2022年6月29日水曜日

Know Your Enemy 「一つの中国」は大嘘だ。台湾問題をCCPの論理で考えるべきではないことに世界が気づきつつある

Know Your Eenmy番外編: CCPが一番触れてほしくないのが「一つの中国」原則です。世界がその虚構に気づきつつある一方で、宥和的態度を取る勢力が今でも中国の代弁をしているのはなぜでしょう。

 

 

The Economist

 

月初め、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はワシントンのシンクタンクで講演し、中国を安心させようと、台湾に関するジョー・バイデン大統領の即興発言が生んだ混乱を収拾しようと、アメリカの「一つの中国」政策を繰り返した。そうすべきではなかった。




選挙で選ばれたわけでもないスタッフが現職大統領発言を訂正するという見苦しさはさておき、この行為は外国人の間で、バイデンは老人で政権を統率できていないという見方を強めるだけだ。現実には、「一つの中国」という概念は、中国共産党委員長の毛沢東と、国家安全保障補佐官として北京とのデタントを仲介したヘンリー・キッシンジャーの野心から生まれたものだ。

 

サリバンが生まれる4年前、リチャード・ニクソン大統領は上海コミュニケで「一つの中国」構想を容認した。しかし、ニクソンの合意は、北京が主張するような明確なものではなかった。ニクソンは、毛沢東の「中華人民共和国政府は中国の唯一の合法的政府であり、台湾は中国の省である」という発言を明確に支持するのではなく、「米国政府はその立場に異議を唱えない」とし、代わりに「中国自身による台湾問題の平和的解決に関心を持つことを再確認する」と述べていた。

 

台湾が中国の一部だったことはない

率直に言って、この譲歩でもやりすぎだった。アメリカン・エンタープライズ研究所は『Defending Taiwan 』を刊行した。ジゼル・ドネリー、マイケル・ベックリー、ザック・クーパー、アリソン・シュワルツ、ハル・ブランズ、シーナ・チェスナッツ・グレイテン、クロン・キッチン、マッケンジー・イーグレン、ポール・ウォフォウィッツらが寄稿している。筆者も、「台湾は本当に中国の一部だったのか」を深く掘り下げる論考を寄稿した。答えは簡単だ。そうではない。

 

歴史的にも法的にも、「一つの中国」は虚偽である。

 

歴史は重要だ。1894年、日本が清朝の支配から台湾を奪って以来、台湾は中国本土の支配下にはない。別の言い方をすれば、台湾の統治について中国は前世紀半ばまでアジアやアフリカを支配していたヨーロッパの植民地勢力よりも、発言力は弱かったのである。

 

しかし、中国本土が主張する台湾の歴史的所有権はさらに希薄である。清朝は理論的には日本が侵略する前の2世紀にわたって台湾を支配していたが、完全に支配を確立できなかった。数年おきに台湾は反乱を起こした。清朝は名目上、台湾を統治していたが、台湾の原住民や大陸からの移民は事実上の自治権を持っていた。しかし、皮肉なことに、清は漢民族に支配されなかった2番目の王朝である。実際、漢民族は長い間、清を外部侵入者だと主張してきた。事実、中国の民族主義者は、何世紀にもわたり清の「中国人らしさ」を否定してきたにもかかわらず、清の支配を引き合いに出したのだ。さらに、清の支配以前の数世紀には、オランダ人とポルトガル人がこの島を、少なくともアクセス可能な海岸を支配していた。ポルトガル人は台湾を「Isla Formosa(美しい島)」と呼んだが、「台湾」という名称の由来については、中国人が支配していたとは考えにくい「東夷」という中国語が変化したものから、中国人入植者を指す原住民の「外国人」という意味の言葉まで様々な説がある。

 

中国本土の法的主張も同様に微妙である。

 

 

法的神話にすぎない

台湾に関する北京の法的主張の多くは、1943年のカイロ会議が出発点だ。1928年から1975年にかけて中華民国を率い、1949年の毛沢東の勝利後に台湾に亡命した蒋介石は、会議の共同声明に署名し、「満州、台湾、ペスカドール(澎湖諸島)など日本が中国から奪った領土はすべて中華民国に返還する」と宣言している。

 

中国当局者は、北京の「一つの中国」解釈は国連が受け入れていると主張する。故コフィ・アナン国連事務総長は「一つの中国」政策を受け入れたが、国連憲章で彼にそのような権限を与えていない。それは国際条約の領域である。日本との講和を確定した1951年のサンフランシスコ条約は、「日本は、フォルモサ及びペスカドールに対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と定めている。しかし、この条約は主権を他の国家に移譲していない。このため、中国共産党当局は、サンフランシスコ条約がカイロ宣言に取って代わったにもかかわらず、カイロ宣言を根拠として今も議論している。

 

1936年、毛沢東はジャーナリストで作家のエドガー・スノーのインタビューで、台湾を中国とは別のものとして扱っていた。

 

毛沢東は「万里の長城の下の主権を守るだけでなく、失われた領土をすべて取り戻すことが中国の当面の課題である」と述べた。「しかし、われわれが中国の失われた領土の独立を再び確立し、朝鮮人が日本帝国主義の鎖から脱却することを望むならば、われわれは彼らの独立のための闘争に熱烈な援助を与えるだろう。台湾も同様である」。

 

周恩来首相との最初の会談で、キッシンジャーは宥和的な態度を示した。「もし朝鮮戦争がなかったら......台湾は今日、おそらく中国の一部になっているだろう」と言った。キッシンジャーは歴史上の仮定として恩を着せたかったのだろうが、歴史は共産中国に味方していない。半世紀を経て、サリバンが、繰り返された嘘を喜んで受け入れているように見え、共産党当局がでっち上げた物語を嘘だと訴えていないのは悲劇である。■

 

The One China Policy Is a Lie - 19FortyFive

ByMichael Rubin

 

Expert Biography – Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Michael Rubin is a Senior Fellow at the American Enterprise Institute (AEI). Dr. Rubin is the author, coauthor, and coeditor of several books exploring diplomacy, Iranian history, Arab culture, Kurdish studies, and Shi’ite politics, including “Seven Pillars: What Really Causes Instability in the Middle East?” (AEI Press, 2019); “Kurdistan Rising” (AEI Press, 2016); “Dancing with the Devil: The Perils of Engaging Rogue Regimes” (Encounter Books, 2014); and “Eternal Iran: Continuity and Chaos” (Palgrave, 2005).

In this article:China, featured, One China, One China Policy, Taiwan


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月28日現在)ウクライナ軍の損失続く

 

The fighting in the Donbas. (ISW)


シアのウクライナ侵攻が始まり125日となった火曜日、ロシア軍はリシチャンスクを占領し、セベロドネツクで勝利した後の勢いを使おうとしている。


ドンバス地方での戦闘

戦闘のほとんどは、リシチャンスクとバフムトを結ぶ重要な高速道路に近いリシチャンスクの南西郊外で発生している。ロシア軍はウクライナの交通通信網の遮断を試みているものの、まだ成功していない。


一方、ウクライナ南部でのウクライナ軍の反攻で、ロシア軍は守勢に回り、ロシア軍司令官は人員や兵器システムで防衛を強化せざるを得なくなった。しかし、ロシア軍の大部分を拘束することには成功したものの、ケルソン周辺でのウクライナ軍の反攻は動きが遅く、戦術的・戦略的に大きな成果を上げることができていない。


さらに北のハリコフでは、両軍は陣地戦を行っており、長距離砲撃で互いを追い払おうとしている。


ロシア軍の損失

ウクライナ軍は連日、ロシア人犠牲者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されたものではない。

しかし、欧米の情報機関による評価や独立した報告書は、ウクライナ側の主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報研究ページ「オリックス」は、約800台のロシア戦車を破壊または捕獲したことを視覚的に検証しており、この評価は英国国防省によって確認されている。


The situation of the overall battlefield as of June 28. (UK MoD)


その他ウクライナの主張のほとんどについても、同じく独立した検証が存在する。つい最近、米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。


さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出したという。


実際の数字を確認するのは、現地にいないと非常に難しい。しかし、戦争の霧やその他の要因を調整した後、西側の公式数字はウクライナの主張とかなり近いという。


火曜日現在、ウクライナ国防省は以下のロシア軍損失を主張している。


  • 戦死者35,250人(負傷者、捕虜は約3倍)

  • 装甲兵員輸送車3,704台

  • 車両および燃料タンク2,589

  • 戦車1,567

  • 大砲778

  • 戦術的無人航空機システム636機

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 217

  • 多連装ロケット(MLRS) 243

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター185

  • 撃墜した巡航ミサイル139

  • 対空砲台102基

  • 橋渡し装置などの特殊装備61

  • ボートおよびカッター 14

  • 移動式イスカンダル弾道ミサイル4



ここ数週間、ドンバスで継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの死傷者の割合は大きく減速している。このことは2つのことを示唆している。1つ目は、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっており、目的を達成するために複合兵器をフル活用していること、2つ目は、ウクライナ軍の戦闘力や弾薬が不足していること、これは3カ月以上にわたってロシア軍と戦っていれば当然予想されることである。最近の現地からの報告によると、この2つの要因はいずれも事実であり、戦いの疲労が双方に追いついてきているようだ。


先月はスロビャンスク、クリビヤリ、ザポリジャー周辺で激しい戦闘が続いたため、ロシア軍の死傷者が最も多かった。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東にあるバフムト方面、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺に多く移行していった。


その後、欧州最大級の原子力発電所があるケルソン、ザポリジヤ周辺でのウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は再び西へ移動した。


火曜日、ウクライナ軍は、ロシア軍が進攻しセベロドネツクを後方から切り離そうとしているバフムート付近と、ドネツク近郊のクラホーブで最も大きな犠牲を出した。


ロシア軍は、東部での新たな攻勢について、親ロシア派の離脱地域であるドネツクとルハンスクを完全に支配し、これらの地域と占領下のクリミアとの間に陸上回廊を形成し維持することを目的としていると述べている。■


Your daily tactical update on Ukraine (June 28) - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | June 28, 2022


2022年6月28日火曜日

ウクライナに西側新鋭防空ミサイルの新規供与、米政府がまもなく発表か

 


NASAMS

Kongsberg

ウクライナは、ソ連時代の地上配備型防空システム(NASAMS)の装備更新を必要としている。



クライナからの度重なる地上配備型防空システム要求は、米国がNASAMS(National Advanced Surface-to-Air Missile System)を供給すると発表する日が近づいてきたとの報道により、実現しそうな雰囲気になっている。同システムは、ウクライナ側が過去に導入検討したものだ。

CNNが匿名の情報源を引用して報じたところによると、ウクライナ向けNASAMSシステム購入に関する米国の発表は、今週にも行われるようだ。このシステムは、キーウへの武器やその他の最新支援パッケージとして、砲兵弾薬や対砲兵レーダーとあわせ提供される見込みだ。

NASAMSの納入時期は明らかにされていないが、ウクライナ軍はシステム運用の訓練に時間を費やす必要がある。また、現段階ではシステムの数や総額も不明だが、CNN報道を見ると当初は一個のみのようだ。

NASAMSで AIM-120 AMRAAMミサイルを試射した. Kongsberg

ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は本日の記者会見で、詳細は説明しなかったが、ウクライナが新型防空システムを入手する予定であると確認した。

「米国がウクライナに提供する準備を進めている高度な防空能力について、具体的な内容の報告を目にした。最終決定の過程にあることを確認できる。システムの詳細には触れません。しかし今週、大統領がG7の首脳に話したように、またゼレンスキー大統領に話したように、米国はウクライナ軍の高度な中・長距離防空能力を含むパッケージを最終決定の意向で、緊急に必要な他のアイテムもここに含まれる」。

以前、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、レイセオンがノルウェーのコングスベルグ・ディフェンスと協力して開発したシステム、NASAMSの提供をノルウェーに要請していた。ノルウェーは開戦以来、自走砲など重火器をウクライナに提供しているが、NASAMSの譲渡例はない。

ウクライナへの米国の次の安全保障措置は、先週発表された450百万ドルの軍事援助に続くものと予想される。このパッケージには、M142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)4、パトロールボート18、105mm榴弾砲3万6000発のほか、戦術車両や小火器などが含まれる。

NASAMSは、現在ウクライナで使用されているS-300シリーズのような上位のSAMシステムの射程はないが、開戦以来同国に提供された地上配備防空システムの大部分を構成していた携帯型武器から大きく前進となる。また、ソ連時代の短・中距離防空システムよりはるかに近代的だ。さらに、紛争が始まって以来、ウクライナのS-300発射台少なくとも20が破壊されたと確認されており、喪失分のロシア製装備の代替品を調達する選択肢はほとんどない。

サリバン発言にある「ウクライナ軍の長距離防空能力」については、謎のままだ。ペイトリオットSAMシステムが将来納入されれば、NASAMSの上位互換として高い能力を発揮し、対弾道ミサイル能力も向上する。しかし、現段階では、ウクライナに向かう可能性のあるその他のシステムについて公式な情報はなく、単にNASAMSを説明したに過ぎない可能性がある。

NASAMSの性能は、冷戦時代のBuk(SA-11 Gadfly)に近いとされる。ブークは最大交戦距離22マイルだが、NATOやその他の友好国からウクライナに譲渡できる数が限られるという点では、S-300と同じ問題がある。

NASAMSの最大射程も約20マイルと比較的限られているため、重要インフラや人口密集地の防衛に最も適しており、米国ではワシントンDCを守るために常時配備されている。ウクライナがNASAMSを手に入れれば、先週末3週間ぶりにミサイル攻撃を受けたキーウを守るために配備されたとしても不思議はない。

NASAMSは、これまでの紛争でロシアが多用してきた低空飛行の巡航ミサイルとの交戦も想定する。NASAMSは、高度1,000フィート以下から50,000フィート以上の高度で標的と交戦可能と言われる。この能力は、有人戦闘機に対する大きなアドバンテージとなる。ウクライナ空軍のMiG-29パイロット「ジュース」は、巡航ミサイルのレーダー断面積の低さ、特に低高度飛行経路と第三者による電子戦妨害が重なると、戦闘機の旧式レーダーや目視では探知が不可能になると語っている。「これで毎日、巡航ミサイルを大量に破壊している」。

ロシアのミサイル攻撃に対抗する能力の強化を、ゼレンスキー大統領が今日のG7首脳との会談で呼びかけた。国家安全保障補佐官ジェイク・サリバンは、「同大統領のプレゼンテーションの最初の要求は、防空システム増強だった」と確認した。「特に、キーウなどウクライナ都市への一連のミサイル攻撃と、空中のロシアミサイルを撃ち落とすことができる追加の防空能力を得たいということが、念頭にあった。大統領はこの件に関して積極的に対応した」。

NASAMSのもう一つの利点は、ウクライナで使用中のAN/MPQ-64センチネルレーダーと組み合わせて使用できることだ。

さらに、ノルウェーが設計した配備センター(FDC)を介して、レーダーとミサイル部隊をNATO標準のデータリンクでつなぎ、分散配置が可能だ。9基のランチャーをフル装備し、ミサイル54発が発射可能だが、実際には72発の同時発射を管理できる。ネットワークは、ノード一部が破壊されたり、オフラインになっても、残りのノードが機能し、冗長性を持つ。このため、ロシア航空宇宙軍で増えている対レーダーミサイルKh-31Pシリーズ(AS-17クリプトン)を中心とした敵防空制圧(SEADS)任務でも、はるかに有利になる。

NASAMS部隊は通常、レーダー以外に、電気光学/赤外線センサーを搭載した車両も少なくとも1台含む。このセンサーは、敵がNASAMSに照準を合わさせるレーダー放射を行わず、パッシブにターゲット交戦を可能にし、生存性をさらに高める役割を担う。このセンサーは主に、敵標的を正確に識別するため、さらに交戦後のキル・アセスメントに使用される。

NASAMSの正確なバージョンは不明だが、現在NASAMS 2と3の両方が運用されており、後者が生産中である。NASAMS 2がAIM-120 Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile (AMRAAM)の地表発射型であるのに対し、NASAMS 3は改良型AMRAAM-ERミサイルを採用している。AMRAAM-ERは、AIM-120C-7の弾頭とシーカーに、RIM-162 Evolved Sea Sparrow Missile(ESSM)のモーターを追加したもので、AIM-120C-7の弾頭とシーカーを搭載する。AMRAAMが選択肢の1つであるということは、NATOやその他の国々が自国の在庫から空中発射式AIM-120、特に旧型AIM-120A/Bをウクライナに提供できる可能性を意味する。さらに、NASAMS 3は、主に巡航ミサイル撃墜を目的とした赤外線誘導の短距離ミサイルAIM-9Xサイドワインダーを搭載できる。

さらにNASAMS 3には、欧州共通のIRIS-T SLミサイルを搭載するオプションもある。この形態で、M113装甲兵員輸送車にシステムを搭載した「移動式地上配備型防空システム」として、ノルウェーに発注されている。ウクライナのシステムにもこの技術が生かされている可能性があり、ドイツはすでにIRIS-T SLを供給すると約束しているが、これが利用可能となるのは早くても年末になるようだ。しかし、IRIS-TミサイルをNASAMSに搭載すれば、ドイツが供給するシステムと共通化できるという利点がある。

初期型のNASAMS1も、在庫があれば魅力的な選択肢になるかもしれない。第一世代のNASAMSは運用を終えているようで、ノルウェーの在庫の状況は不明だ。しかし、確保できれば、複雑でなく、輸出状況にも左右されにくいという利点がある。

 

ノルウェー軍のNASAMS部隊Soldatnytt/Wikimedia Commons

もう一つの選択肢は、ノルウェーが選択したM113ベースのオプションのようなNASAMSの移動型か、あるいはウクライナでも使用中のハンビー多目的実用車の後部に装備されたバージョンをウクライナが受け取ることだ。AMRAAMと組み合わせれば、米軍向けに開発されたSLAMRAAMシステムに近い構成になる。

AMRAAMを装備した Humveeをレイセオンが提示している  Wikimedia Commons

全体として、ロシア軍がウクライナ上空で大規模な航空戦力を行使し続けているのは明らかだ。米当局は、ロシアの航空作戦への評価で最新情報をあまり提供していないが、マリウポリ陥落後に大幅に減少した後でも、5月中旬には24時間で140回の出撃を記録している。同市の奪取前は、毎日250〜300回程度だった。一方、今月時点で、ウクライナのパイロットは1日20〜30回しか出撃していないという。

ウクライナ空軍は現在、ロシアが大きく前進中のウクライナ東部の部隊を支援するため、地上攻撃に重点を置いている。攻撃的な活動を行う航空機が増えれば、重要目標を守るため、また地上配備の防空システムの必要性はさらに高まる。さらに、NASAMSにAIM-120 AMRAAMミサイルが搭載されれば、ウクライナ空軍の戦闘機にも同ミサイルが搭載されることになり、ウクライナで同兵器の供用が確立される可能性がある。

ウクライナはソ連時代の戦闘機を西側モデルに置き換えるよう常に要求しており、その動きの前にAMRAAMを納入すれば、AMRAAM運用能力を持つ航空機を確保できる可能性が生まれる。注目すべきは、NATO以外のF-16輸出先の中には、AMRAAM取得を許可されていない例もあることだ。ウクライナの戦闘機パイロットは、優秀なロシアの戦闘機と対峙するため、AMRAAMのようなアクティブレーダーミサイルを最も必要な装備として挙げている。

ここ数カ月、ウクライナに供給されたさまざまな兵器の中で、NASAMSは際立っている。これまで納入されたSAMのほとんどは、肩から発射されるミサイルや、車両に搭載された同様の赤外線誘導ミサイルなどの低レベルの装備品であった。長距離型S-300PMUは1基しか納入されていない。

ウクライナのMiG-29パイロット、ジュースは、3月にThe War Zoneの取材に応じ、NASAMSを受け取る希望について次のように語っていた。「クソ高いことは理解している。しかし、それはこちら優先事項でもあるので、意思決定プロセスを開始する必要がある」。

「SF」が現実になる日が近づいてきたようだ。■

 

Ukraine To Get Same Surface-To-Air Missiles That Protect US Capital: Report


BYTHOMAS NEWDICKJUN 27, 2022 1:47 PM

THE WAR ZONE

 


Know Your Enemy G7-NATOサミットの結束をなんとかして低下させたいCCP

CCPのポイント:G7、NATOともに反中姿勢を強めるのを警戒し、米国に操られる役目しか果たしていないことを各国に気づかせる=機構の実効性を低下させたい。

Know Your Enemyブログ立ち上げに伴い、T2でも共通記事としています。ご了承ください。https://knowyourenemy2022.blogspot.com/

UK Prime Minister Boris Johnson (front left), US President Joe Biden (center) and German Chancellor Olaf Scholz (front right) and other leaders of the G7 sit at a session during the first day of the G7 Summit at Schloss Elmau, Germany, on June 26, 2022. Photo: AFP

UK Prime Minister Boris Johnson (front left), US President Joe Biden (center) and German Chancellor Olaf Scholz (front right) and other leaders of the G7 sit at a session during the first day of the G7 Summit at Schloss Elmau, Germany, on June 26, 2022. Photo: AFP

 

曜日にドイツのバイエルン州でG7サミットが開幕し、火曜日から木曜日までスペインのマドリッドでNATOサミットが開催される。一部の米国メディアは、米国が 「中国に対抗するための最も厳しいプレイブックを携えて 」欧州に到着した、と伝えている。

 

プレイブックの具体的な内容が、2つのサミットで国際世論の最大の焦点となっている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は先に、NATOサミットで新戦略概念を発表し、初めて中国からの「挑戦」に言及することを明らかにした。

 

地球規模の問題がますます顕著になり、地域的な危機が次々と発生しているこの時期に、西側諸国の最高レベルの2つの首脳会議で、中国をライバル視し、敵視まですると、中国が重要なパートナーになり得たのに残念というより他はないだろう。

 

皮肉なことに、両首脳会談は「前例のない結束」を示すという。その結束は西側の一部のサークルの中だけのものだ。地球全体としては、「分断された世界」を象徴する不吉な角笛の音にしか聞こえない。つまり、西側が小さなサークルに力を入れれば入れるほど、地政学的な敵対関係や軍事的な安全保障要因が大きく増幅される。G7サミットでは、COVID-19パンデミック、飢餓、貧困、気候変動などグローバルな問題についても声明を出すが、声明は、G7を多少良く見せるだけにすぎないと人々は考えざるを得ない。

 

米国や欧米の世論の関連コメントでは、2つの興味深い言葉が目につく。「タイミング」と 「コスト 」だ。日本は欧米圏で 「幸運」に恵まれており、中国にネガティブな行動を取るリスクは今のところ低いと見るアナリストもいる。一方で欧州は、中国への巨額の投資に対する「脅威」を恐れ、中国を怒らせることによる「利益」を考慮し、より慎重になっている。これらの分析は、ある程度、中国に対処する際の一部西側諸国による日和見主義的傾向を反映したものだ。

 

こうした傾向は、現実の中でも確認できる。今回のNATO首脳会議で、日本は韓国、オーストラリア、ニュージーランドを「小さな会議」に引きずり込むだけでなく、日米韓首脳会談の再開を積極的に働きかけようとするだろう。東京は「中国の脅威」を手がかりとして、これらの国々をつなぎ合わせようとしている。

 

中国との「激しい競争」という米国の戦略のバトンの下、一部国はG7とNATOの首脳会談を、自らの意義を強調し、「舞台を利用」し、戦略的野心を実現する機会とみなしている。これらの国がいかに日和見主義的に政策を誘導しても、反中姿勢は決して彼らの「好機」にならないと指摘しておかなければならない。

 

世界情勢の激変で一度つまづいた国は、「今度はラッキー」と思わないでほしい。自らを地政学を操るチェスプレーヤーと思いがちだが、結局はチェス盤上の大国の「駒」でしかない。

 

西側ブロックの「兄」として、米国はすべての同盟国を扇動し、中国に対抗するグループ全体の競争戦略に巻き込んできた張本人である。しかし、アメリカは本質的には最大の投機家だ。ワシントンが「自由」や「人権」といった派手な「価値」を語るとき、売り込んでいるのは私利私欲だけであることは、誰でもわかる。米国は常に、高尚なレトリックで覇権主義を白日の下にさらす悪い癖がある。今日、イデオロギーと価値観に包まれた同盟国とのいわゆる協調的中国政策の核心は、中国との相互作用の観点から発言権と最終決定権を完全に取り戻すことにある。

 

G7もNATOも、首のないハエのように歴史の中で混乱にまみれていた。1970年代に誕生したG7は、もともと世界経済危機に対処するため設立されたが、2008年の国際金融危機を前にその無能ぶりを発揮した。これに対応して登場したのがG20だ。NATOは言うまでもなく、冷戦時代に発足した西側の軍事同盟だが、明らかに今の時代と相容れない。現在、米国を中心とする西側諸国は、G7に比重を置き、G20は疎外し、NATOを強化し始めている。しかし、間違った方向に目を向けるのは、前進しないことよりはるかに危険であると強調せめばばならない。

 

世界が真に必要とするのは、対立を煽り立てる破壊的な勢力ではなく、平和を維持し、発展を促進する勢力である。「国際秩序の再構築」を理由に日和見主義を追求することは、喉の渇きを癒すため毒を飲む結果にしかならないことは、さまざまな兆候で示されている。中国を「チャンス」として挑発しても、結局は「羊毛を取りに行ったのに、毛を刈りとられて帰ってくる」ようなものであることが、現実により証明されるのである。■

 

Fortune never favors those who provoke China: Global Times editorial

By Global Times

Published: Jun 27, 2022 12:07 AM

   

 

ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月27日現在) ウクライナ軍に不利な状況、占領地でのパルチザン活動が増える

 


シアのウクライナ侵攻が始まって124日目となった月曜日、ロシア軍はセベロドネツクでの成功に乗じて、ドンバスで猛烈な攻勢をかけている。 

 
 

リシチャンスクへの攻勢 

セベロドネツクの占領後、ロシア軍はその勢いに乗り、リシチャンスクに猛進している。しかし、ウクライナ側は強固な防御を敷いており、ロシア軍の素早い進攻は望めない。現在、戦闘は主にリシチャンスク市の南郊外で行われている。 

 
 



 

「ロシア軍はリシチャンスク南郊で攻撃を続け、セベロドネツクとその周辺集落の支配を固めた。ロシア軍はバフムトの東側でT1302バフムト-リシチャンスク高速道路の支配を維持するため作戦を展開している」と戦争研究所は評価している。 

 
 

南部でのウクライナ反攻はかなり鈍化し、ロシア軍は陣地を強化し、より多くの人員とハードウェアを投入している。ここ数日、ケルソン周辺でロシア軍は、反攻をさらに遅らせるため、ウクライナ軍陣地への長距離砲撃攻撃を強化している。 

 

ウクライナの占領地でロシア軍が直面中の脅威は、パルチザン抵抗活動だ。ウクライナ軍は敵陣の背後で非通常戦を展開し、ロシア軍を苦境に陥れようとしている。この試みは一定の成果を上げており、占領下のウクライナ各地でロシア軍や施設への攻撃が頻発している。 

 
 

ロシア軍の損失 

ウクライナ軍は連日、ロシア人犠牲者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されたものではない。 

しかし、欧米の情報機関による評価や独立した報告書は、ウクライナ側の主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、約800台のロシア戦車を破壊または捕獲したことを視覚的に検証しており、この評価は英国国防省によって確認されている。 

他のウクライナ側の主張のほとんどについても、同じような独立した検証が存在する。つい最近、米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。 

 
 

さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出したという。 

 
 

実際の数字を確認するのは、現地にいないと非常に難しい。しかし、戦争の霧やその他の要因を調整した後、西側の公式数字はウクライナの主張とかなり近いという。 

 
 

月曜日の時点で、ウクライナ国防省は以下のロシア軍損失を主張している。 

  • 戦死35,000(負傷者、捕虜は約3倍) 
  • 装甲兵員輸送車3,687 
  • 車両および燃料タンク2,575 
  • 戦車1,552 
  • 大砲771 
  • 戦術的無人航空機636 
  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 217 
  • 多連装ロケット(MLRS) 243 
  • 攻撃・輸送用ヘリコプター 184 
  • 撃墜した巡航ミサイル139 
  • 対空砲台101 
  • 架橋装置などの特殊装備60 
  • ボート・カッター 14 
  • 移動式イスカンダル弾道ミサイル4 

 
  


この数週間、ドンバスで継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの死傷者の割合は大きく減速している。このことは2つのことを示唆している。1つは、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっており、目的を達成するために複合兵器を十分に活用していること、もう1つは、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつあること、これは3カ月以上にわたってロシア軍と戦っていれば予想されることである。最近の現地からの報告によると、この2つの要因はいずれも事実であり、戦いの疲労が双方に追いついてきているようだ。 

 
 

先月はスロビャンスク、クリビヤリ、ザポリジャー周辺で激しい戦闘が続いたため、ロシア軍の死傷者が最多となった。日が経つにつれ、激戦はスロビャンスクの南東にあるバフムト方面、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺に多く移行していった。 

 
 

その後、ウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所があるケルソンとザポリジャの地域へと再び西へ移動した。 

 
 

月曜日、ウクライナ軍は、ロシア軍が進攻しセベロドネツクを後方から切り離そうとしているバフムート付近と、ドネツク近郊のクラホーブで最も大きな犠牲を出した。 

 
 

ロシア軍は、東部での新攻勢について、親ロシア派の離脱地域であるドネツクとルハンスクを完全に支配し、これらの地域と占領下のクリミアとの間に陸上回廊を形成し維持することを目的としていると述べている。■ 

 
 

Stavros Atlamazoglou | June 27, 2022