スキップしてメイン コンテンツに移動

イラン核合意再開に備え、準備を怠らないイスラエルの動き。

 


2021年5月14日、イスラエルのスデロットで、ガザ地区国境付近で砲兵部隊を準備するイスラエル軍部隊。 (Amir Levy/Getty Images)


イスラエル当局は発言こそ慎重だが、JCPOAが再び実現した場合に備え、対イラン軍事オプションを多数準備している



イラン、欧州、米国間で核合意再開に向けた合意が近づいてきた兆候が見られる中、イスラエルは予想通り動揺し、対応策としてテヘランに対する軍事行動も視野に入れていると示唆している。


イスラエル指導部は、バイデン政権が共同包括行動計画(JCPOA)を復活させようとしているのを公に批判しないよう注意してきたが、エルサレムが合意復活に反対していることは、この1年間で多くの兆候があった。


イスラエルは、ブリュッセル、ワシントン、テヘランの間で結ばれたいかなる協定にも拘束されるとは思っていないとも明らかにしている。その裏で、イランはJCPOA復帰で得る利益を受け取る資格を失うべきだとエルサレムが考えている、イランの不誠実な行動を示す情報を繰り返しワシントンに伝えてきた。


JCPOA枠組み案の詳細は先週、イラン反対派がロンドンで運営するウェブサイト「イラン・インターナショナル」がリークした。イラン・インターナショナルによれば、流出した報告書には、イランの核交渉責任者アリ・バゲリ・カーニAli Bagheri-Kaniが、イランが米国から受け取ったと主張する「譲歩」に関する発言疑惑が含まれている。しかし、その内容は、イランがJCPOAを遵守するために何をすることに合意したかには触れていない。


この話し合いを止める最後の努力に写るものとして、イスラエルの国家安全保障顧問エヤル・フラタ Eyal Hulataが今週ワシントンに滞在し、米国防当局者と会談し、イスラエルが「イランの核詐欺」と呼ぶものの詳細を共有しようと試みている。(フラタとアントニー・ブリンケン国務長官の会談は、スケジュール調整で直前にキャンセルされたと伝えられている)。


説明は、バイデン政権によるJCPOA 2.0推進について、国防と情報機関がどう感じているかを要約している。特に、ホワイトハウスは、イラン協定を破棄したトランプの決定を覆すことに固執しているので、イスラエルからの情報は無視したという感覚である。


「我々は、テヘランが継続的に嘘をついており、新協定の枠組みの中で行うと約束するすべてを履行するつもりはないことを、確実な情報証拠により何度も証明した」とイスラエルの上級防衛関係者はBreaking Defenseに語った。

JCPOA支持者は、協定がトランプ政権に破棄されるまでは、イランの「ブレイクアウトタイム」(イランが核兵器製造に必要な核分裂性物質を作り出す時間)を遅らせるため機能していたと主張し、イランを協定に戻すことは、すべての人にとって最善の利益となると主張している。しかしイスラエルでは、イランがJCPOAによる制裁緩和を受けながら、各開発をやめると約束したにもかかわらず、秘密裏に続けるという考えが根強い。


イスラエル軍モサドの元責任者ダニ・ヤトムDani Yatomは、Breaking Defenseに対し、JCPOA再発が運命づけられていると感じている今こそ、イランに抜け穴をつくらせないため米国と控えめな協議を行うべき時であると語った。「新核協定が結ばれれば、あらゆる機会を利用して、イランは旧協定同様に協定を破るだろう」とヤトムは述べた。


同様に、イスラエル国防軍の前情報局長アモス・ヤドリンAmos Yadlinは、Breaking Defense誌対し、イスラエルは新協定の締結前に、文言に影響を与えるべく最後の大きな働きかけをしなければならない、と語った。


主に、「イスラエルは、イランが核爆弾を持たないという、3代の前大統領による公約を果たすよう、ワシントンに要求しなければならない」と彼は言った。ジョー・バイデン大統領は以前、イランに核兵器を持たせないためなら武力行使も辞さないと発言している。


今後起こりうる行動

問題は、新たなJCPOAがイスラエルの作戦にどのような影響を及ぼすかである。結局のところ、エルサレムはすでに、イランに対するスパイ妨害活動、シリアにおけるイランの兵器輸送隊への公然の攻撃にも関与している。


イスラエルは、イランの核開発計画のどの段階においても、どのように行動すべきかを計画している。もちろん公式には誰も計画を詳述していないが、イスラエルが行ったとされる過去の行動から、JCPOAが再開すれば、現在進行中のいわゆる「影の戦争」はさらに高い次元に進むだろう。


イラン核施設に対する直接攻撃は、おそらく最後の手段のままだろうが、イスラエルが近年行ったとされる「ピンポイント」行動が強化されるというのが、専門家と情報筋の一致した意見だ。これには、核・弾道ミサイル技術者に対する攻撃の強化や、プログラムに関連するすべての拠点へのサイバー戦強化が含まれる可能性がある。


注目すべきは、ここ数カ月、イスラエル軍が合同演習を行い、情報筋によれば、イランが核兵器を獲得した場合に起こりうる戦闘シナリオを練り上げていることである。この演習には、イスラエル領内からの長距離攻撃を計画するため2011年に設置されたイスラエル国防軍の「深度司令部」と一般に呼ばれるあらゆる種類の部隊が参加している。イスラエルは、イランの主要核施設が地下にあることを認識しており、情報筋によると、この事実は戦闘シナリオの演習で考慮されたという。


イスラエル国防軍報道官は、今回の演習でイスラエルは「異なる」タイプの戦争に備えることになる、と述べるにとどめた。


もう一つの選択肢は、この地域のイラン代理人に対する攻撃になるかもしれない。先週、イスラエル参謀総長アビブ・コチャビ中将Lt. Gen. Aviv Kochaviは、ガザでのイスラム聖戦との最近の「ブレイキング・ドーン」衝突で、イスラエルが「第三国 」と呼ぶ場所で攻撃を実行したと明らかにした。同国の情報筋は、8月7日にイエメンの首都サヌアのキャンプで起きた爆発で、少なくとも6人のイランとレバノンの工作員が死亡したとするメディアの報道を指摘した。


アラビア半島の南端に位置するイエメンは、イランが支援するフーシ派民兵がサウジアラビアと紅海の標的を攻撃するための安全な避難場所となっている。


潜在的な行動が複雑になっている。11月1日にイスラエルの次期首相を選ぶ選挙が予定され、この選挙はわずか3年で5回目であるため、JCPOAが復活する可能性はイスラエル政治で難しい時期に来ることになる。


ラピッドYair Lapid現首相とベニー・ギンツBenny Gintz国防相は、次期首相候補で、マイクを向けばいつでも喜んでオフレコで話をするが、発言には慎重である。■


With a new Iran deal seemingly near, Israel frets — and plans - Breaking Defense

By   ARIE EGOZI

on August 23, 2022 at 12:06 PM


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ