2018年2月14日、ユタ州ヒル空軍基地から第4戦闘飛行隊の米空軍F-35AライトニングII 2機が、基地周辺を飛行している (U.S. Air Force/Staff Sgt. Andrew Lee)
新合金の磁石を搭載したF-35が生産ラインからいつ出てくるかは不明で、中国製合金が防衛取得規制に違反すると判明した場合は納入再開には国防納入猶予措置が必要となる。
米国防総省は、ロッキード・マーチンF-35のターボマシンポンプの磁石に使われている合金が中国生産品と判明し、受領を一時的に停止している。
F-35プログラムオフィスは、中国製合金でステルス機をサイバー攻撃やその他の不正行為にさらす安全性やセキュリティ上のリスクは生じないと評価しており、合金の代替供給元は特定済みとF-35JPO広報官ラッセル・ゴエメーレRussell Goemaereは声明で述べている。F-35の機体を飛行中止させたり、受領済み機体をロッキードに返却する計画はない。
しかし、新合金製の磁石を搭載したF-35がいつ生産ラインから出てくるかは不明で、中国製合金が防衛取得規則に違反すると判明した場合、納入を再開するためには国防の運輸猶予が必要となる。
ゴエメーレによると、国防契約管理局は8月19日にF-35共同プログラムオフィス(JPO)に対しこの問題の可能性を通知してきた。
F-35のターボマシンとはハネウェルが製造され、エンジン始動時や地上でのメンテナンス時に電力を供給する装備だ。ロッキード・マーティンの広報ローラ・シーバートLaura Siebertは、ハネウェルは潤滑油ポンプのサプライヤーから、磁石供給元の1社が中国製コバルトとサマリウム合金を使用しているとの通知を受けたと述べている。
同プログラムに詳しい関係者によると、DCMAとプログラムオフィスは8月31日にF-35納入を停止し、この合金使用が国防連邦調達規則補足文書に違反しているかどうか国防総省が調査する時間を確保したという。
中国製合金がDFARSに準拠していないと判明した場合、国防総省の取得・維持担当次官(この場合はビル・ラプラント)は、F-35受け入れが米国の国家安全保障上の国益にとって必要である旨の証明書を作成できる。
ゴエマーレによると、プログラムオフィスは9月2日に請負業者から潜在的なコンプライアンス違反の「正式開示」を受けたものの、調査はまだ完了しておらず、「違反の原因究明と是正措置の確立のため、さらなる調査が進められている」。
シーバー は、「ハネウェルは合金のサプライヤーとの作業を停止し、米国の代替供給元へ既に発注済みで、来月には納入される予定」と述べている。しかし、新しい合金が潤滑油ポンプサプライヤーからハネウェル、ロッキード・マーティンのF-35生産ラインまで届くのにどれくらいの時間がかかるかは不明で、シーバートは「納品休止の長さは不明」と指摘している。
ロッキードは現在、中国製合金が最終的に不適合だと判明した場合、国防納入猶予のため必要となりうるあらゆる情報を提供するため国防総省と協力していると、シーバートは述べました。
「当社は、パートナー企業や国防総省と協力して、サプライチェーンにおける契約上のコンプライアンスを確保しています」と、シーバートは述べています。「磁石は、プログラムの機密情報を見ることもアクセスすることもできません。F-35の飛行は安全で、当社はDoDと協力しできるだけ早く問題を解決し、納入再開に取り組んでいます」。
ロッキードは今年これまでに88機のF-35を納入しており、2022年で148機から153機のF-35を完成させる目標を維持していると、シーバートは述べた。引き渡されていない完成機は、ロッキードのフォートワース生産施設に残っている。■
F-35 deliveries suspended after finding Chinese alloys in magnets
on September 07, 2022 at 2:19 PM
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