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テンペストの開発はどこまで進んでいるのか。展望と日本、イタリアの関与度合いは。

  

Leonardo illustration

 

4年前のファーンボロー航空ショーで発表されたテンペスト戦闘機計画は、ヨーロッパに旋風を巻き起こした。同プログラムは新たな実証機と国際パートナーシップ確保に照準を合わせ、関係者は将来の戦闘につながる機体の実現を期待している。

 

 

英国防省は、今年の航空ショーで、テンペスト未来戦闘航空システム(FCAS)による次世代飛行実証機を2027年に飛行させると発表した。また、防衛関連企業は、最終製品に向けどの技術を構築し、試験を行っているのか、詳細を明らかにした。

 

同プログラムでは、有人型または無人で運用でき、スウァームとして知られる小型無人機多数を制御可能な第6世代戦闘機を想定している。国防省によると、実証機は「ステルス対応機能」の統合など、最終的な戦闘機に搭載される新技術のテストを目的とする。

 

超音速実証機は、技術テストに加えて、2035年までに次世代ジェット機を運用開始するため開発者が使用するスキル、ツール、プロセス、テクニックを紹介し、テストする。

 

新しい実証機に加え、英政府は日本との新たなパートナーシップを航空ショーでアピールした。三菱重工業が主導する日本のF-X戦闘機プログラムは、テンペスト戦闘機とともに、プログラム最適化につながる情報を共有し、学んでいく。

 

国防省のリチャード・バーソンRichard Berthon未来戦闘機担当部長は、英軍が日本と協力条約を結び120年経つと述べた。

 

日本の協力範囲は未定だが作業関係は軌道に乗っているという。

 

「エンジニアリング面では、軍と連携がうまくいっていると思います。私たちは、価値観や機会を共有し、ミッションを共有しているという実感があり、とてもエキサイティングだ」(バーソン)。

 

ベン・ウォレス英国防相は、日本やヨーロッパのパートナー、イタリアとの「最先端」の技術協力は、世界における英国の同盟関係の際立った利点であると、声明で述べた。

 

フォーキャスト・インターナショナルのヨーロッパ、アジア、オーストラリア、環太平洋地域担当上級アナリスト、ダン・ダーリング Dan Darlingは、日本がF-Xステルス戦闘機を発表したのとほぼ同じ時期にイギリスはテンペスト開発を開始したので、協力は「自然のパートナーシップ」のように思える、と言う。

 

「日本との提携で技術革新を共有することは非常に理にかなっています」。

 

英国が大規模戦闘機計画を実施するのは、大きな後ろ盾がなければ難しい、と彼は付け加えた。イギリスはF-35戦闘機の第一級国際パートナーで、第五世代機を開発せず第六世代機を作るのは困難だ。

 

このパートナーシップは、宇宙などの防衛分野での協力の出発点となり得ると、彼は付け加えた。両国には「非常に野心的な」宇宙開発プログラムがあり、これを活用できる、という。

 

「常に大局的な視点が必要だ。航空機だけではないのです」。

 

一方、テンペスト開発におけるこの4年間は驚くべきものだったと、レオナルドUKの主要航空プログラムのコリン・ウィルスColin Willsは言う。元戦闘機パイロットであるウィルスは、BAEシステムズロールスロイスMBDAミサイルシステムなどが国防省と密接な協力を求めたプログラムに最初にサインしたとき、「少し懐疑的」だったと言う。

 

「昔は、逆でした。国防省は、産業界に対して、『これが我々の望むものだ、さあ、作ってみろ』と言うのです」と、彼は航空ショーで述べている。

 

しかし、今回の新しい没入型アプローチはうまくいっていると言う。

 

「当社は『チーム・テンペスト』として、コンセプト立案と運用分析のレベル、それ以上のレベルでの重要なメンバーとして、本当によく働いています」。

 

ウィルスは、チームの協力の1つにデジタル技術の活用があるという。例えば、英国北部にあるBAEシステムズが主導する実証実験では、合成モデリングとモデルベースシステムエンジニアリングを使用している。

 

ウィルスは、デジタル・システムによって、エンジニアやプロジェクト・リーダーが戦闘機プロトタイプを以前より速く設計できるようになったと述べている。

 

「各地の安全なビデオ会議を通じコミュニケーションできるため、一緒に行うことができる」「このため、アイデアを急に変更する必要が生まれても、すぐに実行できる」。

 

レオナルドU.K.は実証機に取り組む一方で、飛行テストベッド機材に向けた技術にも熱心に取り組んでいると、ウィルスは述べた。

 

レオナルドがテンペストプログラム用に開発中のステルス対応機能の1つが、多機能無線周波数システム、センサースイートレーダーだ。同社の主な作業は、統合センシングと非キネティック効果を飛行テストベッド機のボーイング757 Excaliburに接続することだ。

 

「従来の標準レーダーより高性能です。しかし、詳細については、話すことができません」。

 

センサーは機首に設置される可能性が高いが、機体の他の部分に追加される可能性もある。最終的な位置は、イタリアや日本との共同分析を含め、このコンセプトの解析が進行中のため未定だ。

 

「最終決定は、今後数年のうちに、国やコンソーシアムとして何を望むか、どの程度の大きさにするか、どのような形状にするかなど、段階を経て行われます。搭載センサーの種類やサイズも検討します」(ウィルス)。

 

多機能無線システムに加え、レオナルドは電子戦攻撃、支援、保護機能を提供する。赤外線脅威への防御も搭載する。

 

ロシアはウクライナ侵攻後の軍事作戦で、電子戦を多用している。

 

センサーはすべて、現在F-35を含む第5世代のステルス戦闘機で動作する、とウィルスは指摘する。レオナルドの新しいセンサー群が次世代にジャンプするのは、センサー処理システムであると彼は言う。

 

ウィルスは、これを「デジタルバックボーンを持つ多機能処理システムコンピュータ」と表現した。その目的は、センサーが送るすべての情報を取捨選択し、パイロットの負担を軽減することと説明した。

 

すべてのセンサーデータが同じ精度になるとは限らない。例えば、敵ジャマーによる偽情報を検知・遮断し、最も正確な画像を提示することができる。これは、敵が狙うセンサーを自動的にオフにして実現する。

 

「今のところ、すべて人間の脳が行っており、戦争の霧の中ではかなり厄介なことなんです」(ウィルス)。

 

レオナルドがテンペストにオープンシステムアーキテクチャを採用したことは、開発プロセスと第6世代機への移行で極めて重要だ

 

「アルゴリズムの改良が必要な場合、オープンシステムアーキテクチャの採用で、より容易に行うことができるようになる」。

 

能力の最終設計は、紛争環境での戦闘に備えることに帰着する、とウィルスは述べている。

 

「潜在的な敵能力を知る必要があります。そして、作戦分析、ウォーゲーム、合成環境試験を通じて、『この能力を持つシステムがあった場合、どのように対処するのか』という分析を行います」。

 

イタリアのレオナルド本社がこのプロジェクトにどのように関わるかは、まだ完全には決まっていないという。「レオナルド・イタリアが関わらないわけではない......が、現在進行形です」とウィルスは言った。

 

レオナルドがセンサーを扱う一方で、MBDAミサイルシステムズ英国支社は、独自の武器効果管理システムを提供している。

 

MBDAの戦闘機プログラムのチーフエンジニアであるアンガス・ペンライスAngus Penriceは、有人型・無人機のチーム編成の拡大や、現代の戦闘空間における無人飛行体の多用により、戦闘空間は複雑になっていると述べている。

 

MBDAの管理システムは、機械学習と人工知能を利用し、複雑な環境を平易にするという。MLとAIベースのソフトウェアは、レオナルド製センサーの助けを借りて、脅威を特定し、どの武器を採用するのが最適かをパイロットに伝えることができる、とペンライスは航空ショー会場で述べた。

 

同プログラムはまだ計画・設計段階であるため、武器管理システムに関連するハードウェアのオプションについて「具体的に説明するのは時期尚早」と述べた。

 

ロールス・ロイスは、飛行実証機の一部となる「オルフェアーズ」と呼ばれる新エンジンを発表した。ロールス・ロイス・ノースアメリカのCEOであるトム・ベルTom Bellは、防衛部門におけるグリーンテクノロジーの将来についてのパネルディスカッションで、同エンジンのプロトタイプを宣伝しました。ガスタービンエンジンの同プロトタイプは、18ヶ月で組み立てられ、評価されたという。

 

国防省は、テンペスト関連企業が開発中の能力以外にも、次世代の航空生存能力を開発している「チーム・ペローニャ」Team Pelloniaという別の技術協力による能力の追加も検討している。

 

空軍副司令官リンカーン・テイラー少将Air Vice-Marshal Lincoln Taylorは、「高度脅威から機体を守るその能力は、次世代戦闘機計画含む各種航空プラットフォームに通じる」と述べている。

 

同ログラムでは、スパイラル方式で、レオナルド(英国)、タレス(フランス)、ケムリング(英国)の技術を、早ければ2023年に機体へ統合すると、少将は述べている。■

 

U.K. Fighter Program Edges Closer to Runway

9/2/2022

By Meredith Roaten


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