2019年2月28日木曜日

2060年代まで第一線戦闘機として使いたいUSAFの期待にF-22は応えられるか

米国の国防戦略構想で中国、ロシア相手のハイエンド戦が前面に出てきましたが、現時点のF-22が第四世代機より見劣りする面があり、しかも機数があまりにも少ないのは痛いところでしょうね。生産ラインを早期閉鎖してしまった決定を悔やむことになるのか、F-35/F-15Xの組み合わせで今後踏ん張るのか、苦しい状況になりそうです。


The F-22 Raptor: The World's Most Dangerous Fighter Jet Until 2060?

F-22ラプターは世界最強戦闘機として2060年まで活躍できるのか
February 23, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-22 RaptorF-35U.S. Air ForceStealth Fighter
こに来てF-35とF-15Xに関心が集中しており、米空軍の主力航空優勢戦闘機であるF-22ラプターの存在が霞んでいる観がある。
ラプターは2000年代初頭の就役時には世界最高の戦闘機と言われていたが、センサー、レーダー、データリンク各技術はその後も改良されてきた。
ただしラプターが受けてきた改修はF-15やF-16より小規模で今や時代遅れの部分もある。たとえばF-16、F-15、F/A-18にはJHMCSミサイル誘導技術が搭載されており、パイロットは敵機の方向を見ればロックされる。だがF-22には同技術は導入されていない。
USAFはソフトウェアでF-22性能改修を目指し、同機は搭載センサーの活用度を引き上げているが、ハードウェア改修は小幅だ。センサーやレーダーの性能向上と小型化が進む中でこの方針でいいのか。
答えは複雑だ。F-22の機体はUSAF機材中で最も高性能の「シャーシ」であるが、偏向推力とスーパークルーズ性能、ステルス性のためセンサーの追加装備はポッドも含めステルスを犠牲にしない限り困難であり、性能改修の可能性を狭めている。また2011年に生産ラインが閉鎖されたことも性能改修で制約条件になっている。
そこで米空軍はこの解決をどう目指すのか。F-22での最新の性能改修は二段階で、ベイスライン3.2Bと性能改修6のふたつだ。目標は最新の空対空ミサイル搭載とネットワーク戦能力の向上にある。
AIM-9XおよびAIM-120D空対空ミサイルをF-22搭載のエイビオニクスで運用可能とする。AIM-9Xは2014年から運用を目指してきたが改修作業は先送りされてきた。
ミサイルは2017年に搭載可能になったが本来一緒に運用するはずのJHMCSが搭載されていない。最新改修でJHMCSに似たヘルメットがF-22で利用できるようになる。逆にUSAF、米海軍ではAIM-9XとJHMCSの組み合わせを2010年代初頭から使っている。
F-22改修に暗号化技術が加わる。これは敵の電子戦環境でも問題なく作動するものでLink-16「送信」モジュールでF-22も他機種のレーダー等標的情報を共有しながら送信できるようになる。これまではLink-16「受信」モジュールのみ搭載されていた。
F-35が優れたセンサー性能で戦場の様相を伝える標的機の役目に成功をおさめたことでUSAFもF-22のデータリンク改修に踏み切ったのだろう。
新型データリンクとミサイルの組み合わせでF-22は性能改修型の第4世代機と兵装・ネットワーク機能で互角になる。F-35はセンサー性能で先を進むことに変わりはない。
F-22センサー改修の予算確保は2020年代に実現の見込みで電子光学モジュールとしてF-35のEOTSやDAS装備に近いものが搭載され、高度のジャミング環境でも支障なく運用できるようになる。これはF-15Xの性能を意識したものだ。
イラク、アフガニスタン両戦線でF-22はF-35の前に精細を欠いていたが今や超大国間対決が再び脚光を浴び性能改修が必要との意識だ。
実は性能改修は2013年から企画されていたが、最近になり予算化され、2019年度予算で高い優先順位がついた。すべて順調ならF-22は2060年代まで航空優勢の実現の尖兵となり、現在計画中の第六世代戦闘機と交替することになる。■
Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues.

Image: Wikimedia

2019年2月27日水曜日

インド、パキスタン武力衝突の影響が民間航空に早くも出ています 該当地区への旅行は要注意

Border clashes shut Pakistan's airspace and north Indian airports

武力衝突をうけパキスタンとインド北部で民間航空が運用中止に

キスタンの民間航空当局は同国上空の飛行禁止措置を確認し、一方インドは北部8空港での民間航空取扱を中止した。両国はかねてから紛糾のカシミール地方で軍事衝突をしたばかりだ。

Border clashes shut Pakistan's airspace and north Indian airports

武力衝突をうけパキスタンとインド北部で民間航空が運用中止に


27 FEBRUARY, 2019
SOURCE: FLIGHT DASHBOARD
BY: AARON CHONG
SINGAPORE
キイスタンの民間航空当局は同国上空の飛行禁止措置を確認し、一方インドは北部8空港での民間航空取扱を中止した。両国はかねてから紛糾のカシミール地方で軍事衝突をしたばかりだ。

Border clashes shut Pakistan's airspace and north Indian airports

武力衝突をうけパキスタンとインド北部で民間航空が運用中止に


27 FEBRUARY, 2019
SOURCE: FLIGHT DASHBOARD
BY: AARON CHONG
SINGAPORE
キスタンの民間航空当局は同国上空の飛行禁止措置を確認し、一方インドは北部8空港での民間航空取扱を中止した。両国はかねて

27 FEBRUARY, 2019
SOURCE: FLIGHT DASHBOARD
BY: AARON CHONG
SINGAPORE
キスタンの民間航空当局は同国上空の飛行禁止措置を確認し、一方インドは北部8空港での民間航空取扱を中止した。両国はかねてから紛糾のカシミール地方で軍事衝突をしたばかりだ。
インド民間航空局はNOTAMでアムリスタAmritsar、ジャンムJammu、カングラKangra、クルマナリKullu Manali、クショク・バクラKushok Bakula、パタンコートPathankot、リムポチーRimpochee、シムラShimla、スリナジャールSrinajaの8空港は現地時間11:30をもって「運用上の理由により」すべての出発到着便の取扱を中止すると通達した。
IndiGo,Vistra,SpiceJetの各社は上記空港への便を停止したと確認している。IndiGoではチャンディガChandigarhとデラドゥンDehradunでの運航も中止している。
インド当局のNOATAMはインド空軍機がパキスタンが実効支配するカシミール地方に侵入しテロ集団の訓練キャンプを空爆した2月26日の事件を受けて発信された。
パキスタン政府はインド軍用機2機をパキスタン領空内で撃墜したと本日発表した。■

速報 2月26日インド空軍のパキスタン領内テロ集団本拠地空爆について


Everything We Know About The Indian Air Force Mirage 2000 Air Strike In Pakistan


インド空軍ミラージュ2000によるパキスタン空爆で判明していること


インド空軍のミラージュ2000の2機編隊がパキスタン領内を空爆した。
(Image credit: Indian Air Force) 2機は境界線を超えパキスタン国内のテロリストキャンプを空爆した。


2019年2月26日早朝、インド空軍はインド-パキスタン国境の境界線を超えテロ集団の本拠地を空爆すべく出撃した。空爆は12日前に発生したCPRF(インド武装警察)隊員40名を殺害した自爆攻撃への報復だった。

India Todayによればミラージュ2000はグワイロール航空基地を離陸し2,000ポンド爆弾とライテニング照準ポッドを搭載。E145早期警戒機が指揮統制任務に、Il-78ミダス空中給油機も支援にあたった。またヘロン無人機も投入され、空爆前の情報収集と空爆後の戦闘損害評価(BDA)に用いられたようだ。

空爆は21分に及び、ミラージュ2000編隊は境界線を低空で通過し、現地時間 3:30AMごろパキスタンのバラコット付近の目標に到達し、イスラエル製SPICE 2000 EO/GPS誘導2,000ポンド爆弾を投下した。

SPICEは最大射程は200 kmのPGM(精密誘導弾)で座標情報が事前に把握されていた標的を相手に投入したのは興味深い。さらに当日の現場天候は曇天と伝えられており、これがLGB(レーザー誘導爆弾)ではなくGPS誘導爆弾を選択した理由なのだろう。

ツイッター上には以下の投稿が出ており、今回のミッションと兵器投入に関し興味深い詳細面が見える

View image on Twitter
It’s the Israeli SPICE 2000 that the IAF’s Mirage 2000s launched in numbers at the Jaish-e-Muhammad facility in Balakot, Pakistan this morning, as reported first by @VishnuNDTV. Great thread here by @zone5aviation on why this was a perfect weapon choice: https://twitter.com/zone5aviation/status/1100380613050335232?s=21 … パキスタンのバラコットにあるジャイシュ-エ-ムハマド施設にIAFのミラージュ2000が投下したイスラエル製SPICE2000.


The Pakistan Air Force scrambled its F-16s following the intrusion.
Indian Air Force violated Line of Control. Pakistan Air Force immediately scrambled. Indian aircrafts gone back. Details to follow. インド空軍機が境界線を侵入したため直ちにスクランブル出撃したがインド機は引き返していた。
Later another Indian Air Force E145 AEW could be tracked online as it probably provided airspace surveillance in the aftermath of the raid: その後インド空軍所属のE145AEWの飛行経路がウェブで確認でき、おそらく空爆後の監視情報収集にあたったのだろう。
View image on TwitterView image on Twitter
Airborne Early Warning eyes in the sky up over New Delhi

🇮🇳 Indian Air Force
A Pakistani drone was shot down later on Feb. 26, as it conducted a reconnaissance mission near the border. 2月26日にはその後パキスタン無人機一機を撃墜した。同機は国境付近の偵察行動をしていたと思われる。
View image on Twitter
A Pakistani drone on a reconnaissance mission was shot down early this morning in Kutch area of Gujarat by the Indian Army using Israeli Spyder air defence missile system, sources said. パキスタン無人機はグジャラート州でインド陸軍がイスラエル製スパイダー対空ミサイルで撃墜したと言われる。

Needless to say, according to the Indians, the airstrike was a success whereas to the Pakistan Armed Forces spokesperson, the Mirage 2000 did not hit their targets. インド側は今回の空爆を成功ととら得ているがパキスタン軍報道官は攻撃は標的を外したと発表。
View image on TwitterView image on TwitterView image on TwitterView image on Twitter
Payload of hastily escaping Indian aircrafts fell in open. インド機が慌てて発射したペイロードは関係ない場所に命中した


本件について詳細が判明次第またお伝えしたい。■

PLANの実力を測るには演習方法に注目すべきだ 海軍組織の作り方



海軍の組織、人員、装備、熟練度を考えると一人前の組織が生まれるのに数十年かかるとしても、現時点では米海軍がまだ優位ですが、それでも西太平洋で米海軍が勝利をおさめるのは容易ではないならば、あと30年たつとどうなるのでしょうか。それまでに中国経済が持てばの話ですが....

How China's Navy Is Preparing to Fight America if War Comes 

中国海軍の対米戦準備はどこまで完了しているのか

Beijing has long struggled with unrealistic training not suitable for combat — now that’s changing. 
これまで非現実的な訓練に明け暮れていた中国の状況は変わりつつある
February 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWorldChinaNavy


民解放軍海軍(PLAN)には実戦経験がなくグローバル規模で米海軍に挑戦しても勝つ希望は持てない。米海軍は技術以外の各方面でも中国を凌駕している。
米海軍人員は優れた訓練を受けており、その知見がはるかに実際的なので武力衝突の際に効果を発揮するはずである。
だがそれで完結するわけではない。中国はゆっくりだが着実に訓練方法を変えつつあり演習方法でも同じで米海軍より危険な状況に意図的に人員をさらすこともあり、従来のトップダウンかつ野暮ったい方法論に手を入れている。
言い方を変えれば中国は実戦の準備をしている。これは米国には心配となる話題で、中国との限定地域紛争に勝利できず、あるいは行き詰まる状態を米国は覚悟している。
以上の論調で米海軍のデイル・リーレイジ大佐が米海軍協会機関誌Proceedingsに寄稿している。大佐は太平洋艦隊の情報部長で、中国軍の実態に詳しい。
この10年間で「PLANの訓練範囲が広がり複雑性をましてきたのはPLANの任務、作戦、戦力の拡大と軌を一つにしている」と大佐は記し、「その中心がハイエンド海軍任務で外国海軍が中華人民共和国(PRC)の利害に反する動きに出た場合にこれを排除する。訓練はどこまで実施しても実戦には追いつかないが訓練で高度化と実践化を進めてPLANの技量は着実に上っている」
この論調に反論が多数があることはリーレイジも承知している。中国は続々と新型艦、新装備を導入しているが開戦となった場合にどう活用するのかはっきりしないところがある。
艦艇それぞれは複雑な機構で艦隊となると数十万人の人員が維持運用で必要となる。人間はともすれば偏見に走りがちでここから過ちが生まれる。戦争とは混乱であり予測不可能な現象のため各国軍は実証済みの戦術や手順で実際の戦闘に臨むことが多い。
特に海軍では最低で数十年かけないと肝心なときに機能する組織が生まれない。戦術に関する限り中国は米国の後塵を拝している。
例えば中国の指揮官は「臨機応変」で新技術を学びながら技量を整備する傾向が強いとリーレイジは記している。中国には潤沢な国防予算があり現代にふさわしい指揮統制の仕組みができたのに古臭い非効率的な方法に回帰することが多い。
「中国の軍事ライターは訓練が『形式主義』に走り見栄えの良い訓練を意識していると批判することが多い」と米陸軍中佐(退役)デニス・ブラスコが2015年に War on the Rocks で所感を述べていた。「PLAもこうした問題を改善しようとしており上層部は訓練自体に欠陥があることは認識している」
だが中国も改善している。リーレイジ大佐によれば中国政府も演習の「敵軍」部隊に艦船をより多く投入するようになってきたという。また実弾演習を重要視し、演習部隊に敵軍の規模や戦力は事前に教えなくなってきた。
確かに米海軍も同様の方法を一貫して採用しているが、それは米海軍がプロの組織で戦闘準備を絶やさない軍事組織であるためだ。中国の方法論は革命的とはいえないが米国と海上対決するのに必要だ。中国も電子戦分野で訓練強化が必要と認め、レーダー、無線交信、衛星誘導装備の妨害を狙いつつ自軍の防護を狙っている。
「こうした中国の軍事報道が正しければこちらの通信は使えなくなり、レーダーが肝心な場面で妨害されることになる。赤軍(友軍)はこれに対し対抗措置をとるか逆に打倒する能力整備に向かうだろう」
また中国海軍は演習でリスクを回避せず他国海軍の水準を上回る。共産党幹部は軍の訓練にも影響を与えており、勝利のためなら規則を破る指揮官を評価している。
「たとえば北海艦隊の掃海部隊が機雷の実弾を処理したとする。いかにも現実的にするためリスクを受け入れたとする」とリーレイジは述べている。「場合によるが部隊指揮官は演習自体の制約を破り勝利したと賞賛されるはずだ」
「PLANのほうが訓練でのリスク受容では米海軍より先を進んでいる」とリーレイジは指摘。「この考え方からリアリズムが生まれるが装備、人員双方で負担も生まれそうだ」
米海軍との相違点は訓練の知見や実戦で相当大きなものがある。中国がリアリズムを重視し優位に立つ可能性はあるし、少なくとも米国と肩を並べることは可能だろう。現代にふさわしい指揮命令統制機能の実現に向け中国は問題を解決していくはずだ。だがその効果は実際の開戦とならないとわかりようがない。
その効果を我々が思い知らされる機会が生まれないことを祈るばかりだ。■
This first appeared in WarIsBoring here.
Image: Reuters.