核兵器を搭載したロシアの道路移動型ICBM
最近のマスコミは、ウクライナ戦争で一つの問題に熱中している。プーチン大統領は核兵器の使用にふみきるか?ロシアの指導者の発言がハッタリかは、すぐに分かるだろう。
明日、クレムリンは、ロシア連邦加盟を問うた偽の投票を行ったウクライナ一部を併合する。プーチンは過去に、ロシアの一部、あるいはモスクワがロシアの一部とみなす部分が攻撃を受ければ、モスクワが対応することになると述べている。これは戦術核兵器の使用まで意味する。
19FortyFiveでは、数日前からこの問題について議論し、分析し、一流の専門家の分析と専門知識を求めてきた。今回は、専門家4名に、この問題についての見解と、プーチンの今後の対応を聞いた。
具体的な質問は以下の通り。プーチンがウクライナで核兵器を使えばどうなるか?以下まとめてみた。
マーク・カンシアンCSIS上級顧問 Mark F. Cancian, Senior Adviser, CSIS:
ロシアの核兵器使用がウクライナに限定されれば、NATOが核兵器使用を選択することはないだろう。欧州諸国は自国領土への拡大を恐れるだろうし、バイデン大統領も「第三次世界大戦を起こしたくない」と繰り返し表明している。同様に、NATOがウクライナやカリーニングラードのようなロシアの脆弱な領土に通常兵力を使用することも、エスカレーションへの懸念から疑わしい。
代わりに、NATOは別の手段で対応することになろう。外交的には、NATOはロシアをさらに孤立させ、おそらくインドと中国にロシアから燃料を買うのをやめさせるだろう。軍事的には、NATOは、ウクライナがまだ抵抗していると仮定し、ウクライナへの装備供給を増やすだろう。NATOは、装備の戦時使用に関し制限をすべて撤廃し、ロシア本土を攻撃できるATACMSなど装備品も供給することになる。NATO、特に米国は、同盟国を安心させ防衛するために、東ヨーロッパに追加部隊と防空能力を移動させるだろう。
Jアンドレス・ギャノン、米外交問題評議会スタントン核安全保障フェローJ Andrés Gannon, Stanton Nuclear Security Fellow at the Council on Foreign Relations
NATOがロシアの攻勢を抑制し、ウクライナが2014年以降に失った領土の支配権を取り戻すのを支援するため強力な通常軍事対応に踏み切ることを期待してる。NATOが核兵器を使用する可能性は低い。なぜなら、同規模の戦術核兵器は西側の軍備の強みではないし、戦略的な有用性もあまりないからだ。
通常兵器による報復は、ロシアに大きな犠牲を強いるほど紛争をエスカレートさせ、ロシアや他の国による将来の核使用を抑止しようとする一方で、ロシアが失うものは何もないと感じるほどエスカレートさせないようにできる。
NATOがロシア領土を攻撃するかどうか(その可能性は低い)、何をもってロシア領土とみなすか(クリミアはあいまいなままだ)という未解決問題が残っている。
ミシガン大学ジェラルド・R・フォード公共政策大学院国際政策・実務教授 メルヴィン・レヴィツキー元大使Ambassador (ret) Melvyn Levitsky, Professor of International Policy and Practice, Gerald R. Ford School of Public Policy, University of Michigan:。
ロシアが核兵器を使用する可能性は極めて低い。冷戦時代のドクトリン「相互確証破壊」は、冷戦時代ほど明文化されてはいないが、核保有国が核兵器を使用するリスクを負わないようにするため、今日も健在だ。ロシアが小型戦術核兵器でさえ使用しても、意味をなさない。放射性物質がドンバスの自国軍に影響を与え、ロシア国内にも拡散する可能性がある。
プーチンが自己保身や体制維持のため核兵器を使おうとする「籠の虎」症候群の危険性もあるが、その場合は彼のグループの他の人々が介入してくると思う。
とはいえ、バイデン政権がロシア側に明らかにしたとされるように、西側諸国政府が核使用に対しいかなる手段で強力に対応するとの断固たる姿勢を維持することが重要だ。
ノリッチ大学外交・IR大学院プログラム教授ラシャ・チャントゥリゼ博士Lasha Tchantouridzé, Ph.D. Professor, the Graduate Programs in Diplomacy and IR Norwich University:
ロシアは現在、核兵器使用に踏み切る可能性が非常に高いが、ウクライナで使用することはないだろう。その代わり、モスクワはヨーロッパでより都合のよいターゲットを見つけるかもしれない。
ロシア大統領には少なくとも3つのオプションがある。1つは、高高度で爆発させる方法だ。この方法では、ウクライナ含むヨーロッパのインフラの多くを機能不全に陥れることができる。2つ目は、ドイツの大森林やスウェーデンの辺境など、人口が少ない地域に巡航ミサイルを打ち込むこと。3つ目は、重要でないNATOの都市に秘密裏に核兵器を配備し、何千人もの死傷者を出し、アメリカを非難することである。NATOは、どの場合でも大したことはできない。
しかし、米国は、犠牲者何百万人を出す報復を行うか、モスクワの説明を受け入れるかの選択を迫られることになる。2008年以来、ワシントンはロシアの言い分をほぼ受け入れてきており、アメリカ大統領は、ほとんどのアメリカ人が発音できないヨーロッパ都市への攻撃に報復の代償にアメリカの都市の交換はできないだろう。■
What Happens If Putin Uses Nuclear Weapons? What the Experts Told Us - 19FortyFive
Expert Biography: Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as President and CEO of Rogue States Project, a bipartisan national security think tank. He has held senior positions at the Center for the National Interest, the Heritage Foundation, the Potomac Foundation, and Pacific Forum. Kazianis has also worked as a defense journalist, serving as Editor-In-Chief of the Diplomat and Executive Editor of The National Interest. His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum. He holds a graduate degree focusing on International Relations from Harvard University and is the author of the book The Tao of A2/AD, a study of Chinese military modernization.
In this article:featured, Nuclear War, Nuclear Weapons, Putin, Russia, War in Ukraine
戦犯容疑者であるプーチンは、正気な判断を既に出来なくなっていると推定するものの、核兵器の使用は、西側に対する恫喝にすぎない。もし、核兵器を使用すれば、ロシアは、プーチン一派を絶滅されるばかりか、国家としてのロシアの崩壊に繋がることになるだろう。
返信削除しかし、今世紀は、少なくても地域的核戦争の時代に突入したように思える。北朝鮮ばかりか、イランも核武装を目指し、これらの国の周辺国も対抗上核武装をすることになり、核戦争の勃発のリスクは、かなり高まることになる。
また、ロシアのような核保有国が、その倫理を捨て、非核国家を脅すとなれば、脅された国家も核武装を目指すだろう。もちろん、CCP中国も、核兵器の先制使用自制について再考するだろう。
これらの状況は、今世紀中に核戦争が起きると予測すべき状況が進行すると言うことである。
日本も核武装すべきとの主張が強まることになるだろう。しかし、日本は安易に核武装すべきでない。日本の地政学的優位さである他国と海によって隔てられていることが、近隣での核戦争時や、核使用の脅威に対しても有利に働くだろう。
ウクライナ戦争は、ロシアの予備役動員で新たな段階となるものの、現在までの損害が大き過ぎ、ロシアは、現状の戦線維持もやっとの状態となる。全面敗北の可能性もある。そうなれば、プーチンは血迷う可能性も無いわけでない。
プーチンが今後も現在の地位を固執するなら、ロシアは、誰かが排除しなければならないことになるだろう。