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米空軍で進行中の大型プロジェクトをまとめてご紹介。B-21、NGAD、T-7、新型ICBM、巡航ミサイル等。

 

B-21 Raider Credit: U.S. Air Force concept

 

空軍は創設75周年を迎え、互角戦力を有する国家との戦いに備え、大規模な近代化を行っている。これらの取り組みに、新しいステルス爆撃機や戦闘機、次世代兵器、50年以上ぶりとなる新型ICBMが含まれる。ここでは、空軍の未来を形作る重要プログラムをご紹介する。

B-21レイダー

ノースロップ・グラマンB-21レイダーは、同社のB-2スピリットとロックウェルB-1Bランサーに代わる、米空軍の次世代長距離ステルス爆撃機となる。空軍とノースロップは現在、来年の初飛行に先立ち、今年中に同爆撃機の一般公開をめざしている。6機がカリフォーニア州パームデールの秘密施設プラント42で生産中で、最初の機体は最近、負荷の校正テストを完了している。空軍はこの爆撃機を少なくとも100機、サウスダコタ州エルスワース基地、テキサス州ダイス基地、ミズーリ州ホワイトマン基地に配備し、近代化したボーイングB-52ストラトフォートレスと運用させる。空軍は、このプロジェクトへの支出を、研究、開発、試験、評価で33億ドル、調達で18億ドルに増やする。予算書によると、後者は今後5年間で195億ドルに増加する予定とある。

次世代制空優勢(NGAD)

空軍の戦術機で最重要の近代化プロジェクトは、最も秘密性が高く、ロッキード・マーチンF-22ラプターに代わる第6世代戦闘機だが、情報は限られている。次世代航空優勢(NGAD)機の動力源となるエンジンの最近の契約発表では、ボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンの3大企業が候補に挙がっている。フランク・ケンドール空軍長官は今年、議員に対して、このプロジェクトはエンジニアリング・製造開発段階に移行したと述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。この発言は、前空軍取得責任者のウィル・ローパーがNGADの飛行実証機が飛行したと公表してから約2年後のことである。ケンドール長官は、NGADシステムは高価で、単価「数億ドル」で、さらにステルス戦闘機と一緒に飛行する、同様に高価な無人戦闘機の開発も必要となると述べた。

F-35A


ロッキード・マーチン F-35A。出典:アメリカ空軍

空軍は、サプライチェーン問題、契約交渉、および大いに必要とされる技術アップグレードの開発の遅れの中で、ロッキード・マーチンF-35Aの調達を遅らせている。2023年度空軍予算案では、F-35Aを48機購入することになっており、予想されていた60機を下回っている。減額の最大の理由は、ブロック4に続く近代化プログラムのスケジュールと、予想される技術リフレッシュ3プロセッサーの進捗への不満である。しかし空軍側は、アップグレード準備が整えば、将来的に調達数は増加すると述べている。「F-35にこだわるのかと聞かれることがある。もちろん、私たちはF-35にコミットしています」とケンドール長官は述べている。「これらップグレードは、現在のPratt & Whitney F135パワープラントが提供できる以上の出力と冷却能力の大幅増加を必要とし、空軍はF135の大規模なアップグレードまたはAdaptive Engine Transition Programで開発中のPrattGE Aviationのエンジンをエンジン換装の可能性として検討してきた。Kendall長官は、次期予算案が展開される来春までに、この件に関する決定を下す予定である。

F-15EX


ボーイングF-15EXイーグルII。Credit: U.S. Air Force

空軍はカタール向けに開発されたF-15QAをベースに近代化したボーイングの新型機F-15EXイーグルIIを調達する方向へ変更した。F-15EXと選定されたGEエイビエーションのF100-PW-229エンジンは、F-15EXにより多くの武器を搭載を可能にする。先進的なBAEシステムズのイーグル受動的能動的警告生存システムにより、高度なレーダー警告、ジャミング、対抗措置が提供される。空軍は、2023年に同機購入を24機に減らし、80機で調達を終了する計画を発表したが、これは当初予定の144機から大幅減少となる。F-15EXは200機以上のF-15C/Dを置き換える計画だったが、削減された機体は訓練機とオレゴン州および沖縄の既存飛行隊のみをカバーすることになる。F-15EXは2機で同時に開発・運用テストが行われている。

T-7A


ボーイングT-7Aレッドホーク。 

 

ボーイングT-7Aレッドホークは、老朽化したノースロップT-38CタロンIIに代わる、米空軍の次世代戦闘機パイロットの練習機となる。この機体は、2023年半ばの本格生産開始と2024年の初期運用能力獲得の決定を前に、COVID-19パンデミック関連の問題とサプライチェーン不足による遅れに直面している。ボーイングは4月に、タスキーギ航空隊員へのオマージュである赤い尾翼が特徴的な同練習機機を一般に公開した。ボーイングは、デジタルエンジニアリングのおかげで、セントルイス工場で迅速かつ正確に同機を製造できたとアピールしている。この工場では、サーブの機体、GEのF404エンジン、その他のコンポーネント、生徒と教官のための「スタジアム」シートを備えた独自のコックピット、先進エイビオニクスなどを結合している。コックピットでは、バードストライク時の弱点がテストで判明し、問題視され、設計が見直されている。空軍はT-7の調達資金を初めて要求したがわずか1,050万ドルだ。しかし、2024年には3億2190万ドルに増加し、14機を購入する。空軍は最大475機のレッドホークを配備する計画だ。

 

給油機


ボーイングKC-46Aペガサス。 Credit: U.S. Air Force

 

米空軍の次世代タンカーがボーイングKC-46Aペガサスはボーイング767原型の燃料補給機で、開発上の問題で悪名高い存在となっている。8月時点で、空軍は61機を受領しているが、初期運用能力宣言をまだ待っている状態である。最大の問題は、前方のブームオペレーターと後方の給油システムをつなぐカメラ、センサー、スクリーンの集合体であるリモートビジョンシステムの問題だ。同システムは設計上、複数の重大欠陥の原因となっており、今秋に重要な設計審査が終了され全面的に見直される。空軍は2029年までKC-46を179機購入する計画で、残りの機体を近代化するために複数のルートを検討している。最初のルートがKC-Y「ブリッジタンカー」で、アップグレードされたKC-46とロッキード・マーチンLMXT(エアバスA330マルチロールタンカー輸送機を改造)の間の競争となる。しかし、空軍指導層は、要件が洗練されるにつれて、競争の可能性は低くなり、来年の春には最終決定がなされるだろうと述べている。さらに、空軍は次世代航空機「KC-Z」の開発を加速しており、当初の予定だった2030年を大幅に前倒しし2024年に代替案の予備分析を開始する。この航空機では、自律性と潜在的なステルス特性をもたらす、より飛躍的な技術革新が期待されている。

新型ICBMセンチネル


LGM-35A センチネル。 Credit: Air Force Global Strike Command

 

最近名称が変更されたLGM-35Aセンチネルは、以前は地上型戦略抑止力として知られていた。ノースロップ・グラマンがMinuteman III ICBMシステムの後継として開発した。ノースロップは、2029年までに初期運用能力を確保し、2075年まで使用する計画で、ミサイルと関連システムの133億ドルの契約を2020年に獲得した。システムの最初の飛行テストは来年の予定で、初期生産は2026年に予定されている。このシステムには、サイロの近代化や、国家核安全保障局が開発した新型W87-1弾頭を搭載するロッキード・マーチンMk21A再突入機など、いくつかの新しいコンポーネントが含まれる。

AIM-260 JATM


Lockheed Martin AIM-260 Joint Advanced Tactical Missile Lockheed Martin AIM-260 Joint Advanced Tactical Missile. Credit: U.S. Air Force

 

戦闘機分野でのNGADと同様に、空対空ミサイルでも空軍の最大の前進は高度なまで機密化されている。ロッキード・マーティンのAIM-260統合先進戦術ミサイル(JATM)は、AIM-120先進中距離空対空ミサイル(Amraam)の後継で、より長射程で飛行する。2019年に同システムが初めて発表されてから、空軍はその進捗を極秘に進めてきた。12月の演説でケンドール長官は、JATMは空軍の最優先事項の1つだと述べた。しかし、彼はAviation Weekとの最近のインタビューで、運用上のセキュリティ上の懸念を理由に、最新情報の提供を拒否した。2019年にプログラムを発表した際、空軍ライフサイクル管理センター関係者は、JATMは2021年にF-22で飛行し、2022年に運用される見込みと述べている。中国の長距離空対空ミサイル「PL-15」への対抗策として開発されており、空軍当局はアムラームを搭載したF-22が「アウトスティック」されることを懸念している。しかし、レイセオンは7月、同社の新型AIM-120D3が、Form, Fit and Function Refreshプログラムによるアップグレードで、PL-15の推定射程距離より遠くまで飛んだと発表している。

長距離スタンドオフミサイル

レイセオンは、ボーイングAGM-86 Air-Launched Cruise Missileに代わる核ミサイルAGM-181A Long-Range Standoff (LRSO) 巡航ミサイルを製造しており、2021年7月にエンジニアリングと製造開発で20億ドルの契約を獲得した。空軍の予算文書によると、LRSOはレガシー(B-52)と未来(B-21)の双方の爆撃機に搭載され、高度な統合防空システムを貫通して生き残る能力が期待されている。このプログラムは、重要な設計審査に先立って、設計を成熟させるための開発、検証、試験活動が行われている。同局は2023年度に研究、開発、試験、改造のために9億2890万ドルを要求し、今後5年間で合計64億5000万ドルを想定している。米国議会予算局によると、初期運用能力は2030年までに見込まれ、1,000基以上のミサイルが計画されている。弾頭には改良型のW80-4が搭載される予定だ。LRSOのその他詳細はほとんど発表されておらず、亜音速なのか高速なのか、非常にステルス性があるのかないのかが未公表のままだ。

極超音速ミサイル

AGM-183A Air-Launched Rapid Response Weapon


ロッキード・マーチン社製 AGM-183A 航空発射型高速応答兵器。 Credit: U.S. Air Force

 

空軍資材司令部長のデューク・リチャードソン大将Gen. Duke Richardsonによれば、空軍は極超音速開発の主要な取り組みにおいて「2頭の馬に乗っている」という。1つは、ロッキード・マーチンAGM-183A空中発射高速応答兵器(ARRW)で、今年の一連のテストの失敗により、先行きが不透明な状況に直面している。しかし、ブースターテスト2回に成功し、近い将来に予定されている最初の滑空テストで軍はその見通しに希望を維持している。空軍の予算計画では、試験の失敗を受けて、資金を調達から研究、開発、試験、評価へシフトさせた。ARRWの開発がさらに進む一方で、空軍とDARPAが開発した技術を組み合わせた「極超音速空気吸い込み指揮兵器コンセプト」の後続として、スクラムジェットによる2段式極超音速攻撃巡航ミサイルも開発中である。空軍はこのプログラムの開発費として2023年に3億1700万ドルを希望している。■

The U.S. Air Force’s Major Modernization Programs | Aviation Week Network

The U.S. Air Force’s Major Modernization Programs

Brian Everstine September 09, 2022

 

Brian Everstine

Brian Everstine is the Pentagon Editor for Aviation Week, based in Washington, D.C. Before joining Aviation Week in August 2021, he covered the Pentagon for Air Force Magazine. Brian began covering defense aviation in 2011 as a reporter for Military Times.


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