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プーチンの次の手は? Foreign Affairs投稿論文が窮地に立つロシアの動きを予想

 

 

クライナ戦で初めて、ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ占領地を失う深刻な事態に直面している。初期段階でのキーウとチェルニゴフ方面からの後退は、南部と東部でのロシア軍優勢と釣り合うものであった。対照的に、9月10日にハリコフ地方でロシア兵がほぼ全滅し、東部と南部の約2,000平方マイルの領土をウクライナ軍が迅速に奪還したのは、ウクライナの優勢を明らかに示し、ロシア軍は今後もこうした攻勢に屈する可能性があることを示した。ウクライナのハリコフ攻勢は、ロシア軍の無敵伝説を打ち砕いた。また、西側諸国の期待で新たな段階を告げている。欧米の指導者や戦略家は、突然、この戦争でウクライナが優位に立てる想定が可能になった。視点の変化が、ウクライナへの軍事的支援で新たなダイナミズムを生み出すのは間違いなさそうだ。ウクライナは戦い続けるより和平を訴えるべきだという主張に反論がある。

 

 

しかし、視点が最も劇的に変化したのはロシアの方で、ウクライナと欧米の双方に新たな大きなリスクを内包している。2022年2月のキーウ奪取電撃戦の失敗以来、プーチンは2つのボールを持ち続けている。一つは、ウクライナの軍事力が弱く、戦争の長期化はロシアに有利と推察し、平時体制のロシア軍で長期的に戦争を持続させること。もうひとつは、ロシア社会が戦争と無縁でいられるようにすることである。一般ロシア国民が戦争の犠牲にならない限り、プーチンは国内の高い支持率を維持できると考えているからである。しかし、ハリコフ周辺でのウクライナ軍の戦果が、計算を狂わせている。

 

今やプーチンは厳しい選択を迫られている。ロシアの軍事的コミットメントを限定し、現在の兵力を維持したままロシア社会の隔離を続けるか、それとも大量動員を指示するかである。いずれにせよ、プーチンの正統性を脅かす重大な選択肢となる。前者を選択した場合、プーチンはロシア戦勝の期待を捨て、完全な敗北にいたるリスクを冒すことになる。プーチンが解放した国家主義的な親戦力は、戦争遂行に不満を募らせている。迅速な作戦で土地と栄光を約束されていた。それどころか、わずかな領土の前進に膨大な死者を出し、今やますます不安定に見えている。このままでは、プーチン政権に新たな亀裂が生じかねない。

 

一方、総動員は、国内での慎重な戦争管理を根底から覆すことになる。ウクライナの3倍もの人口を抱えるロシアにとって、兵力の大幅増強は理にかなった選択だが、戦争の人気は遠のくばかりだ。「特別軍事作戦」というロシア語用語も難読化されてきた。クレムリンの「非ナチ化」のレトリックにもかかわらず、ロシア国民にとってウクライナ戦争は、ロシアが第二次世界大戦で耐えた闘争とまったく異なる。動員を発表することで、クレムリンは、ほとんどのロシア人が戦う準備ができていない戦争に国内で反対を招く危険を冒すことになる。

 

プーチンは別の選択肢を選ぶかもしれない。総力戦と現状維持の中間で、戦争を変えようとするかもしれない。プーチンは行動派を自認するが、いざとなると優柔不断になりがちで、事態を解決せずに踏み込むことを好む。2014年のクリミア併合後に、ロシアはウクライナ東部に進出し外交協定を結び、その後何年も前進も後退もせず逡巡している。シリアでは2015年にロシアが動き、バッシャール・アル・アサドを軍事的に支援し、情勢はアサドに有利になったものの、シリアは依然として宙に浮いており、戦争の政治的解決はまったく見えてこない。

 

プーチンは、ハリコフ周辺で軍部を挫折させただけでなく、ウクライナでの贅沢な政治的目的と、貧弱で非効率的な作戦を一致させることによって、自らの政権にダメージを与えている。ウクライナでは、プーチンが現在直面している選択肢のいずれもが重大な結果をもたらす。プーチンの次の行動が何であれ、欧米はウクライナ軍が攻勢を続けるため最も必要な装備品を供給し続けるべきだ。しかし、ウクライナと同盟国に最大の苦痛を与える新たな方法を模索する一方で、国内では圧力の高まりに直面するかもしれないモスクワは広範な影響を考慮する必要がある。プーチンは絶望的な時期に理にかなった手段の追求はできないだろう。

 

帝国の呼びかけ

プーチンがロシア国民を動員し、徴兵制を導入し、何十万人もの兵士を新規招集する決定を下した場合、ロシアと西側諸国の双方に厳しい新たな試練がもたらされる。部分的であっても、クレムリンによる動員は、国が戦争状態にあることを完全に認識させることになる。また、戦争はロシアにとって実存のものとなる。これまで、ウクライナ侵攻は、ロシア国民の多くに戦争として提示されてこなかった。特別軍事作戦と称してきたが、実際には、ウクライナとウクライナ同盟国やパートナーについての妄想的な過信と誤った思い込みの上に成り立つ選択戦争であった。しかし、動員により、ロシアは公然と大規模戦争に身を投じることになる。「特別作戦」はすべてのロシア人が戦い、勝利する必要のある戦争に変わるだろう。この決定で、ロシア指導部は敗北を容認できなくなり、交渉による決着の見込みをさらに低くする。

 

プーチンにとって、この路線は危険だ。これまでのロシアの軍事的パフォーマンスを見る限り、多数の兵士を戦場に投入することが、モスクワに良い結果をもたらすとは考えにくい。また、兵士の訓練には時間がかかり、それに見合った軍備の増強が必要である。また、戦闘に無関心のロシア人を多く動員することで、ロシア軍の士気問題は解決どころか、悪化となる可能性もある。なによりも、全面的であれ部分的であれ、動員は必ずしもロシアの勝利を意味しない。動員は、達成可能な戦略的目的に結びつけられるべきなのだ。

 

プーチンは、戦争で力を得た軍国主義者、民族主義者、この動きを歓迎する勢力を取り込みつつ、動員を追求することで、軍事的危険に対処しなければならなくだろう。軍事的な危険は、タイミングの問題である。新兵は十分な訓練を受けてから戦闘部隊に編入する必要があるが、何カ月もかかる。ロシアの将校団が前線で拘束され、すでに大量に戦死している。そして、プーチンの命令で動員が進めば、時間とともに、西側の武器や支援がウクライナに流れ込み、ウクライナ軍の戦力が強化される。ロシアが冬を待ち、春に新鮮な戦力で新たな攻勢をかけようとすれば、2022年2月当時より準備と戦力が整った国が相手となる。

 

愚かな大戦争より、愚かな小戦争の方がいい

しかし、プーチンにとって、動員中に国内の広範な支持を維持することも同様に困難であろう。クレムリンから見れば、開戦から半年間、プーチンは国内政治をうまく処理したといえる。総動員体制にならない限り、クレムリンの信奉者とロシア民族主義者は、征服戦争や西側との決着に興奮し続けることができた。当初はウクライナに敵意を抱いておらず、戦争に驚いたロシア国民多数は、クレムリンの積極的な働きかけにより、何が起こっているのか無視できた。専門家に任せておけばよい特殊作戦だった。しかし、動員をかければ、都市部のロシア人の日常生活から戦争を切り離すことは不可能になる。プーチン政権で政治からの離脱を教育された彼らが動員されることになる。父や兄弟、息子が戦死することを受け入れなければならない。ここまでの大規模な意識改革をロシア国民に要求することは、プーチンに逆効果になる可能性がある。

 

動員をかけても、戦争の論理での欠陥は解決しない。戦略的な誤りを繰り返せば、誤りが倍加される。そのような動員は、プーチンが侵攻を決定した際の本質的な戦略的誤算を最小限に抑えることはできないだろう。この戦争がロシアの経済的、安全保障的利益に反していることを覆すことはできないだろう。この点で、プーチンが直面している動員に関する政治的ジレンマは、戦争の性質に直接関係している。ナポレオンもヒトラーも、ロシアを侵略しようとした際に、ロシア軍の戦力と決意を見くびっていた。しかし、米国や他の多くの国々と同様に、ロシアも選択戦争に悩まされてきた。1905年の日露戦争は、朝鮮半島をめぐる外交が決裂したことで始まり、ニコライ2世がロシアの名誉のため長引かせたが、モスクワにとって最悪の結末となった。1979年のソ連のアフガニスタン侵攻もそうであった

 

ウクライナと西側諸国にとって、ロシアの動員は心理的ショックになる。ロシア軍の弱点は今後もウクライナに有利に働くが、動員はロシア指導部が国内支持を犠牲にしてでも敗北を食い止めよる新たな決意を示すことになる。もしプーチンが全面的に参戦すれば、欧米は改めてプーチンの心理状態や軍事的エスカレーションの可能性を見極めなければならなくなる。

 

撤退と長期化

プーチンに可能なもう一つの選択肢は、何らかの形で撤退することである。この道を選ぶと、真の勝利の見込みは断念せざるを得なくなる。東部と南部で獲得した領土を維持するため最小限のコミットメントに縮小し、戦争を継続させようとする可能性もある。ウクライナ東部に対する2014年のアプローチに戻ることもできる。占領地をロシア支配下に置きながら前進せず、それによって国全体が不安定になるが、ロシア軍のプレゼンスは大きくなる。しかし、勝利を断念するというのは、攻撃的な作戦をやめるということである。プーチンは決してあきらめないだろう。戦争は後からエスカレートする、ウクライナへの思惑は変わっていない、戦略的な忍耐力が成功の決め手だ、など言い出すだろう。そのためには、戦争が続いても平穏に暮らしたいロシア国民の願望に頼らざるを得ない。そのため、ロシア人が戦争を無視し続けられるようにウクライナ東部の膠着状態は維持する必要がある。ウクライナの最近の成果から見れば、それが達成可能かどうかはわからない。今後、キーウはロシアに政治的に都合の良い膠着状態を与えないよう、可能なかぎりの努力をするだろう。

 

プーチンにとって、ロシア軍の劇的な後退に直面してから、ロシア国民に軍事的無策を売り込むのは容易ではない。これまでクレムリンは、自軍の無敵神話と防衛戦争という物語に依拠して、「特別作戦」への支持を煽ってきた。しかし、時間が経つにつれ、行き詰まり、野心を大幅に減退させた事業は、すでに推定7〜8万人のロシア人の死傷者を出した戦争の無益さを露呈することになりかねない。これからもっと多くの家族が戦争に巻き込まれることになる。また、このような事態になれば、ロシアの軍事・治安組織は、約束された勝利を実現できなかったとして、ますます攻撃にさらされることになるだろう。また、ロシアの軍事・治安組織は、約束された勝利が得られない中、ますます攻撃されることになるだろう。

一方、膠着状態の維持を願うプーチンは、立ち止まることを知らないウクライナ軍を相手にしなければならない。ウクライナの実力は、武器供与の増加で向上していく。ゼレンスキーの指導の下、ウクライナ人はこの戦争で勝利を願っている。ロシアが重大な誤算を犯せば、再び壊滅的な敗北を喫し、決定的になるかもしれない。ウクライナにはロシアに攻め込まれたくないという動機があるが、ケルソン周辺でのウクライナの反攻が遅々として進まないことから、ウクライナの攻勢がすべてハリコフ周辺のように成功するわけではないことがわかる。

 

より悲惨に、より危険へ

出動と撤退の双方に伴う国内リスクを考えれば、プーチンが中道を模索する可能性がある。ウクライナと西側諸国にとって、この選択肢は総動員よりは危険度が低いものの、今後数カ月から数年にわたる深刻な課題であることに変わりはない。プーチンは、動員によるリスクを回避しながら戦争を遂行する新たな方法を模索し、行動方針を採択する可能性がある。志願兵、徴兵兵、ワグネル傭兵(囚人など)を強制的に徴集し、密かに動員をかけることでお茶を濁そうとするかもしれない。ウクライナに対し新たなテロ行為を行うかもしれない。例えば、エナジーや水道といった重要インフラを攻撃し、冬が近づく中で人々の意思を断ち切るかもしれない。また、病院や学校など民間の重要な標的への攻撃を強化し、サーモバリック兵器など周囲に壊滅的な影響を与える醜い攻撃にも手を染めるかもしれない。要するに、シリアで使ったような極端な戦術を繰り返す可能性がある。同時に、プーチンは支持基盤を強化するべく、国内の反対意見を弾圧し、「裏切り者」を訴追する新方法を見出すかもしれない。

 

中道を選択することは、緊迫した状況におけるプーチンの優柔不断さの典型であろう。プーチンは、公然と動員をかける代わりに、ロシアの立場が最も強い地域でウクライナを相手にささやかな成功を収めるため、新しい資源を動員できる。また、直接戦闘にさらされていないウクライナの地域でも、重要インフラを攻撃し、ウクライナ全体の正常な感覚を混乱させ、米国や欧州の復興支援努力を阻害するためできる限りの手段を講じて、大混乱に陥らせることができる。そうすることで、プーチンは2022年2月以来ウクライナに付きまとっている危険な雰囲気を維持しようとするだろう。ロシアが簡単に勝つはずの戦争だったのだから、国内でシナリオをコントロールするのが難しければ、武力で異論を潰すこともできる。現政権にはそのために十分な装備がある。

 

この中道は、西側諸国の決意と忍耐を必要とする。プーチンは、これから冬にかけてエナジー危機と闘うヨーロッパと西側諸国から、ウクライナ支援が減少することに賭けているのだろう。ウクライナで残忍な戦闘が起きれば、ウクライナに課された条件にかかわらず、敵対行為を終わらせるよう求める声が高まる可能性がある。欧州諸国は、キーウに明確な圧力をかけなくても、自国の在庫や経済力が手薄になったという理由で、軍事支援を制限する可能性がある。ハリコフ地方でのウクライナの成功は、この種の戦争疲労をしばらく先送りする。しかし、ウクライナが成功と自国民や欧米の聴衆に与えた士気の高揚を繰り返せるかは不明である。

 

西側は忍耐、ロシアは崖っぷち

ウクライナと欧米の同盟国の双方にとって、ロシアが出動しない方が望ましい。より良い結果は、プーチンが勝利の見込みを断念することだ。しかし、プーチンの選択を左右する手段は限られている。一つは、武器や情報の提供によりウクライナ軍に有利な現状を維持することだ。ウクライナの政治体制は十分な耐久性を持っていることを証明ずみだ。また、優れた戦闘能力と有能な軍事的リーダーシップもすでに証明されている。このような国内的な強みと、西側諸国が供給する高性能な兵器が組み合わさり、ハリコフ周辺のロシア兵を威圧した。それがクレムリンをも脅かしたかは誰にもわからないが、クレムリンはウクライナの軍事力の増大を長い間無視するしかない。この力が強まれば強まるほど、ロシアはウクライナで何もできなくなる。ウクライナは抑止力を身につけていくだろう。

 

現実を踏まえ、西側はプーチンがロシアの限界とウクライナの能力の論理を内面化することを期待できる。最良のケースでは、プーチンは9月初旬に始まった戦術的・戦略的後退を黙示録的な言葉ではなく、最終的な交渉の範囲と目的を規定する軍事的選択の結果として受け入れるだろう。ウクライナはここ数日、数週間で交渉上の立場を大幅に改善した。ロシアはまだパワーバランスの変化を認めておらず、要求もトーンダウンしていないが、将来、戦争の収穫が急速に減少する場面に直面したとき、そうしておけば利益を得られるかもしれない。プーチンが攻撃作戦を放棄し勝利を断念すれば、交渉を拒否しても、ウクライナの部分的勝利となり、欧米も部分的勝利となる。そのため、不満足に見えるのだろう。しかし、2022年2月24日時点のウクライナの状況からすれば、最高の結果である。

 

ロシアが出動した場合、ウクライナと欧米は冷静に、この7ヶ月の成果を積み重ねていかなければならない。プーチンのロシアは、戦争のコンセプトを明確にできず、失敗から学ぶこともできず、世界トップクラスの軍隊の機能の多くを実行できないでいる。動員そのものは、この状況を何ら変えられないだろう。動員がもたらす最大の危険は、ウクライナよりもロシアに関係するものかもしれない。ロシア国民は動員に抵抗するかもしれない。その場合、1917年の皇帝政府同様に、現政権は崩壊し始めるだろう。あるいは、総動員後にロシアが敗北する可能性もある。クレムリンの壁の向こうではハッピーエンドに聞こえるかもしれないが、ロシアが崩壊すれば、これまでの国際システムが根底から覆され、国境を越えて不安定になる。プーチン主義国家が崩壊したら、次がどのような体制になるかは誰にも予想がつかない。

 

ウクライナは抑止力を身につけつつある

米国と欧州は、ウクライナの成功へのプーチンの反応がどうであれ、ウクライナが戦い続けるために、そして何よりも攻勢を続けるために必要な支援を継続する必要がある。同時に、独仏は電話外交で、プーチンに戦争の無益さと、欧州のエナジー危機と世界の飢餓危機を煽ることでウクライナへの支援を弱体化させようとしていることを、不器用ながら伝えられる。プーチンがエスカレートし核の脅威に訴える場合でも、欧米諸国は怯むべきではない。この通常戦争をNATOとロシアの対立に発展させたくないという、目に見えない戦争ルールをロシアに思い起こさせるべきだ。核兵器によるエスカレーションは、このルールに反し、NATOの関与につながる可能性がある。それは誰にとっても不利になる。

 

ウクライナの戦果で、ロシアが攻撃できないほど強いウクライナを構築する確かな道が開かれたといえる。これは大成果だ。問題は、プーチンがどのような軍事的目的で、どのような政治的メッセージで、ロシアの暗い立場をどう処理しようとするのかである。断念するためには、政治的に自分を作り直さなければならない。1990年代の混乱から救われたロシア、安定した消費志向の中産階級が生まれつつあるロシア、政治から離れた私生活が楽しい娯楽であったロシアである。プーチンは侵略することで、ゼレンスキーのウクライナを奈落の底に突き落とそうと考えていたのだろう。■

 

Putin’s Next Move in Ukraine | Foreign Affairs

Mobilize, Retreat, or Something in Between?

By Liana Fix and Michael Kimmage

September 16, 2022

 

  • LIANA FIX is Program Director in the International Affairs Department of the Körber Foundation and was previously a Resident Fellow at the German Marshall Fund of the United States.

  • MICHAEL KIMMAGE is Professor of History at the Catholic University of America and a Visiting Fellow at the German Marshall Fund of the United States. From 2014 to 2016, he served on the Policy Planning Staff at the U.S. Department of State, where he held the Russia/Ukraine portfolio.

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