スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナ戦におけるロシア戦略爆撃機のミサイル攻撃の現況について: ミッション回数はミサイル在庫減少につれ減る傾向。

  

Russia’s Secretive Long-Range Bomber Operations Against Ukraine

Artyom Anikeev/Stocktrek Images

ウクライナ戦争でのロシアのミサイル搭載長距離爆撃機各型の役割を徹底検証する

クライナ戦争で、ロシアの爆撃機ミッションはほぼ報道されていない。戦術戦闘機やヘリコプターと異なり、爆撃機部隊は、メディアから遮断された状態で運用されている。しかし、ロシアの戦闘作戦において、爆撃機は活発な役割を果たしている。その経緯はこうだ。

プーチン大統領は4月7日、エンゲルスの第121重爆撃機航空連隊(121TBAP)に、ロシア軍部隊としては最も権威のある「衛兵」の称号を授与した。エンゲルスには、ロシアで唯一ヨーロッパ地域に駐留する戦略爆撃機があり、Tu-160ブラックジャックを飛ばす121TBAPと、Tu-95MSベアHを運用する184TBAPがある。プーチンは公式説明の中で、「連隊の隊員が戦闘作戦で示した集団的英雄主義に対して[...]」と述べている。

2022年2月、別のTu-95MS機内から見た、Kh-101巡航ミサイルを搭載したTu-95MS。Russian Ministry of Defense

プーチンはウクライナでの行動に直接言及しなかったが、このタイミングが偶然でないのは確かだ。ジョー・バイデン米大統領がポーランドを訪問した3月26日、ロシアの戦略爆撃機がポーランド国境からわずか10マイルのウクライナ西部のヤヴォリフの軍事訓練場に巡航ミサイルを発射した。同基地は2週間前の3月13日、ロシアの戦略爆撃機が約30発の巡航ミサイル空爆を受けたが、その大半は目標に到達しなかったという。

かなり離れた地点からウクライナに対して危険を冒さずにミサイルを発射した爆撃機の乗組員に、「集団英雄」とはかなり大げさに聞こえる。

モスクワの対ウクライナ戦争での最大の驚きは、ロシアが航空優勢を獲得できないと証明されたことだ。敵防空制圧作戦(SEAD)が失敗し、ロシア軍機はほぼ自軍の支配地域のみで運用されている。Su-34フルバックやSu-35SフランカーによるKh-59ミサイル攻撃を除けば、ウクライナ内部の目標への空爆はロシアの長距離爆撃機のみが行っている。ロシアやベラルーシ上空、あるいはカスピ海やアゾフ海上空から発射される巡航ミサイルを使用している。

ロシアの長距離航空部門は、Tu-22M3バックファイヤBackfire-C、Tu-95MSベアBear-H、Tu-160ブラックジャックBlackjackという3種類の爆撃機で構成し、ウクライナ中部と西部のインフラ(軍備生産・修理工場、戦略燃料供給、飛行場、鉄道施設など)を攻撃している。ロシアは、西側諸国からの軍事装備の供給を阻止するとともに、同国東部で戦うウクライナ軍の装備や資材の輸送を遮断しようとしている。

しかし、こうした攻撃の効果は、今のところ非常に限定的だ。ロシア側の問題点は、長距離巡航ミサイルが座標が判明している大型の静止目標にしか使えないため、武器輸送の妨害やその他多くの目標への攻撃能力が著しく制限されることである。このような作戦に不可欠な空中での情報収集も、ウクライナの西半分にほとんど存在しない。

カルーガと名付けられたこのTu-95MSは、2022年5月10日に公開された写真で、Kh-101ミサイルを4発搭載しているのが見える。Fighterbomber/Telegram

2022年7月、Tu-95MSの下にあるKh-101s。これらのミサイルのレーダー断面積を減らすために設計された低観測設計に注目。 Russian Ministry of Defense

2017年秋のシリア作戦で、Tu-95MSがKh-101巡航ミサイルを発射している Russian Ministry of Defense

Kh-101ミサイルを搭載した戦略爆撃機

ロシアのTu-95MSとTu-160戦略爆撃機は、ウクライナとの最新の紛争に初日から参戦している。これらの爆撃機が現在使用できる通常兵装は、Kh-101(NATOではAS-23A Kodiakとして知られている)巡航ミサイルだけだ。他の選択肢は核ミサイルのKh-55SMとKh-102巡航ミサイルだが、幸いにもこの記事の範囲外である。米国の同等機と対照的に、Tu-95MSとTu-160は通常兵器の自由落下爆弾は搭載できない。

Kh-101ミサイルの重量は4,850~5,290ポンドで、亜音速で低高度を飛行し、約2,175マイルの距離を飛行する。誘導システムは、慣性航法、衛星航法受信機、レーダー地形輪郭適合(TERCOM)、電気光学デジタル風景適合領域相関(DSMAC)システムを組み合わせる。

ロシアはかつて、Tu-95MSとTu-160に搭載可能なKh-555(AS-22クルージ)巡航ミサイルも持っていた。これは旧式の核武装Kh-55(AS-15ケント)巡航ミサイルを通常型に改造したもの。2000年代半ばに未知数(筆者推定では40程度)のKh-55がKh-555に改造された。この在庫は、2015年11月にTu-95MSとTu-160爆撃機が35発のKh-555ミサイルを発射したロシアのシリア作戦で、すでに使い果たされていた。その後、シリアで使用されたとの情報はない。ウクライナから入手可能な画像もKh-101ミサイルしか写っていない。

ウクライナでのKh-101ミサイルの使用も稀になっているが、在庫が枯渇に近くなり、ロシアが同ミサイルを特に重要なターゲット用に温存しているのかもしれない。筆者の計算によると、Kh-101ミサイルの在庫は残り100基以下であり、生産量は月に3~4基を超えない。

ウクライナ領内を飛行するKh-101のスクリーンショット。via author

2022年3月にウクライナに落下したKh-101巡航ミサイルの残骸。 via author

2022年3月にウクライナに落下したKh-101の9E-2648弾頭の2つの外観。ウクライナ国防省. Ukrainian Ministry of Defense

Ukrainian Ministry of Defense

8月24日のウクライナ独立記念日に行われたロシア軍の航空活動は、重要なものであった。ウクライナ国防省によると、ロシア航空宇宙軍はこの日、Tu-95MSとTu-22M3爆撃機による34回、固定翼戦術機による約90回を含む200回のミッションを実施した。その他はヘリコプターや特殊目的機で、空中早期警戒機A-50メインステイや電子戦機Il-22クートBが含まれていた。この戦争が始まったころは、ロシア軍の航空部隊は1日200回の任務をこなしていたが、今は60〜70回が平均だ。このようなミッションのたびに、ウクライナで航空警報が出る。

しかし、この200機が発射したミサイルは8発にすぎない。ロシア西部カルーガ州のシェイコフカに拠点を置く第52重爆撃機航空連隊のTu-22M3爆撃機が発射したKh-22(AS-4キッチン)スタンドオフ・ミサイル8発である。任務の目的が、航空警報でウクライナ人の祝日を台無しにすることがねらいであり、意味のある攻撃に投入できる戦力が減っているのを示唆している。

同様に、9月11日、ハリコフ地区からロシア軍が撤退した後、ロシア軍は報復としてウクライナ電力網を攻撃した。しかし、ここでも標的の多くはロシア国境に近い場所だった。戦術兵器の届かないウクライナ内部は無傷のままだった。ウクライナの発表によると、ロシアはこの日、カスピ海上空からKh-101ミサイルを6発発射し、うち5発を対空防御網で撃墜した。また、黒海の艦船からカリブル巡航ミサイルを発射した。

2022年5月、ウクライナ領内に落下したKh-22Nミサイルの残骸 Ukrainian Ministry of Defense

ウクライナ・キーウの国立航空博物館にて、Tu-22M2バックファイアBと一緒に展示されている冷戦時代のKh-22NAミサイル Piotr Butowski

Kh-22とKh-32ミサイルを搭載したTu-22M3

Tu-22M3中型爆撃機は4月14日から作戦に参加したばかりで、当初はダム爆弾だけを使用していた。ロシア国防省はその日、これらの爆撃機がマリウポルを包囲しているアゾフスタル工場の爆撃に使用されていると発表した。マリウポリ爆撃は、5月初めまで連日続いた。Tu-22M3は500kg(1,102ポンド)爆弾を使用した。また、ロシアの兵器庫で最も重い3,000kg(6,614ポンド)の巨大なFAB-3000を使用したという報告もあるが、確認はとれていない。Tu-22M3は、マリウポルを重力落下爆弾の一斉投下で覆うことができた。マリウポルはロシア軍に包囲されており、爆撃機はウクライナの防空体制を心配する必要がなかった。

ウクライナ奥地の目標に対しては、Tu-22M3は大型Kh-22M、Kh-22N、または新型Kh-32超音速対艦ミサイルを使って攻撃する。(外観はほぼ同じだが、Kh-32の機首レーダーシーカーコーンが短い)。5月11日、作戦開始から初めて、Tu-22M3のコックピットから撮影され、ウクライナに向けミサイルを発射したとされるロシアの映像が登場した。

ラドゥーガKh-22(AS-4キッチン)ミサイルはTu-22M3爆撃機専用となっている。13,000ポンドという巨大なミサイルで、巡航段階にはマッハ3の速度で飛行する。目標に近づくと急降下し、終速マッハ4.15まで加速する。Kh-22の射程は最大217マイル、Kh-32はその2倍の距離を飛ぶことができる。

ウクライナには、93~155マイル離れたベラルーシ上空やアゾフ海上空から発射されることが多い。通常、Tu-22M3はKh-22を1機搭載する。これ以上のミサイルを搭載もできるが、燃料を犠牲にしなければならず、現在Tu-22M3は空中給油能力を有していない。

Kh-22/Kh-32ミサイルを使った空爆は6月後半にかなり頻繁に行われ、ウクライナ情報では、ウクライナは200発のミサイルを受けた(それ以前にも4月からロシアは数十発のミサイルを発射していた)。6月26日、10機のTu-22M3(朝6機、夕4機の2グループ)が、おそらく各2発のミサイルを搭載し、キーウに向けKh-22を発射した。爆撃機はベラルーシ領内のMazyrとPetrykov上空にあり、ウクライナ国境まで約30マイル、キーウまで124マイル弱の距離であった。標的は対戦車ミサイルを製造するArtem工場であったと思われるが、ミサイルは半径数百ヤード以内の多くの民間施設に命中したようだ。

Kh-22、Kh-32ミサイルは精度が低い。これらのミサイルは対艦ミサイルで、アクティブレーダーシーカーを搭載し、大きなレーダー信号を持つ目標に照準を合わせる設計だ。空母を攻撃する場合、空母は海上で目立つ目標なので、これは問題にはならない。しかし、このようなミサイルを陸上標的に発射した場合、それが工業工場の屋根なのか、ショッピングセンターの屋根に当たるのか、わからないことが、6月27日にクレメンチュクで起こった。このとき、ミサイル(おそらくKh-32)はショッピングモールに命中し、民間人多数が犠牲となった。このようなミサイルで都市部ターゲットを攻撃するのは、明らかに意図的であり、民間人の死傷者を出すことはほぼ確実である。

2022年6月27日、クレメンチュクのショッピングセンターへのミサイル攻撃は、Kh-32が使用された可能性が最も高い。

ソ連時代のKh-22ミサイルの在庫は大量にあり、賞味期限は迫っている。皮肉なことに、廃棄するよりウクライナに撃ち込んだ方が安上がりになる。9月上旬の時点で、Kh-22はウクライナでロシア長距離航空が最も多く使用している弾薬である。新型Kh-32はかなり少なく、開戦時の在庫は100~150発程度のようだ。

2月上旬、ベラルーシ上空を哨戒飛行するためにシェイコフカ空軍基地から離陸する2機のTu-22M3のシーンです。Russian Ministry of Defense

 

2022年6月、シェイコフカで、Kh-22またはKh-32ミサイルを搭載する準備が整ったTu-22M3が見られる。 Google Earth

2022年2月19日、ウクライナ侵攻直前、キンザル弾道ミサイルを搭載したMiG-31K/Iで出撃準備する乗組員。 Russian Ministry of Defense

同上のMiG-31K/Iが出撃している. Russian Ministry of Defense

 

2022年7月、サヴァスレーカ空軍基地で撮影されたキンザル対応のMiG-31と同ミサイル(丸で囲んだもの)。. Google Earth

MiG-31K/Iキンザルの戦闘デビュー

ロシア長距離航空の最新機体は、極超音速弾道ミサイルを1発搭載できるよう改良されたMiG-31フォックスハウンド重迎撃機だ。MiG-31K(MiG-31Iとも呼ばれる)機と9-S-7760ミサイルで、9-A-7760キンザル(短剣)攻撃システムを形成している。2021年12月、モスクワの東190マイルにあるサヴァスレイカに最初のキンザル連隊が設立された。

2022年3月18日、MiG-31がルーマニア国境から44マイル離れたウクライナ西部のデラティンの弾薬庫に、この極超音速ミサイルの1つを発射したと報道が出た。ロシア国防省は、この攻撃はキンザル・ミサイルによって「1,000km以上離れた地点から」(つまりロシア領上空から)行われたと発表し、ミサイルの飛行時間は「10分未満」、つまり時速3728km以上で飛行したとされた。これはキンザル・システムの初の実戦運用であったが、ロシア側の主張に疑問が残り、特に標的が疑問だ。

2日後、ロシア側はキンザルがウクライナ南部のコンスタンチノフカの燃料・物資貯蔵所を攻撃したと発表した。ミサイルは「クリミア空域から」発射されたとされ、その距離は186〜249マイル(約940km)である。

3回目の4月11日、キンザルは、ロシア軍の占領地域からわずか20マイル離れたドンバス地方のチャシフ・ヤール村にある「ウクライナ軍司令部」を攻撃した。9月上旬の時点で、ロシアはキンザルを再び使用したと言っていない。8月7日にもキンザルが使用され、ヴィニツィア地方の軍事施設を攻撃したというウクライナ発表があったが、これは確認されていない。

ロシアがほとんど語らない他の長距離空爆兵器とは異なり、キンザルは大きく宣伝されている。ロシア国防省は、ウクライナで同ミサイルを使用するたびに、シリアやバルト海への配備を公表しているようだ。8月21日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、キンザルがウクライナで3回使用され、「3回とも、世界の類似ミサイルにない輝かしい特性を示した」と述べた。それが本当なら、なぜこの兵器がこれほどまで使われなくなったのか、疑問が残る。

実際には、キンザルはゲームチェンジャーとは言い難い。その性能は、Tu-22M3が搭載したKh-22/Kh-32と大きな違いはない。もちろん、キンザルミサイルはKh-22よりも2倍速く飛び、撃墜も難しいが、この戦争でほとんど違いはない。ウクライナの対空兵器も同様に、両者に対して制限されている。おそらく、短距離弾道ミサイルのイスカンダルから派生したキンザルの方が精度が高いのだろう。一方、Kh-22の弾頭(約2,000ポンド)はキンザルとほぼ同じ威力だが、運動性能でキンザルが優位だ。

2022年2月のMiG-31K/Iの飛行ラインの別の様子、最も近いジェット機がKinzhalミサイルを搭載して発進する準備をしている。ロシア国防省

ひとつ考えられるのは、2018年にキンザルの存在を発表したのがプーチンで、それ以来、指導者のお気に入り兵器になっているため、キンザルの使用が大きく取り上げられたということである。また、ロシア独自の兵器であることが誇りであり、プロパガンダ的な価値もある。

生産が始まったのは最近だが、ロシアが同ミサイルを何基保有しているか分かっていない。ウクライナ情報機関によると、戦前のキンザルの総在庫は35〜40を超えなかったという。

ウクライナで発見されたKh-101巡航ミサイルの残骸から取り出された電子機器。 Ukrainian Ministry of Defense

 


減り続けるミサイル在庫


現時点では、ウクライナ戦争でロシアの長距離航空が直面する最も深刻な問題は、兵器の補充だ。機体や搭乗員の数は多くても、ミサイル在庫は急速に減少しており、追加生産は限られている。


ウクライナでロシア製兵器の残骸が発見されたことで、以前から知られていたとおり、外国の電子部品が多く確認された。例えば、ウクライナ領内に落下したKh-101ミサイルの誘導装置(衛星航法受信機SN-99)から、そのようなものが発見された。


西側による電子機器の禁輸措置が有効ならば、包括的な国際制裁とあわせ、ロシアにおけるこの種のハイテク兵器生産を実質的に阻止できる。しかし、使用されている部品の多くは高度なものではなく、かなり広く入手可能であるため、禁輸措置を実施することは容易ではない。リサイクル部品や、もちろん中国が供給する可能性のある部品もワイルドカードとして残る。


しかし、ロシアが空中発射型スタンドオフ兵器の備蓄を減らし、それを補充することが、特にタイムリーに行えない現実は変わらない。このことを考えると、紛争が長引くにつれ、ロシアの長距離機の参加は減っていく可能性が高い。■


Russia’s Secretive Long-Range Bomber Operations Against Ukraine

BYPIOTR BUTOWSKISEP 14, 2022 12:25 PM

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ