スキップしてメイン コンテンツに移動

台湾防衛:F-35、攻撃型潜水艦、海兵遠征部隊、さらに域内同盟国が迅速に動けば中国の台湾攻撃を阻止できる

 

米国と同盟国の第5世代航空戦力が十分な速度で対応できれば、台湾海峡で制空権は迅速に確立できる

国が台湾を揚陸攻撃するために海上戦力を増強すれば、米国や同盟国の監視衛星や商業衛星でさえ確認できる可能性が高い。しかし、急成長する中国海軍の規模と殺傷力を考えれば、そのような見通しは明らかに、国防総省、台湾、太平洋地域の同盟各国に大きな脅威を与えている。

特に中国が準ステルス性の055型駆逐艦、新型075型飛行艇、運用可能な空母2隻からなる艦隊を出現させていることを考えれば、このような不測の事態での防御は極めて困難に思われるかもしれない。阻止できるだろうか?

このような脅威があるからこそ、米海軍は同盟国との共同パトロールや、空母2隻での作戦など戦争準備訓練を続けているのだろう。中国の台湾侵攻を阻止する鍵は、水上艦艇の「前進」だけではなく、米国の海中・航空優勢で決定される可能性が高い。もちろん、米海軍のヴァージニア級攻撃型潜水艦は、静音化技術でステルス性を高め、魚雷を装備し、敵の島や海岸線付近で秘密裏にISR任務を遂行できるため、台湾に近づく中国船を探知し攻撃するには最適の立場にある。

F-35B

F-35B

Lockheed Martin

米国は現在、F-35数百機を運用し、太平洋で定期的に「前方哨戒」と抑止の任務に従事させていることから、米国と同盟国のもう一つの利点は間違いなく空からもたらされるはずだ。簡単に言えば、米国と同盟国の第5世代航空戦力が十分な速さで対応できれば、台湾海峡上空の制空権を迅速に確立できるように思われ。これは決定的であり、最終的には潜水艦とともに、接近する中国軍を撃破するための米海軍で最良の機会となり得る。

中国は第5世代ステルス機J-20を少数運用しているが、陸上から展開しなければならず、海上で接近し活動するのは不可能だまた、空母から運用するJ-31第5世代機を開発中だ、初期段階にあり、信頼できる数はない。また、おそらく最も重要なことは、中国は海兵隊のような F-35B 垂直離着陸型第5世代航空機を保有していないため、影響力のある規模の第5世代航空機で海上戦の前方作戦を行うことが困難である点だ。確かに、中国の台湾への揚陸攻撃は、いかなる形であれ、航空優勢がなければ非常に困難であり、米国と同盟国のF-35の数と近接性を考えると、達成できない可能性が高い。

例えば、アメリカ級揚陸強襲艦は、13~15機のF-35Bを搭載でき、空母から発進するF-35Cで補完すれば、制空権を迅速に確立するのに十分な位置づけとなる。なぜか?J-20やJ-31に米国の第5世代戦闘機に匹敵する能力があるとしても、米国と連携した第5世代編隊に対抗できる数は存在しないからだ。有名な孫子の言葉を借りれば、「質量が重要」である。これは一見、時代を超えた概念だが、極めてハイテクな戦争環境の今日でも当てはまる。

J-20とJ-31に関しては、ペンタゴンの各種報告書やウィットマン含む議員は、中国の第5世代ステルス戦闘機技術の多くがアメリカから盗んだものに見えると落胆を表明している。中国による米国兵器仕様のサイバー窃盗は、米国議会の報告書や国防総省のニュース記事、十分なソースに基づく独立系論説などで、米国の深刻な懸念として公然と議論されている。確かに、J-31の外観構成を見れば、ステルスで混合翼ボディのF-35と驚くほど似ている。J-20は、F-22とF-35の両方と外観が似ている。

 

J-20

J-20

CCTV

「J-20の技術のほとんどがアメリカから盗まれたものなんだ。しかし、私たちはそれに対処しなければなりません。しかし、それは私たちの技術を保護するために何をしなければならないかを思い出させてくれるはずです。また、F35ブラボー(F-35B)、アルファ(F-35A)、チャーリー(F-35C)は非常に高性能な機材であり、私たちが次のステップに進もうとしていることを思い起こさせるものです」とシーパワー兵力投小委員会の委員るロブ・ウィットマン下院議員Rep. Rob Wittman(共バージニア州選出)は、ウォーリアーとのインタビューで、「これらの機体をどう活用し、他のプラットフォームも使える領域に移動するべきか」と語っている。

しかし、中国と米国の第5世代航空機の本当の差は、外形と全く関係のない技術や性能パラメータにあるようだもちろん、レーダー吸収材の性質や効果は重要であり、それは中国機について十分に知られていない可能性があるが、ステルス構成だけでは優位性や航空優勢の確保は十分ではないだろう。

中国のJ-20、J-31、F-35を比べれば、高性能な機体は、コンピューティング、AIによるデータ管理、センサー範囲と忠実度、武器範囲と精度の質で決まる可能性が高くなる。例えば、空軍のウォーゲーム演習でF-35が見せたように、F-35は次世代コンピュータを使ったセンシングとオンボードコンピューティングにより、安全な距離から敵機を発見し破壊することができる。このような能力をF-35がしばしば実証しており、優位性を確実にする。したがって、どの航空機が優れているかという答えは、米国の第5世代機と比較した場合の中国の第5世代機の航続距離、照準、感知能力など、多くの未知の、あるいは決定困難な変数と関係する可能性がある。

ウイットマン議員は、3隻構成の海兵隊遠征部隊(MEU)の前方に配置されたF-35米軍揚陸攻撃隊が、中国の台湾侵攻に対して重大な障害となると見ている。

「MEUは、3隻とLPD、LHAで構成され、完全配備されています。このプラットフォームと全体像がもたらすものは、中国にとって脅威となります。特に、台湾で揚陸作戦を行おうとする場合、台湾に上陸し台北を奪取するためには、部隊が大きな障害になるのです。向こう側に補完装備はない」とウィットマン議員は述べた。

 

J-31

J-31

Chinese Internet

たしかに中国は空母から発進する第5世代機J-31や、水陸両用攻撃艦から運用できる垂直離陸型の第5世代機を十分な数保有していない。中国は、新世代の075型揚陸艦の建造を急いでおり、3隻目が建造中である。しかし、これらの艦はヘリコプター運用はできても、第5世代航空戦力を備えているようには見えない。したがって、中国が揚陸作戦で進攻する場合、米国、日本、韓国の第5世代航空戦力で完全に破壊される可能性が極めて高いことは、ある程度自明であると思われる。

中国による台湾への攻撃を抑止または破壊する上で最も重要な要因は、米国の同盟国だろう。米海軍が、飛行艇、無人偵察機、第5世代航空機で武装した空母二隻と海兵遠征隊で十分に「前進」していれば、攻撃してくる中国の揚陸部隊を破壊できないまでも、対抗できるだけの時間的余裕をもって到着できる可能性がある。

例えば、日本と韓国は共にF-35の保有国であり、日本は弾道ミサイルを追跡・迎撃するイージス戦闘システムを運用する米国のパートナーである。太平洋にいる日米艦艇は、台湾に向かう中国の弾道ミサイルを探知し、打ち落とすことができる位置にある。台湾への攻撃では、中国沿岸から台湾に弾道ミサイルの一斉発射が先行することがほぼ確実であるため、これは非常に重要である。

「中国を最も効果的に抑止する方法は、日本やオーストラリアなど同盟国が迅速に戦闘に参加できることを中国に知らせることである。問題は、どれだけ早く軍を集められるか?そして、どれだけ早く同盟国を現地に連れて行けるか?それが鍵になる。なぜなら、この地域のすべての同盟国が、必ずしも最初から戦いに参加するとは限らないからです。だから問題は、どうすればより良い方法で、迅速かつ効果的に、同盟国を活用できるかということだ。とウィットマン議員は語った。

国防総省は、日本、韓国、オーストラリアなど太平洋地域の主要な同盟国との連携、共同訓練、戦略イニシアチブを強化・拡大する取り組みを加速している。このような同盟関係は抑止態勢で最も重要である一方、極めて高い戦闘能力を持つ戦力となり、急速に成長し続けている。例えば日本は最近、数十億ドル規模のF-35を購入したが、これは第5世代機を台湾や中国との国境に近づける動きである。韓国もF-35を導入しており、近年は米国のF-35と共同で戦域維持活動としてパトロールを行っている。

第5世代航空機の近接性に加え、Global Firepowerによれば、日韓両国で約100万人の兵士を擁する大規模な地上軍を保持していることは、極めて重要である。台湾侵攻に対する米国の対応は、台湾が併合される前に、空や海から攻撃してくる中国軍を破壊することを望むのは確かだが、米国と同盟国は、台湾を占領する中国軍を強制的に「追い出す」準備も必要であると認識している。

台湾がエイブラムス戦車など地上戦用プラットフォームの調達を続けているのは、このような事態を想定してのことだろう。しかし、第5世代ステルス機の制空権と長距離攻撃、数百万人規模の地上部隊があれば、米日韓の部隊が中国を台湾から追い出し、台湾を奪還することは現実的に思えてくる。しかし、そのためには、移動が困難な重装甲兵器を配備し、水陸両用で上陸できる安全な橋頭堡が必要だ。海軍の遠征用高速輸送船、Ship-to-Shore Connectorなど、エイブラムス戦車を船から海岸に輸送できる手段はたくさんあるので、このような作業は決して不可能ではない。攻撃型潜水艦と第5世代の航空戦力は、中国の揚陸攻撃部隊が台湾に到着する前に、完全に排除するか無力化するのに十分な位置にあると思われるため、中国は攻撃を明らかに避けるべきだろう。

「数週間前だが、キャンプ・ペンドルトンに神話の人物を訪問し、とても光栄に思った。スミス将軍と一緒にキャンプ・ペンドルトンから、USSマキンアイランド艦上の第13MEUを視察した。海兵隊員や海軍隊員は、F-35やV-22をフル装備しており、誇らしく思った」とウィットマン議員は、「信じられないほどの戦力の艦だ」と語った。

ウィットマン議員は、海軍海兵隊がこのシナリオを念頭に置き戦略文書を作成し、戦術を練り上げているのを嬉しく思うと述べた。

「いいかね、わがほうの海軍海兵隊員諸君は信じられないくらい直面刷る問題をこのように分的的に考えており、同時に信じられないくらい創造性と想像力を発揮して 中国が潜在的に我々に課しているリスクという複雑な問題を解決しているんだ」(ウィットマン議員)■

How US F-35s & Attack Subs Could Destroy a Chinese Amphibious Attack on Taiwan - Warrior Maven: Center for Military Modernization

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN - CENTER FOR MILITARY MODERNIZATION

SEP 16, 2022

Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization and the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...