A destroyed Russian tank
UKRAINIAN DEFENSE MINISTRY PHOTO
ここ数日間だけで、ロシア軍戦車12両、APV21両が破壊されている
ウクライナ軍は、半年前の侵攻開始以来、ロシア軍戦車2,000両以上、48,700名、装甲兵員輸送車4,300台を破壊した。この数字はウクライナの待ち伏せ攻撃、対装甲戦術、旺盛な戦意と有効性を反映していると言える。ウクライナ国防省の9月2日発表では、ここ数日で12台のロシア軍戦車と21台のAPVが破壊されたと明記している。
戦車
ウクライナ軍は、ロシアの機械化攻撃を鈍らせ、減速させ、あるいは破壊するため、非常に効果的に対装甲兵器を活用していることは疑う余地がない。Global Firepowerによると、ロシア軍は戦車1万2000台を運用しており、ロシアには激しい攻撃を維持するのに十分なハードウェアと重装甲車両が存在することを示唆している。この1万2,000台という数字は多いように思われるが、どれだけの戦車が整備され、アップグレードされ、実戦対応できる状態にあるのだろうか。このうち、数千の戦車が運用状態にないとする報告は多数あり、ウクライナ戦での2000台の戦車破壊の意味は極めて衝撃的だ。
ロシア戦車の多数は冷戦時代のT-72であり、ソ連製戦車は対装甲兵器の感知、照準、防御、機動性に劣ることが判明している。ロシア軍は高性能な1990年代のT-90戦車も運用しているが、T-72が大量にあることから、侵攻軍は主に1970年代の戦車を運用している可能性が高い(T-72は1973年に初めて運用された)。しかし、たとえロシアが古い戦車を何千台も保有していたとしても、クレムリン指導者は、対人戦術に弱いと判明している戦車を大量に送り続けることに抵抗があるのかもしれない。
Business Insiderによると、ジャベリンやRPGなど対戦車兵器が有効であることが証明されたことで、上空からの対装甲攻撃から守り、リスクを軽減するために、間に合わせで「ケージ」を上部に置いたロシア戦車があらわれた。しかし、ウクライナの砲撃で戦車が炎上した場合、ケージのため戦車兵の脱出が困難になるため、その後放棄されたとの指摘がある。
ウクライナ側は、高台や建物など構造物を利用し有利な位置から攻撃し、侵入してくるロシア車両を破壊するために不明瞭な位置や隠れた位置に陣取っていたようだ。ウクライナ対戦車砲の成功は、ロシアのT-72とT-90には、センサー、照準、能動防御システムが劣ることを示唆している。T-72は長年にわたり大量生産され40カ国に輸出され、ウクライナも運用しているため、搭載する照準センサーの範囲、解像度、有効性はウクライナ軍もよく知っているようだ。
T-90
T-72戦車の運用能力がわかれば、対装甲兵器を使用するウクライナ軍はロシアの戦車や装甲車に攻撃を成功させる距離や位置取りで有利となる。イラクのT-72は、1990年代の湾岸戦争とその10年以後のイラクの自由作戦で米エイブラムス戦車に破壊されたが、エイブラムスがT-72よりも遠距離で有効な高精密センサーにより、安全な距離からT-72を補足追跡し破壊できたのが一因だった。
さらに、ポーランドとチェコがウクライナに数百両の戦車を送ったこともあり、ウクライナのT-72戦車は開戦以来大幅に増加しているのも重要要素だ。ウクライナ戦車は、対人兵器ほどのインパクトはなくても、戦車を保有することで、ウクライナは防衛や領土奪還の反撃に使える有用な機械化車両を手に入れた。
ロシアのロケット弾を破壊する
ウクライナ侵攻初期のロシアによるロケット弾やミサイル攻撃で、ウクライナの子どもや家族、非戦闘員数百人が犠牲になったが、こうした攻撃を追跡、迎撃、阻止することは困難なようだった。
誘導ミサイルと非誘導ミサイルの両方が発射され、多くは数百マイル飛翔した。ウクライナ市民を恐怖に陥れ殺し、抵抗の意志を削ぐ、あるいは断ち切る意図的な作戦と思われた。これはうまくいかなかったが、ロシアの攻撃はウクライナ全土に損失、トラウマ、破壊をもたらした。
MLRS
The Next-Generation Drone Launching, German KF51 “Panther” Tank
BY KRIS OSBORN, WARRIOR MAVENJUN 24, 2022
Ukrainian Anti-Armor Attacks Defining War Against Russia
BY KRIS OSBORN, WARRIOR MAVENAUG 29, 2022
ロシアに侵攻し地上のミサイル発射装備を破壊する能力がないウクライナにとって、ミサイル攻撃を阻止する唯一の希望は、長距離地上発射ロケット装備であった。ウクライナのゼレンスキー大統領が戦争初期に多連装ロケットシステム供与を要求したのは、このような戦術的な事情からだろう。ゼレンスキーは特に「発射装置」を破壊する必要性を考えていたのかもしれない。ロシアのミサイルやロケット発射台を空から破壊できない場合、発射台を攻撃できる射程距離を持つ地上発射兵器が重要になる。ウクライナには大砲があり、さらに西側諸国から30km以内の標的を攻撃できる砲を受け取っているが、ロシアの発射台を破壊するためには、より射程の長い兵器が必要だ。
MLRSとGPS誘導型GMLRSが到着し、数カ月にわたりロシアの重要目標を破壊し、補給線、部隊の集中、指揮統制施設、そしてもちろん、ロシアのロケットやミサイルの発射台を標的にしている。MLRSとGMLRSの多くは30km砲の2倍以上の射程があり、ウクライナ軍はロシアの重要目標をスタンドオフ攻撃可能になった。ウクライナが自国の情報収集能力に加え、NATOの監視能力の恩恵を受けていることは広く知られている。これまでウクライナ軍はロシア発射台がどこにあるか知っていても、攻撃できなかった。しかし、長射程ロケット弾を手に入れた今、攻撃できるようになった。
ウクライナ国防省が9月2日に発表した統計によると、ウクライナ軍はロシアの大砲システム1,126基、対空戦システム153基、MLRS289基を破壊したとある。
航空防衛
ウクライナ国防省が発表した戦域破壊の統計は、米国と同盟国が提供する防空設備が大きな効果を上げているという米国防総省の直近の報告を裏付ける証拠にもなっている。
国防総省が最近発表したウクライナへの継続的な支援に関する報告書では、レイセオンが米陸軍と最近締結した1億8200万ドルの新型地対空ミサイルシステム(NASMS)納入契約に触れている。この動きは、ウクライナに新兵器を実際に「生産」して納入し、米軍備蓄の枯渇を回避する米国防総省の新戦略を示すものである。
コリン・カール国防次官UnderSecretary of Defense Colin Kahlの説明によれば、米国の新たな取り組みとは、産業界と協力して、長期戦を支援するため新兵器を製造し、米国からウクライナに送り込むことである。カールは、バイデンによる29億8000万ドルの支援策で説明されたこの構想は、ロシア侵略者への対抗を持続させるため、ウクライナ軍を長く維持し、強化することを目的としていると示した。
国防総省高官によれば、NASMSの納入は、ウクライナに防空ミサイルを提供する継続的な努力で最新の進展であるという。この支援活動は、米軍の装備開発展開の加速ぶりを利用したものである。
陸軍の取得・物流・技術担当次官補ダグラス・R・ブッシュDouglas R. Bushは、国防総省報告書の中で、「取得のスピードと機敏性が最優先事項である」と述べている。「本契約の迅速な締結は、陸軍が産業界のパートナーを通じて同盟国へ重要能力を提供する能力が加速化されているのを示すもう一つの例だ」。
ウクライナ国防省が提供する戦争データは、ウクライナの防空能力にさらなる信憑性を与えている。9月2日更新の戦時データによると、ウクライナ軍は234機の航空機、205機のヘリコプター、853機のドローンを破壊したとある。Global Firepowerの報告によると、ロシアが772機の戦闘機を保有しているのに対し、ウクライナは69機である。しかし、ロシアは制空権を獲得していない。
ウクライナがすでに235機のロシア軍機を撃墜しているという事実は、戦争初期に、ロシア戦闘機が「リスクを嫌い」、ウクライナの防空圏内への飛行に消極的だったと国防総省オブザーバーが述べた理由の説明になるかもしれない。
ロシアが772機の戦闘機を運用しており、その多くが運用されていない可能性があるとするGlobal Firepowerの情報が正しければ、ウクライナはすでに3分の1以上を破壊した可能性がある。固定翼機加え、ウクライナ軍はヘリコプターに対して肩撃ち式スティンガーミサイルで大成功を収め、ロシア航空攻撃を無力化した。Global Firepowerによると、ロシアは1,500機以上のヘリコプターを運用しており、ウクライナ側は205機を撃墜したと報告している。これはいくつかの可能性を示唆している。ロシアが実際に運用しているヘリコプター数はグローバル・ファイヤーパワーの想定よりも少ないか、ウクライナ側による破壊の程度を考慮し、ヘリコプター攻撃を控えているかのどちらかだろう。
明らかに、ロシアの航空攻撃を鈍らせ、減速させ、あるいは単に破壊する能力が、これまでのウクライナ軍の成功で大きな要素として浮上している。■
SEP 2, 2022
Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization and the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
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