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F-35導入の遅れを想定した米空軍の対応策とは、その他米航空戦力整備の最新案から読める情報とは



The Air Force Has a Plan if the F-35 Doesn't Work Out As Planned F-35事業が予定通り進展しない場合に備える米空軍の構想


November 16, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35MilitaryTechnologyWorldWarF-18. F/A-18




F-35が予定どおり戦力化しない場合に備えペンタゴンはF-15E、F-16、F-18の再調達を想定しているのか。


米議会調査部(CRS)によれば、ペンタゴンが出した航空戦力整備長期計画の背後にこの可能性が見えるという。


国防総省はアメリカの航空戦力を30年俯瞰で想定する構想案を毎年更新している。通常は総論で曖昧な内容に留まる事が多い。


今回は違う。「2018年4月発表の最新の三十年構想では詳細内容が豊富で、事業中止、耐用年数延長、新規事業に触れている」とCRSのジェレマイア・ガートラーが述べる。「一部は直接的、一部は間接的だ」


ガートラーは航空戦力整備構想で判明するパターンに注目している。とくにF-35に関する件だ。空軍はF-15Eストライクイーグル、F-16で耐用年数を延長しながらF-15C制空戦闘機は退役させようとしている。


「F-15EとF-16で共通要素は何か」とがートラーが問いかける。「ともにF-35ライトニングIIが後継機の予定だが、新構想ではF-35が予定通り就役ができない場合を想定し空軍が既存機種で耐用年数を延長して穴埋めをねらっているとわかる。F-35調達機数は変更がなく、空軍は1,763機だが予定通りに投入できない事態を想定し、空軍は旧型機の改修をめざす」


さらにA-10ウォートホッグは2030年代まで飛行継続し、ここでもガートラーはF-35調達の遅れを最初から空軍が想定していると見る。同様に海軍はF-18スーパーホーネットで耐用年数延長を目指しており、旧式のA型からD型は退役させる内容だ。つまり海軍はF-35のトラブルに備える構えだ。


ガートラーは今回の航空戦力整備で以下興味深い点がみつかったと指摘。


第六世代戦闘機で動きが来年発生。海軍と空軍は2019年に第六世代機の性能諸元を決定したいとする。「本格生産は数十年先になり、現在は概念形成の作業が中心。海軍は来年中に検討を完了させるとする。次のステップは提案内容の作成だ」(ガートラー)


KC-46の調達拡大。空軍は当初想定の179機を超えたKC-46ペガサス給油機の調達を希望。「今回の構想で空軍は既存規模では不足とし当初予定以上の機数を導入しつつ既存のKC-135でも改修を行う意向だとわかる。以前はKC-135を全機退役させる予定だったが空軍は供用年数を延長したいとする」


新型長距離給油機構想:航空戦力整備構想ではKC-46投入でKC-10を退役させる予定とわかる。ガートラーはこれを空軍が新型長距離給油機構想を断念する動きと解釈する。「空軍が給油機近代化を始めた段階でまずKC-Xとしてエアバス、ボーイングを競わせ179機導入でKC-135と交代させる構想だった。その次がKC-YでKC-X採択機材をやはり179機導入し、三番目のKC-Zは完全新型の大型機でKC-10の52機の後継機とするはずだった。今回の企画案ではKC-Zが消えている。KC-46は勢いを強めている現役機となっており同機の将来は一層有望に写る」


AWACSは飛行を継続。E-3セントリー空中早期警戒統制機材7機の退役構想は棚上げになった。空軍はC-130供用を続けるがC-130Jは追加調達しない。海軍はC-130数機を調達する。


新型VIP機材。「もう一つ予想外の動きが空軍であり、ボーイング757原型のC-32VIP輸送機を退役させる」とがートラーは指摘。「757生産が終わり14年となり新型機が必要だ」


ポセイドン追加調達。中国との対立深刻化を受けて海軍がP-8ポセイドン哨戒機の調達への動きを示している。「現時点の地政学面の変化を考えれば、追加調達が必要だ」と航空戦力整備構想に記述がある。


海軍向け新型練習機:「もう一つ新規事業としてこれまで予算化されておらず今回の30年計画に盛り込まれたのがT-44の後継機だ。海軍が民生ビーチクラフト・キングエアを原型に訓練に投入している機体だ。」とガートラーは指摘。「陸軍にも同様の動きがある」


新型海軍向けヘリコプター:艦艇建造計画見直しに伴い、海軍はヘリコプター多数を必要とする。「2030年になると新型艦の就役が増えるともっと多数のヘリコプターが必要となる」(ガートラー)。通常は調達前倒しで生産ライン維持を図るが「海軍は完全新型機として2030年代中頃の調達を狙い次世代の垂直離着陸技術の導入を期待する。陸軍と共同で進める新型機がここで絡むのだろう。海軍が新型機を2030年代中頃に運用開始するなら今後三四年のうちに事業開始になるはずだ」


ベテランのCH-47チヌークは今後も飛行を継続する。「陸軍の次世代垂直離着陸機にはまだ大型機版がなく、陸軍はチヌークの改修で耐用年数を15から20年伸ばしておきたいと考えている」(ガートラー)


中古ブラックホークヘリコプターを販売。ガートラーはUH-60ブラックホークヘリコプターの一部を陸軍が民間に払い下げると見ている。航空戦力整備案では陸軍はメーカーのシコースキーにブラックホークを送り再整備させるとある。「構想案では米軍用の再整備と入っておらず、シコースキーは旧型機を再生し別の相手に販売するのではないか。だが米政府が中古機材を市場に放出する準備に入っている」

だがCRSのガートラーは構想案そのものが全体として予算増額をねらうペンタゴンの策である可能性を警告する。「提言は国防予算上限を改定すべく二年おきに議会と約束している内容の延長である。軍としては上限拡大を狙い、これだけの支出で何が手に入るかを議会へ示す必要がある。つまり予算手当がついていない要求リストを別の形で示しているだけである」というのだ。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

コメント

  1. ぼたんのちから2018年11月19日 13:17

    米空軍戦闘機の航空戦力整備構想について。
    F-35の調達数を維持しながらも、F-15、F-16も寿命延長させる理由は、F-35の実戦化の遅れもあるのでしょうが、その他に次の理由もあるかもしれません。
    ①ステルス破り:レーダーやセンサーの進歩は著しく、将来ステルス機の探知が容易になる可能性があります。ステルス性能を発揮できないF-35は使えない鈍重な戦闘機になってしまい、戦域後方での指令機かステルス性を放棄して攻撃機としての役目になるかもしれません。
    ②少ない武器の装備数:F-35の致命的性能は、ステルス状態でのミサイル搭載数が少なすぎることです。これでは敵国の飽和攻撃に対処できません。
    ③戦争予測:仮想敵国との大規模な戦争の可能性があり、航空優勢を維持し、戦争を抑止するために、1機でも多くの戦闘機が欲しいところです。
    上記のF-35のリスクは、同時に航空自衛隊のリスクでもあります。
    F-35、及びF-Xが将来配備されるにしても、日本も今以上ののF-15やF-2の耐用年数延長を考えねばならない時期に来ているのかもしれません。

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    返信
    1. F-35は鈍重ではないですよ。
      F-15の最高速マッハ2以上というのはミサイルや増槽を付けない状態でのもので実際の作戦仕様の装備をすればマッハ1代前半にまで落ちると言われています。F-35はステルスの関係上、機内燃料タンクで作戦行動がとれるよう設計されています。

      実際の作戦行動での状態で比べればF-15とそん色ないレベルと言えます。

      搭載量についてもステルスを捨ててフル装備にした場合、現状のF-15Eを凌駕する搭載量になります。
      言ってみればF-35はステルスで限定兵装するか、4.5世代機を上回る搭載量を誇るビーストモード(これ正式な名称らしいです)でステルスを捨てるかの選択肢があるわけで、選択肢のない4.5世代機の完全上位互換です。ですので致命的とは言えません。
      空対空ミサイルにしても今後のアップグレードでステルスモードでAMRAAM×6、サイドワインダー×2程度までは拡張が予定されているので、そうなれば4.5世代機と同等の搭載量になります。

      F-35の問題はそこではなくて、何らかのトラブルで飛行停止になったときにその影響が米空軍のみならず海軍、海兵隊、さらに同盟国にまで波及することです。

      この記事の4.5世代機の機齢延長というのはそれに備えてのことだと思います。

      削除

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