スキップしてメイン コンテンツに移動

米中が台灣巡り開戦に向かう可能性はあるのか、日本はどうするのか

Is a U.S.-China Clash Over Taiwan Inevitable? 台灣を巡る米中武力衝突は不可避なのだろうか


November 9, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Skeptics  Tags: WarMilitaryTechnologyChinaTaiwan
中の貿易戦争で決着の兆候がなく、中国の南シナ海政策が両国間で最大の懸念のまま、米中外交安全保障対話が重要性を増している。ジム・マティス国防長官、マイク・ポンペイオ国務長官は最新の対話は「信じられないほど生産的」であり「米国は冷戦や対中封じ込め政策は希求しない」とともに述べている。
報道を意識し安心させる発言と裏腹に米中関係が良好ではないのは明らかだ。最上の表現でも機能不全であり、開戦の可能性が高まるという気が休まらない状況だと言える。南シナ海の領有権問題がここ数年間背後にあり、中国は戦略拠点構築を続けたままだ。貿易問題以外では最大の懸念が台灣問題で米中両国は共通点を見いだせない事態におちいっている。
台灣を巡る見解相違は今に始まったものではない。米中国交樹立の前から台灣問題が両国関係で重しとなってきた。中国政府が本土に台灣を併合する政策で変更の可能性は皆無だ。米国政府が台湾関係法を放棄するあるいは米台防衛関係を縮小する可能性も同様に皆無だ。これまで米中両国関係者は台湾問題の対処として「合意しないことに合意する」態度に努めてきた。1982年の台灣向け武器輸出に関する米中共同声明は現在も両国間で有効であり、不完全ながらとりあえず十分な見返りが期待できる、つまり米政府が中国の台灣領有権主張を認める一方、中国は台灣への米製防衛装備売却を認めてきた。
ただしトランプ政権は冷戦終結後で最大にタカ派と言われる態度だ。大統領就任前にトランプが台灣総統に電話したが、この40年で誰もしていないことだ。中国政府は慌て、新大統領は1979年以来の米中関係の基礎原則、ひとつの中国政策にあえて手をかけるつもりなのかと警戒した。政権最初の二年間で米政府は17.5億ドル相当の軍事装備輸出を認め、魚雷、早期警戒装備、米製戦闘機の予備部品まで多岐にわたる。米議会はもちろん喜んで賛同した。2017年の台灣出張法、2018年の国防予算認可法はともに米台の国防関係を強化し、米台両国海軍艦艇の相互訪問を促し北京は半狂乱になった。
中国本土を隔てる台湾海峡でも動きがあった。4月、人民解放軍が実弾演習を行い、以前にもあった演習だが今回は全国人民代表者会議で習近平が中国は自国主権に挑戦する勢力に果断に対応していくと表明した一ヶ月後のことだけに注目された。「偉大なる母国領土は一インチといえども奪わせない」
台灣海峡上で米中海戦を予想する向きはないだろうが、両国関係では貿易、知財、サイバーセキュリティから軍事装備近代化や南シナ海まで戦略上の対立が中心となっており、安定化の兆しは見られない。米政府は引き下がる態度を示さず、米国は正しい倫理道徳に立つ国との信念を固持している。USSアンティータム、USSカーティス・ウィルバーの二隻が台湾海峡を通過し、航行の自由演習の一環として実施したが、トランプ政権になり太平洋での同演習実施は増えている。米国防関係者が台湾海峡で中国海軍との対決を想定するのは当然で南シナ海でも同様だ。北京大学のJie Dalei节大磊 は「同海峡で危機状況が発生しても想定外ではない」と書いている。

関連記事(未翻訳)

DATE IMPORTED:August 24, 2010Soldiers carry a surface-to-air missile named "Tien-Chien", or "Sky Sword" in Mandarin, onto a launcher during a military exercise at an air force base in Chiayi, southern Taiwan, August 24, 2010.

中国は台灣全面侵攻は(今の所は)実行不能 China Can't Launch a Full-Scale Military Invasion of Taiwan (Yet)

Image: Flickr

待ってろ、中国:米海兵隊は台湾へ派遣されるかGet Ready, China: Could the U.S. Marines Be Heading to Taiwan?

北朝鮮の真の脅威は戦争ではない(崩壊だ)The Real North Korea Disaster Isn't War (But Collapse)



両陣営が軍事挑発行動を露骨に示す、あるいは誤解から海上、空中で衝突事件が発生すれば世界最大の経済、軍事大国同士が国際危機を簡単に招きかねない。米中ともに瀬戸際へ追いやらずに、緊張緩和への道を殺したくところだ。
ただし中国は台灣を譲れない一線ととらえており、米国が台灣防衛をアジア政策の中核要素と考える中で過失の余地は危険なほど少ない。
Daniel R. DePetris is a world affairs columnist for Reuters, a frequent contributor to the American Conservative and the National Interest , and a foreign-policy analyst based in New York, NY.
Image: Reuters

コメント 台灣問題を避けると結局中国に有利な状況を作るだけです。これまでの日本なら台灣は専守防衛の対象外と逃げられましたが、世界の状況、日本の防衛コミットメントの状況が変わった今となっては日本としても傍観できる問題ではありません。国連安保理メンバーの中国があからさまな武力侵攻を行えば世界の非難は避けられないでしょうが、中国は自国問題として外国の干渉を退けるでしょう。台灣は日本経済にとっても重要な地域であり、通商交易上も台灣の自由が奪われる事態は看過できないと思います。これまで朝鮮にばかり目を向けてきましたが今や日本にとって本質問題とも言える中国の病んだ状況を直視すべき事態でしょう。

コメント

  1. ぼたんのちから2018年11月11日 12:15

    台湾が中国に対し軍事的劣勢であることは明らかであり、人民解放軍(PLA)が強襲揚陸能力を強化し続ければ、米国の動向にもよるが、いずれ中国に占領されることも有り得る。米国が退嬰的政策を採れば、最前線の台湾を放棄し、日本-グアム-フィリピンの線まで後退する場合もあるだろう。
    日本にとって台湾は、米国よりも戦略的に重要な位置にある国家と考える。米国は、台湾から後退できるが、日本は、台湾からのPLA海空軍の進出により南方の海路を容易に塞がれ、続いて東方の海路を妨害、遮断される。これは中国の「第二列島線」の戦略であり、日本にとって死活問題である。日本は、台湾に対する立ち位置を鮮明にする必要に迫られる。
    台湾が中国に占領されると、台湾にごく近い尖閣諸島は簡単にPLAに奪い取られる。その次は南西諸島かも知れない。この状況は日中戦争になりかねない。
    米国は、台湾が軍事的に統合される場合、介入するとしているが、日本は、台湾人民が現在の状態の維持を求める限り、中国の謀略により「民主的」に台湾が統合される場合でも反対しなければならない。先の見えない米国の台湾支持よりも、日本の台湾への強い支持が中国の台湾への侵攻の抑止となるだろう。

    返信削除
  2. 台湾が現状を維持したまま
    かつてボルトン大統領補佐官が言った(政権入り前:2017)ような
    台湾への米軍駐屯は可能なのかな
    今アメリカ海軍が注目する南シナ海にとって台湾は絶好の位置だし
    ずっと台湾独立と国連加盟を推してるボルトンは安保補佐官になっちゃうし
    中国とは貿易戦争だし
    ( ゚Д゚)・・・・・・時は満ちた!?

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...