ドイツ連邦軍の装備が悲惨な状態にあることはかねてからお伝えしているとおりですが、事態はさらに深刻なようです。根本には予算削減があるようですが、安全保障に対するヨーロッパの考え方がまちがっていたのではないでしょうか。ロシア、イラン他が全然手綱を緩めない間にヨーロッパでは新世紀とともに国防支出を削減してしまったためでしょう。しわよせが整備や部品の不足で表れているのでは。ヨーロッパでは自前防衛装備設計の優秀さを誇りながら、生産が追い付かず挙句の宛にはここにきて米製装備の採用が増えているようです。その結果、地場の防衛産業は衰退するでしょう。日本にも良い教訓になりそうですね。
Brand-new German tanks, helicopters need improvement before deployment ドイツ軍新型戦車、ヘリコプターで配備前に重整備が必要な事態へ
ドイツで2017年納入ずみの大型装備品で稼働前に整備が不要だったのは39パーセントにとどまったと国防省が報告している。
連邦軍へ納入済みの戦車、戦闘機、ヘリコプター多数が稼働できない状況と国防省が発表。納品98品目で完全に作戦投入可能なのは38のみと判明した。
納品済み装備の品質は「改善が必要」と国務相ペーター・トーバーが述べた。トーバーはアンヘラ・メルケル率いる保守政党キリスト教民主党(CDU)で幹事長を務めていた人物だ。
これは野党議員の質問に答える発言だたがドイツ軍がノルウェーでのNATO演習で即応体制に国防相ウルスラ・フォン・デア・レイエンはじめ関係者から疑問が出ている中での質疑となった。
ドイツDPA通信社配信のトーバー答弁では連邦軍装備の7割が常時稼働可能状態と述べている。2017年にはわずか39パーセントしかだった。「以前と同様、業界には契約通りの性能諸元の実現を可能な限り迅速にお願いしたい」
だが心配なのがエアバスA400M軍用輸送機とプーマ歩兵戦闘車両(写真上)だ。後者はドイツのクラウス-マッファイ・ベグマン(KMW)とラインメタル・ディフェンスの共同事業体が2010年から納入中だ。
エアバスはA400Mを「最高性能かつ実績実証ずみの輸送機で21世紀の最新技術で現在さらに将来の軍のニーズにこたえる機体」と豪語していた。
装甲車両の共同事業体はプーマでは乗員が「最新鋭の防御技術で守られる」と述べていた。
DPA調べで作戦投入可能なのは昨年度納入のピューマ71両のうち27両、A400M8機中半分、ティーゲル戦闘ヘリコプター7機のうち2機、NH90輸送ヘリコプターでは7機中4機のみだ。ユーロファイターは昨年4機が納入されたが使用可能なのは1機しかない。残る機体は主コンピュータの換装中だ。
「ユーロファイターで残る3機の稼働許可は間もなく下りる」とトーバーは議会で答弁した。
これに対し野党議員はフォン・デア・レイエン国防相が「防衛産業のだらしなさを放置し、そのつけを納税者に回している」と非難。
6月にフォン・デア・レイエン国防相は議会へドイツ国防予算の増額を求め、冷戦後の予算削減で保守整備が不十分になり、交換部品入手も困難になっていると危機を訴えていた。■
我が国の自衛隊において戦闘部隊・職種は3割程度に満たないけれどもそれを維持整備・管理する為には予算だけでなくその他大勢の部隊組織・企業による支援により稼働率を維持している訳ですが、果たして基礎の組織人員規模が我が国より少ない上で、それに並ぶ装備品規模を維持管理出来るのかと疑問でした。
返信削除記事が事情なら案の定な訳ですが