2350万人の台湾人を代表する権利を有するのは民主的な選挙で選ばれた台湾政府だけであり、国際舞台で発言権を与えるべき時が来た
中華人民共和国は先月、台湾に対する侵略を新たな高みへと引き上げ、インド太平洋地域に深刻な影響を及ぼした。ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問は、中国による前例のない大規模な合同軍事訓練に遭遇することになった。台湾海峡の現状を一方的に覆そうとする露骨な試みで、中国は地域経済に重要な空路と海路を寸断し、台湾領空と近海にミサイルを発射した。このような侵略行為は、民主主義と権威主義間の闘争として理解するべきであり、国連はこの闘争を無視することはできない。
中国の軍事演習は、国際紛争は平和的手段で解決されるべきとする国連憲章に明確に違反する。しかし、それ以上に有害なのは、国連内での台湾への長年にわたる法廷闘争だ。中国はプロパガンダを国際社会へ強要するため、国連と専門機関に台湾の参加を事実上禁止し、裏で不当な影響力を行使してきた。今月ニューヨークで開催された国連総会では、台湾専門家、ジャーナリスト、学生は出席を拒否された。また、台湾の身分証明書を持つ旅行者は世界各地の国連施設への立ち入りを不当に妨げられている。
台湾にとって不公平なことではあるが、排除がもたらす結果はさらに大きい。台湾は国際社会における責任あるステークホルダーであり、サプライチェーンの安全保障、気候変動、Covid-19パンデミック対策など、世界的な関心事で信頼できるパートナーとしての確固たる実績がある。実際、台湾は世界②貢献できると自負しており、貢献の対象はたくさんある。必要なのは機会だけだ。しかし、残念ながら、世界保健機関(WHO)の「Covid-19」対策から国際民間航空機関(ICAO)の航空安全対策に至るまで、台湾は世界から排除されており、台湾の専門知識を活用する機会も失われている。
このような事態を招いたのは、中国が国連総会決議2758号といわゆる「一つの中国」原則を意図的に混同し、台湾が中国の一部であると偽っているためだ。2758号決議は台湾について触れていない。1971年のこの文書は、国連加盟国「中国」は誰が代表するかという問題を決めただけで、台湾に対する中国の主権主張を支持することも、台湾を国連で代表とするかとも決めていないのである。台湾が中国の一部であったことはない、というのが事実だ。国連のような国際機関がこの現実を認めたのは、とうに過去のことである。
何十年もの間、国連は中国の政治的圧力に屈し、偽情報での政策決定を許してきた。しかし、歴史にはこのような宥和政策がもたらす荒廃の例が数多くあり、修正主義的な政権は、逃げ切れると思えば近隣諸国に軍事行動を起こしがちである。ロシアのウクライナ侵攻では、事前に軍事演習がエスカレートしていたことを思い起こすとよい。中国が台湾住民を代弁し発言する権利を有するなどという虚構に従うのは、台湾に対してだけでなく、危険な紛争への道を歩むことを助長するのみである。
インド太平洋地域で中国の無責任な挑発に脅かされているのは、台湾だけではない。南シナ海からヒマラヤに至るまで、中国は近年、主権を盾に近隣諸国に対して攻撃的な行動を一層強めている。中国の権威主義的な弾圧が香港で終わらなかったように、中国の拡張主義が台湾で終わることはない。最悪の事態を防ぐために、今、行動を起こさなければならない。
世界各地で民主主義に対する権威主義的な攻撃が増加している事態に直面し、国連は創設の原則に立ち返り、台湾の有意義な参加を歓迎すべきである。台湾は国際社会に貢献する用意があり、台湾海峡およびインド太平洋地域全体の平和と安定の維持に全力を尽くす覚悟がある。民主的に選出された台湾政府のみに2,350万人の台湾人を代表する権利があり、国際舞台で台湾人の声を届けるべき時が来ている。■
Time to End Taiwan’s Isolation from the United Nations
September 23, 2022 Topic: Taiwan Region: Asia Tags: TaiwanChinaUnited NationsSovereigntyOne China Policy
Bi-khim Hsiao is the Taiwan government’s representative to the United States.蕭美琴は米国における台湾政府代表。
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