2022年4月30日土曜日

スウェーデン、フィンランド両国のNATO加盟を招いたのはプーチンの誤算、それとも織り込み済みのリスク?

 

 

 

 

 

ィンランドとスウェーデンのNATO加盟は可能性が高い。ロシアのウクライナ侵攻は、両国で世論を一変させ、2004年にバルト三国とバルカン諸国が加盟して以来、初の大幅拡大となる政治プロセスが開始された。NATOは、プロセス開始にオープンで、意欲的にも見える。ではなぜここにたどり着いて、どこへ進むのだろうか。

 

 

 

歴史の経緯  

フィンランドとスウェーデンは、それぞれ独自に中立の道を歩んできた。ナポレオン戦争終結後、スウェーデンはヨーロッパの勢力均衡政治に深く関与するのを避けてきた。第一次世界大戦、第二次世界大戦双方で、西側連合国、枢軸国双方から脅威を受けても、スウェーデンは参戦を回避した。スウェーデンの中立へのこだわりは、NATOとの関係が深まった現在でも根強く残ったままだ。

 一方、フィンランドは、1809年のフィンランド戦争でロシアがスウェーデンに勝利した後、ロシア帝国に帰属することになった。大公国としてのフィンランドは、ロシア帝国の一部として準自治権を長く享受した。第一次世界大戦末期にロシアが崩壊すると、フィンランドは独立を宣言した。フィンランドはドイツ皇太子を君主に選出したが、ドイツが間もなく連合国に降伏したため、協定は終了した。その後20年間にわたりフィンランドは独立を保ち、ソビエト連邦を警戒しながら平和を保っていたが、1939年、ロシア侵攻で冬戦争が始まった。1941年6月、敗れたフィンランドはナチスドイツのソ連攻撃に加わったが、最終的にはソ連軍が勝利し、1944年に降伏を余儀なくされた。フィンランドは民主制度の維持を許されたが、外交政策は大きな制約を受けることになった。

  

変化

中立は、領土拡張戦争に反対する規範がある限り、機能する。だが規範が破綻すると、各国は別の選択肢の模索を迫られる。この問題に対するロシア外交は軍事的、政治的な脅威でフィンランドとスウェーデンをNATOにさらに接近させてしまった。

 フィンランドとスウェーデンは、過去20年間、NATOと幅広く協力してきた。両国の軍事組織はNATO諸国の軍事組織と連携し、経験を積み、装備はその他NATO加盟候補国の装備よりも適合性が高く効果的であることは間違いない。スウェーデンとフィンランドは、スカンジナビアの中立性に関して長く協力関係を築いており、NATO加盟の機会が生まれるかを予想していたほどである。従って、両国が足並みを揃えて前進することには全く違和感がない。

 

資産か負債か

エコノミスト誌が指摘しているが、フィンランドのNATO加盟は、ロシアとの陸上国境線を一気に倍増させることになる。これにより、極北のロシアの立場は、相当脆弱になる。スウェーデンの加盟は、ゴットランド島を同盟の責任範囲とし、バルト海におけるロシアの海軍作戦を大きく狭める効果を生む。スウェーデンもフィンランドも大規模かつ近代的な軍を保有しており、スウェーデンの場合は欧州最大かつ最も洗練された防衛産業基盤に支えられている。スウェーデン国防省は、欧州全域の防衛ネットワークに緊密に統合されているが、NATO同盟に直接参加することで、統合度をさらに深めるだろう。 

 問題はすべて機会になる。フィンランドとスウェーデンが同盟に加われば、ロシアの脅威を受ける地域が増えると指摘するアナリストもいる。しかし、ウクライナでのロシア軍の活動ぶりを見る限り、フィンランドとスウェーデンは「資産」の側にしっかりと立っている観がある。フィンランドがF-35Aの64機導入を決定したことで、ロシアは北方における脆弱性が大幅増加した。また、有事にはフィンランド国内飛行場にNATO加盟国の航空機を投入する可能性もあり、ロシアは大きなリスクにさらされる。

 最後に、フィンランドの完全加盟で、NATOはロシア北方へのアクセスを現在より拡大する。 NATOは今でもノルウェーの北極圏を利用しているが、フィンランドへのアクセスにより、北部のロシア軍の配置、特にロシア北方艦隊の基地や弾道ミサイル潜水艦部隊の情報を入手する可能性が増える。 

 

NATOがやってくる

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟の決定は、重大だが驚くべきことでもない。モスクワがこの動きをウクライナ侵攻の結果として予期していたかは不明だが、お決まりの脅しはしても、ウクライナ加盟の可能性のときほど攻撃的な反応は見せていない。ロシアはフィンランドとスウェーデン両国の加盟を、ウクライナとの戦争に伴う、必要コストとして「織り込み済み」にしているのかもしれない。またロシアは軍事力を行使する明白な意志を示すことで、両国への抑止効果を期待していたのかもしれない。スカンジナビアでNATOが陣容を完成すると、ロシアとの長期的な対立が確実になっても、現時点で、将来の関係が大きく暗転するとは想像しがたい。

 底流からは逃れられない。プーチンの侵攻により、ウクライナで決定的に勝利しても解決できないほどロシアの安全保障を低下させている。■ 

 

The Price Of Putin’s Ukraine Invasion: Sweden And Finland Join NATO

https://www.19fortyfive.com/2022/04/the-price-of-putins-ukraine-invasion-sweden-and-finland-join-nato/

ByRobert FarleyPublished8 mins ago

 

Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School at the University of Kentucky. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020).

In this article:featured, Finland, NATO, NATO Expansion, Putin, Russia, Sweden, Ukraine


ウクライナ戦:黒海のロシア海軍はイルカで特殊部隊の水中侵入を阻止?動物愛護勢力が黙っていていいのか?

 


H I Sutton Illustration for USNI News

 

シアが訓練されたイルカを黒海の海軍基地に配備して防御させていることがわかった。

 

 

 ロシア海軍は、セヴァストポリ港の入り口にイルカの檻を2つ設置した。衛星画像を調べたところ、イルカ檻はウクライナ侵攻の始まった2月に移設されていた。

 セヴァストポリは黒海にあるロシア海軍の最重要の海軍基地で、イルカは、米国とロシアがともに訓練してきたダイバー対応に使用され、ウクライナ特殊部隊の港内侵入と軍艦への妨害工作を防ぐのがねらいか。

 衛星写真を見ると、港内部には、ウクライナのミサイルの射程圏外とはいうものの、海中破壊工作に弱いロシア海軍の重要艦船が多数存在している。冷戦時代、ソ連海軍は黒海でイルカ訓練含む、海洋哺乳類プログラムを開発した。その部隊はセヴァストポリ近郊のカザチヤ・ブフタを拠点と、現在もその場所に存在する。

 1991年のソビエト連邦崩壊に伴い、同部隊はウクライナ軍に移管され、かろうじて存続してきた。2014年のロシアによるクリミア併合で、同部隊はロシア海軍の管理下に置かれた。その後、海洋哺乳類プログラムが拡張され、運用が再開された。

 

H I Sutton Illustration for USNI News Satellite image ©2021 Maxar Technologies Used with Permission

 

  これは、ここ10年間にわたるロシアによる海洋哺乳類プログラムへの再投資の一部で、黒海艦隊の他北極圏での別の作戦も含まれる。

 北極圏では、ロシア北方艦隊は各種海洋哺乳類を使用している。シロイルカとアザラシは、黒海で使用されているバンドウイルカより脂肪層が厚く保温性が高いため、寒さ対策に優れている。

 近年は北極圏での活動も活発になっている。海軍の秘密基地であるGUGI(深海研究部Main Directorate Of Deep Sea Research)のオレニア・グーバにもシロイルカの檻が設置された。この組織は、ロシア軍の重要な海底諜報資産を担っているとされる。

 2019年4月23日、ノルウェー北部に訓練されたシロイルカが姿を現した。BBCによると、地元では「Hvaldimir」と呼ばれており、このクジラはロシア海軍プログラムから逃げ出したと考えられている。

 ロシアで海洋哺乳類の利用が増える兆しを見せているのは、北極圏だけではない。衛星写真によると、2018年には黒海艦隊のイルカが、シリアのタルタスにあるロシアの地中海海軍基地に数カ月間配備されていた。その際の配備に使われた移動式囲いは、現在セヴァストポリ港に配置されているものと非常によく似ている。

 ウクライナがセヴァストポリで水中から特殊作戦を計画しているかは不明である。しかし、イルカはダイバーに対する有効な防御手段として、海軍のアナリストの間で広く認識されている。■

 

Trained Russian Navy Dolphins are Protecting Black Sea Naval Base, Satellite Photos Show - USNI News

By: H I Sutton

April 27, 2022 3:58 PM


About H I Sutton

H I Sutton is a writer, illustrator and analyst who specializes in submarines and sub-surface systems. His work can be found at his website Covert Shores.


米特殊作戦部隊はウクライナ戦をこう見ている。20年を対戦闘員戦に注力して、変革に取り組むが、予算増が厳しい。

 

 

シアによる2カ月に及ぶウクライナ戦から、米国の特殊作戦部門は教訓を少なくとも2つ得ている。まず、米国が過去20年で培ってきた国際的パートナーシップが、大きな役割を果たしている。そして、無人機がさらに大きな役割を果たしている。

空軍、陸軍、海軍、海兵隊の各特殊作戦司令部の指導部はいずれも、水曜日の上院軍事委員会の新興脅威・能力小委員会で証言した。公聴会の焦点は、一般的な即応性と2023年要求での予算不足分だったが、質問の多くはウクライナに集中した。

アイオワ州選出の共和党ジョニ・アーンスト上院議員Sen. Joni Ernst, R-Iowaは、「侵攻後のリスクは何か」と質問した。「EUCOM米欧州司令部のこれまでの業績とプレゼンスを拡大する必要があるのはどこか」。

陸軍のジョナサン・ブラガ中将 Lt. Gen. Jonathan Bragaは、ロシア侵攻によって、東ヨーロッパ全域で「長年にわたる世代を超えた関係」を引き続き拡大する必要性が「強調」された、と答えた。

「ロシアと中国の脅威の規模と範囲を考えると、米国だけで対応はできないだろう」とブラガ中将は述べた。「そのため、国際的なパートナーについて、更に各国の能力と能力を高めることがいかに重要であるかについて話している」。

更に、同中将はウクライナでの「多数国」の特殊作戦部隊との国際的なパートナーシップは、「語られていない物語」だと述べた。

ブラガ中将は、「今すぐ人数は挙げられないが、各国は団結している。この20年間、異なる戦場、異なる大陸で共に働き、共に汗を流し、共に血を流してきたことが、効果を出していると思う」と述べた。

海軍特殊戦司令官のヒュー・ハワード少将Rear Adm. Hugh Howardは米国の特殊作戦は「変曲点」にあると、述べた。

ウクライナは「特殊作戦の第5の時代」の象徴で、これまで20年間、米国の特殊作戦が重きを置いてきたテロ対策からのシフトだ、とハワード少将は述べた。

「テロ対策に過剰に力を注いできた」「海上領域で私たちにしかできないことをメインにするため、緊急に動いている」 

海兵隊の特殊作戦司令官ジェームス・グリン少将Maj. Gen. James Glynnも同意見だ。

「過去 20 年間に投資し開発してきたテロ対策のスキルで、転用可能なのはどこまでか。どの程度、通用するか。そして、他に何ができるようにする必要があるのだろうか」とグリン少将は発言した。

特殊作戦部隊は、テロ対策以外の将来の戦場の姿をウクライナで学んでいるが、多くは地上にはない。

陸軍のブラガ中将は、「有人機無人機がもたらすインパクトには目を見張るものがある」と述べ、無人機は陸軍が注力しているが、ウクライナの影響を受けて、米陸軍は特殊作戦に有人・無人機専用の部門を作ることを検討し、「単なる追加任務ではなく、実際の専門分野」にしたと述べた。

「ロボティクスとAIがない未来の戦場は想像できません」と、ブラガ中将は議員に語った。

国防総省の他部門と同様に、特殊作戦部も横並びの予算ですべてを行う必要がある。

アーンスト議員は、「脅威が大幅に増加していのに、SOCOMの要求は昨年並だ」と指摘し、「横ばいの予算要求は予算削減と同じだ。インフレの上昇で、さらに悪化する」と指摘した。

SOCOMの2023年度予算要求は、2020年度予算より実質的に13億ドル少ない、とアーンスト議員は述べた。SOCOMは6億5千万ドル相当の予算未計上の優先事項リストを提供している。

「毎年、近代化、即応性、人事プログラムの中で予算勧告のバランスを取ろうとしている...そして毎年不足している」と空軍特殊作戦司令官ジェームズ・スライフ中将Lt. Gen. James Slifeは述べている。「提出した予算は、各分野でのリスクのバランスを表したものだ」。■

What Have US Special Operators Learned from the Ukraine War? - Defense One

BY ELIZABETH HOWE

ASSISTANT EDITOR, DEFENSE ONE

APRIL 27, 2022


2022年4月29日金曜日

中国はこうやって途上国を自国影響圏に取り込む。ソロモン諸島で安全保障に先立ち民間航空を使った陰謀があったことが露呈。

 

                                                                                                                                AVIC


中国とソロモン諸島がソロモンを南西太平洋の航空ハブにしようと画策していたことが、2019年の覚書から明らかになった。(この記事はターミナル1に先に掲載しました)


ロモン諸島政府と中国の AVIC Commercial Aircrafの覚書が流出し、眠ったような太平洋の島国を航空ハブに変えようとした野望が明らかになった。2019年の覚書では、ソロモン諸島政府がAVICから飛行機を購入する見返りに、ソロモン諸島周辺の飛行場36箇所を改良し、ソロモン諸島と中国間に直行便を導入する提案があった。


ソロモン諸島をハブにする遠大な計画

覚書全文は、オーストラリア放送協会(ABC)が金曜日朝に報道した。

 ソロモン諸島は中国と安全保障条約を締結したことで、ソロモン諸島に中国軍が常駐する可能性が生まれ、米国、ニュージーランド、オーストラリアは大いに不快に感じているが、この覚書は今回の騒動の中で流出した。



 2019年11月15日、中国でソロモン諸島の通信・航空担当大臣Ped Peter Shanel AgovakaとAVICの最高顧客責任者Zhang Yongが署名した覚書は、以下のように述べている。


「BRI(一帯一路構想)と本MOUを通じ、ソロモン諸島は西太平洋の航空ハブになるよう希望し、ソロモンは既存の国内飛行場インフラを強化し、国営航空会社の機体のアップグレードを希望する。


「ソロモンは、ホニイラへ中国から直行便を受け入れ、地域ハブとなる地域航空構想の一翼を担うよう希望する。ソロモンはMA600/MA700やY-12等の新型機を入手し、飛行場施設を改修する必要がある。


「ソロモン諸島は、MA600/MA700航空機の運用に向け飛行場の改修、CAAC(中国民用航空局)とCAASI(ソロモン諸島民間航空局)間の検証認証の実施、および当事者Bによる当事者Aの能力開発支援を同時に行う」(同)。


AVICは、発展途上国に航空機販売のニッチ市場を築いた。写真:AVIC 


一般的水準の航空インフラのアップグレード

AVICは、北京に本社を置く中国国営の航空宇宙・防衛企業だ。結局、ソロモン諸島に航空インフラが整備されることはなかったが、大胆な極秘計画の詳細が南西太平洋地域に波紋を呼んでいる。

 第二次世界大戦の激戦地ソロモン諸島が、地政学の地図に再び登場してきた。同国を構成する1,000余りの島々の貧弱な航空インフラは、大国にとっては格好の餌食だ。

 ソロモン諸島の主要空港であるホニアラ国際空港(HIR)は2,200メートルの滑走路しかなく、ワイドボディ・ジェット機はアクセスできない。

 首都ホニアラと世界をつなぐのは、国営航空会社ソロモンエアラインズエア・ニウギニのみで、接続性の悪さも問題だ。このうちソロモンエアラインズはジェット機1機(エアバスA320-200のリース機)を保有するだけで、ブリスベン(BNE)へ週2便運航している。

ホニアラ国際空港(写真)は、ソロモン諸島で最大かつ最も利用客の多い空港である。写真 ソロモンエアラインズ


ソロモンエアラインズはMOUに入れなかった

ABC報道によると、国営ソロモンエアラインズは、極秘MoUとソロモンの航空インフラを強化するため中国資金を使用する計画に加わっていなかった。

 同社CEOブレット・ゲバースBrett Gebersは合意について知らなかったとABC取材で語った。

 「2019年の今頃、国会議員団に同行し中国に半ば強引に招待されましたが、実現しませんでした」「機体を見るという話はありましたが」

 AVICは、56席のMA60/600と74席のMA700ターボプロップに加え、各種ヘリコプター、FC-1/JF-17戦闘機を含む軍用機も製造している。AVICは、発展途上国に飛行機を販売するニッチ分野を確立している。

 中国は、中国政府とつながる民間企業を使い、対象国との貿易・経済関係を構築してから、軍事的関与など、論議を呼ぶ側面を取り込み、関係をアップグレードすることがよくある。今回流出したMOUは、中国政府が航空業界を利用する一例である。■



Leaked MoU Reveals China's Plans For Southwest Pacific Aviation Hub

BY ANDREW CURRAN

PUBLISHED 2 HOURS AGO



Source: Australian Broadcasting Corporation

Andrew Curran (2371 Articles Published)

Lead Journalist - Australasia - A Masters level education and appetite for travel combines to make Andrew an incredible aviation brain with decades of insight behind him. Working closely


NGAD有人機型の単価が「数億ドル」になる予想が出てきた。空軍長官がNGADの最新状況を下院で話した。

 

ボーイングのコンセプトアートは、Next Generation Air Dominance戦闘機のデザインの可能性を示している。空軍長官フランク・ケンドールは、有人NGAD戦闘機の単価が数億ドルになる可能性があると述べた。 (Boeing)

 

空軍が秘密裏に開発中の次世代戦闘機「Next Generation Air Dominance」は、史上最も高価な航空機になる可能性があり、有人操縦型では機体単価が数億ドルになる予想が出てきた。

 

 

 水曜日の下院軍事委員会で、NGADの価格について質問されたケンドール長官は、予想水準を明らかにしなかったが、空軍では数億ドルになると見ていると発言。

 ケンドール長官は、「皆さんの注目を集めて当然の数字です」と述べた。「高価な機体になる」とした。となると、8000万ドルというF-35の2倍以上となる。

 長官は、NGADは「信じられないほど効果的」であるが、戦闘効果を拡大するためには、安価なプラットフォームを伴う必要があるとし、自律無人機との同時投入を想定していると述べた。

 NGADの自律型ウイングマンのコスト情報は不明だが、フロリダ州オーランドで3月開催された空軍協会イベントで、ケンドールは、空軍は戦闘無人機のコストが有人機の半分以下になるのを望むと述べていた。

 ただし、NGADの有人機型が1機あたり数億ドルなら、無人ウィングマン機はF-35と同等かそれ以上のコストになる可能性があることになる。

 NGADプログラムは長期的に維持費を抑えるため開発段階で適切なステップを踏んでいる、とケンドール長官は述べた。機体がアップグレードやメンテナンスを容易に受けられるよう、政府管理のモジュール設計とインターフェースを使用することで実現する。

 ケンドール長官は、この戦略は競争につながり、さらなるコストダウンが実現すると語った。

 「NGADの初期段階で正しく理解することに時間と労力を費やす価値があります。その結果は、後々の維持管理で、はるかに大きな金額効果をもたらすからです」「NGADプログラムは、このアプローチを採用しています」。

 ドナルド・ノークロス議員が提起した、NGADのスケジュールが「右にスライドしている」との懸念に対し、ケンドール長官は、空軍は2030年代初頭のNGAD配備を想定していると述べ、それまではF-22戦闘機を改修し飛ばし続ける予定とした。■

 

Future NGAD fighter jets could cost 'hundreds of millions' apiece

By Stephen Losey

 Apr 29, 03:52 AM

 

2022年4月28日木曜日

F-15EX調達は80機へ大幅削減。将来の戦闘機戦力構造で米空軍上層部は大胆な構想をねっているのだろうか。それとも......

 The Air Force two F-15EX test jets fly together.

F-15EX調達が80機に縮小され、現行のF-15部隊の後継機が無人機になる、あるいは交替機材がなくなる事態が生まれかねないと空軍上層部は見ている。

日、空軍の最高幹部は議会で、F-15EXイーグルII戦闘機の購入について最低144機とした当初案から80機に削減されると確認した。

 F-15C/Dイーグル多数を新規生産分のF-15EXで置き換える案は放棄しており、F-15C/Dイーグルの退役後の最終的な戦力構成では無人プラットフォームが鍵となる、現在運用中の一部の部隊が最終的に飛行任務から外れる可能性があるとも述べた。

 フランク・ケンドール空軍長官とチャールズ・Q・ブラウン空軍参謀総長は、本日の下院軍事委員会での2023年度予算案に関する公聴会で、F-15EXの将来と関連事項について、他の話題とあわせて語った。予算要求では、イーグル IIの総発注数を80機に削減すると示されていたが、これまで完全に明らかにされていなかった。この件に関しては、多くの疑問が呈されていた。

 「F-15EXの調達を加速し、早期に完了させる」とケンドール長官は、空軍が2023会計年度予算案で予想より多くの同型戦闘機の購入を求めながら、総購入数を80機に抑えた理由について質問され、こう説明した。「調達規模を大幅に減らしている」。

 空軍長官は、これまで同様に、F-15EXプログラムの全面的な中止を検討したかどうかについて肯定も否定もしなかった。また、イーグルIIの運命を決定する際に、空軍がどの選択肢を検討したのかについても詳しく説明しなかった。

 F-15EXは、The War Zoneが最初に報じて2018年に浮上した。空軍は2020年に最初のイーグルIIを発注し、昨年、最初の試験用二機を引き渡した。

 ケンドール、ブラウン両名は、購入総数が減少しても、F-15EXは空軍が将来の戦闘機ミックスで重要な存在であることに変わりはないと議員に語った。公聴会でブラウンは、イーグルIIの大きな積載量について、特にステルス戦闘機F-35Aとの比較で、空軍当局が新型機の重要な能力として認識していると強調した。

 F-15EXは、2027年に運用開始が予定される極超音速攻撃巡航ミサイル(HACM)を搭載する最初の空軍機となる予定と、ブラウン大将は公聴会で明らかにした。空軍はこれまでも、イーグルIIが極超音速ミサイルなど大型兵器を搭載できるようになると話してきたが、具体的な内容は明らかにしていない。

 ケンドールとブラウン両名は、空軍は現在80機のF-15EXしか購入したくないとし、そして空軍が購入する同型機は今後も戦力構造の重要要素となると明らかにしたが、発言は多くの疑問を残していた。中でも最大に重要なのは、現行のF-15C/Dイーグルの将来だ。ケンドール長官は、「ある時点で退役させなければならなくなる」と率直に語った。約200機のF-15C/Dが現役で、州軍飛行隊五個航空団が大部分を運用し、さらに2つの飛行隊が現役で飛行している。3つ目の飛行隊は、ヨーロッパでの任務を終え、F-35Aに移行する予定だ。フロリダ州軍の第125戦闘航空団だけがF-35Aへ移行する。

 空軍の当初の計画では、少なくとも144機のF-15EXを購入し、現在州軍航空団5個に配備されているイーグルを1対1で交換し、さらに1個飛行隊をF-15EX過程の訓練用に使用し、試験と開発のため十分な機数を残すのが理論的に可能だった。80機では、1隊がF-35に移行するのを考慮しても、これは不可能になる。また、沖縄・嘉手納基地の第18戦闘航空団のF-15C/D2個飛行隊の行方は以前から不明だった。

 F-15EXを導入しないF-15C/D部隊については、F-35A飛行隊への転換が最も可能性の高い選択肢と考えられてきた。すでにイギリスのレイケンヒース空軍飛行場では、イーグルに代わってJSFが導入されている。また、フロリダ州軍の第125戦闘航空団もF-15C/DをF-35Aと交換する方針が決まっており、F-15EX計画の変更を示唆するものだったのか。

 だがブラウン、ケンドール両名は、F-15C/Dを装備中の飛行隊は、代替機として従来型戦闘機を手に入れられず、無人機材を運用することになるかもしれない、と指摘した。

 ブラウン大将は、空軍が戦闘機隊62個をまだ必要としているのかという質問に対して、「私が考えてきたのは、62個戦闘機隊と同等の能力だ」と答えた。「そして、私が考えているのは、有人機による現在の戦闘機中隊と、長官と我々が作戦上の必要性から取り組んでいる、有人機と無人機の組み合わせによる作戦上の比較である」。

 またブラウン大将は、次世代航空優勢(NGAD)プログラムで開発中の第6世代戦闘機とB-21レイダー・ステルス爆撃機をサポートする、有人型とネットワークで連動動作する半自律プラットフォーム、いわゆる「忠実なるウィングマン」無人機の開発で作業が進んでいることを強調した。

 「しかし、有人-無人機のチーム編成は、軍全体に適用できると思います。有人機と無人機の数はどうなるのか、そして無人機が増えれば、戦闘機の能力を拡大するのがずっと簡単になりますし、能力だけでなく、容量も拡大します」(ブラウン大将)。

 これは、空軍が少なくとも、戦闘機飛行隊を62個以下にするものの、有人戦闘機部隊の能力と容量を大幅強化するため無人機を使用する可能性を検討していることを示唆しているためのようだ。ここ数カ月、空軍の高官は、将来の作戦、特に中国のような互角の戦力を有する敵国とのハイエンド紛争において、有人・無人のチーム編成がいかに重要かをアピールしてきた。2021年12月、ケンドール自身は、人工知能(AI)主導のスカイボーグの取り組みなど、空軍の先進的な無人化プロジェクトや、すでに機密領域で行われている他の関連作業に加え、新たに機密扱いの2つのドローン計画の計画があると明らかにしていた。

 今日の公聴会で、ケンドールはブラウン発言からさらに一歩踏み込んで、現在F-15C/Dを飛ばす部隊が最終的に飛行任務から外れる可能性もあるとした。

 現行のF-15C/D飛行隊の隊員が今後どうなるかとの質問に対して、「戦闘機ミックスの話をしたが、他の任務、例えばサイバー任務や情報戦も話している」とケンドールは語った。ケンドールは「1対1の交換が必要だと考えるのは正しくない......。戦闘機と戦闘機の交換と考えるのではなく、もっと大きな方程式があります」。

 空軍が計画中の将来の戦力構成について、さらに疑問が投げかけられるはずだ。F-15C/Dの直接代替が必要でないと説明すれば、戦闘機の大部分が重要な国土防衛任務に就いていることを考慮すると、実に不思議な話である。

 もちろん、F-15EXの調達や戦力構成計画に関して、最終的に議会が決定するのを忘れてはならない。今日の公聴会では、議員たちが多くの疑問をすでに感じていることが明らかになった。

 ケンドール、ブラウンら空軍関係者は、2023年度予算要求が意図する行動計画を正当化する必要があり、詳細がさらに明らかになるだろう。■


F-15C Units May Not Get A Replacement Fighter At All | The Drive

BY

JOSEPH TREVITHICK

APR 27, 2022 9:40 PM

THE WAR ZONE


サイバーセキュリティ。民間防衛産業の機微情報防衛にNSAが真剣に対応している。

 

 



 

  • 米国の防衛関連企業の機密情報は、敵の標的となる。

  • NSAは、サイバーセキュリティ・コラボレーション・センターを中心に、各企業と連携しサイバー脅威に対抗している。

  • 著者モーガン・アダムスキーMorgan Adamskiは、NSAのサイバーセキュリティ・コラボレーション・センターのディレクターを務めている。



は、米国の重要インフラ事業者、特に防衛産業基盤(DIB)事業者のコンピュータネットワークを常に探っている。


 ロシア情報機関やモスクワの代理勢力、中華人民共和国政府などは、地政学的な対立の場合、米国の機密情報を盗み、防衛力を低下させようとしている。これに対するこちら側の努力はこれまで十分ではなかった。

 国家安全保障局(NSA)は、米国の防衛に不可欠なシステムを研究、生産、維持する各企業を保護することに専念している。著者は、NSAでサイバーセキュリティ・コラボレーション・センターを運営している。その使命は、防衛産業の企業や厳選されたサービスと緊密なパートナーシップを通じ、サイバーセキュリティの脅威と戦うことにある。

 各パートナーが肩を並べ、包括的な脅威のイメージを構築し、外国の敵対勢力が米国の重要なネットワーク、特に DIBにアクセスを狙う攻撃的な試みを阻止するために対応している。


NSA

NSA本部内の脅威対応センター、January 25, 2006. REUTERS/Jason Reed


 連邦政府全体のサイバーセキュリティへの取り組みでは、各機関が別々の権限と能力で戦いに臨んでいる。NSAは広範なデータソースにアクセスできるが、ユニークな外国情報にもアクセスでき、敵の能力と意図を明らかにすることで国防総省のグローバルネットワークを守っている。

 NSA は、DHS のサイバーセキュリティおよびインフラセキュリティ局(CISA)、FBI、国防省サイバー犯罪センターなど、連邦政府全体のパートナーと一緒に、敵が米国のネットワークの悪用を試みる方法で深い洞察を得ている。相手の試みの証拠を見つけた場合は、サイバーセキュリティ・コミュニティと協力して、脆弱性を解消する。

 サイバーセキュリティにおける官民パートナーシップは目新しいものではなく、こちら側の成功に不可欠なものであることに変わりはないが、近年、民間企業との連携方法は大幅に進化している。脅威が進化しており、大企業多数が自社のデータとネットワークを守るためサイバーセキュリティ専門家を抱えている。

 このため「情報共有」のパートナーシップというビジョン以上に、脅威を防ぐため、リアルタイムでオープンな対話の必要がある。このため、NSAは 外部に新しいサイバーセキュリティ・コラボレーション・センターを創設し、活動できるようにした。

 対話を促進するため、パートナーと活動できるようにする必要があった。この努力の一環として、情報共有の枠を超え、国家安全保障のエコシステム全体で防衛当事者を支援する本格的な協業体制へと、防衛業務を変えてきた。


An undated aerial handout photo shows the National Security Agency (NSA) headquarters building in Fort Meade, Maryland. REUTERS/NSA/Handout via Reuters

NSA 本部. Thomson Reuters


 多くの場合、NSAのアナリストと産業界のパートナーは、同一の問題を異なる視点から見ている。だが共通の優先課題に取り組むことで、専門知識を共有し、全体像の理解ができると学んだ。これは単なる共有ではなく、業務上の連携だ。これが、悪意あるサイバー活動に対抗する際に、決定的な利点となる。

 連携を効果的にするため双方向とする必要がある。オペレーションセンターから役員室まであらゆるレベルで連携が行われ、直面する脅威に対する全体的な理解に基づく。この連携には、サイバーインシデントの進展における技術データを双方向で共有することもある。

 また、サイバーセキュリティ専門家を集め、各種データソースから悪意あるサイバー行為者を特定、追跡、阻止する方法を特定できる。また、次世代のテクノロジーを設計上安全にする方法について、詳しく話し合うこともある。

 このような新しいビジネスのやり方は、NSA内で大規模な組織文化の転換を必要とした。ワシントンの古いジョークでは、NSAは秘密主義そのもので、頭文字をとって "No Such Agency" と呼ばれていたものだ。

 ある企業と共有する情報があれば、その企業の代表が高いセキュリティクリアランスを持っていればフォートミードに招き、共有できた。しかし、敵が商用ネットワークの劣化と活用を積極的に進めている今、このモデルは有効でなくなった。

 サイバーセキュリティ・コラボレーション・センターでは、サイバーセキュリティ・コミュニティの進化の一環として、NSAの組織文化の変化を促進している。筆者含むアナリストは、脅威情報を可能な限り低い分類レベルへ下げて、協力企業と早期に共有できるよう努めている。の目標は、実用的でユニーク、かつタイムリーな情報にすることだ。

 NSAではパートナーがいる場所で、市販のコラボレーションツールを使い遠隔地からリアルタイムでコミュニケーションをとる必要性を理解している。つまり、NSAの仕事の多くは、機密性のないプラットフォームやスペースで行われる。

 また、COVIDの件数が多いときや悪天候のとき、あるいは悪意ある行為者が好む週末の休日に危機が訪れたとき、NSAのチームは自宅から仕事ができるようになった。こうした変更により、NSAは防衛産業の基盤を24時間365日保護できる。

 筆者は、これまで行ってきた仕事とあわせ、新たに取り組む仕事を非常に誇りに思う。筆者の部門は企業100社以上と積極的に協業しているが、まだまだ先は長い。

 来年には、パートナーシップの拡大に加え、マルウェアやランサムウェアがネットワークに侵入する最も一般的な方法から、企業(特に、十分なセキュリティ・プログラムを持たない中小企業)を保護する低コストのサイバーセキュリティ製品で防衛産業基盤への支援を拡大するNSAサイバー脅威情報による新しい Protective Domain Name Service のようなものだ。

 NSA長官ポール・M・ナカソネ大将 Gen. Paul M. Nakasoneが指摘するように、「サイバーセキュリティとは国家安全保障そのもの」であり、NSAは常に新しい方法を見出すことで、役割を果たしてきた。常に、障壁を取り除き、新しい方法を見つけ出している。共にボトルネックを回避し、集団防衛を強化していこう。われわれは今後も成長し、進化し続ける必要がある。敵は止まってくれないが、こちらも止まらない。■

 

The NSA is going beyond information-sharing to defend US companies against growing threats from Russia and China

Morgan Adamski


Ms. Morgan Adamski is the director of the Cybersecurity Collaboration Center for NSA Cybersecurity, where she leads the agency's open private sector relationships to secure the defense industrial base and its service providers. This work is meant to augment and amplify NSA's ability to prevent and eradicate cyber threats.