KHARKIV, UKRAINE – SEPTEMER 09: Ukrainian forces patrol after Ukrainian army took control some of the villages in Kharkiv, Ukraine on September 09, 2022. (Photo by Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images).
ウクライナ軍は占領地に楔を打ち込みロシア軍が混乱し撤退する中、英雄として迎えられている
ウクライナ軍は複数区域で領土を奪回し続けており、ロシア占領下で6ヶ月以上過ごしてきた一般市民が両手を広げて歓迎している。
ウクライナ軍が北部のハリコフ周辺や南部のケルソン周辺のロシア軍戦線を急速に突破していく様子は、動画でネット上に拡散している。ウクライナ軍は各地で、解放された同胞から抱擁、握手、喜びの涙で迎えられた。
ウクライナ軍装甲車が数カ月間ロシア軍に占領されていた町を通過すると、住民が道端に並び歓声を上げた ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国軍がハリコフ地方の集落30以上箇所を解放したと述べた。
「我が軍、情報機関、ウクライナ保安庁は、作戦地域で活発に活動を続けている。成功裏に継続している」とゼレンスキーは9月9日声明で述べている。「この地域の村落では、領土を確保する行動が続いている。徐々に各地を我々の支配下に置いている。どこでもウクライナ国旗を戻し、国民を保護している。
当初は南部ケルソン周辺での限定的な攻撃と思われていたが、ウクライナ軍は多面的な攻撃に発展させ、ロシア軍は後退を余儀なくされている。
作戦上の安全保障の懸念は風前の灯となったようだ。現地部隊も、ウクライナおよび支援国の政府高官も、10日足らずの激戦で大きな前進があったと認めている。ロシア情報筋でさえ、プロパガンダを放棄し、ハリコフ周辺でのウクライナ軍の深い浸透を認めざるを得なくなっている。
以下の地図に見られるように、昨日からウクライナ軍が獲得した成果は印象的だ。ウクライナ軍の前進は前線に深い穴を開け、ロシア領にまで侵入している。
ウクライナ軍は戦略的な交差点であるイジュムを攻略するため、オスキール川まで進出している。その間、ウクライナの野砲は、ロシアの補給撤退ルートを破壊している。
ロシアの従軍記者エフゲニー・ポドゥブニーは、ウクライナ軍がハリコフの南東にあるクピャンスク付近のオスキル川にかかる橋を破壊したと示す画像や動画をソーシャルメディアに投稿した。この方面にウクライナ軍が押し寄せたことで、ハリコフ駐留のロシア軍数千名が包囲される恐れがある。
橋の映像では、市内に残る部隊への圧力を軽減しようと西に向かうロシアの援軍が通れなくなる深刻な被害が確認されている。
モスクワの悪名高い傭兵集団「ワグネル」に関連するソーシャルメディアの偽名管理者「ヴラデン・タタルスキー」は、ウクライナ軍襲撃に先立ちロシア系部隊にイジュムを放棄するよう呼びかけている。
ロシアのテレグラム・チャンネルによると、第2機動小銃師団司令官はすでにこれを実行に移しているという。司令官は自軍を見捨ててイジュムから逃亡したようだ。
あるロシア人記者は、イジュムから一刻も早く脱出しようと必死になっている姿を撮影している。
ウクライナは攻勢に転じており、現地状況は、実際に戦闘中の部隊がオンラインで最新情報を発信するのと同じくらい速く変化している。この24時間のハイライトを以下お伝えする。
最新情報
アントニー・ブリンケン米国務長官は9月9日、NATO本部(ベルギーのブリュッセル)で、同盟国関係者およびイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談した。ブリンケン長官は会談後に記者会見し、国際的な制裁措置によりロシア経済が深刻な打撃を受けており、ウクライナで戦う自国軍に弾薬供給ができなくなっていると述べた。
ロシアは「北朝鮮やイランに必要な物資を求める一方、ウクライナの軍事力は、リーダーシップ、戦闘員の勇気、同盟国やパートナーの強固な支援のおかげで、ますます強くなっている」と、NATO本部からブリンケン長官は述べた。「プーチン大統領は、経済的圧力をかける我々の意志は時間とともに薄れると考えていた。それどころか、我々とパートナーや同盟国は、モスクワの強圧や脅迫に直面しても団結を維持し、ロシア経済に前例のないコストを課している」。
ブリンケン長官によると、1,000社以上がロシア市場を見捨てたという。半導体やその他の技術に対する輸出規制により、「ロシアは自動車製造から軍事輸出、エナジー探査に至るまで、主要部門の近代化はおろか、維持もできない」。
2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、50万人もの人々(その多くは熟練労働者)がロシアから逃れているとブリンケン長官は述べた。ロシアの外貨準備高は750億ドル減少し、3000億ドルの資産が海外で凍結されているという。
ウクライナへのNATOの軍事支援は、NATOの集団安全保障を損なわないかとの質問に対し、ストルテンベルグ事務総長は、ロシアが近隣の主権国家への侵略戦争に勝利しないようにすることは、同盟の任務を果たすことだと答えた。
「我々がウクライナに提供している兵器は、NATOの緊密なパートナーであるヨーロッパ独立主権国家に対するロシアの攻撃的な行動を阻止するため使用されている」とストルテンベルグは述べた。「プーチン大統領がウクライナで勝利すれば、ウクライナ人にとって悪いだけでなく、我々全員にも危険なことです。だから実は、ロシア、つまりプーチン大統領がウクライナで勝利しないようにすることで、我々自身の安全性を高め、自国国境近くではそのような行動を許さないことを証明して同盟の強化にもなる」と述べた。
ロシアの陸上総兵力の80%以上が現在、ウクライナ戦争に従事、あるいは専念しているとストルテンベルグは述べた。
「もちろん、そこで何が起こるかは、ロシアがNATOの同盟国に脅威を与える能力で重要となる」と述べた。
ロシア軍はウクライナ軍に退却させららえる、または駆逐される際、装備や車両、弾薬などを置き去りにしてきた。また、ウクライナ軍の捕虜になる者も続出している。捕虜の一人が、ロシア西グループ軍司令官のアンドレイ・シチェボイ中将Lt. Gen. Andrei Sychevoiだと判明した。このような高級将校が現代の戦闘で捕虜になるのは非常に珍しく、しかも最前線で部隊を率いていたとは、異様なことだ。
前線からは、ロシア側の視点による貴重な映像も含め、さらに強烈な生の映像が続々と入ってきている。BMP-3歩兵戦闘車の砲塔に座ったロシア人砲手が、対戦車誘導弾のようなものに直撃された際に機関銃を発射するシーンだ。
ロシアのネット情報によると、ウクライナが先週ケルソンを攻撃し始めたとき、モスクワはハリコフ周辺の北から南側に部隊を急派したという。そのため、北側の戦線に空きができ、人員を補充することなく、ウクライナ軍がほとんど戦わずに突破した地域もある。
比較的損傷の少ない貴重なロシア軍装備も豊富にある。ハリコフのウクライナ兵は、Tor-M1地対空ミサイル(SAM)システム用トランスポーター-ランチャーと122mm BM-21 Gradマルチランチロケットシステムを一度に捕獲した。
ウクライナ軍はまた、対砲台システムZoopark-1の重要部品であるロシアの1L261レーダー車両を発見した。
ロシア軍は、ハリコフやイジュム周辺のいくつかの場所で、ウクライナの攻撃で大打撃を受けた部隊を補強しているようだ。ロシアのソーシャルメディアによると、ワグネルグループの傭兵が、被害の最も大きい地域に移動しているようだ。
2機のMi-26輸送ヘリコプターがローターを回す背景に、制服を着たロシア兵が映っている映像もある。翻訳によると、航空機にはクピャンスクとイジュム周辺の孤立ロシア部隊を強化するため向かう兵士が積まれているとのことだ。これら大型ヘリコプターは携帯型防空システム(MANPADS)、長距離地対空ミサイル、さらに小火器のような敵の目標になる。小型攻撃機に比べて機敏性に欠けるため、低高度で飛行するのは危険である。このような超大型ヘリコプターが戦争で使用されている映像は初めてだ。
ロシア軍はまた、ドンバスで、ウクライナ陣地に焼夷弾を投下したようだ。この低精度の弾薬は、超高温で燃える金属片を広範囲に放出し、火災を起こし、建造物を炎上させ、恐ろしい傷を負わせ、恐怖心を煽る設計だ。
ザポリジャー原子力発電所では、先週、国連の国際原子力機関(IAEA)チームの立ち入りが許可された後も、順調とは言えない。IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は金曜日、本人のツイッターアカウントに動画を投稿し、原子力安全・セキュリティ保護区(NSSPZ)の即時設置を呼びかけた。欧州最大のザポリージャ原発は「決して戦争の手先にしてはいけない」と述べた。
ウクライナ砲兵部隊は、9月8日に96歳で亡くなった英国君主、エリザベス2世に砲弾を捧げた。彼らは個々の155mm砲弾に女王の名前を刻み、毎日数千発がロシア軍陣地に向けて発射されている。
こうした進展のニュースは心強いかもしれないが、すべての成果が確実なものではないことも注意しなければならない。この紛争はあと何カ月も、あるいは何年も続きそうだ。とはいえウクライナ軍の成果は驚くべきものであり、励みになる。■
Ukraine Situation Report: Liberators Greeted With Cheers, Tears Of Joy
BYDAN PARSONSSEP 9, 2022 6:59 PM
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