China Has Built ‘Great Wall of SAMs’ In Pacific: US Adm. Davidson 中国は太平洋に「SAMの長城」を構築した、とディヴィッドソン提督が発言
From militarized atolls in the South China Sea to a growing Chinese navy looking increasingly aggressive, the head of the Indo-Pacom command lays out his needs and concerns.南シナ海の軍事化、中国海軍の行動が一層無鉄砲さを増していることを念頭にインド太平洋方面司令官が警鐘を鳴らし行動を求めている
By PAUL MCLEARYon November 17, 2018
南シナ海フィアリークロス礁に中国が構築した航空施設 (CSIS image)
南シナ海のサンゴ礁や環礁を強固な人工島拠点に変えた中国は対空、対艦ミサイルを持ち込み、「わずか三年前は砂しかなかった地点をSAMの長城に変えてしまった」と太平洋での米司令官が発言。
重要な通商航路で軍事化が進むことは米国のみならずアジア諸国の懸念事項だ。だが中国がますます米艦船に攻撃的になっているが米国や同盟国は国際水域と認識している。9月には両国艦船が衝突寸前の事態になった。いつの日か深刻な事故が発生すれば一気に戦闘にエスカレートする恐れがあると言われる。開戦となれば人工島上の基地は米艦船航空機への防衛網となり中国がめざすA2ADといわれる接近阻止領域拒否の手段となる。
中国で海軍艦艇の建造が続き、沿岸警備力が整備されつつある中で、隻数だけ見れば中国海軍は米海軍を凌ぐ存在になっている。ただし中国艦船の大部分は小型、短距離運用の沿岸用艦船だ。今回インド太平洋軍(INDOPACOM)司令官フィリップ・デイヴィッドソン海軍大将が恒例のハリファックス安全保障会議に登壇したため記者は対応案を聞いてみた。
「海軍の規模拡大が必要です」と大将は海軍上層部が現在の286隻を355隻体制に引き上げるべきと発言していることに触れた。中国海軍が拡大する中で「量的拡大は今後も課題」と記者に答えた。
フィル・デイヴィドソン大将
イージス・アショア導入を急ぐ理由とは
太平洋で中国に対応する艦船部隊の負担を軽減する方法の一つが弾道ミサイル防衛任務を現在のイージス巡洋艦・駆逐艦からイージスアショアに任せると提督は述べた。これは海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将や前任のジョナサン・グリナート大将の主張と同じだ。
また中国による地上配備ミサイルの拡充が今回トランプ政権が1987年INF条約から脱した理由となり、米国も同様のミサイル開発を可能にする狙いがある。
デイヴィッドソンは「海軍に行動の自由を復活させたい」とし弾道ミサイル防衛を陸上に移すことがその方法なのだという。そうなるとイージス巡洋艦・駆逐艦は垂直発射管にSM-3対弾道弾迎撃ミサイルのかわりに別のミサイルを搭載できる。たとえばトマホーク巡航ミサイル、LRASM対艦ミサイルで、防衛対象の都市の前後に展開するかわりに太平洋を自由に航行できる。
イージスシステムはもともと水上艦隊をソ連の大規模攻撃から防御する目的で作られた。中国の軍事力が台頭したことで再びこの脅威が復活し、海軍はイージス艦を当初の狙いにあてることとなった。「イージスシステムは海上での対艦弾道ミサイルに対応するなど高性能が期待できます。将来も水上展開する部隊の防御に必要な装備です」(デイヴィドソン提督)
日本はイージス・アショアを二地点に導入すると決めたが、「基本的に日本用のミサイル防衛装備である」とディヴィッドソンは説明。
今年はじめに日本は20億ドルで地上配備イージス・アショアレーダーミサイル追尾拠点の構築をロッキード・マーティンに求めている。海上自衛隊は同様の能力を水上艦で運用中だ。ルーマニア、ポーランドで同装備が整備されている。
ただしイージス・アショアの稼働開始は2025年以降となる。イージス・アショアは水上艦とリンクされ北朝鮮ミサイル対応策の効果が向上する。
中国は航空母艦、潜水艦初め海軍艦艇を急速に建造しており、ついに昨年に世界最大の海軍国になったがデイヴィッドソン大将はロシアの太平洋地区での動きも注視している。
「ロシア軍事活動は大部分が世界の別の地域で展開されているが太平洋でも動きを強めており、外交活動の妨害を目指している」と述べ、最新弾道ミサイル潜水艦三隻を太平洋に配備していることを取り上げた。
太平洋のロシア軍事力の規模は比較的小さく、ロシアは太平洋で米国あるいは中国に対して海洋支配を巡り挑戦する構想は今のところない。■
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