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米装甲車両がウクライナへ? エイブラムズかストライカーか、それともスワップで東欧の戦車が供与されるのか。いずれにせよウクライナ軍の戦力整備に資する結果が生まれそう

 



An M1 Abrams tank. US Army

 

米国製M1エイブラムス戦車がウクライナへ送られるのではと話題になっているが、他にも選択肢がある

 

 

国国防省高官は本日、米国政府が将来的にウクライナ軍に戦車を譲渡する可能性は確実に存在すると述べた。

 ウクライナ向け戦車に関する米国防総省高官の発言は、本日未明、ウクライナ戦況に関する国防総省の定例記者会見で出たものだ。ウクライナ軍は、4週間ほど前に始まった大規模反攻作戦を続けており、すでに以前占領されていた地域を相当量解放するに至っている。武器、弾薬、その他の資材、米国が供給する227mm誘導多連装ロケットシステム(GMRLS)発射用の高機動砲ロケットシステム(HIMARS)と空から発射するAGM-88高速対射ミサイル(HARM)が満載の海外軍事援助パッケージが成功の鍵で、今の勢いを維持するには、今後も納入が不可欠となる可能性がある。

 VOAのカーラ・バブによると、「戦車は絶対に候補に挙がっている」と米国防省高官は語った。フォーリン・ポリシーのジャック・デッチによれば、米国防省高官は、アメリカ当局が戦車提供に同意する前に、ウクライナ軍がより近代的な西側戦車を維持する能力を示す必要があると述べたという。

 ウクライナ軍には西側戦車部隊を維持する能力があることを証明する必要があるが、これで破談になる可能性は低いと思われる。米国は過去にも、HIMARSの初回納入に先立ち、同様のことを述べていた。ウクライナ軍は、HIMARSや、前述のAGM-88や地上発射型対艦ミサイル「ハープーン」など、より複雑な西側兵器システムを維持・運用する部隊を迅速に習得する能力を示してきた。

 とはいえ、米国政府がどの戦車を譲渡する用意があるのかは不明である。国防省高官の発言でM1エイブラムス戦車がウクライナの戦場に投入される可能性で憶測を呼んでいる。

 確かにM1には輸出可能な構成がいくつかあるが、それでもウクライナ軍が現在運用しているソ連時代の設計や派生型のすべてではないにしても、そのほとんどより新しく、格段に高性能戦車を入手することになる。米軍に残る旧型エイブラムスをダウングレードし、火器管制装置、通信、その他機密システムを取り外す「ドローダウン」をすれば、より迅速にウクライナに送れる可能性がある。

 

 

イラク軍のM1A1Mエイブラムス戦車。エイブラムスの輸出用ダウングレード仕様の1つで、米国で使用中の同型戦車の機能を省いている。US Army

 

 この場合の「ドローダウン」とは、一定条件を満たした場合、アメリカ大統領が米軍在庫から各種資材をそのまま同盟国やパートナーに譲渡することができる権限のことだ。米国政府は、ウクライナ軍に、すでに数十億ドルの軍事支援を実施しており、また、ウクライナ軍に代わり直接購入する支援も行っている。

 戦車に関しては、米国海兵隊がM1、M88装甲回収車、M60戦車型装甲車発射橋(AVLB)の全車両処分を決定したことが記憶に新しい。この過程で、各車両は陸軍に移管されたが、陸軍が車両をどう扱うかは不明であった。陸軍はすでに数千台の旧型M1が保管している。

 

2020年の売却後、鉄道車両に積み込まれる元海兵隊のM1エイブラムス。 USMC

 

 同時に、M1はウクライナ軍にとって、燃料を大量に消費し、複雑な機構のガスタービンエンジンを動力としていることから、メンテナンスとロジスティックスで課題が生まれる可能性がある。西側諸国やソ連時代の戦車の大半は、ディーゼルエンジンを使用している。ウクライナが生産したソ連のT-64やT-80シリーズもガスタービンを搭載していた。しかし、ウクライナ生産のT-84オプロットを含むT-80の後期型や派生型は、タービンを廃止し、よりシンプルでメンテナンスが容易なディーゼルエンジンを採用している。

 

カリフォーニア州シエラ陸軍基地のM1エイブラムス戦車など装甲車両の列をとらえた衛星画像。Google Earth

 

 105mm砲を搭載しているが戦車ではない、車輪付きの8x8 M1128 ストライカー機動砲装備Stryker Mobile Gun System(MGS)の譲渡も、米軍がウクライナ装甲車隊の強化策のひとつになる。米陸軍は昨年、保有するM1128を全数売却すると発表しており、ウクライナ軍への提供は容易にできる。

 エイブラムスより性能は劣るが、運用と維持が簡単で安価な同車両は、ウクライナに適している。また、陸軍がM1128を退役させたことにより、現在米軍に105mm砲搭載車両は存在しないため、弾薬の移管は問題ではない。陸軍の将来型MPF(Mobile Protected Firepower)軽戦車は105mm主砲を搭載する予定であることは注目に値する。

 M1128をウクライナに送ることは、NATO標準の105mm砲を搭載した旧式戦車のウクライナへの移送を促進するなど、米国政府によるもっと大きな後押しの一環となる。例えば、米国製M60A3パットン戦車は、最新のセンサーやその他の機能で大幅にアップグレードされているか、または可能な状態で、NATO諸国多数が保管しており、米国当局がウクライナ軍への引き渡しを支援する可能性がある。

 ドイツが旧式レオパルド1戦車をウクライナに送る、あるいは第三国からのレオパルド1納入を認める可能性が、ここ数カ月話題になっている。しかし、今のところ、ドイツ当局はウクライナへのレオパルド1や他のドイツ製装甲車の譲渡を止めている。

 今日の記者会見で、米国防省高官は、米当局が「主に欧州の国々が、保有中の旧ロシア製戦車の一部をウクライナへ提供しウクライナの戦車を補完するよう相当の努力を払っている」と強調していた。

 このようなことを考えると、NATO加盟国スロベニアが、ドイツから型式不詳の40台受け取る3者間取引の一部の引き換えに、M-55S戦車28両をウクライナに譲渡する計画を発表したことが非常に興味深い。M-55Sは、M-55S1とも呼ばれ、ソ連のT-55を高度に改良したもので、1990年代にスロベニアのSTO RAVNEがイスラエルの防衛関連企業Elbitと共同開発した改良パッケージを搭載する。M-55は、オリジナルの100mm D-10Tに代わりNATO標準の105mm砲を搭載し、火器管制システムや光学系などが近代化され、ERA搭載も可能になった。この取引が進めば、ウクライナへNATO標準の105mm戦車弾薬の供給を開始しなければならなくなる....

 

スロベニアのM-55S戦車。 AndrejS.K via Wikimedia

 

 ウクライナ紛争で、戦車は現代の戦場には適さないといと証明されたのではとの議論が盛んに行われているが、一般に重装甲車両が両陣営で非常に活発に採用され続けていることに変わりない。相手国も消耗品として旧型の装甲車両を使用している中で、旧型装備も有用であることが証明されている。

 そのため、ウクライナ政府の軍事援助において、戦車をはじめとする装甲車両は以前から、そしてこれからも重要な位置を占める。これまでの戦闘で喪失した車両を補充し、ウクライナ地上戦能力を向上させることは、反攻が続く中で、より一層重要な課題となっているのだろう。

 とはいえ、アメリカの戦車がウクライナの手にいつ渡るのか、またどの車両が譲渡されるかは、まだわからない。とはいえ西側の旧式戦車であっても、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するため必要な戦力となる可能性はある。■

 

American Tanks For Ukraine Are 'Absolutely On The Table' | The Drive

 

BYJOSEPH TREVITHICKSEP 19, 2022 10:40 PM

THE WAR ZONE




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