2022年7月3日日曜日

ウクライナ戦の最新状況「現地時間7月2日現在) 火砲でロシアが優勢

  

 

シアの侵攻が始まり129日目となった土曜日、リシチャンスク郊外を中心に戦闘が行われている。 


戦闘は続く 

ロシア軍はリシチャンスク攻略をねらっているが、ウクライナ軍は激しく抵抗している。双方が遠距離砲撃で攻防しているが、ロシア軍の砲撃が明らかに優位に立っている。ウクライナ軍がロシア軍に向けて放った砲弾1発に対し、ロシア軍は15~20発を打ち返したという報告がある。 

 
 

The situation on the ground. (ISW) 

 

「ロシア軍はリシチャンスクの包囲を続け、市の南と南西で攻撃作戦を実施した。ロシア軍はまだバクムート-リシチャンスク高速道路T1302に到達していないようだが、道路沿いに残るウクライナ軍拠点へ砲撃と空爆を継続し、ウクライナ軍の活動を否定している。ロシア軍は、スロビャンスク北部の戦術的位置の再編成と改善に注力している」と、戦争研究所は、最新の作戦アップデートで評価している。 

 

ロシア軍の損失 

ウクライナ軍は毎日、ロシア軍の死傷者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されたものではない。 

 

しかし、西側の情報機関の評価と独立した報道は、ウクライナの主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報リサーチページ「オリックス」は、約800台のロシア軍戦車を破壊または捕獲したことを視覚的に検証しており、この評価は英国国防省によって確認されている。 

 
 

Destroyed Russian tanks during the Battle of Mariupol. (Ukrainian Ministry of Internal Affairs) 

 

他のウクライナの主張のほとんどについても、同じように独立した検証が存在する。つい最近、米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。 

 

さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出したという。 

 

実際の数字を確認するのは、現地にいないと非常に難しい。しかし、戦争の霧やその他の要因を調整した後、西側の公式数字はウクライナの主張とかなり近いという。 

 

土曜日の時点で、ウクライナ国防省が主張するロシアの犠牲者は以下の通り。 

 

      • 戦死35,870(負傷者、捕虜は約3倍) 
      • 装甲兵員輸送車3,737 
      • 車両および燃料タンク2,614 
      • 戦車1,582 
      • 大砲800 
      • 戦術的無人航空機システム 653 
      • 戦闘機、攻撃機、輸送機 217 
      • 多連装ロケットシステム(MLRS)246 
      • 攻撃・輸送用ヘリコプター186 
      • 撃墜した巡航ミサイル143 
      • 対空砲台105 
      • 橋渡し装置などの特殊装備61 
      • ボートおよびカッター15 
      • 移動式弾道ミサイル「イスカンダル」4 

 

ここ数週間、ドンバスで継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの死傷者の割合は大幅に減速している。このことは2つのことを示唆している。1つ目は、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっており、目的を達成するために複合兵器をフル活用していること、2つ目は、ウクライナ軍の戦闘力や弾薬が不足していること、これは3カ月以上にわたってロシア軍と戦っていれば当然予想されることである。最近の現地報告によると、この2つはいずれも事実であり、戦いの疲労が双方に追いついてきているようである。 

 

Russian long-range fires (Wikimedia.org) 

 

先月の大半、ロシア軍の死傷者が最も多かったのは、スロビャンスク、クリビィ・リヒ、ザポリジヤ周辺で、そこで行われていた激しい戦闘を反映していた。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東にあるバフムト方面、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺に多く移行していった。 

その後、ウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所があるケルソンとザポリジャの地域へと再び西へ移動した。 

 

土曜日、ウクライナ軍は、ロシア軍が進攻しセベロドネツクを後方から切り離そうとしているバフムート付近と、ドネツク近郊のクラホーブで最も大きな犠牲を出した。 

 

ロシア軍は、東部での新たな攻勢について、親ロシア派の離脱地域であるドネツクとルハンスクを完全に支配し、これらの地域と占領下のクリミアとの間に陸上回廊を形成し維持することを目的としていると述べている。■ 

 

Stavros Atlamazoglou | July 2, 2022 

2022年7月2日土曜日

ロシアがスネーク島を放棄で黒海情勢への影響は? 穀物輸送に道が開くと考えるのは楽観的すぎる

 

 

海の海上戦闘は激化しており、ウクライナ側が大きな勝利を収めたようだ。ロシアはスネーク島から部隊を撤退させると発表した。ウクライナ軍が同島を奪回するのは間違いない。

 

 

戦略的価値

スネーク島は、西ウクライナの3港へのアプローチを制御し、黒海西部の海洋空間の制御で重要拠点となる。

 

ドナウ川デルタ地帯にも近いため、ロシアとNATO間で紛争が発生した場合、戦略的意義がある。

 

ロシアがスネーク島を占領したのは、開戦当初で、ウクライナ守備隊がロシアの降伏要求を拒否したことで有名となった。降伏要求を出した巡洋艦モスクワは、その後ウクライナの対艦ミサイルで撃沈された。

 

ウクライナ軍は無人機や固定翼戦闘機による攻撃、特殊部隊による襲撃の噂など、島を奪還するため高価な手段を講じてきた。

ロシアもウクライナも(昨日までは)スネーク島を戦略上重要な地点と見なしていたようで、人道的な理由で撤退するというロシアの説明は全くおかしな話だ。

 

装備品

スネーク島作戦を語る上で欠かせないのが、西側諸国からウクライナへ供与された殺傷力の高い装備品だ。ハープーン、エグゾセ、ノルウェーのネイバルストライクミサイルは、単独でスネーク島を奪還したわけではないが、ロシアの戦略的状況が変わったことは確かだ。

 

ハープーンミサイルは、先月、スネーク島に物資輸送中ロシアのタグボートを沈め、ウクライナの陸上砲撃効果が高まるにつれ、ロシアはスネーク島の補強や補給が不可能になった。

 

航空補給は、ウクライナの戦闘機と固定防空網が近くにあるため、利用できない。

 

長距離砲が役割を果たしたと思われる。ウクライナがロシア軍を撃退するため使用した砲兵システムについては不明だが、長距離砲はロシア陣地を苦しめただろう。これには大量の武器は必要なく、ロシア軍が対応できない精密砲撃を定期的に行うだけでよい。

 

穀物輸出への影響は

残念ながら、スネーク島奪回は、ウクライナがロシアの封鎖を解いたことを意味しない。

 

スネーク島は長期的に大きな影響力を持つ戦略的位置にあるが、ロシアによる占拠はウクライナの穀物輸出やオデーサへの物資輸送を妨げていなかった。今後数カ月、ロシア海軍の艦艇の消耗が大幅に増えないと仮定すれば、ロシアは封鎖を無期限に維持できる。特に、ウクライナ全土の目標に向けて長距離ミサイルを発射している黒海艦隊の潜水艦に対して、ウクライナは対応策を持っていない。

理論的には、西側諸国は対潜水艦技術を提供できるが、対潜戦は軍事作戦で最も複雑であり、米国などNATO諸国はロシアに対潜水艦技術や技法のヒントは与えたくないはずだ。

 

残念ながら、封鎖を解く選択肢(安全回廊の発表やウクライナに向かう船舶の船籍変更など)のほとんどは、依然望ましくなく、重大なエスカレーションの危険性をはらんでいる。

 

まとめ

海戦は続く。意外ながら、ウクライナは黒海でロシア石油基地を攻撃しており、ロシアに苦痛を与える能力と意志が残っていることがわかる。ロシアは、封鎖を維持するために潜水艦でウクライナの陸上目標にミサイルを発射し続けている。

 

海上でこの戦争が決着するわけではないが、海上戦闘の結果が陸上戦の行方に影響を与えることは間違いない。■

 

Russia's Defeat at Snake Island Is a Big Setback in the Ukraine War - 19FortyFive

ByRobert FarleyPublished1 hour ago

 

 

Expert Biography: Dr. Robert Farley, a 19FortyFive Contributing Editor, has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph.D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor