2017年11月3日金曜日

エネルギー価格事情と地政学を結びつける新著「Windfall」


ここのところ原油価格はバレル当たり50ドル台前半で比較的安定しています。世界的な株価上昇の背景に原油価格の心配が必要がないのもあるのでしょう。ただし、いつまでも続かないからこそ、今がWindfall=絶好の好機と米国はとらえるのでしょうか。中東湾岸諸国さらにイランも再び影響力を強める時代がくるのでしょうか。あるいはそれまでに非石油文明が根付くのでしょうか。これからが見ものです。


How the New 'Energy' Affluence Strengthens the United States

エネルギー潤沢時代にあり米国の国力は強化される


November 2, 2017


  1. ドナルド・トランプ大統領はイランに対して制裁を発動させると先週発言して脅かした。イランはOPEC三番目の石油生産国で市場は迅速に反応した。中東で緊張が生まれるのか、外交政策とエネルギー市場の関連に関心が集まった。
  2. ハーヴァード大教授メーガン・オサリバン Meghan O’Sullivan の新著Windfallがこの点を真正面から取り上げ、米国が新たに手に入れたエネルギー自立から米国衰退論へ反論している。
  3. 外交政策をエネルギーの視点で研究する第一人者オサリバンは世界はエネルギー枯渇の恐怖からわずか数年でエネルギー潤沢状況に移行したと明らかにしている。新技術で原油は過剰生産となり、ここに天然ガスの過剰供給が加わる。水圧で岩盤を破砕するフラッキング技術のおかげで米国は今や世界最大の原油・天然ガス生産国だ。
  4. オサリバンの主張は新事態で混乱が生じたのではなくマーケット構造の変化で国力影響力の行使方法が変わった国が多数生まれたというものだ。エネルギー供給過剰でロシア、ヨーロッパ、中国、中東の政治状況が変わった。OPECの原油価格統制機能が揺らぎ、米国の敵ロシアが弱体化した。エネルギー過剰により伝統的な提携関係が逆転し、新しい協力関係のきざしも中国中心に出てきた。
  5. この本の真の価値はオサリバンが外交政策およびエネルギー市場を包括的に見る視点を加えた形でエネルギー問題を提示してくれたことだ。オサリバンはエネルギー地政学には外交政策だけ見ているのでは不十分との仮題を出発点としている。つまりエネルギー供給過剰の現状を外交政策の視点からだけで見るとあらたにエネルギーで自立した米国が中東から撤退するように見える。だが中東での進展の状況はこの仮説の反対なのだ。
  6. オサリバンが提供してくれる別の視点が必要だ。オサリバンの著作はホワイトハウス中枢での外交政策形成過程や国際交渉の経験に裏付けられている。外交政策とエネルギー市場を組み合わせてオサリバンは驚くべき視点もいくつか提供している。
  7. 常識と反するが、オサリバンはシェール革命が米国で進んでも中東の退潮にはつながらないとする。原油価格低下で中東は長期的に今より重要な原油生産地になるという。中東以外の各地で原油生産コストが上がるのでゆくゆく原油生産が商業的に成り立つのは湾岸だけになる。そうなると原油は中東に依存度を高めることになる。
  8. 世界のエネルギー資源に関する著作はたくさんあるが、エネルギーの現実を地政学とむすびつけた本はすくない。オサリバンのWindfallは実務家、政策決定者、研究者に必読書になった。外交政策・エネルギー政策の通念を改めさせる本であり、新エネルギー事情を米国がどう利用すべきかを示している。■
Juergen Braunstein is a research fellow at the Belfer Center’s Geopolitics of Energy Project, which is headed by Meghan O’Sullivan.
Image: The setting sun illuminates the sky behind wind turbines of a wind park near Neusiedl am See, December 22, 2014. REUTERS/Heinz-Peter Bade


興味をひかれる方はamazonで同書を入手されてはいかがでしょうか。

Windfall: How the New Energy Abundance Upends Global Politics and Strengthens America’s Power Hardcover – September 12, 2017


攻撃型原潜の修理工程が消化しきれない米国の事情


原子力潜水艦は建造してもその後が大変ですね。特にこれまでは燃料交換作業が前提の設計で酷使されていればあちこちが痛みます。退役させるだけでも大変で、ロシアは簡単に海に捨てていました。(日米が資金技術援助して後日処理しています)中国はあとで大変なことになるのではないでしょうかね。国防装備の整備とは経済インフラあってこそ可能と改めてわかるお話ですね。


15 Subs Kept Out of Service: 177 Months Of Drydock Backups

補修作業待ち潜水艦15隻が戦力外で工程遅延合計は177か月に


Navy photo
ドック入りしたUSSグリーンヴィル
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 31, 2017 at 1:54 PM
WASHINGTON:攻撃型原子力水艦の保守点検作業で15隻が順番待ちで、合計177か月相当の作業ができない状態になっており、海軍の打開策が予算不足で立ち往生していると下院軍事委員会スタッフがBreaking Defenseに紹介している。
  1. 待ち時間合計は潜水艦一隻なら供用15年間分に相当し、2018年に補修作業に入る艦が現役復帰するのが2033年になるようなものだ。
  2. 予算案を通過させ支出上限を設けることができるのは議会だけだと同スタッフは指摘の上、解決策の一部は海軍の手にあるとする。民間造船所への業務委託だが海軍には気に入らない選択肢だ。
  3. 潜水艦多数が惨めな状況になっている。好例がUSSボイシーでノーフォーク海軍工廠で大修理を2016年開始の予定だったが今も順番待ちだ。政府は原案を断念しニューポートニューズ造船へ委託事業385.6百万ドル相当の契約を交付した。同造船所は海軍工廠をはさんだジェイムズ河の対岸にある。ボイシーは当初予定より31か月遅れてなお供用不能の状態だ。
  4. だがボイシーだけではない。下院軍事委員会調べで他14隻で影響が出ており、遅延規模は2か月(USSコロンビア、モントペリエ、テキサス)から21か月(グリーンヴィル)までばらついている。保守点検作業をしないと各艦は安全潜航できず現役復帰できない。USSスレッシャー事故(1963年)以降、海軍はこの手順を厳格に守っている。「海軍原子炉部に規則改正を求めるのは至難のわざだ」とスタッフがこぼす。
Sydney J. Freedberg Jr. graphic from Navy data
  1. 海軍に緩和策があるが抜本解決策はない。予算がもっとあれば工程を調整し、有効証明の期間延長他を実施でき、修理作業も迅速に実施でき潜水艦部隊全体の待ち時間も81か月に短縮できるはずだ。
  2. 7年近くも海上で作戦できないことになる。各艦で供用期間の23パーセントをみすみす無駄にしていることになる。7年ムダにするのは2018年予算の新造艦から一隻を外し復帰まで2025年まで待つことと同じだ。
  3. 上図で数字を示した。だがここで見えないのは別のところへのしわ寄せだと議会スタッフは怖いことをいう。中間時点の点検修理を受けられない艦に加え耐用年数が切れた老朽艦の退役が思うようにできないことだ。
  4. 原子力推進艦では供用期間が終わったからと言ってポイと捨てるわけにはいかない。原子炉の稼働中止だけでも相当の手順があり、その後放射能を帯びた艦内部品を除去し、その他放射能と無縁の残り部分を解体する。
  5. さらに原子力潜水艦の耐用年数が終わりに近づくとが炉心出力が低下し、技術科員の尽力でやりくりしている。解体を待つ旧式艦は単純に係留されているわけではなく、ほぼ半数の乗組員が配属されたままなのだ。退役が遅れると予算とともに高度に訓練をうけた乗組員が無駄になる。
General Dynamics
エレクトリックボートの潜水艦建造施設はコネチカット州グロートンにある
  1. そのため潜水艦補修作業の緩和策が実施可能となっても、旧式艦の退役問題が残ることとなる。だが緩和策の実施そのものが困難になっている。一か月前に始まった2018年度予定の補修作業三例で予算手当がついていない。議会はその場しのぎ策の継続決議を通過させて政府支出を自動調整させるため今回のような緩和策向けに回すゆとりがない。議会が予算を認めても今度は予算管理法(BCA)の上限にぶつかり、各種即応体制の維持に必要な予算が確保できない状態が続いている。
  2. 現時点の海軍の問題の原因は過去のBCA起因の予算削減や継続決議にあると下院軍事委員会スタッフは見ており、レーガン時代に建造された艦が多数退役を迎えているのも別の原因だ。今日でも海軍の任務量は変わりがないが隻数は減っているので各艦の展開期間が長くなっている。その結果、当初の修理予定が実施できない艦がふえており、修理作業が混乱を避けられずだけでなく艦の疲弊度が高くなり故障箇所が増えるため作業工程がさらに伸びる。
  3. 攻撃潜水艦部隊でことを複雑にする要因が原子力推進だ。整備作業できるのは装備を完備し訓練を受けた人員がそろったわずか数か所で海軍は内部作業を好むが、原子力対応施設は限られており、さらに弾道ミサイル潜水艦や空母の作業が優先される。点検修理日程がミサイル原潜や空母で変更されると攻撃潜水艦はリストからはずされる。
  4. このため海軍はついにボイシーで修理点検をハンティントン=インガルス工業のニューポートニューズ造船所(ヴァージニア州)に外部委託した。同所は対応可能な民間施設二か所の一つでもう一か所はジェネラルダイナミクスのエレクトリックボート(ニューイングランド)だ。民間施設では作業の余力があり「今後5年間」は大丈夫と下院軍事委員会スタッフは見ている。その後は次期ミサイル原潜コロンビア級の建造が入るため余裕はなくなる。
  5. 民間施設での作業は高価になるのでボイシー除き外注の必要はないと海軍は議会に伝えているが、下院軍事委員会スタッフは真に受けていない。ボイシーは現在機関系の大修理中だが議会スタッフは「潜水艦の供用期間通じて一番複雑な作業が外部委託できる」とし、「今手にしている三年五年の戦略的な機会」を使えば民間施設を活用できるのに使わない手はあるだろうかと述べている。■

グアム攻撃演習を繰り返す中国は北朝鮮より懸念すべきではないか



北朝鮮ばかりに目をむけるのではなく、本質的に警戒すべきちゅごくの軍事力、作戦構想、行動を意識しなければアジア太平洋の安全保障は片手落ちになるよね、という当たり前の話なのですが、統合参謀本部議長に同行する報道陣に背景説明する米関係者の力の入れようがわかります。日本の記者は同じ話を聞いても勝手に解釈した「解説」をしてしまうのでしょうか。一時ほどではありませんが、中国の取り扱い方にはまだ遠慮した内容がめだちませんか

China has practiced bombing runs targeting Guam, US says

中国はグアム空爆の予行演習をしていると米国が発表

U.S. military officials are concerned over China's increasing air power in the Asia-Pacific region. One activity by the Asian nation is proving especially worrisome.
米軍関係者は中国空軍力がアジア太平洋地区で強化されている現状に憂慮している。

By: Tara Copp    1 day ago

JOINT BASE PEARL HARBOR-HICKAM, Hawaii — 中国が米領グアムを標的に爆撃演習を行い、その他行為とともに米側に中国が北朝鮮以上に太平洋地区最大の心配の種だと改めて感じさせている。
  1. 南シナ海人工島への中国による軍事施設構築はよく知られているが、中国は同時に大規模の戦闘機部隊を整備し、東シナ海、南シナ海さらにその先で連日のように演習を行っていると米軍関係者は指摘している。中国の非軍事手段も米国の作戦実行を困難にする手段と見られている。
  2. 米関係者が中国の過熱する動向を伝えたのは統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Joseph Dunfordの視察旅行に同行する報道陣向けブリーフィングでの席上だ。
  3. 同関係者は北朝鮮の脅威が高まっているが同国との武力衝突は「米側の勝利に終わる」と楽観視しつつ対戦には「懸念している」と違いを明白にした。
  4. ダンフォード大将は「軍事力だけを見えれば中国はまだ整備中だがこちらが太平洋各地の同盟国の要望に応える力を維持する必要がある」と述べた。
  5. 昨年の日本による中国機へのスクランブル回数は900回を超え、中国は2013年に独自に防空識別圏設定を発表して範囲は日本のADIZと重複し、尖閣諸島も含んでいた。それ以降、空中での日中緊張が高まり、日本は那覇航空基地に戦闘機飛行隊2ケを移転させたと関係者は語る。
  6. 「今や連日のように中国の武装フランカーと日本機が対峙している」と関係者は相互に接近しているとし、米中間でも迎撃事例が増えているという。「PRC軍用機が米軍機を迎撃するのもごく普通になっている」と同関係者は中国の略称を使って述べている。
  7. また中国機の米防空識別圏への接近も増えており、H-6K「バジャー」爆撃機が射程1,000マイルの空中発射巡航ミサイルを搭載しグアム島周辺で米防空体制を試している。バジャー編隊は「定期的に」米領の範囲内に飛来して「PRCはグアム攻撃を訓練している」という。
  8. フライトの大部分は「危険飛行」など問題を起こさず発生しているが、同関係者によれば米太平洋軍ガイドラインにしたがい、万一の事態に備えつつエスカレーションを回避しているという。
  9. 米中間の軍組織同士の関係は今でもオープンだが、管理下にあると同関係者は述べている。米中関係者は年二回の軍事海洋協議合意に基づく会議で顔をあわせており、安全保障全般とともに侵犯事案を取り上げている。
  10. 中国の戦闘機・爆撃機の活動拡大は中国のめざす「戦わずに勝つ」作戦の一部として、中国の望む形を徐々に日常に根付かせる動きのあらわれだ。
  11. 圧力は他にもある。例として同関係者は人民解放軍海軍が15万隻もの民間漁船を指示し中国海軍と別に動員できると紹介した。中国漁船は統制の取れた動きでベトナム漁民に攻撃してきたと同関係者は説明し、パラセル諸島付近で衝突し沈没させている。中国は同地をベトナムから1970年に強奪し軍事施設を設置した。付近はベトナムが長年漁場としている。
  12. 総合すると中国の動きは拡大境界線の防御だと米関係者は憂慮している。「九段線で自国領土だと決めている地帯の実効支配準備が出来ている」と関係者は述べ、中国が南シナ海全体を中国の支配海域と認識している点に触れた。
  13. 静観すれば中国は「法に基づく秩序」つまり国際法や規範を基にしている各国を中国との安全保障上の同盟関係に鞍替えさせようとするだろう。ダンフォード議長は米国はそのような事態を現実にさせないと発言。「米国は太平洋国家だと自覚している」「米国は太平洋にとどまれないと述べる向きがあるが、米国のメッセージはあくまでも太平洋国家として太平洋を去ることはないとする。米国経済の将来はこの地域の安全保障、政治上のつながりと表裏一体だ」
  14. 説明に出た関係者全員が今のところ中国と差し迫った危機は存在しないと強調したものの米軍は太平洋で戦争が発生した場合の想定を考え直しつつある。
  15. 「まず空爆を受ける想定」と関係者は述べる。対応策のひとつに「迅速戦闘活動」 “agile combat employment”があり、日本国内の高性能戦闘機を分散させ、10ないし15か所の航空施設に分散させる。遠隔地なので補給活動が必要になる。米空軍は燃料の分散補給訓練を行っている。航空機を分散させれば中国も攻撃の優先順位で混乱するはずと見る。
  16. ドナルド・トランプ大統領の太平洋地区歴訪が今週後半から始まり、日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪問する。ダンフォード議長は中国の侵犯事例と経済圧力が増える中で経済安全保障面の課題が出ていると指摘。
  17. 「中国と同じ見方をしたいのであればそれは勝手だ。だが原則に基づく国際秩序が中心にする必要がある。国益追求で米軍の力が試される。この点で妥協はしない」■

2017年11月2日木曜日

★B-2がミズーリ州上空で北朝鮮空爆を訓練して判明したこと



うーんこれはどうなんでしょうね。平文で交信したのは意図的で北朝鮮への示威もありますが軍の動向に関心を持つ一部の熱狂的市民通じたデモンストレーション効果もねらったのでは。それにしてもB-1がなぜ「死の白鳥」なのでしょう。どこかで誰かが混同して言い始めたことがいつの間にか定着していますね。B-2が行動を開始しても誰にもわからず、いつの間にか事態を解決することになるのかもしれませんね。今後は各種偽情報が出てきますのでお気をつけください。

Here Are Some Interesting Details About The Way U.S. B-2 Bombers Trained Over The U.S. To Strike North Korea
B-2編隊が米本土で北朝鮮空爆を演習して判明した興味深い側面とは

Oct 30 2017 -


  1. 異例な動きがミズーリ州上空で数週間前にあった。B-2編隊がDPRK標的を攻撃と無線交信していた。通常訓練なのか平壌へのメッセージなのか。
  2. 演習は2017年10月18日と19日の夜にCONUS(米大陸部)で展開された。
  3. B-2、B-52、E-3セントリーAWACS、KC-10、KC-135と多彩な機材が参加した空爆演習はミズーリ州全域で展開された。現地では軍用通信エアバンドでUHF、Mode-S、ADS-B通じ州内で聞くことができ、演習の様子が分かり一部興味深い詳細面が判明した。異例だったのは一機が「DPRK首脳部移動先と思われる場所」について無線交信しており伝えていた緯度経度を調べると場所はジェファーソンシティ空港の格納庫だったことだ。
  4. 以下は読者投稿。
  • 10月17日の夜、妻と屋外でのんびりしていると午後8時ごろB-2三機を目にし、KC-135らしき機体が針路080で高度25千以下を飛んでいた。軍用機の飛行はここ東カンザスでは珍しくない。
  • 軍用飛行中の交信を傍受が趣味で数年前にもB-2が上空に向かってくるのがわかり、慌てて外に出たことがある。B-2はコールサイン「BAT」を使っていた。(B-2ではREAPERやDEATHを使うことが多い)
  • 30分ほどして別周波数でB-2他の機体が入ってきた。なんらかの戦闘をシミュレートしているようだった。別のコールサインMOJOと交信しGBUを各目標に投下する調整中のようだった。目標の緯度経度を無線で読み上げていた。いそいでGoogle Mapで投下場所を記録していくとジェファーソンシティ空港の格納庫がその場所で着弾後の時間経過を話しているようだった。
  • 翌日の夜も演習がまだ続いているのかと受信機を横に置き、記録用ソフトウェアを準備しておいた。ほぼ同じ時刻の午後8時に爆弾投下がはじまり、MOJOとWOLVERINEが交信していた。目標の一つは緯度経度からミズーリ州オセイジビーチ空港の滑走路と判明した。ある時点で友軍機と交信し危険な150メートル爆弾投をやはりジェファーソンシティ空港の同じ格納庫を標的にしていた。
  • この地域でここまでの規模の演習は初めてだ。
  • 交信は暗号化されておらずアナログAM受信機でも聞こえた。興味を一番惹かれたのは「指揮命令書おそらくDPRK指導部の移動先」と述べていた部分だが、まだ録音の準備ができていなかった。
  • ミズーリ州のオザーク地方は北朝鮮に似ているのだろう。だが何かの準備なのか万一に備え実施してるのかは見極められなかった。
  1. この読者が録音した内容を5分ほどにしたものを聞くことができる。短いが10月18日に何があったのかがわかる。(原文を参照してください
  2. 演習は北朝鮮「VIP]への空爆を想定していたのか。
  3. 答えは多分にYesである。数か月を準備にあててきたのだろう。ミズーリ州上空でB-2を三機編隊で夜間運用するのは今回の演習の数日前に空中給油訓練があったが標準形といってよい。
  4. 奇妙なのは無線交信でDPRK標的と明瞭に言っていることだ。愛好家数千名が軍事通信チャンネルを傍受して軍事航空の動向を追っているのは公然の事実だ。このため実際の作戦では演習でも厳格な無線使用手順を踏み詳細情報が「敵」に流れないようにするのが通例だし、暗号化や周波数飛ばしがよく使われる。だが今回の演習はすべて暗号化せずに実施されている。これは意図的なのか過誤を防ぐためなのか。また通常は国名も決して口にせず実際の攻撃だと誤解されることのないようにする。一方で同機が3万ポンドのMOP(大型貫通爆弾)を投下する画像が最近公開されたのも潜在意識にしっかり埋め込まれている。
  5. Mode-Sトランスポンダーを使い演習参加機の一部が飛行経路追跡ウェブサイトで確認できた。ただし、このこと自体は特異とは言えない。ADS-Bを使う軍用機はRC-135、グローバルホーク、他戦略ISR機材と数多い。いずれもウクライナや朝鮮半島など機微な地区上空の飛行でADS-BとMode-Sを友に作動させるので民生既製品や一般公開飛行経路追跡ウェブサイトでその姿がわかるのだ。
Okie 33 was a KC-135 supporting the B-2s during their simulated air strikes.
An E-3 Sentry also supported the Spirit bombers during their simulated air strikes.

Top image: Todd Miller


2017年11月1日水曜日

戦闘機パイロット養成の民営化に向かう米空軍の事情


なるほど米空軍も背に腹は代えられないほど追い詰められてきたわけですか。今回の民間委託対象は高度空戦訓練だけでないようですが、どうせやるならもっと大幅なアウトソーシングはできないのですかね。第四世代機の中古なら日本のF-4という手もあるでしょう。国有財産の処分手続きがこの度変わったのでまんざら可能性がないわけでもないでしょう。民間業者の狙いは中小国の訓練業務の一括業務受注ではないでしょうか。

 

The Air Force is getting ready to privatize a big part of its training program

米空軍は訓練民営化にむけ準備中
pilots flight line air militaryUS Air Force
Foreign PolicyPaul McLeary, Foreign Policy
  1. 米空軍エリック・「ドック」・シュルツ中佐がネヴァダ州での訓練飛行中に9月初め死亡したが、米空軍が事故の事実を認めたのは三日後だった。空軍は中佐の乗機機種で論評を拒んだ。
  2. 空軍が新型極秘機材の存在を明らかにしたくないのではとの観測が生まれた。F-35墜落の事実を軍が隠そうとしているとの観測もあったがこれは軍が後日否定している。
  3. その後、シュルツが外国製機材の飛行評価にあたる空軍部隊に所属しロシア製Su-27で空戦訓練中に死んだとの報道が出ると観測が一気に静まった。
  4. 航空機愛好家がSu-27がネリス空軍基地上空を飛行する様子をとらえることが以前からあり、同基地にロシア戦術を採用した訓練飛行隊があることが知られている。ただし冷戦中と比較すると今のロシア機材の利用は控えめなものに過ぎない。
  5. 1970年代80年代にかけ米空軍は極秘飛行隊通称レッドイーグルズでソ連製機材を飛ばしパイロットに敵対戦に備えた訓練を行っていた。だが同隊は1990年解隊され残存機はテスト飛行隊に移管された。シュルツ中佐が所属したのがはその一つだった。
  6. レッドイーグルズは残存しないが、海外機材をアグレッサー部隊で運用するニーズは残ったままだ。近年のロシア機材の性能向上やウクライナ侵攻(2014年)を受けてニーズはソ連解体以後最高水準になっている。
  7. その結果、米空軍航空戦闘軍団(ACC)は民間企業所有機材を訓練に利用する「敵部隊」“adversary air”の活用を検討している。
  8. 空軍から正式「事前要請書」が今週発出され、業界に正式な競争提案を求めようとしている。契約規模は数十億ドル相当とうまみのある内容ですでに海外機材の買い付けに動く数社があらわれた。
  9. 米空軍の基本業務の一部を民間企業に委託することになり過去からの決別を意味する。
  10. ACC司令官ジェイムズ・ホームズ大将Gen. James Holmesは今回の外部委託の主な理由にパイロット不足の悪化を挙げている。
  11. ISIS相手の航空戦が続く中でパイロットを通常任務から外すのはアフガニスタン情勢の悪化、イラン・北朝鮮との緊張増大の中では考えにくい。「実戦戦闘機部隊のほうがアグレッサー飛行隊より重要だ」とホームズは述べ、20機から24機とパイロットがアグレッサーに取られることに言及している。
AP_041118014814旧ソ連国旗を掲げるのは第64アグレッサー飛行隊のF-16ファイティングファルコンだ。ネリス空軍基地にて。 November 16, 2004. Associated Press
  1. アグレッサー飛行隊は冷戦の産物で国防総省はコンスタントペッグの名称でソ連機材をひそかに集めていた。レッドイーグルズはここから生まれ、MiG-17、MiG-21、MiG-23を運用した。解隊後も空軍はソ連機材をテスト評価用に調達していた。
  2. 各種筋によれば空軍にはMiG-29数機がモルドバ経由で在籍しており、Su-27二機もあり、シュルツ中佐の命を奪ったのがこの一機と見られる。
  3. ロシア機材の取得はソ連崩壊後に容易になったと内部事情筋が述べるが、機材を飛行可能に維持するのは大変だという。スペアパーツ取得が困難だった。
  4. 非ロシア製機材にロシア機のふりをさせることで空軍はこの問題に対処中だ。「政治的判断でソ連製以外の機材に向かっているのでは」とロシア機を取り扱う民間業者のオーナーが述べている。空軍は「大企業により保守点検され運用可能になっている」のが望ましいと考えているという。
  5. だが機体価格だけが契約を推進するのはではない。軍用パイロットが手に入るかも要素だ。米空軍のパイロットで訓練ミッションに回せる余裕が急速に縮まっている。
  6. パイロット不足1,500名になっており、訓練専門飛行隊を維持する余裕がなくなっている。今後のパイロットには新機種を相手に模擬空戦する余裕が減っていることを意味する。
  7. 可能な限り多数のパイロットを飛行させるため契約業者に「最短時間で準備させ費用対効果が最も優れる型」を期待するとACCで航空作戦顧問を務めるスティーブン・ブラネンは述べる。その試算では契約は年間5億ドル相当になる。「あくまでも戦闘機パイロット不足による措置」だという。
  8. 数十億ドル規模の商機を狙い二社が外国機材調達して受注を狙うほか数社も参画を狙っている。
  9. 食指を動かす対象は非ロシア機だけだ。ヴァージニア州に本拠をおく航空戦術優位性企業Airborne Tactical Advantage Company (ATAC) はフランスでミラージュ戦闘機63機購入しており、ドラケンインターナショナルDraken Internationalはスペインから用途廃止ミラージュ20機を導入した。
  10. 民間企業に旧式機でロシアや中国の第五世代機を真似させるのは大胆だがリスクもある。とはいえ空軍が必要と認識しているのはパイロット不足とF-35の大量購入や新型ステルス爆撃機の導入で予算も不足気味だからだ。
  11. 空軍は年間6万時間の訓練のうち約3.7万時間を民間委託に回す案を検討中で、民間企業には150機ないし200機が必要との試算がある。一社で賄いきれない規模で、受注は数社でわけあうかたちになりそうだ。前述のATACとドラケンが業界最大手だ。
  12. ドラケンは80機ほどを所有しており、ネリス空軍基地で運用中だ。一方、業界最大手のATACは90機を持ち、海軍の空母打撃群が長期間配置に向かう前に飛行訓練の相手をしている。
  13. だが各社保有機では最新の中国やロシア機の性能に匹敵しない。アグレッサー飛行隊はF-16やF-15を飛ばしている。
  14. 業者は第二世代、第三世代機を飛ばすことが多いが、軍は第四世代機を望んでおり、実戦の雰囲気をパイロットに味合わせたいとする。ミラージュは不合格だがエイビオニクス改良で第四世代機を真似させようという動きがある。
  15. ATACのCEOジェフリー・パーカーJeffrey ParkerがForeign Policyに「フランス空軍のほぼ全機」のミラージュを予備部品6百万点ともに購入し、空軍海軍の契約を見越し機体改修中と述べており、米国以外にも民間企業による訓練実施のニーズに期待している。
  16. パーカー他は海軍が第四世代練習機を求める要求を急ぎ出してきたのは空軍要求内容が漏れたためと指摘している。空軍が海軍と限られた第四世代機材の争奪戦の様相を示す中でATACやドラケンがフランス、スペインから機材手当てしたことが一層の供給不足につながっている。
  17. だが業界ウォッチャーは空軍の要求内容に業界が答えられるのは数年先と見ており、空軍は当面は妥協を迫られるはずと見ている。「需要が供給を上回っている」とパーカーは言い「中古軍用機の引き合いが増えている」のは新型高性能機材の単価が中小国の負担可能範囲を超えているからだ。
  18. 価格以外にも旧式機と契約パイロットで高性能機の真似ができるのか、さらに高度訓練を受けた空軍アグレッサー部隊の代わりを務められるのかという疑問も残る。「実際の戦闘同様に訓練が必要だ」と元戦闘機パイロットのローレンス・スタツリエム米空軍退役少将 Maj. Gen. Lawrence Stutzriemは述べている。
  19. スタッツリエムは冷戦真っ盛りの時期にロシア戦術を採用した空軍の同僚相手に長年飛んでおり、今何が足りないかを認識している。当時は「最高のパイロットにアグレッサーの任務が与えられたものだ」と言い、ロシアの教義や戦術を懸命に勉強していたことで空軍は「通常より優れたパイロットだと認定していた」という。
  20. 航空戦闘軍団司令のホームズ大将は民間委託企業を募るのは望ましいことではないが予算人員両面で不足に直面する空軍に実施可能な唯一の方策だという。「臨時措置で様子を見たい」とし、「いつかは空軍による実施に戻す」と述べた。
  21. 米パイロットは同等の実力がある敵を想定した訓練を受けてきたが、受託業者が旧式機を飛ばせば「現在以下の水準になるのは明らか」とも述べいる。
  22. だが現時点では予算もパイロットも十分でなく実施案のめどもつかない。少なくともここ数年は空軍内部で実施していた中核業務は受託業者にまかせるしかない。「内部実施に戻すまで数年かかるだろう」とホームズも認めている。■
* Sharon Weinberger contributed reporting to this article.
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★★日本の「空母」の次に続く艦は?



こうしてみると技術実用化に段階を追って対応する日本の特徴が見えますね。中国はこの観点が欠落しており、技術は買えばよい、というもので例がスクラップとして購入してきたロシア空母を堂々と就役させたことであす。どちらがいいのかは実戦にならずとも今後の供用で明らかになるでしょう。では日本が空母を建造する動きに出るのかが各国の注目でしょうが当面はなさそうですが、現在の四隻も次に備えた動きととらえればその先はわかりますね。

Japan's Non-Aircraft Carrier Is Also a Secret Weapon

日本の「空母」は秘密兵器だ
October 31, 2017

  1. 日本が運用中の艦船は注目に値する。日本は再び全通型飛行甲板付き航空母艦を運用するに至った。ただし海軍や航空母艦の名称は使っていない。
  2. 「ヘリコプター護衛艦」四隻が就航中で各艦は空母と外観こそ似ているが、政治面及び技術的な観点で空母に分類されず今後もその予定はない。だが日本は必要があれば本格空母運用に走れる。
  3. 第二位大戦後の日本は戦争を国家政策手段として放棄した。政府は自衛隊を発足させ厳しく防衛任務に限定してきた。名前こそ海上自衛隊(MSDF)だが実質は海軍とはいえ制約条件が付く。政府は攻撃的な装備の保有を禁じ空母もここに含まれる。
  4. にもかかわらずMSDFは航空戦力の復活を長年目指してきた。MSDFの主任務は海上交通路防衛でこのために英海軍インヴィンシブル級軽空母含む空母型艦が望ましいとされた。この実現にむけ海上自衛隊は長期間戦略を立てた。
  5. 1960年代末に二隻のヘリコプター護衛艦がはるな級として建造された。はるな、ひえいの二隻は後部をすべてヘリコプター甲板と格納庫にあてた。対潜戦の海上基地とするのが目的とされた。その後同様仕様のしらね級二隻が続いた。
  6. はるな・しらね級各艦は空母とかけ離れた存在だったが海軍航空力の「海上試験台」となり、その後おおすみ級戦車揚陸艦が生まれた。日本国内島しょ部への部隊輸送の想定だったが、全通型飛行甲板をそなえていた。ただし格納庫はないが、外観は空母に酷似していた。
  7. 2009年は大きな一歩となり、JSひゅうがが誕生した。ひゅうが、いせの二艦は全長676フィート満排水量19,500トンでHMSインビンシブルより大きい。対潜ヘリ4機を通常搭載し、最大11機まで運用可能だ。2013年にはさらに大型のJSいずもが進水。全長は816フィート、排水量27千トンのいずもとかがは通常9機のヘリコプターを搭載し、最大14機を運用できる。各艦を護衛艦隊の中枢とし船団護衛をする構想だ。
  8. 各艦は全通型甲板、航空機用昇降機、アイランド型艦橋による航空運用、たっぷりとした格納庫があるが、固定翼機運用はできない。理論的にはF-35BV/STOL機が運用できるが、スキージャンプ式発艦装備はなく、後付けすれば工期一年以上の大改装になる。昇降機は二個ずつ装備するが、F-35BやMV-22オスプレイに使える大型はうち一基のみだ。
  9. 両級とも航空燃料や弾薬を搭載するが固定翼機を収納すればこれだけでは足りない。その場合格納庫の一部を犠牲にすることになる。各艦を空母に転用するのは難易度高く、時間を要する作業で費用もかさむ。
  10. だがこの先に何が来るのか。日本の航空運用艦は大型化高性能化を続けており、いずもは対潜艦としては大きすぎる。日本は知見を得ながら大型艦を建造してきたのでこの先に本格的空母建造に向かうのか。
  11. 日本が固定翼機運用空母を建造するとしたら用途はなんだろうか。一番可能性があるのが琉球、尖閣諸島への航空力追加投入だ。現在は沖縄本島の自衛隊基地・民間空港兼用の一か所が航空兵力の唯一の本拠地だ。ただし中国本土に近いことから空母投入するのであれば数隻の航空力がないと人民解放軍空軍等の圧倒的な航空兵力に対抗できない。.
  12. だが日本が真の空母保有に耐えられるだろうか。日本の政府部門負債は経済規模全体の二倍にまで膨れ上がっている。防衛予算はGDP1パーセント上限としているがGDP自体の成長が低く予算規模も増えにくい。それでも安全保障上の深刻な危機が発生すれば空母の必要が痛感されるはずだ。対中関係が悪化し続ければ日本政府は赤字でも空母建造に踏み切るだろう。
  13. 日本は曲がり角に来ていると言える。空母建造の技術力はあるし、米国のおかげで世界最高性能の空母技術も手に入る。また米海軍の知見を得て空母部隊の再編も可能だ。一方で整備に必要な戦略的な推進要因がない。すべては中国次第だろう。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
This first appeared last September.
Image Credit: Wikipedia


初飛行から20年、ラプターは今も世界最強の戦闘機の座を守る



なるほどハイスペックで設計要求を出し、丹念に作り上げたラプターはスーパーホーネットなどとは別の次元の機体強度がありそうですね。しかし200機弱しかない「虎の子」のラプターを2060年代まで使い続けることが本当に賢い選択なのかわかりません。戦闘機の概念自体が変われば、無人機がはるかに高機動飛行を自律的に行えるようになれば、...現在の延長線に未来がないのは確かなようです。そう思えば欲しくても変えなかった日本も我慢できるのではないでしょうか。


20 Years of the Mighty F-22 Raptor Stealth Fighter

初飛行から20年たったF-22ラプター
October 30, 2017


  1. 米空軍はロッキード・マーティンF-22Aラプターの初飛行20周年を今月初めに祝った。
  2. 式典はエドワーズ空軍基地で10月19日に開かれた。ラプターの初飛行は1997年9月7日でジョージア州マリエッタのドビンズ空軍基地でロッキード・マーティンの主任テストパイロット、ポール・メッツがテイルナンバーAF91-401の技術製造開発一号機を飛ばした。
  3. メッツの初飛行は一時間弱で高度20千フィート未満を守った。これが同機の長期間にわたる、時には困難に直面したフライトテストのはじまりとなった。最終的に当時の航空戦闘軍団(ACC)司令官ロナルド・キーズ大将がラプターの初期作戦能力獲得を2005年12月15日に宣言した。
  4. 10年以上前に実戦化したラプターは今日でも世界最強の制空戦闘機の地位を守っている。エドワーズAFBではF-22合同テスト部隊が2060年以降の供用を視野に改修策テストを続けている。
  5. 空軍はラプターの機体構造は強靭で構造強化策なしで飛行可能とみている。そこまで強固な機体になったのは空軍の要求水準が高かったためだ。設計上は8,000時間が上限のラプターだがローエンドなら12千時間まで改修不要で、ハイエンドでは15千時間まで飛行可能とみられる。
  6. 「80年代90年代初期当時にF-22を設計した当時はデザインミッション10通りを想定して機体構造を作成しています」とACCのトム・マキンタイヤがThe National Interestに今年初めに述べている。「EMD(技術製造開発)段階でフルスケールテストを各ミッションに対し行っています。実際の運用ではそこまで過酷な飛行はしていませんので構造強化策なくても2060年ごろまでは十分飛行できるはずです」
  7. ラプターは新型エイビオニクスやソフトウェアの改修を受けているが、コンピューター関係は大規模改修が必要となる。「2025年から2030年ごろに機内システム一部でそのまま使用が可能か真剣に検討する必要が生まれるでしょう。すでに検討の初期段階に入っています」(マキンタイヤ)
  8. だが2030年までにラプターは世界最高の戦闘機の座をおりることになりそうだ。潜在的敵国のロシアや中国が追いつこうとラプター対抗策の準備に入っている。
  9. ではラプターが第六世代侵攻型制空戦闘機(PCA)と組んで運用するようになったらどうなるか。今日の第四世代と第五世代ペアの様相とな時になるのではないか。ラプターがF-15Cの役となりPCAが上位となる。「PCAの供用が始まれば、F-22やF-35と共同運用されるはずです。2030年、2040年あるいは2050年になればF-22は現在の第四世代戦闘機の立場になるでしょう」(マキンタイヤ)
  10. だがPCAが実戦配備されるまでラプターは世界最強戦闘機として孤高な存在であり続けるだろう。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.