2018年2月14日、ユタ州ヒル空軍基地から第4戦闘飛行隊に所属する米空軍F-35AライトニングII 2機が、ユタ州試験訓練場で飛行訓練運用を実施。 (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee)
ダラス・モーニング・ニュース|ジョセフ・モートン 記
フォートワース - F-35統合攻撃戦闘機がロッキード・マーティンのフォートワースの生産ラインに沿いステーションからステーションへ移動すると、スクリーンには該当機の全体配列番号、行き先の軍事基地、発注国などの情報が表示される。
英国、ノルウェー、イスラエルなど、第5世代ステルス戦闘機を発注した国の国旗が映し出され、雰囲気はまるで国連だ。
ロッキード・マーティンのF-35事業開発担当副社長、J・R・マクドナルドJ.R. McDonaldは「世界中から大きな関心が寄せられている」「ウクライナの状況で誰もが自国の保護と安全保障について再考している」と述べている。
アップグレードの問題、コスト超過、予算の制約に直面しているため、国防総省は少なくとも一時的に年間予算でF-35調達数を減らす方向に動いているが、上層部は将来のアメリカの戦闘機隊の基礎としてF-35にコミットしていると強調している。
米軍がブレーキを踏むのと対照的に、同機に対する国際需要は高まってきている。
海外販売によって、工場に大規模な雇用ブームが起こることはないだろう。
そのため、フォートワース工場では、現在、約18,000人の従業員を安定的に維持する戦略をとっている。
それでも、国際的なビジネスがこの工場の雇用を支えており、地域のトップ雇用主であると同時に重要な経済推進者でもある。
プログラムへの挑戦
F-35は米国で最も高価な兵器システムで、今年初めの政府説明責任局GAOによる調査では、製造、運用、維持のコストを含めた総コストは1兆7,000億ドル以上と見積もられている。
GAOによれば、F-35の運用責任者は、空中で活躍するF-35を印象的で有能なマシンだと賞賛しているが、監視機関や他の機関は、コスト削減と航空機の信頼性向上が十分に進んでいない。
GAOによると、「ブロック4」と呼ばれる重要な近代化改修がコスト上昇とスケジュールの遅れに直面しており、これが国防総省が同機発注数を削減する決定の一因となった。
空軍はF-35の射出脱出シートに作動不良の疑いがあると判明したため、F-35の飛行運用を停止した。しかし、検査結果で先週に飛行再開が許可された。近年、射出座席で問題が発生した軍用機はF-35以外にもある。
連邦議会では、F-35プログラムを追及しようとナイフを研ぐ議員もいるが、テキサス州の両党議員は、秋の中間選挙で共和党が過半数を奪還すれば下院歳出委員長という強力な地位に就く予定のケイ・グレンジャー議員Rep. Kay Granger(共、フォートワース選出)を始め、同機プログラムを擁護する姿勢を示している。
フォートワース選出民主党のマーク・ヴィージー下院議員Rep. Marc Veaseyも、F-35を支持し、F-35をめぐる議論が続いても、将来にわたって重要な軍事資産になるとインタビューで語っている。
「F-35の将来と工場の雇用は、長期にわたって確保されるが、代表団は協力して、予算が継続して流れるようにしなければならない」とヴィージー議員は語りながら、海外販売の重要性も強調し、特にドイツがF-35戦闘機への態度を変えたことを引き合いに出した。ドイツは、何年もの間、別の選択肢を好んでいたにもかかわらず、今年初めF-35を35機発注した。
米軍は現在もF-35プログラムの中核で、合計約2,500機を購入する見込みである。現在までに納入された837機のうち、3分の2が米国向けである。
マクドナルドは、国防総省が購入のペースを落とそうとするのは、性能問題とは無関係だと説明した。
「彼らは大規模なプログラムの文脈で予算を決定しているのだろう」と彼は言った。「戦闘現場は、できるだけ早く、できるだけ多くのF-35が欲しいと言っている」。
また空軍は、機材の平均年齢を維持するためだけに、年間72機を購入する必要があると述べている
海外導入への期待
F-35プログラムをめぐる監視団の批判や議会での論争にもかかわらず、F-35戦闘機を購入するため列に加わる国が増えている。
F-35プログラムに当初から資金援助していたパートナー国は、アメリカ、イギリス、イタリア、オランダ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、カナダの8カ国だ。
このうち、最後に出資を決めたのはカナダで、導入の最終決定に入っている。
ロシア侵攻を受けて、パートナー国以外の国もF-35に乗り出しつつある。ドイツが最も顕著だが、チェコ共和国も最近採用の意向を表明し、ギリシャもその方向で動いている。
F-35は、米国と同盟国が使用できる唯一の本格的な第5世代マルチロール戦闘機であることから、他国への売り込みが始まっている。ステルス性能により、防空網を突破し圧倒するユニークな能力を備えている。また、高度なセンサーで優れた状況認識能力を実現し、戦闘中の同盟軍にデータを提供する情報センターとしても機能する。
戦闘機というと、ゴーグルとスカーフ、1対1のドッグファイト、映画「トップガン」のような熱い戦いをイメージしがちである。しかし、そのようなアクロバティックな空中戦は過去のもので、現代の戦闘機による戦闘は、むしろ空におけるサイバー戦争に近いものとなっている。F-35は、最先端のセンサーと通信技術により、敵の動きを察知し、情報を伝達し、爆破するという重要な任務を遂行するように設計されている。
もう一つのセールスポイントは、相互運用性だ。
iPhoneを買うのは、知り合いがみんな持っているからだ。メールも簡単だし、充電器も借りられる。
スイスは、F-35を購入する予定だ。NATO非加盟のスイスだが、有事の際にNATO軍と連携できる飛行機を手に入れる。
「同じように訓練し、同じように戦い、他のすべての国々とすぐ結束できます」(マクドナルド)。
他の国々は、自国ニーズに合わせて特定の変更を要求することもできる。例えば、ノルウェーは、凍った滑走路に着陸する際、航空機をよりよく静止させるためドラッグシュートの搭載を要求している。
価格競争力
F-35は、空中で高い能力を発揮する一方で、気難しく、メンテナンスに手間取り、高い運用コストがかかる航空機だとの報告が出ている。
マクドナルドはコスト面の進歩について、フィンランドやスイスが実施した競技会を含む、F-35が勝利した競技会でその証拠が見られると述べた。
「F-35は、メンテナンスにお金がかかるという悪評がありました」「F-35は、第5世代機でステルス機だから高いのだと思い込んでいたのです」。
米軍が購入ペースを落とした理由の一つは、ブロック4アップグレードを待つことがあり、機体を改造しなければならないため、コスト上昇が予想されるからだ。
マクドナルドは、保留中の技術的なアップグレードで、航空機が将来にわたって適切であることを購入者に安心させるはずだと語った。
西側諸国の戦闘機をウクライナに送る議論が続いているが、F-35が同国に向かう可能性は基本的にない。ウクライナにF-35を送ることは、ロシアからすれば宣戦布告に等しい。また、墜落したF-35がロシアの手に渡り、その技術を見抜かれてしまう危険性が高すぎる。
しかし、ウクライナは、多くの国がF-35をどう見るかの転換点になっている。
ロシアの戦闘機はウクライナの空を支配するのに苦労しており、F-35の先進的な性能の利点が浮き彫りになっている。
また、紛争が国境を越える脅威になったことで、特にヨーロッパ諸国は軍事費を増やし、空における最新・最高の技術を確保する動きに前向きになっている。
「安全保障は重要であり、防衛への投資は重要で、自国の主権を保証する能力は重要であると、各国が腰を上げたのです」とマクドナルドは言った。■
War In Ukraine Has Countries Lining Up to Buy F-35 Fighter Jets
24 Aug 2022
The Dallas Morning News | By Joseph Morton
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