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B-2の開発経緯、実戦投入実績、なぜ20機調達になったのか



Why the Air Force Only Has 20 B-2 Spirit Stealth Bombers 米空軍がB-2スピリットステルス爆撃機調達をわずか20機で打ち切った理由はなにか

The Spirit procurement was first reduced to 75, than cut to 20 by the Bush administration in 1992. And that made the costs skyrocket. Here is the whole story.スピリット調達数はまず75機に削減され、その後ブッシュ政権が1992年に20機にまで減らした。その結果、機体価格は急上昇した。
November 11, 2018  Topic: Security  Region: United States  Blog Brand: The Buzz Tags: B-2 SpiritU.S. Air ForceUnited StatesDepartment Of Defense


空軍は1947年の発足以来、一貫して長距離戦略爆撃機を整備し核抑止力維持に努めてきた。だが1960年代に入り高高度を飛行するB-52ではソ連の高速迎撃機や地対空ミサイルの防空網を突破できないと判明した。そこで超音速のFB-111やB-1を開発し低空侵入でレーダー探知を困難にさせようとした。だがペンタゴンはソ連がドップラー・レーダーや早期警戒機の開発で探知の盲点を潰そうとしていることを察知していた。
その時点で米航空技術陣はレーダー波吸収剤や非反射性の表面にしたらレーダー探知距離を大幅に短くできるとわかっており、SR-71ブラックバード・スパイ機にまず導入された。ロッキードのハブブルー試作機から初の作戦投入可能なステルス機F-117ナイトホーク攻撃機が生まれた。
ペンタゴンは次のステルス機として高度技術爆撃機ATBの実現をめざした。ノースロップはその時点でネヴァダ州のエリア51で奇妙な形状のステルス機タシットブルー(別名「ホエール」または「エイリアン・スクールバス」)のテストを実施していた。1940年代末に同社は巨大な翼幅52メートルの全翼ジェット爆撃機YB-49を開発していた。ロッキードとノースロップがATBでしのぎを削る1981年、ノースロップの大型無尾翼全翼機コンセプトが採択された。
同プロジェクトの存在は公表されたが、詳細は極秘とされ、ペンタゴンはダミー会社を使い部品を確保した。その後8年で設計は大幅に変更され低空侵攻任務を中心にし、開発予算は420億ドルになり政治面で問題となった。
スピリットが公開されたのは1988年で翌年に初飛行した。だが量産開始の1993年の前に冷戦がソ連崩壊の形で突如終了した。核搭載高性能爆撃機の存在意義が消えた。
空軍は依然としてB-2を必要としたが高価な事業費が仇となりシーウルフ級潜水艦等その他の高費用事業とともに削減対象となった。ペンタゴンは慌ててB-2で非核装備の運用能力を重視し、ステルス爆撃機は開戦直後の数日間は援護戦闘機なしで作戦投入されることになった。(実際はスピリットにEA-6Bプラウラーが随行しジャミング、レーダー対抗策を提供していた)
スピリット調達数はまず75機に削減され、その後ブッシュ政権が1992年に20機にまで減らした。クリントン政権で試作機が作戦機材に変更され21機になった。このため当初5億ドルの機体単価が7.37億ドルに高騰し、予備部品、改修、技術支援も含め9.3億ドルになった。スピリットの開発費は21億ドルと史上最高額の機体になった。
テスト機材除く全機がミズーリ州ホワイトマン空軍基地の509爆撃航空団に配備されている。同部隊は日本に原爆を二発投下した部隊の直系である。スピリットを操縦するのはパイロット80名からなるエリート部隊でディエゴ・ガルシア、グアム、英国に前方配備されることもある。
各機は全米の州の名称がつき、はスピリットオブミズーリで始まった。例外がスピリットオブキティホークで格納庫内でエンジンが突然始動するなど悪霊にとりつかれているという。2008年にスピリットオブカンザスがグアム離陸直後に墜落している。原因は大気中の湿度センサー計測が嵐のため誤りしフライ・バイ・ワイヤが誤動作したためだった。乗員全員は脱出したのが救いだった。
現在のF-35同様に初期生産型のB-2は性能が不完全なまま納入され、ペイロード、兵装、航法、防御装備が一部欠けたままだった。その後、ノースロップ・グラマンは段階的に改良を加え、地形追随システム、GPS航法、衛星通信が機内ラップトップから行えるようになった。もっと重要なのがスマート爆弾と巡航ミサイルの運用だ。今日も米空軍は多大な費用でレーダー波吸収剤の改良、光ファイバー配線への切り替え、コンピュータやデータリンクの改良をすすめている。
B-2が初期作戦能力を獲得したのは1997年で初の実戦投入は1999年3月24日のことでNATO空爆の先陣を切りユーゴスラビア爆撃に投入された。これはコソボのアルバニア人民族浄化を止めるのが目的だった。ミズーリ州を離陸したB-2は大西洋を越える30時間におよぶミッションを50ソーティ行い、ユーゴスラビア防空網を突破し、最初の二ヶ月で投下した爆弾のほぼ三分の一を投下したのだった。
B-2はGPS誘導方式のJDAM爆弾を使う初の機材となり、航空戦の転換点を飾り、その後の安価な精密誘導兵器の投入の先陣となった。ただし実戦では爆撃精度が上がっても標的を正確に区別する情報が不備では役に立たないことを示した。スピリットの一機がJDAM5発を中国大使館に投下したのはCIAが武器集積地と誤って識別したためで、三名が死亡、その他重傷者が発生し外交面で問題となった。
その二年後、スピリットは再び実戦に投入され、今回は70時間におよぶミッションでディエゴ・ガルシアを経由してアフガニスタンのタリバンを爆撃し史上最長の戦闘飛行任務となった。さらに二年後にB-2は「完全作戦能力獲得」となり、イラクへの米軍侵攻の初期段階で92箇所を爆撃した。
B-2は2011年にも開戦で真っ先に投入された。リビアの独裁者ムアマル・カダフィに対抗した介入戦でリビア空軍の大部分を地上でJDAMで破壊した。直近では2017年1月19日にリビア砂漠でISISのキャンプを襲撃し戦闘員85名を殺害した。
空軍のスピリット20機は「必殺」の第一撃手段として維持されており、大型通常型爆弾と核兵器のいずれも投下でき、強固な防空指揮所、防空レーダー他戦略拠点を警告ないまま攻撃できる。
B-2は単に製造コストが高いだけでなく、運用も高額で飛行一時間あたり163,000ドルかかりフライト後に60時間の保守整備が必要だ。一機を維持するだけで年間41百万ドルかかりミッション稼働率は50パーセント未満だ。
さらに各機に空調付き単価5百万ドルの格納庫が必要だ。これはレーダー吸収剤RAMの維持のためだ。また7年ごとに重整備60百万ドルが必要で、結晶化した小麦でんぷんでRAMを機体表面から剥離させ表面を注意深く点検し小さな凹みや傷がないか見つける。
B-2の調達機数が少ないと嘆く向きが多い。しかしB-2の調達機数削減は超大国同士の対決は今後発生しないと見た結果であり、空軍は同機を追加調達していたら発生していた費用を結果的に節約できたのだ。
もちろん中国やロシアは米国に匹敵する実力を有する敵性勢力として台頭している。このためB-2の長距離戦略攻撃ミッションの意義が大きくなっている。だがペンタゴンは今やよりステルス性能が高くコスト効率の高いB-21レイダーの調達を進めており、今後の有事に備えようとしている。B-2のステルス性能は今や最先端とは言えず、F-22やF-35に至ってはレーダー断面積がB-2の0.1平方メートルや0.05平方メートルの十分の一、百分の一と豪語している。
B-21は形状こそスピリット2.0に酷似しつつ費用対効果が高いレーダー波吸収剤を表面に使用しネットワーク化したコンピュータでセンサー融合を行い、監視偵察機能を倍増させる。
B-2の機能はすべてB-21に引き継がれるが空軍はスピリット退役を2036年と設定し、レイダーの導入とあわせる。もちろんB-2の実績からB-21が予算以内で実現できるのかとの疑問があるし、政府が何機調達するかも注目される。■


Sébastien Roblin holds a master’s degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .

ユーゴスラビアの中国大使館爆撃は「誤爆」だったのか本当に狙ったのか、あと数十年したら真相がでてくるかもしれません。中国へのメッセージではないかという説が強く残っています。B-21はまさか20機調達ということはないとしても今後削減される可能性はあるでしょうね。

コメント

  1. B-21の航空自衛隊導入を期待してもいいですか・・・・・・?(冗談です

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  2. ぼたんのちから2018年11月26日 11:00

    前々からステルス機について気になっていたこと。
    ステルス性能を発揮するためには、形状、材料、塗装が必要ですが、このうち塗装については、記事にあるように空調付き格納庫が必要とされ、飛行終了後に毎回塗装の点検と補修が不可欠なようです。
    B-2の主任務は戦略爆撃機であり、万全な整備が常に行われ、敵地に攻撃(核攻撃)に行って帰還すると、次の飛行任務は無いのかもしれませんが、ステルス戦闘機の場合、何度も任務に就くことになります。
    ここで高烈度の大規模な戦争が起きた場合を想定してみましょう。
    帰還したステルス戦闘機は、もしかすると空調付き格納庫の無い空港に帰らねばならなかったり、空調が破壊されていることもあるでしょう。そうなるとレーダー吸収剤RAMによる処理ができなくなり、ステルス性能が低下します。
    空調付き格納庫はどこにもあるわけでなく、ステルス戦闘機はステルス性能が低下したまま戦い続けるか、ステルス性能回復のため後方に移動することになるでしょう。
    このことはステルス機は、相互攻撃の応酬があるような厳しい戦域では連続使用が不向きであり、低烈度の戦域向きという不都合なことを意味します。
    F-22はおそらくB-2と同様なRAMを使用し、F-35も空調付き格納庫を要求することから、RAMはあまり進歩していないのかもしれません。
    日本がF-3を開発する際はぜひとも克服してほしい課題であると考えています。

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