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ウクライナ戦で落ちたロシア製軍事装備の評価。武器しか工業輸出品がないロシアにとって痛い。しかし、ロシア人はなぜ公然と嘘をつけるのか。

 

Su-75チェックメイトとSu-57ステルス戦闘機。 Image Credit: Creative Commons.

 

クライナ戦争が始まる前、軍事アナリストほぼ全員が、はるかに高度な武器と装備を持つロシアがウクライナを席巻し、数週間で占領すると見ていた。

 

 

 しかし、そうはならなかった。

 その結果、ロシア軍は恐ろしいほどの死傷者を出し、武器や装備の損失も相当なものになった。情報不足、過信、訓練不足、士気の低下など、理由は多数あるが、それ以外の状況も浮かび上がってきた。

 その一つは、ロシア軍の最新兵器が、米国や西側諸国の装備と同等かそれ以上であると宣伝し、海外販売を促進しようとしてきたが、宣伝だけであったということである。実際、ロシアの先端兵器の多くは、宣伝されているほど高度ではない。

 では、なぜロシアの先端兵器が失敗するか。過去数十年間、ロシアはアメリカに追いつくために、新しい戦闘機、ステルス機、新型爆撃機など、多数の装備を作ろうとしてきた。 今回も理由はいくつかある。ロシアの先端兵器と、誇大広告と差がある理由を見てみよう。

 

プーチンの帝国探求が軍事近代化を阻害した

 

プーチンは1999年に政権につき、25年近く政権を維持してきたが、国営の政府系ニュースメディアで本人がシナリオをコントロールしていることも少なからず影響している。国民はクレムリンの言い分だけを受け取るので、プーチンは国民から人気を保っている。自由な報道はなく、肯定的なニュースや出来事を伝える。

 しかし、旧ソ連の崩壊を嘆き、自らを新たなピョートル大帝と公然と喧伝する彼の攻撃性がロシアの先端兵器開発を阻害している。

 軍事目的よりも政治的な目的を優先してきた。ロシア経済は彼が宣伝するほど強固ではないが、それでも彼はソ連時代の戦術であるハイブリッド戦を続けた。ロシア経済はNATOや西側との長期戦に耐えられないので、これで軍事力の使用を節約している。そして、その戦略の一環として核兵器の脅威がある。

 プーチンのドミトリー・ペスコフ報道官は、露骨な警告を発した。「国内安全保障の概念があり、それは公開されている」とCNNに語った。「核兵器が使用される理由はすべて読むことができる。存亡の危機、我が国にとって脅威であれば、我々の概念に従って使用する」。

 ロシア侵攻後の経済制裁は、武器輸出の目標を押し上げている。

 

ロシア兵器は西側チップを内蔵している

 

ロシア侵攻によって打ち出された経済制裁で、ロシア軍も影響を受けている。経済制裁で、ロシアは交換部品や装備品の生産能力を失った。さらに驚くべきことに、ロシア兵器にはアメリカやヨーロッパの技術が大量に組み込まれている。

 6月、ウクライナの諜報機関と協力する米調査官が、ロシア兵器を可能な限り調査した。ほぼすべての兵器に、マイクロチップ、回路基板、エンジン、アンテナなど、西側技術が使われていた。

 戦争が始まり、制裁が課されて以来、ジーナ・ライモンド商務長官Commerce Secretary Gina Raimondoは、チップ不足がモスクワの武器や装備の生産能力を麻痺させているかと聞かれ「無条件にイエス」と答えている。

 「半導体含む輸出規制のカテゴリーでの米国の対ロシア輸出は、2月24日以来90%以上減少した」「だから不自由なのです」

 

ロシアの "先進的 "兵器は先進的ではない

 

ロシアの先進的な兵器の多くは、宣伝文句通りの性能を発揮していない。ロシアはSU-57を 「第5世代のステルス戦闘機」と宣伝している。しかし、Sandboxxニュースでアレックス・ホリングスは、「Su-57は地球上で最悪のステルス戦闘機か?」という正当な質問を投げかけた。

 1980年代のFA-18ホーネットと同程度のレーダー断面積で、ステルスモードを実現するため必要なエンジンがまだ納入されておらず、ロシア航空宇宙軍は第4世代のSu-35Sにも搭載されているサターンAL-41F1エンジンを使用せざるを得なかった。その結果、性能は低下し、ステルス性も失われている。

 モスクワは、センサーとエイビオニクス・パッケージがF-35共用打撃戦闘機に匹敵すると主張したが、航空アナリスト多数は、これは典型的なロシアの威勢の良い発言に過ぎないと考えている。ロシアはSu-57を4機生産すると考えられているが、1機は納入前に墜落した。その結果、現役で使えるのは3機だけだ。

 Kh-101空中発射巡航ミサイル(ALCM)は、ウクライナ目標に対する長距離攻撃で何度も失敗したことで悪名高い。3月には国防総省高官が「発射に失敗するか、標的に命中しないか、接触しても爆発しないかのいずれかだ」と発言して話題になった。

 T-72主戦戦車は、第一次湾岸戦争以来証明された自動装填式砲で設計上の欠陥がある。ロボット戦車ウラン9は、歩兵支援用の進化形と言われていた。30ミリ自動砲、対戦車誘導ミサイル、火炎放射器などで武装している。モスクワによると、操作員から2マイル近く離れても操作できる。これはまったくの誇張された表現だった。

 ロシアはシリアで同装備をテストしたが、ひどい出来だった。戦車が制御装置からの視線から外れると、信号が途絶えた。30mm砲発射にも問題があり、照準が安定しないため移動中に発射することができなかった。また、走行軌道の信頼性が低く、頻繁に現場での修理が必要だった。

 

Su-75

Su-75 artist rendition.

 

 

 リストはまだ続くが、ロシアの最新兵器の正確な姿をお伝えしたつもりだ。

 ウクライナ軍はモスクワを膠着させ、南部のケルソン周辺で反攻を展開中だ。ロシア戦車隊は壊滅状態であり、機甲部隊に古参兵のT-62戦車などを配備している。ロシアの力の神話は、崩れてしまった。

 

Russia's Military Has a Serious Problem: They Can't Build Advanced Weapons - 19FortyFive

BySteve Balestrieri

 

WRITTEN BYSteve Balestrieri

Steve Balestrieri is a 1945 National Security Columnist. He has served as a US Special Forces NCO and Warrant Officer before injuries forced his early separation. In addition to writing for 1945, he covers the NFL for PatsFans.com and his work was regularly featured in the Millbury-Sutton Chronicle and Grafton News newspapers in Massachusetts.


コメント

  1. ぼたんのちから2022年9月1日 19:43

    ロシアが西側に対抗する兵器のレベルは、ソ連崩壊時をピークに低下し、西側兵器の進歩についていけなくなってしまった。プーチンのテコ入れで持ち直したかに見えたが、所詮、日本の1.5倍もない軍事費でできることはたかが知れている。世界最先端の兵器など夢のまた夢であり、核兵器でさえまともに整備できる資金はない。
    しかし、かつてのソ連圏や大ロシアを復活させる妄想に憑りつかれた、危険なロシア国家主義者、プーチンにとって、ロシア軍は、米国やNATOに対抗するものでなくてはならない。ウクライナなど一捻りと考えていただろうが、大きな認識の間違いがあった。
    ウクライナ戦争で目立つのはロシア軍の後進性と兵器の陳腐化である。そしてこれらの事実は、ロシアの兵器ビジネスに大きな影響を与える。
    最も影響を受けるのがCCP中国であり、例えば、PLAの海空軍が使用する第一線の戦闘機やジェットエンジンの多くは、ロシアからの購入やコピーであるから、見掛け倒しの残念な評価になる。
    次に影響が大きいのはインドであり、陸海空軍の装備の多くがロシア製であり、これから時間をかけて脱ロシア装備を調達することになる。そしてこのことは、インドをよりQUAD重視へと向かわせることになりそうだ。

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