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ウクライナの「大戦果」に喜ぶ前に、厳しい疑問に直面する必要がないか

  

TOS-1A

TOS-1A firing. Image Credit: Creative Commons.

 

衛分野の専門家たちが、ここ数日のウクライナの戦果に大騒ぎしているが、拍手を止め、長い目で見て実際にどんな意味があるか考える必要がある。ウクライナの勝利が続くのか、ロシアがどう対応するかなど、率直に言って何の意味もない。

今のところ、ウクライナはロシアとの戦いで非常識なまでの勢いを見せているのはよいニュースで、これは間違いない。ロシア軍は撤退し、捕虜はキーウに集められ、多数地域でロシア軍は撤退したように見える。

しかし、疑問が数々ある。まず、ワシントン・ポスト紙が報じているように、ウクライナ攻勢が軍事面でも個人的・人員面でも犠牲を生んでいると理解する必要がある。ロシアの損失を語るのは別として、今回の攻勢でウクライナは多くの人員と物資を失っている。キーウがこのテンポの作戦をいつまで維持できるのかは根本的な疑問だ。ある時点で兵士は疲れ果て、補給線は長くなり、弾薬は不足する。特に、弾薬が西側から送られてから前線に届くのに時間がかかったり、工場が予想外の需要に追いつけない場合はなおさらだ。

ロシアの残忍な反応もあるだろうが、まだその影響が完全に出ているとは思えない。筆者はモスクワがここまで抑制的であったことに衝撃を受けている。ロシアにあるはずの軍備について考え抜いたからだ。モスクワはこの戦争に簡単に勝てたはずなのに、思い上がり、情報不足、計画不足が重なり、NATOがウクライナをここまで武装化することはないと考えた結果、ロシアは戦場で敗れたように見える。

もちろん、だからといってロシアがこの状況を覆すことができないわけではない。プーチンはどの時点で警戒を解き、ロシア軍の総力をウクライナに投入するのだろうか。キーウの防空網に戦闘機や爆撃機を奪われるのは耐えられず、持てる空軍力すべてを注ぎ込むのはどの時点か。

それから、重要なポイントに思えるのは、アメリカが今回の紛争への関与をどこまで強めるかということだ。ウクライナが強大なロシア軍と互角に渡り合うだけでなく、実際に打ち勝つのを助けているのは、明らかに米国と西側の武器、過去と現在の訓練、そして諜報活動だ。米国はいつまで関与を続けるつもりなのだろうか。もしプーチンがエスカレートし、ポーランドなどNATOの補給拠点に攻撃を仕掛けたり、誤ってロシアからNATOの領土にミサイルが落ちたりしたらどうなるだろうか?その時はどう対応するだろうか?

今、筆者には疑問しかなく、今回の紛争に幸福を感じる余地はほとんどない。確かに、ウクライナは曲がり角を通過し、それ自体は祝福されるべきだ。しかし、戦争はまだ終わっていない。核兵器国が紛争に負け始めても、興奮してはいけない。多くのことがうまくいかない可能性があり、エスカレーションのオプションが非常に魅力的に見えてくるのは確かだからだ。■

Ukraine’s ‘Victory’ Over Russia: All Of The Tough Questions That Must Be Asked

ByHarry Kazianis

 

Expert Biography: Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as President and CEO of Rogue States Project, a bipartisan national security think tank. He has held senior positions at the Center for the National Interest, the Heritage Foundation, the Potomac Foundation, and Pacific Forum. Kazianis has also worked as a defense journalist, serving as Editor-In-Chief of the Diplomat and Executive Editor of The National Interest. His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum. He holds a graduate degree focusing on International Relations from Harvard University and is the author of the book The Tao of A2/AD, a study of Chinese military modernization.


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