦略通信第1飛行隊が飛行するE-6Bマーキュリーをマーシャリングするグランドクルー。U.S. Air Force photo/Margo Wright


 「海軍は、TACAMO任務に特化することが最良と判断した」と、ノースロップのマルチドメインコマンド&コントロールキャプチャープログラムのディレクター、ヘンリー・シアーは説明する。

 決定の一部は、海軍がE-6Bの代替案としてC-130Jプラットフォームを選択したことに基づいているようだ。

 「代替案分析でC-130が選ばれたのは、新しいミッション装備に適したサイズのためだ」とシアーは付け加えた。「C-130は高翼機で、航空力学上で、優れた効率と能力を発揮することができる」。


ジョージア州マリエッタのロッキード・マーチン・エアロノーティクス社で、アメリカ空軍への納入前に滑走路を走行するC-130J-30のタキシング。U.S. Air Force/Courtesy photo by David Key



 昨年、海軍航空戦センター航空機部門の空中戦略指揮統制通信プログラムオフィス(PMA-271)の広報担当クリストファー・ハードは、代替案分析で 「TACAMO再編成には4発国産機が最適だと示した」とThe War Zoneに確認している。この決定で、他のプラットフォームの選択肢は事実上排除された。

 4発エンジンのE-6Bに代わってターボプロップのC-130Jが選ばれたことは意外だった。確かに、貨物輸送に特化した機体は、エイビオニクスや装備品を搭載するのに十分な容量を備えるが、双発のP-8ポセイドン海上警備機やKC-46ペガサスタンカーの派生型がより可能性が高いと思われていた。

 海軍は、E-XXをC-130Jをベースにすると定めただけでなく、同機の超低周波(VLF)通信システムの提供でコリンズ・エアロスペースを選定ずみだ。

 VLFシステムは、アンテナケーブルを機体後方に伸ばし、TACAMOミッションの中核をなす。核戦闘環境下でも、潜水艦との通信を可能にする。そのため、飛行士は低速で機体を急旋回させ、アンテナをできるだけ垂直に近づけ、通信効果を最大にする。

 ロッキードのC-130Jとコリンズ・エアロスペースのVLFシステム以外に、海軍はE-XXに必要な残りの機器をどの業界チームが提供するかを決めていない。昨日発表されたノースロップ主導のチームだけでなく、コリンズ・エアロスペースもこの契約のため競争する。Breaking Defenseによると、コリンズはSierra Nevada Corporationとチームを組むそうだ。

 プログラムのスケジュールは、E-6BからE-XXへの移行をかなり早く行うという海軍の要求を反映し、かなりタイトだ。ノースロップのシアーは、「予算書が定義した短期間で実戦投入可能な既存の能力を、迅速に移行することを意図している」と述べている。

 シアーはまた、E-XXプログラムの範囲と、現在E-6Bが使用している技術との比較について、興味深い詳細点を提供した。

 「様々な理由のため元の機体から単純に何かを取り出して移行することはできない」「技術は進歩し、無線はより小さく、コンピュータシステムはより小さく、より速く、より高性能になっています。しかし、基本的にTACAMOミッションは不変で、変わりません」。

 シアーはまた、技術の進歩により、TACAMOのミッション機器を、小型機に搭載することが可能になると指摘している。しかし、E-6Bの幅広いミッションポートフォリオの範囲を縮小することがここでも役割を果たす。

 「めざすのは、本質的に安価なシステムです」とシアーは続けた。「C-130では、サイズ、重量、パワーを考慮する必要があるため、小型の航空機に移行し、より小さなミッションセットとすることで、サイズ、重量、パワーの懸念に対処する機会として利用できます」。

 E-6BのTACAMOミッション機器がC-130Jベースのプラットフォームに「そのまま移行」するわけではない重要な理由の1つとして、シアーはサイバーセキュリティを挙げ、「E-6Bが生まれたたときよりはるかに重要となっている」と指摘した。実際、「サイバーセキュリティ要件だけで、新しいシステムになる」とシアーは付け加えた。

 E-6Bを置き換えることは、ますます緊急の課題となっている。同機は707の派生機としては最も若いものの、30年以上にわたり酷使され、VLFアンテナを展開するため繰り返される旋回など、独特のストレスやひずみを受けている。その一方で、継続的なアップグレードと、来年から専用の訓練機が導入され、重要な国家安全保障資産である同機の寿命を延ばすことができるようになる。

 その後、ノースロップとコリンズの両チームは、海軍の要求を満たすための最善の方法を検討し、2024年または2025年に予定される研究、開発、テスト、エンジニアリング段階に入る。

 海軍の2024年度予算要求では、E-XXの調達は2027年開始され、技術・製造開発機3機、翌年には生産機6機となる予定です。契約締結は、25会計年度の第1四半期、つまり2024年の10月から12月の間のどこかに指定されている。最終的に、ノースロップは、TACAMOの最終的な規模が9機よりも大きくなることを期待していますが、16機あるE-6Bと1対1で置き換わるかどうかは不明だ。

 しかし、海軍がE-XXのミッションエイビオニクスに関してどんな選択をしても、E-6Bと対照的に、新型航空機がTACAMOミッションに特化されるということは非常に重要な変化だ。そのため、ICBMや爆撃機部隊との通信を維持する米空軍のABNCP(Airborne Command Post)任務が宙ぶらりん状態になる。

 海軍は、TACAMO任務が冷戦時代のEC-130Qという初期のハーキュリーズで飛行されていた頃に時計の針を戻すことになる。



ハーキュリーズをベースにした初代TACAMO機、EC-130Q U.S. Navy


 海軍が第一世代のTACAMOプラットフォームとしてEC-130Qを運用していた頃、空軍は弾道ミサイル支援ミッションにEC-135ルッキンググラスを使用していた。E-6Bの登場により、2つの戦略通信が統合された。

EC-135Cルッキンググラス。Via Minutemanmissile.com


したがって、E-6Bが最終的に退役した後、空軍がこのミッションで何をするかは未知数だ。ルッキング・グラスのミッションを復活させる必要があるが、選択肢として、SAOC(Survivable Airborne Operations Center)に戻すことが考えられる。SAOCは、主に空軍のE-4Bナイトウォッチ機(National Airborne Operations Center(NAOC)とも呼ばれる)の代替機として開発される。


 現時点では、SAOCはE-4B後継機として想定されているようだ。747ベースのプラットフォームとなる予想があるが、現在E-4Bは4機しか運用されておらず、ABNCP任務も同型機でカバーすれば、高価なプラットフォームが必要となる。生存可能な空中指揮統制機が以前のような役割を果たせなくなることで、ミッションセットはまったく異なるものになる可能性もある。

 海軍は空軍の空中指揮統制任務を放棄する決定を下したため、E-6Bに代わる能力をどう運用するかは、空軍の判断に委ねられる。■


Navy Drops Air Force’s Mission From Its Next ‘Doomsday Plane’

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED APR 4, 2023 1:33 PM EDT

THE WAR ZONE


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