2021会計年度以降の高いインフレ率のため、国防総省の購買力は500億ドル減少し、議会は現在の支出レベルを維持するためだけに、2023年度要求予算に少なくとも420億ドルを追加投入する必要があることが、新しい報告書で明らかになった。
全米防衛産業協会が9月13日発表した白書「インフレはいかにアメリカの国防を傷つけるか、そしてそれに対して何ができるか」は、2021年と2022年の国防予算は急激なインフレが始まる前の策定であるため、国防総省は購買力を大幅に失っていると指摘している。NDIAはNational Defenseの発行元。
「同様に、2023年予算はインフレ率がどの程度上昇するかが判明する前に議会に提出されているため、国防総省が望むプログラムへの必要資金を大幅に過小評価している」と報告書は述べている。
2021年のインフレ予測は2.3%だったが、実際は4.7%だった。同様に、2022年の予算は2.1パーセントのインフレ予測に基づいて策定されたが、実際のインフレ率は8パーセント以上である。この差額の効果は約9%、500億ドルの購買力低下につながるとしている。
計算は、公式予測に基づいており、報告書は、「つまり、提示された見積もりは、インフレによる有害な防衛上の影響を過小評価している可能性が高い」と指摘している。
「この損失は、数量の減少やメンテナンスの滞り、あるいはコスト超過やスケジュールの遅れとして現れるだろう」と、報告書は述べている。「このコストを最初に国防総省が負担するか、産業界が負担するかは、契約次第だが、資金がないままでは、国防への結果は同じである。資金が限られているため、過剰コストは中小企業に最も大きな打撃を与えるだろう」と述べている。
さらに、政府が既存契約でインフレ効果に対処しなければ、「選択できる企業は、防衛産業から商業市場へ転向し、(防衛産業基盤の)競争と多様性を低下させるかもしれない」と、報告書は続ける。
さらに悪いことに、米国が対テロ作戦から、近代化に多額の支出を必要とする互角の実力あるいはそれに近い相手との競争への移行を始めた時期に、インフレが加速した。報告書では、国家防衛戦略の近代化目標を達成するためには、国防費の実質成長率が3〜5%必要としている。
「これは2政権にまたがる戦略でありコンセンサスであるが、国防予算はインフレが始まる前に推奨成長率を反映しておらず、現在は逆に実質マイナス成長となっている」と報告書は続けている。
その結果、2021年から2023年にかけての実行損失の累積効果は1100億ドルに上るとしている。
議会はまだ2023年国防権限法や12の年次歳出法案を通過させていない。現時点では、2023年は継続決議で始まると予想され、2022年レベルの支出を維持し、毎月推定60億ドルの防衛支出力が損なわれると、報告書は指摘している。
報告書は、インフレの影響に対処するため、将来の予算上の課題と現在の執行危機という2つの線から、議会がとるべきいくつかの行動を提案している。
2023年予算について、報告書は議会に対し2つの提言している。第一は、インフレを考慮し、政権が要求する2023年予算に最低420億ドルを上乗せすることだ。2023年NDAAの下院版は370億ドル、上院版は450億ドルの予算増となったが、両院はそれぞれの法案を調整中で、最終予算に至っていない。
第二に、報告書は、議会が10月1日の新年度開始前に通過させるであろう継続決議に、インフレ調整を盛り込むよう推奨している。これで、「新たなスタートと調達量の変更を可能にし、さらなるプログラムの遅れを生じさせないようにすることができる」と報告書は述べている。
現在の予算執行に関し、報告書は議会に3点を提言している。
1つは、高インフレの開始前に締結された契約は調整し、将来の契約に自動インフレ調整条項を入れるよう指示し、「取得プログラムを安定させる」ことだ。
第二は、燃料運転資金を価格変動やショックに対応できるよう改定することだ。
3つ目の勧告は、データ報告での改善だ。「議会は、(国防総省が)問題に対処できた部分と、やり残したことを示すため、適切なデータ収集と定期的な進捗報告を実施するよう指示すべきである」。
さらに報告書は、インフレがピークに達したこと、2024年には通常レベルへ低下すること、議会が「2024年以降の予算に、実際の」2021-2023年のインフレへ補正し終えたトップラインに資金を供給すること、との3つの仮定を含んでいると指摘している。■
BREAKING: Inflation Costing Pentagon $50 Billion in Purchasing Power
9/13/2022
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