2017年6月27日火曜日

速報>横田基地内で爆発物見つかる→驚きのオチ



この話題は国内で報じられていないようなのでお伝えします。誤報だといいですね。→ 見つかったのは古い銃弾の入った箱だと判明しました。一件落着です。(6月27日)

Security forces cordon off an area where construction workers discovered unexploded ordnance at Yokota Air Base, Japan, Monday, June 26, 2017. (LEON COOK/STARS AND STRIPES)
横田基地内で未作動の爆発物を発見した箇所付近を封鎖 June 26, 2017. (LEON COOK/STARS AND STRIPES)

Unexploded Ordnance Found at Yokota Air Base in Western Tokyo

横田基地内で未作動の爆発物見つかる

Stars and Stripes | 26 Jun 2017

YOKOTA AIR BASE, Japan --横田基地で工事関係者が未作動の爆発物を地中で発見した。同基地には在日米軍司令部がある。米空軍が発表した。

見つかったのは6月26日正午少し前で周囲を保安部隊が封鎖し爆発物処理部隊が調査に呼ばれた。同日 5 p.m現在でも封鎖が続いているが封鎖範囲は当初の300フィートから縮小している。
基地関係者及び地元住民に危害はないと基地広報が述べている。
6月14日には埼玉県所沢通信施設で「未作動の爆破物らしきもの」が見つかったがその後建設資材と判明している。同施設は横田から離れた場所にあるが、在日米軍向けに地上空中通信、海上地上通信を中継する機能を受け持っている。■

これが米海軍のF/A-18+F-35Cの実戦投入作戦構想だ



 

How the F-35 and F/A-18 Super Hornet Could Win the Wars of the Future

F-35とF/A-18スーパーホーネットを実戦投入すればこうして勝利をつかむ


The National InterestSebastien Roblin
June 16, 2017

  1. 米海軍はF/A-18E/FスーパーホーネットおよびEA-18Gグラウラー600機のブロックIII改修に265百万ドルを計上した予算要求案を公表した。改修内容には高性能版スーパーホーネット構想の提案内容も取り入れている。これにあわせ機体寿命延長(SLEP)で飛行時間が600ないし900時間追加される。改修ずみ一号機は2019年に現場復帰の予定でペンタゴンはスーパーホーネットを2046年まで供用する検討をしている。
  2. 数日たって海軍からスーパーホーネット追加調達80機を今後五年間で71億ドルで導入すると発表もあった。ボーイングがスーパーホーネットの経済性を強調して高価なF-35から国防予算の流れを変えた格好だ。
  3. ただしスーパーホーネットがF-35の代わりになるとは言い切れない。ブロックIII改修の本質はライトニングのステルス性を有効活用しながらスーパーホーネットに手ごわい敵に対抗させることだ。
  4. 単座型F/A-18E、複座型F/A-18Fは1980年代のF/A-18ホーネットを大型化・高性能化した。F-15イーグルと同等にみられることがあるが、スーパーホーネットの最高速度は低く空母運用を考慮した設計のため機敏性も劣る。反面スーパーホーネットのエイビオニクスは新型でレーダー断面積は正面で1平米とF-15はじめ第四世代戦闘機の数分の一程度だ。
  5. ただしこれでも容易に探知される。スーパーホーネットのステルスとは探知距離をやや短縮する効果しかない。そこでペンタゴンはF-35投入が必要とし、ライトニングのレーダー断面積は0.001平米と格段に小さい。F-35こそ真のステルス機であり、パイロットは敵機や防空網を遠距離で探知しながら自らの探知リスクは最小にできる。この戦術でレッドフラッグ演習でF-35は非ステルス機に15対1と圧倒的な強さを発揮している。
  6. ただしF-35は価格が上昇の一途で技術問題と遅延は伝説の域にまで達し、供用期間を通じた総経費は1.5兆ドル予測と史上最高の高額装備になっている。飛行性能も批判のまとだ。トランプ大統領は突然F-35を非難し、安価な改修型スーパーホーネットへの置き換えを支持した。
  7. 米海軍はF-35B二個飛行隊、F/A-18に個飛行隊を空母各艦に配備する構想で当初は三対一でスーパーホーネット多用の予定だった。
  8. F-35と比較すれば第四世代戦闘機は高性能化が進む対空ミサイルの前に脆弱だ。それでも海軍はこの弱点を直視する戦略を取る。F-35を「ライドポイント」つまり先頭に飛ばせ敵レーダー探知を安全に突破しながら高性能センサーで敵機や防空網の情報を収集させる。データは「バックフィールド」つまり後方に控えるスーパーホーネット隊に中継する。スーパーホーネットは敵目標に自機レーダーをあわせ有利な攻撃態勢を取り遠距離から敵の長距離防空ミサイル陣地を撃破しすることでステルス性の弱点を逆手にとられないようにする。
  9. ブロックIII改修はこの戦略の実施をめざすもので特にエイビオニクス面での効果が期待される。すでにデータリンクがあるが新しく戦術標的ネットワーク技術で大量データを高速に友軍機や艦船と共有できるようになる。これはEA-18搭載の現行コンピュータ能力の十倍に相当する。さらにスーパーホーネットは従来はデータを受け取る側だったが今後は提供する側にもなる。ここに新しく搭載する赤外線探査追跡センサーの効果が生きてくる。
  10. さらに分散型標的情報処理ネットワークでスーパーホーネットのコンピュータは受信したセンサー画像をデータベースと照合して地上目標を正確に長距離攻撃できるようになり安全な位置から敵防空網を攻撃できる。パイロットを情報の洪水から守るためコックピットにはエルビット社製の大型タッチスクリーン画面がつく。
  11. ブロックIII改修で一番費用がかかるのが機体一体型燃料タンク(CFT)でスーパーホーネットの弱点である航続距離の短さを解決する。現行機の戦闘半径が400ないし500マイルしかないため空母は敵地に接近せざるを得ず新型空母対抗兵器の前にリスク要因になっている。現行機は落下タンク三つ(左右主翼下と胴体下)を使い、空中給油もスーパーホーネット僚機から受けている。ただし落下タンクは機体のレーダー断面積を増やすだけでなく抗力も増え飛行性能が落ちる。また本来は兵装用に使えるハードポイントを使ってしまう。
  12. 一体型タンクは機体にボルト止めされ、空力性能の劣化は最小にとどめRCSもさほど増えない。スーパーホーネット用CFTは空虚重量わずか870ポンドだが燃料3,500ポンドを入れ戦闘半径は800マイルに伸び、F-35が機内搭載燃料のみを使った際の最大戦闘半径にほぼ等しくなる。CFTは低速時に抗力を増やすといわるが、超音速や高速飛行での増加効果はわずかだ。さらにスーパーホーネットはRCSをわずかながら減らす。EA-18グラウラーに応用すれば主翼下タンクが不要となり次世代ジャマーポッドALQ-99の作動の邪魔がなくなる。
  13. CFTによるステルス特性向上をボーイングは正面方向で「50パーセント増」としているが、これはブロックIIIの対象ではない新技術を導入する前提の話だ。格納式兵装ポッドである。主翼下に搭載する兵装はどうしtもレーダーに探知されやすいのでポッドに爆弾やミサイルをステルス性のあるコンテナーに入れ機体に装着させる構想だ。
  14. ただし海軍は非ステルス機でステルス性を追求しても得られる効果に懐疑的だ。それでも一部筋によればブロックIII改修にレーダー波吸収材の表面塗布も含まれているという。
  15. 海軍がとりあえず見送ったのがF414-400ターボファンエンジンの改良型の採用で、燃料消費を3-5パーセント減らし、推力は20パーセント増え2,000時間はオーバーホール不要だ。ボーイングはこの採用はお金がかかるが全期間で燃料経費、整備費用が50億ドル節約できると主張している。
  16. 反面でスーパーホーネットには新型赤外線探査追尾(IRST)センサーの搭載がはじまっている。初期のIRSTはレーダーより短距離での探知となったが、新型装置は50マイル先から探知できる。
  17. AESAレーダーの探知距離と比べればIRSTの有効範囲は短いが電波妨害を受けても敵機探知できる利点もある。スーパーホーネットではIRSTセンサーを僚機とネットワークで結び個々のセンサー情報を「融合」する機能がつき、レーダーを切ったまま敵機に接近でき気づかれることなく攻撃ができる。
  18. こうした機能はF-35でほとんどすべて実施できるしF-35の場合は探知される可能性は低いまま攻撃できる。また機内燃料だけで外部タンクを付けたスーパ―ホーネットと同程度の距離を飛べる。後ろに控えるスーパーホーネットに大量の兵装を搭載する必要が生まれれば、F-35のIRSTセンサーを活用せざるを得なくなる。反面でスーパーホーネットのステルス性能はライトニングとは比較にならない程度のものだ。
  19. ただしライトニングの機体価格はずっと高く、問題が山積みだ。現時点では海軍は両機種を混合運用するのが適切と判断している。敵脅威には両機種のシナジー効果でライトニングの兵装を最小限にしつつステルス性能を活用し敵標的情報をスーパーホーネットに伝え、安全距離からスーパーホーネットに攻撃させる構想だ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: F-35 Lightning II joint strike fighter. Wikimedia Commons/DVIDSHUB

2017年6月26日月曜日

米海軍:SM-3ミサイル迎撃テストに失敗


ミサイルをミサイルで迎撃する技術にはまだまだ改良の余地がありそうです。失敗から成功が近づくのでしょう。更なる進歩に期待しましょう。

US Navy ballistic missile intercept test fails

米海軍の弾道ミサイル迎撃実験が失敗

 By: David B. Larter, June 22, 2017 (Photo Credit: MC1 Nardel Gervacio/U.S. Navy)

WASHINGTON —米海軍のSM-3ブロックIIAが6月21日にハワイ沖合でミサイル迎撃テストに失敗した。
  1. 駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズがイージス戦闘システムの最新ベイスライン9.C2 を試したがハワイのカウアイ島の太平洋ミサイル試験場から発射された中距離弾道ミサイル迎撃に失敗した。
  2. 駆逐艦はAN/SPY-1フェイズドアレイレーダーで標的を探知追尾したが、迎撃できなかった。SM-3最新型のテストはこれが二回目。同艦は2月にはベイスライン9.2Cによる初の迎撃に成功していた。
  3. 「今回のテストデータを詳しく解析する」と米ミサイル防衛庁は翌22日に声明を発表。
  4. 今回のテストは同時にSM-3ブロックIIAの四回目の発射テストでもあり、艦上発射は二回目となった。ジョン・ポール・ジョーンズは巡洋艦レイク・エリーにかわり2014年からミサイルテストに投入されている。
  5. SM-3ミサイルはレイセオンが開発し、日米が共同事業とし、北朝鮮のミサイル脅威への対応を主目的としている。■


ネブラスカ州を襲った巨大竜巻でE-4Bの2機が損傷を受けた


この記事を紹介する理由があります。次の機会に掲載するE-4B後継機構想の記事を参照してください。地球温暖化の影響なのでしょうか、竜巻など異常気象の被害が世界各地で広がっているように思います。屋外に駐機していた機材が損傷を受けたようです。

 

Air Force Says Tornado Damaged 2 'Doomsday' 747s

竜巻で「終末の日」用747が2機損傷を受けたと米空軍が発表

Stars and Stripes | 24 Jun 2017 | by Tara Copp
  1. ネブラスカ州オバマを先週直撃した竜巻で「終末の日」用の747機材の二機が損傷を受けた。この機材は米国が軍事攻撃を受けた際の国家空中指令機となる機材だと米空軍が6月23日に発表。
  2. オファット空軍基地にE-4B四機が配備されているが、6月16日に同基地を竜巻が襲った。E-4Bは国防長官や国務長官の海外訪問用に使われるほか、重要な通信用機材にもなり、核ミサイルサイロ各所や原子力潜水艦部隊への連絡に緊急時に活用される。
  3. 当日はE-4B含め計10機が竜巻の損傷を受けたと空軍は発表しており、損傷を受けなかった残りの2機の747は国家空中作戦指揮作戦センターnational airborne operations centerとして供用可能だという。
  4. 同基地配備RC-135偵察機8機のうち7機で軽い損傷が見つかったという。うち6機は飛行可能状態に復帰している。
  5. 竜巻は早いスピードで同基地を襲ったと空軍広報官パット・ライダー大佐は説明している。「なるべく多くの機材をハンガーにいれたが、一部機材が損傷を受けた」
  6. ライダー大佐は常時待機中のE-4Bには損傷は無いと述べ、空軍は損傷したE-4Bを評価中とも伝えている。オファット基地では建屋一部と樹木でも被害が生まれている。■

アイオワ級戦艦の現役復帰は実現可能性なし


保存中の退役空母再就役の話がありましたが、戦艦はどうでしょう。米国には戦艦の最終進化形アイオワ級四隻が残っています。ホームズ教授がウィスコンシン勤務だったとは知りませんでした。記事の出稿が前後しましたが、文末の現代の艦船の脆弱性のくだりはフィッツジェラルド事件であらわになりましたね。

 


Why America's Battleships Will Never Make a Comeback

米戦艦の現役復帰が不可能な理由

June 17, 2017

  1. 戦艦には神秘的な要素がある。ワシントン内外で米海軍増強の話題が出ると必ずアイオワ級巨大戦艦の現役復帰を強く主張する向きが現れるのは毎度お約束だ。第二次大戦時の戦艦を呼び戻すのは突飛な話題ではない。1914年建造のUSSテキサスに超兵器を搭載しソ連を吹っ飛ばそうというのではない。日本帝国海軍のスーパー戦艦大和を引き上げ宇宙空間で使おうというのでもなく、宇宙人の侵略からUSSミズーリでハワイ諸島を守るものでもない。
  2. 第二次大戦時に日本との一騎打ちを想定して建造された戦艦は朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦時に現役復帰している。最後の作戦行動は1988年だ。アイオワ級は朝鮮戦争後ほぼ30年間モスボール保存されていた。(ベトナム戦争時に短期間復帰したUSSニュージャージー除く)冷戦後もモスボール状態だ。事例では戦艦の復帰は可能と示されている。ただし現役復帰させてもコスト、労力、人的資源の投入に見合う効果があるか疑問だ。
  3. 数字に騙されてはいけない。レーガン時代の海軍大増強で戦艦四隻の現役復帰に1988年価格で17億ドルかかった。2017年価格にすると一隻8.78億ドルだ。この数字から海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦一隻の価格で強烈な砲火力を有する艦二隻を復帰できるとした。バーク級駆逐艦の最新建造単価は19億ドルと議会予算局はまとめている。一隻分の予算で二隻が手に入るのは魅力だ。沿海戦闘艦三隻分の予算で戦艦二隻を復帰できる。沿海戦闘艦は今日の砲艦といった存在だ。いかにもお得な策に聞こえる。
  4. 数字はもっともらしく見えるが巨大戦艦を低費用で復帰させるのは実際には困難だ。まず各艦はもはや米海軍所属ではなく博物館だ。ニュージャージーとミズーリは1990年代に除籍されれた。アイオワとウィスコンシンはかなりの間「再復帰可能」状態を維持し、理論上は復帰可能だった。だが両艦とも2006年にやはり除籍された。国家緊急事態なら政府は各艦を現役復帰できようが、平時には法的手続きだけで相当の時間と費用が必要になる。
  5. 次に経年変化の問題がある。戦艦愛好家はアイオワ級は走行距離の少ない旧型車と同じと主張する。一見これも説得力がある。筆者が勤務したUSSウィスコンシンは第二次大戦、朝鮮戦争、砂漠の嵐作戦に投入され総稼働期間はわずか14年だ。米海軍が空母は50年、巡洋艦駆逐艦が40年間供用になる中で戦艦は長期間稼働に耐えるように見える。
  6. これは正しい見方だ。頑丈な戦艦の艦体は海上の厳しい環境に十分耐える。だが内部はどうか。機械関係の様子を見れば全体がわかる。アイオワ級が連続稼働され定期修理やオーバーホールを受けていたら、数十年間航海していたはずだ。第二次大戦中の空母USSレキシントン(CV-16)は1991年まで供用されアイオワ級と同年に退役している。だが各戦艦はその間にしかるべき営繕を受けていない。そのため各戦艦は25年前の時点でも維持管理が難しかった。もっと古い艦齢の戦艦から部品を取り1930年代1940年代製の老朽部品の代わりを特製していた。
  7. さらに25年が経過したことで問題は悪化している。海軍が保存艦艇の維持管理を中止して十年以上になる。この課題を克服するには相当の費用がかかる。ヨット仲間のジョークではないが穴の開いたボートにオーナーが大金をつぎ込むようなものだ。戦艦の場合の穴はもっと大きく、納税者のお金を大量に必要とする。米海軍がアイオワ級の復帰工事を安く完了できても運用維持巨額になるだろう。このため各艦は1990年代に閉鎖され、時の経過は無慈悲な状況を一層深刻にしている。
  8. 次にアイオワ級の巨大な主砲だ。フォルクスワーゲン・ビートルほどの重量の砲弾を20マイル飛ばす海軍砲をどうするか。戦艦の象徴であり、現在の海軍艦艇でこれに匹敵する砲はない。火力がこれだけあれば再就役させ維持する費用が正当化できそうに見える。だが時間経過で砲身は劣化している。16インチ50口径主砲の製造は数十年行われておらず予備部品は廃棄されたか博物館に寄贈済みだ。ここが不足すれば実戦時の使い勝手に制約が生まれる。
  9. さらに巨砲用の弾薬がどこにあるのか。1950年代の16インチ砲弾と火薬を1980年代、1990年代に消費した。在庫は60年以上前のもので米海軍は廃棄中だ。少量の砲弾、発射火薬を製造するのは防衛産業に魅力のない仕事だろう。USSズムワルトの高性能主砲用の砲弾調達が最近取り消しになったのは価格急騰で一発800千ドルになったためだ。わずか三隻の新型艦で限定発注した場合でこうだ。アイオワ級を再就役しようとすれば同じ苦境に直面するのではないか。
  10. とどめは16インチ主砲砲塔やM型バブコック&ウィルコックス製ボイラーを扱う技能を持つ人材で、海軍はどこで確保できるのか。こういった装備の取扱い訓練を受けた人員は1991年以降存いない。運用し維持できる技能員は老齢化し腕が錆びついているのだ。海軍が電気推進、ガスタービン、ディーゼルエンジンに向かう中で蒸気を扱える人員は不足気味である。旧型ヘリコプター揚陸ドック艦(LHD)は蒸気動力だったが新型LHDはガスタービンを採用し旧型艦の退役が近づいている。
  11. 蒸気動力が完全に消えるわけではないがもはや過去の技術で16インチ主砲のような存在だ。戦艦を再就役させれば大量の技能員が必要となるが現実には減少傾向だ。筆者自身は戦艦勤務の経験を持つ最後の世代だが現役を離れ26年たつ筆者を米海軍が徴用し機関や兵装の技能を再度覚えさせる事態は考えにくい。つまり時間がたつとモノと同時に人的資源も再稼働しにくくなり、戦艦再就役で人的側面が致命的な成約になる。
  12. 戦艦の復帰で艦隊戦力が大きく充実する。単に水上戦闘艦が追加されるだけではない。アルフレッド・セイヤー・マハンは主力艦の定義を大攻撃力を実現しつつ敵攻撃に耐える艦と定義した。今日の水上艦は攻撃力は十分だが、被弾しても残存する能力は軽い装甲では無理な話だ。海軍艦艇の建造技術陣は戦艦の歴史をたどり、設計思想を学び真の意味の主力艦を再発見してもいいのではないか。米海軍はよい結果を得られるはずだ。
  13. 過去から学ぼう。ただし、戦艦再就役はサイエンスフィクションの世界にとどめておこう。■

James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific. The views voiced here are his alone.
Image: Battleship USS Wisconsin. Wikimedia Commons/U.S. Navy

★MiG-35の登場近づく




スホイとの統合が言われるMiGですが、軽量でも頑丈な戦闘機メーカーとして認知されていますね。最近のロシア機は肝心のロシア軍に余裕がないためか、最初から海外市場に焦点を当てているようですね。同機もあと数年すれば各国で見られるようになるでしょう。

(Photo courtesy MiG)(Photo courtesy MiG)
MiG-35, Russia’s New 4th-Gen Light Fighter, Readies for Combat
ロシアの最新第四世代戦闘機MiG-35は戦闘投入にあと一歩となった

 POSTED BY: HOPE HODGE SECK JUNE 23, 2017

(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)
(Photo courtesy MiG)

SALON DU BOURGET, France — ロシアがねらう第四世代第五世代をつなぐ新型機が早ければ2019年に登場することがわかった。MiGコーポレーション関係者がパリ航空ショーでMilitary.comに語った。
  1. 登場以来40年ちかくになるMiG-29の後継機MiG-35はパリ航空ショーに展示されなかったが7月のモスクワMAKS国際航空ショーで登場の予定で最終テスト段階に入ったとMiG広報Anastasia Kravchenkoは説明。
  2. ただしMiGはパリショーで同機への関心を喚起させ、東南アジア、南アジア、ラテンアメリカの他カザフスタンからの照会があったという。
  3. MiG-35の開発は10年以上前から始まり、当初は2007年のインド・バンガロール航空ショーでデビューするといわれていた。
  4. 同機には第五世代戦闘機技術も取り入れているとMiGは説明しステルス、操縦性の向上の他推力が従来機より12パーセント増加しているという。
  5. 当初は推力偏向式エンジンがF-22ラプターやSu-35同様に採用されるといわれていたがMiGによればオプションだという。
  6. MiG-29の第一線供用実績を継承してMiG-35は極めて頑丈で対空砲火に耐え、厳しい環境にも耐える設計だという。「極端に短距離でも未整備飛行場に離着陸可能。数か月なら露天駐機可能。エンジン交換は58分で完了する」
  7. 飛行テストは今年末あるいは来年初めに完了し、生産開始は一年後の予定だ。
  8. 同機が作戦部隊に展開し始めるころMiGでは別のプロジェクトがはじまっているはずだ。
  9. MiGが第五世代軽量戦闘機の開発中とのうわさがある。本当ならMiGで初の第五世代機となる。大型戦闘機メーカーのスホイは2010年より前から独自に第五世代機 PAK FA に取り掛かっており、2019年運用開始といわれる。■

2017年6月25日日曜日

ワナクライは北朝鮮による国家サイバー犯罪だ



やっぱりというべきなのか、これでまた北朝鮮が犯罪国家であることがわかります。麻薬、密輸、偽札に加え、サイバー犯罪まで国家主導で行うような国家は存在を許されません。

The NSA has linked the WannaCry computer worm to North Korea ワナクライコンピュータウォームの背後に北朝鮮の関与をNSAが指摘

By Ellen Nakashima June 14

NSA国家安全保障局がワナクライ・コンピュータウォームと北朝鮮政府の関連付けをした。先月のワナクライ攻撃で150か国300千人が被害にあっている。
  1. 戦術手口や標的から北朝鮮のスパイ組織偵察総局(RGB)の関与を結論付けた。
  2. 評価分析でワナクライから「サイバー実行犯」にRGBの「支援」が疑われるとしている。ワナクライはNSAが作成したハッキングツールを入手して作成されたウォームで自ら闇のブローカー集団を自称する犯人がネットにしのびこませた。
  3. ランサムウェアと組み合わされ被害者のコンピュータ上のデータを勝手に暗号化しアクセス再開に身代金を要求する。
  4. ワナクライを使う北朝鮮の目的が資金調達なのは明白だが、分析専門家によればうまく行っていないという。ハッカー集団はビットコインで140千ドルを集めたが、今のところ現金化の動きはない。作業上のエラーで取引が追跡されやすくなっているためで各国の法執行機関も対策を講じている。
  5. そのためオンライン通貨に手を付けられないのだとサイバー保安企業の設立者ジェイク・ウィリアムズは説明している。「印をつけた紙幣を銀行強盗で得たようなもの」
  6. 評価分析は断定しないが、大量の証拠から平壌の関与が浮上している。コンピュータのインターネット・プロトコルアドレス多数は中国国内のものだがRGBが使用するアドレスと一致するし、その他西側機関が集めた情報とも一致する。ワナクライの背後にいるハッカー集団は「ラザルスグループ」と呼ばれる。
  7. ワナクライの原型は今春に西側以外の国の銀行で見つかったと情報機関は指摘している。このデータポイントが北朝鮮による評価の基礎となったという。
  8. このつながりからオバマ、トランプ両政権が北朝鮮の動きを封じ込めようとしているものの広範囲なサイバー攻撃にやむ気配がない理由がわかる。
  9. 「今回判明したのは...混乱を巻き起こすのに秀才は必要ないということです」と説明するのはマイケル・サルメイヤー(ハーヴァード大ケネディ校でサイバー保安体制研究を主宰)だ。「あの国は実行意思と能力を誇示しているのです」
  10. NSAはコメントを避けている。
  11. 北朝鮮は世界で最も閉鎖的な国であり、コンピュータの一般利用は極めて限定的だ。それでもサイバー戦力を養成し韓国を妨害しつつ歳入を確保し政権を維持している。
  12. 保安調査専門部門はアジア各地の銀行を襲ったサイバー襲撃事件の真犯人は北朝鮮と見ている。バングラデシュ銀行では同行のグローバル支払いメッセージシステムが悪用され81百万ドルが奪われた。
  13. 国家がサイバーツールで銀行強盗をするという事実は「サイバー戦の面倒な新局面」とNSA副局長(当時)リチャード・レジェットが今年3月に述べている。レジェットは北朝鮮の国名こそ口にしなかったが、言わんとしていたことは明瞭だ。
  14. 北朝鮮は2014年にはソニーピクチャーズエンターテインメントをハッキングし、金正恩を戯画化した同社作品の公開中止を求めた。ハッカー集団は同社内のコンピュータを使用できなくし、社内メールを公開し同社を狼狽させた。オバマ政権は言論表現の自由への侵害と受け止め、平壌の攻撃と公然と非難し経済制裁の新措置を発表した。
  15. ワナクライの原型となったNSA製のサイバーツールは同局がエターナルブルーと呼称し、マイクロソフト製のウィンドウズOSの欠陥を悪用し相手のコンピュータへアクセスするものだ。
  16. マイクロソフトはNSAから通知を受け、ソフトウェア修正パッチを3月に発表しているが、米国も含む世界各地でアップデートせず標的になった事例が発生した。サイバー防衛体制の整備を目指す非営利団体サイバースレットアライアンスを主宰するマイケル・ダニエルは米国内でも「相当数の」標的が生まれたと述べている。
  17. マイクロソフトは論評を避けている。
  18. 上記ウィリアムズは今回のコードを細かく分析し、ランサムウェアはテスト段階で誤って外部に漏れたとみている。これでコードに欠陥があることの説明がつく。現状では身代金を誰が支払ったのか攻撃側には見えないとウィリアムズは説明している。
  19. とはいえ、ウィリアムズは「(ハッキングツールを)武器に変え政府の後ろ盾を得て身代金を手に入れた事案です。もし北朝鮮が自由に実施できるのなら他国も同じことをするでしょう。サイバー脅威の図式が大きく変わってしまいます」と述べている。
  20. ダニエルはオバマ政権でサイバー保安調整官を務めており、「北朝鮮を全面的に」物理的にもサイバー分野でも「封じ込める」必要があると指摘。
  21. 米連邦検察当局は北朝鮮をバングラデシュ銀行強奪の犯人と立証し起訴にもっていけそうだ。司法省は起訴で海外ハッカーを摘発しており、中国、イランも対象になっている。
  22. アダム・B・シフ下院議員(民、カリフォーニア)は下院情報委員会のトップ議員で2016年大統領選挙へのロシア関与を調査している。同議員はソニー事件の後で取ったオバマ政権の対応は不十分だったと見ている。「ロシアは事態を見ながら米国は対応してこない、サイバー攻撃しても逃げ切れると考えたのだろう」と述べている。■



2017年6月24日土曜日

★日本向けオスプレイ引き渡し開始は今年9月



なるほど日本のオスプレイ受入れ準備が着々と進んでいるのですね。いずも搭載が本当なら陸上海上両自衛隊が最初から統合運用されることになりますね。しかし最近鳴りを潜めているオスプレイ反対派(論拠が崩れているので今や感情的反発としか思えません)がどんなレトリックを繰り出してくるか注目ですね。東シナ海で運用すれば某国も黙っていませんから反対派を露骨に支援してくるかもしれません。
A U.S. Marine V-22 Osprey ascends the USS Bataan in Aqaba, Jordan, to begin a demo flight in support of Eager Lion 2017. (U.S. Army photo/Sgt. Mickey A. Miller)
米海軍向けV-22がUSSバターンから発艦している。イーガーライオン2017の実証でヨルダンで実施した。 (U.S. Army photo/Sgt. Mickey A. Miller)

 

More Countries May Buy V-22 Osprey as Japan, US Navy Get Aircraft 日本、米海軍に続きV-22導入国が増える


 Military.com | 22 Jun 2017 | by Hope Hodge Seck
SALON DU BOURGET, France -- 日本は9月に発注中のV-22オスプレイ17機の初号機を受領し、同機初の海外運用国になる。他国も控えている。
  1. パリ航空ショー会場で海兵隊でV-22事業を担当するダン・ロビンソン大佐は日本以外にも同機導入を目指す国との契約締結がまじかとMilitary.comに述べ、オスプレイの第三期複数年度調達契約で今年中の合意形成を期待しているという。
  2. 「同機の性能への多方面が関心を示しており、垂直離着陸しながら高速長距離飛行できる性能が注目を集めている。各種ミッションの実施に役立ちますからね」(ロビンソン大佐)「そのため海兵隊での活用状況、空軍の事例、さらに海軍が艦上運用をする様子に関心が高まっている状況です」
  3. 日本はオスプレイをヘリコプター空母いずもに搭載し、東シナ海の領土防衛に投入するとの報道がある。日本は4機を第二調達ロットから、残りを第三ロットで導入する。
  4. 米海軍はオスプレイをCMV-22として一部改修し48機導入する予定で燃料搭載量を増やし航続距離延長を狙う。このうち44機が老朽化してきたC-2グレイハウンド貨物人員輸送機と交代するがMilitary.comが入手した資料によれば救難や特殊作戦にも投入する構想だとわかる。
  5. 海軍向けオスプレイは複数年度調達の承認を受け次第2018年度に調達予定で2020年引き渡しとなる。部隊運用開始はその翌年だ。海軍のオスプレイパイロット訓練は第204海兵隊中型ティルトローター訓練飛行隊の本拠地ノースカロライナ州ニューリヴァーで行う。日本の飛行要員は同基地で訓練を開始している。
  6. オスプレイは開発初期段階で重大事故を繰り返し悪評判に苦しんだが、関係者は今や同機が使い勝手の良い働き手になっており、海兵隊航空機材で最高の安全実績を誇っているという。
  7. ロビンソン大佐も「非常に興奮しています。海軍が艦載運用を始め海外販売も軌道に乗り大きく進展してきました。V-22の将来が開けてきました。V-22なら必要なミッションが可能となります」と語った。■
-- Hope Hodge Seck can be reached at hope.seck@military.com. Follow her on Twitter at @HopeSeck.



パリ航空ショー:エンブラエルの輸送給油機KC-390がデビュー




Source: IHS Markit/Patrick Allen

Paris Air Show 2017: Embraer's KC-390 makes Paris Air Show debut エンブラエルKC-390がパリ航空ショーデビュー

 Peter Felstead, Le Bourget - IHS Jane's Defence Weekly
22 June 2017
  
  1. エンブラエルKC-390空中給油輸送機がパリ航空ショーでデビューし、試作二号機が毎日飛行展示を行っている。
  2. 報道陣に会場で同機の開発状況を説明したエンブラエル幹部のポール・ガスタオ・シルヴァによれば飛行試験用2機の累計飛行時間は1,000時間を超えており、テスト飛行で「設計の正しさが証明できた」という。
  3. ブラジル空軍 (Força Aérea Brasileira: FAB)が28機を発注しており、来年から引き渡しを開始するとシルヴァは述べた。FAB向け二号機、三号機も生産段階にあるという。KC-390のテスト用三号機、四号機は地上/静止試験に投入中だ。
  4. シルヴァによればKC-390は今年後半に「初期作戦水準通過」をし、来年に「完全作戦水準通過」になるという。ただしFABのKC-390部隊がそのまま稼働可能となるわけではない。来年にFABに引き渡すのは二機で、三号機は2019年になるとシルヴァは説明し、その段階で「最終軍用水準」になるというからだ。ブラジルの予算問題二よりエンブラエルは当初より控えめな納入工期に変更している。
  5. KC-390開発は2009年にFAB契約を受けて始まった。2015年に試作機が初飛行し、同年から飛行テストが始まっていた。■

KC-390の諸元
エンジン:International Aero Engines V2500ターボファン双発
最高速度:470 kt (870 km/h)
最大貨物搭載量:26トン



2017年6月23日金曜日

ユマ基地海兵隊F-35Bがソフトウェア問題で飛行停止措置、ルーク基地F-35Aは飛行業務再開



Marine F-35s grounded due to software concerns

海兵隊F-35がソフトウェア問題で飛行停止中

 By: Aaron Mehta, June 22, 2017

http://www.defensenews.com/articles/post-uk-election-team-skytale-to-equip-british-military


WASHINGTON – ユマ海兵隊航空基地(アリゾナ)配備のF-35B共用打撃戦闘機が飛行を一時的に停止している。基幹支援システムの問題が原因とされる。
問題の核心部分は自動兵站情報システム(ALIS)であり、ALIS関連ソフトウェアはF-35に搭載されミッション立案から整備まで広く使われる重要部分だ。ALIS2.0.2が4月にF-35Aと海軍用F-35CにインストールされたがF-35B向けは遅れていた。
「第三海兵航空団司令マーク・ワイス少将はVMFA-211の飛行業務を一時的に中止し直近のALISソフトウェアアップグレード2.0.2ヴァージョンの手直しを待つこととした」と第三海兵航空団広報のカート・スタール少佐が声明発表している。「機体の安全に何ら問題はないが地上配備ALISシステムの正常作動を確認してから飛行業務を再開する」
スタール少佐はF-35事業管理室と主契約企業ロッキード・マーティンが技術要員を派遣しており、アップグレード関連問題を調べていると述べ、問題の核心は「整備コード部分が正しくシステムに反映されていないこと」と述べている。運航停止を最初に伝えたのは Inside the Navy だった。
F-35批判派は今回のソフトウェア問題に対して設計不備による遅延の追加事例というだろう。米空軍はルーク空軍基地のF-35Aの飛行停止措置を解除した。空軍機は6月9日から21日にかけ低酸素症がパイロットで見つかったため大事を取り地上待機していた。2011年以降で低酸素症関連の事例15件がF-35Aで見つかり、うち5件は先月に発生して飛行停止措置になっていた。
最大のF-35ユーザーの米空軍は今回の措置に対してソフトウェア不良で飛行停止措置になったことは承知していないと述べている。F-35開発室から本件に関するコメントは得られなかった。■
Jeff Schogol with Marine Corps Times contributed to this report.


パリ航空ショー:クフィールを米民間企業売り込みを図るイスラエル航空宇宙工業


アグレッサーを民間企業が飛ばすというのがいいですね。クフィールはロシア製戦闘機をシミュレートするのでしょう。アルゼンチンが機体を受領しなかったのは支払い能力の問題だったのでしょうか。

クフィール(写真後方)を運用するATAC他民間請負企業にIAIがアルゼンチン向けに製造した12機-14機の販売を働きかけている。Source: Textron

Paris Air Show 2017: IAI looks to offload unsold Argentinean Kfirs to US 'Red Air' training companies

パリ航空ショー2017:IAIが売れ残りアルゼンチン向けクフィールを米国「レッドエア」民間訓練企業向け売却を狙う

 Gareth Jennings, Paris - IHS Jane's Defence Weekly
20 June 2017
  1. イスラエル航空宇宙工業IAI)がクフィール戦闘機の米国向け販売を狙っている。アルゼンチン向けだった機体を「レッドエア」訓練機材として民間請負企業に売りたいとIAI幹部が6月20日にパリ航空ショー会場でJane'sに語った。
  2. IAIのLAHAV事業部長ベンジャミン・コーヘンによると同社は民間企業二社とクフィール12機から14機の販売交渉中だという。機材はアルゼンチン向けに製造されたが成約していなかった。
  3. 「販売先として『アグレッサー』訓練機を飛ばしている会社がいいと見ている。ATACは同型機を運用中で、ドラケンインターナショナルも候補だ」とし、ディスカヴァリーエアには接触していないが、候補になると述べた。
  4. アルゼンチン向けのクフィール売却は2014年に発表され、Jane's取材陣がテルアヴィヴ生産施設を訪問した際にアルゼンチン国旗があるのを見てCEOのジョセフ・ワイスの公表につながったもの。その時点でIAIはアルゼンチンが顧客であるかに言及を避けたが、コーヘンは声明文で同国向け商談が最終段階にあることを認めた。
  5. クフィールはコロンビア、エクアドル、スリランカで供用中でIAIは同機の改修型を各国向けに2013年発表した。ブロック60仕様の機材では「ゼロタイム」機体構造、システム、センサー、兵装でいずれも性能が向上しており、単座複座双方がある。■

歴史に残らなかった機体(11)ノースアメリカンF-108レイピア


北米の防空戦闘機構想がここで大きな曲がり角に来たことが分かります。以後米国は防空よりも攻撃力整備に注力していくのですね。一方で、この機体の当初の想定を見ると第二次大戦中の爆撃機掩護任務の思想が見えてきます。やはり前の戦争のイメージが後世を支配するのですね。いかにもアメリカ的なパワーで勝負するコンセプトとともに費用対効果を決定の根拠とするこれもアメリカ的な意思決定の在り方が見えてくる機体です。

 

The F-108 Could Have Been America's Mach 3 Cold War Super-Interceptor
F-108はマッハ3飛行可能の冷戦時スーパー迎撃機になるはずだった

June 18, 2017



  1. ソ連爆撃機の来襲を恐れた1950年代の米空軍は超音速迎撃機を開発しようとした。
  2. 実現していれば、マッハ3で高高度飛行する迎撃機は今日の戦闘機のスピード水準を大きく超えていただろう。
  3. 1949年に空軍が出した要求水準に対しリパブリックエイビエーションは1951年にXF-103ラムジェット戦闘機構想を提示した。翼を付けたロケットのような同機の最高速度はマッハ3で高度80千フィートまで上昇可能だった。この時点で亜音速のF-86セイバーとMiG-15が朝鮮上空で空戦を始めるところで現在の戦闘機でもマッハ2超の速度は出していない。
  4. だがXF-103は当時の技術水準のはるか先を狙いモックアップだけで開発中止になった。米空軍はあきらめなかった。
  5. 1955年に長距離迎撃戦闘機実験事業が始まった。1957年にノースアメリカンエイビエーションがXF-108開発契約を受注し、二名搭乗でマッハ3、千マイルの戦闘半径と最高高度70千フィートの性能を想定した。
  6. 偶然ではなく、マッハ3と上昇限度70千フィートは同社のXB-70ヴァルキリー戦略爆撃機構想と同じだった。XF-108はレイピアの名称がつきXB-70掩護の役割が想定された。いわれてみると両機種の外観には類似点があり、ジェネラルエレクトリックYJ93エンジンと乗員脱出用カプセルは共通だった。
  7. XF-108では長距離性能とヒューズ製AN/ASG-18レーダーの組合わせが注目され、後者は米国初のパルスドップラーレーダーで広域走査しながら個別目標をロックできるはずだった。
  8. F-108では「遠距離早期警戒(DEW)レーダーの穴を埋める」役目が期待されていたとデニス・ジェンキンスとトニー・ランディスが著作で述べている。「少数機を極地航空基地に展開し、十分な機数を滞空させればレーダー網の穴を埋められたはずだ。F-108は278千平方マイルとテキサス州より広い地域を走査できた」
  9. F-108はファルコン空対空ミサイル三発を搭載する空中レーダー基地になるはずだった。
  10. XF-103は技術の壁の前に破たんしたが、XF-108の場合は予算の壁が立ちふさがったといえる。アイゼンハワー大統領は空軍のF-108調達案(480機)の試算は40億ドル(現在の330億ドルに相当)高すぎると批判した。
  11. だがもっと重要なのは高速高高度飛行可能な迎撃戦闘機の構想そのものが問題になったことだ。1950年代末にICBMが有人爆撃機にかわり米国の脅威になりつつあった。国防予算を巡る論争の中で防空体制整備論は根拠を失った。
  12. XF-108は1959年9月に取り消しとなったが、XF-108の特徴は驚くほど外観が似ているA-5ヴィジランティに継承されたのですべてが消えたわけではない。ヴィジランティは米空母で運用可能な爆撃機として最大の外寸となりヴィエトナム戦で広く使われた。
  13. F-108が就役していれば米国は敏捷性に欠ける超高速大型機多数を運用し、ソ連爆撃機の阻止には(想像だが)有効だったろうがヴィエトナムの戦術用途には全く使いものにならず、操縦性と爆弾搭載量が重視された中で不満足な機体になっていたはずだ。現在の戦闘機各種は速力こそ劣るが、操縦性、センサー、ステルスが優れている。
  14. それでも1950年代にマッハ3戦闘機が出現していたら注目すべき成果(限定はあったはずだが)があらわれていただろう。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: XF-108. Wikimedia Commons/Creative Commons