スキップしてメイン コンテンツに移動

気になるボーイングのロングビーチ工場売却。C-17生産再開は可能性なし

Boeing Is Selling Off Its Historic C-17 Production Line Facility In Long Beach ボーイングがC-17生産にも使った歴史あるロングビーチ工場を売却

The property could be attractive to space launch and other aerospace firms, but there are also proposals to completely transform the area. 宇宙打ち上げ始め航空宇宙企業に魅力ある物件になるがその他にも再開発構想がある

BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 7, 2018
USAF


ーイングがカリフォーニア州ロングビーチの生産施設売却に動いている。同施設はC-17AグローブマスターIII輸送機を製造した場所で、売却が実現すれば同社は南カリフォーニアでの軍用機連続生産を終了するとともに米空軍で高まる同機の生産再開の芽もつまれることになる。敷地はヴァージン・オービットスペースXのような宇宙打ち上げ企業にも魅力となるだろうし、その他の再開発構想もある。
ボーイング(本社シカゴ)は同施設売却を2018年11月5日に公示した。ロングビーチ空港に隣接する4百万平方フィート(約37万平方メートル)の敷地内に組立工場(110万平方フィート、約10万平方メートル)がありC-17を280機あまり米空軍やその他国向けに生産した場所だ。今の所売却希望価格は不明だ。
関連記事
米空軍が空輸能力増強を必要とする中、C-17生産は終了ずみ。では解決方法は?USAF WANTS MORE AIRLIFT CAPACITY BUT WITH C-17 OUT OF PRODUCTION WHAT COULD PROVIDE IT?By Tyler RogowayPosted in THE WAR ZONE
C-17からステルス舟艇とともに投下する特殊部隊チームWATCH THIS SPECIAL OPS TEAM TOSS THEIR STEALTHY BOATS AND THEMSELVES OUT OF A C-17By Tyler RogowayPosted in THE WAR ZONE


マクダネル・ダグラスがC-17を開発し同地で生産を1991年開始した。ボーイングが同社を1997年に買収し、グローブマスターIII生産施設を引き継いだ。
ロングビーチ施設には第二次大戦前まで遡る長い歴史があり、ダグラスは戦時中にボーイングB-17爆撃機後期型を同地で受託生産した。戦後も機体生産が続き、1980年代にはマクダネル・ダグラスMD-80旅客機が同工場で生産された。
USAF
米空軍のC-17.


ボーイングは今後も南カリフォーニアでC-17関連の整備その他支援を行うが、ロングビーチ工場はグローブマスターIII最終号機が完成した2015年以降は未利用のままだった。米空軍が空輸能力拡充を必要とし同機の生産再開が話題に上っていたがこれで事実上雲散霧消してしまう。
RANDコーポレーションによる2012年の詳細検討では数年間の空白後はC-17生産再開は80億ドル近くになると結論づけ燃料消費改良型150機を新規生産する想定だった。RANDはボーイングはロングビーチ以外で生産すると仮定していた。2008年時点で同社はグローブマスターIII生産終了後に別の機種生産にロングビーチ工場は使うのは効率が悪いと判断していたようだ。
BOEING
2010年のコンセプトでは燃料消費改良型C-17(C-17FE)をC-17原型と比較していた。


ボーイングは購入希望の第一回締切を2018年12月初旬に設定とロサンジェルス・タイムズが伝えており、広大な敷地に関心を示す向きが誰かまだわからない。
宇宙打ち上げ企業が関心を示すのは大型ハンガーの他作業スペースがあるからだが、2012年にボーイングは旧マクダネル・ダグラス施設のダグラスパークを不動産デベロッパーに売却した実績がある
GOOGLE EARTH
ロングビーチ空港。C-17を生産ていた施設が左に見える。衛星画像は 2015年撮影で生産工場横にC-17一機が見える。


大富豪リチャード・ブランソンの多国籍企業ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・オービットが同上地点に本社を構える。同社は小型衛星を軌道に乗せるべく空中発射方式ロケット(呼称ローンチャーワン)を開発中で改装したボーイング747旅客機(呼称コスミック・ガール)を母機に使う。
2018年10月24日、ヴァージン・オービットはローンチャーワンをコスミック・ガールに初めて搭載し、11月後半に初の発射を目指す。作業はロングビーチ空港で行った。
ヴァージン・オービットが空港隣接の敷地を拠点にほしいというのは十分理解できるし、大規模の航空関連施設も事業にぴったりだ。ブランソンには購入希望出て維持できる資金が十分ある。
だがスペースX(本社は近隣のカリフォーニア州ホーソン)も関心を寄せるはずだ。
不動産デベロッパーが企業向け集合オフィス用地に転換する可能性もある。グーグルがハワード・ヒューズが巨大飛行艇「スプルース・グース」の格納庫だったロサンジェルス施設を購入し、現在、事業所用に変える作業を進めている。
HOLLIDAY FENOGLIO FOWLER
ヒューズ航空機がスプルース・グース飛行艇を製造したハンガーがグーグルの「ハンガー」事務棟に改装されるとこうなる。


ロング・ビーチ市も同敷地を購入して都市再開発プロジェクト「グローブマスター・コリド」にしたいとする。これは商用公的施設の複合体で公園他レクリエーション空間も同時に確保する構想だ。
「ボーイングと地域社会にとって最適の選択肢を検討しているところです」とボーイング広報C.J.ノーザムが2018年6月に報道陣に語っている。「詳細は今お話できませんが」
はたしてこの物件が今後も航空宇宙産業に関連して使われるのか、それとも名前だけ残すことになるのか興味あるところだ。いずれにせよボーイングに同工場でC-17生産再開の予定がないことは確かだ。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ