2015年6月12日金曜日

★米国でも大規模個人情報流出 中国が犯人と断定



ねんきん機構の対応もずさんでしたが、狙ってきたのは国家機関の可能性が高いようですね。米国でも政府人事局はじめ大規模なサイバー漏洩事件が話題になっているようです。でも犯人をさがすことはできたようです。ここまでくるとサイバー上で戦争を仕掛けられたのと同じですね。報復がないと彼らは思っているのでしょうか。
By JOHN QUIGGon June 09, 2015 at 4:30 AM

Chinese naval war college
中国政府の後ろ盾のもと米国の人事情報への侵入、データ盗難が続いている。米国政府も我慢できず、声明文を発表するだろう。
今回のサイバー攻撃はクレジットカード番号や航空会社のマイレージ記録が対象ではなく、政治上のメッセージを発生させる騒乱事案となっている。中国による侵入は大規模で攻撃標的は米国民の個人情報から政治、経済に移行してきた。これは想像を超えた規模の情報集活動であり、連邦政府は緊急に対応する必要がある。
AP通信から米国政府の人事部門のデータが長期間侵害されおよそ4百万人分の現役及び退職公務員の人事情報が漏出していると判明したとの記事が配信された。政治関連専門誌のPoliticoへ攻撃を仕掛けたのはディープパンダと呼ばれるヒューミント情報活動集団で、今年早々にAnthemへ侵入したのと同じ犯人と同じと思われる。さらに情報流出で捜査が行われていると明らかになった。(一部は1985年まで遡る捜査であり、PC創世時代から活動があったことがわかる)
医療行為の顧客データベースElysian事案、Anthem事例から中国ハッカー集団はもっと高い効果が期待できる分野に移行している。
では判明していることをもう一度確認してみよう。ディープパンダの行為に最初に気づいたのはCrowdStrikeで2014年のこと、中国政府の公式方針に反する見解を表明した非営利団体やシンクタンクが対象だと判明した。これが今年早々のAnthemのデータ漏えいにつながっている。
chinese hackers wanted poster
情報を総合すると金銭やクレジットカード情報を狙う犯罪とは行動様式が全く違うことがわかる。8千万人の個人情報が対象で全国規模の情報が狙われている。さらに11百万人分の情報がPremeraから盗まれ、さらに百万件以上の個人情報がCarefirst(ワシントンDC地区で現役、退職公務員向け健康保険サービスを提供)から漏出している。
中国の狙いは人事局の機密情報解除を入手することにあるようで、さらに近親者、自宅電話番号、家族構成その他の情報が「パスワードをお忘れですか」とのよくある問いかけで彼らの手に入ったようだ。パンダ集団は本人になりすまし、被害者のその他情報にアクセスし、ビッグデータから政府の機密情報、研究開発データ、財務情報へアクセスしたようだ。
これには国家として深く憂慮せざるを得ない。数百万人の国民の個人情報が抜き取られ、オンライン上の本人正体が危険にさらされ、秘匿すべき情報が簡単に破られたのだから。最新のグローバルコモンズ(軍事用語、戦闘の舞台となる場所のこと)であまりの変化の早さに政府も対応しきれていないのが現状だ。
これに政府の「機密保全」が信用を失っている現状がスノーデン事件、マニング事件、またIRS(内国歳入庁)のオンライン返納金スキャンダルで露呈し、国民は政府に対して個人情報の提供にためらう空気がある。秘密を守れない組織に自身の情報を預けるだろうか。連邦政府の対策の要は情報共有を公衆の福祉の名目で勧奨することにある。国土保全省長官ジェー・ジョンソンJeh JohnsonがRSA総会基調講演で「暗号化情報にアクセス出来ないことが社会の安全確保で障害になっている」と発言したことに警備保障業界が過敏に反応している。長官は業界は政府に協力し暗号化の程度を下げるべきだと言おうとしたのだ。
これに対し業界からは政府が重要データの暗号化に対応していないため民間にも波及しているのが問題であり、連邦政府の対応は全く現実感がなく、世界の情報保全技術の流れについていってないとの反応が出ている。またプライバシー保護にも逆行するとしている。連邦政府は技術の波を押しとどめようとするものでカヌート王の逸話を思い起こさせ、愛国心に訴え文書1点ですべてが解決すると期待するようなものだとする。
実効性のある政府対応が緊急に求められる。
  • 中国(およびその他各国)にサイバー諜報活動費用を引き上げさせること
  • 防御態勢を維持しつつ技術変革の速度に対応すること
  • 世界で通用するサイバー技術人材が年25万ドルを要求する時代にGS13棒給(年俸73-95千ドル)でサイバー防衛体制が整備できると考えないこと。サイバー国境線の防衛には現実的な教育訓練で人材を育成する必要がある。
  • 政府・民間で情報共有を危害なく可能とする方法を模索すること。
戦略には方法、手段、目標が明確に定義されるべきだが、わが国にはそのどれもない。■
ジョン・クイッグは退役陸軍大佐で米国初のサイバー部隊に所属していた。現在はニューヨークの投資銀行Spurrier Capital Partnersに勤務。



2015年6月7日日曜日

☆ 航空自衛隊>F-35導入しても戦闘機不足は避けられない見通し



F-35をセンサー機といして作戦遂行の要に当てる構想は米海軍の考えに近いですね。というか米海軍はF-35をF-18の代わりとは考えていないわけですが。一方でF-35の価格がさらに高騰していけば既存各機の改修はおろかF-3開発まで予算不足になりかねません。どちらにせよ2020年代の航空自衛隊の戦闘機材の陣容は今より小ぶりになるのは避けられないということでしょうか。

Japan's Fighter Procurement Crunch

Decisions Await on Legacy F-2, F-15s as Upgrades End
By Paul Kallender-Umezu1:36 p.m. EDT June 6, 2015

635688701501766358-DFN-Japan-F-2(Photo: Japan Air Self-Defense Force)
TOKYO — F-35導入で日本の航空自衛隊(JASDF)は次世代ISR機材を運用することになるが、一方で既存のF-2およびF-15部隊は改修を続けながら機材更新時期を2020年代後半に迎える。
  1. JASDFはF-35を42機を最終的に導入するべく、今年度はまず6機を1,032億円で調達する。さらに国内産業の生産関与に関わる初期予算として177億円を計上し、181億円は装備、訓練用に確保した。日本国内企業は24点の部材を分担生産する。
  2. 防衛省は2011年12月にF-35を80億ドルの概算費用で導入し、F-4ファントムの後継機種とした。F-35の開発遅延と費用高騰はその段階から知られており、選定には国内からも疑問が投げかけられた。
  3. ただリチャード・アブラフィア(Teal Group副社長兼アナリスト)はF-35選択で正JASDFはしい方向に向かっているという。
  4. 「F-35に対抗できる選択肢は他にない。これまでの評価基準の速度、上昇率、さらに操縦性、航続距離、ペイロードは今や最重要ではない。同機はステルス性能を実現し、センサー性能もずばぬけている。F-35が配属されればステルス性能とともに優れた通信ハブ機能が重宝されるだろう。これまでの武装一本槍の機体とは違う。センサー性能と状況把握能力がJASDFのパフォーマンスを引き上げる」
  5. F-35の大きな戦略的意義は米空軍との接続能力にあるとともに、海上自衛隊・米海軍とも接続し作戦能力を高めつつ柔軟な対応が可能になることだ、と話すのはコーリー・ウォレス Corey Wallace(ベルリンのFreie Universität東アジア研究大学院・安全保障研究)だ。
  6. 日本の防衛政策の基本構想は国土から前方の海上での防衛が主眼であり、F-35の有する高性能センサーで海上戦闘空間の状況把握を実現すればリアルタイムで情報が流れ、適切な意思決定につながる、または他の装備に情報を流して優位性が高まる。単なるドッグファイトの機体ではないというわけだ。また同機の高性能電子戦能力も魅力だ。
  7. 防衛省はF-35で第四世代戦闘機をネットワーク化するが、UAVを加えることも可能で、F-35はステルス性を活かしながら戦闘統制に投入できる、とウォレスは言う。.
  8. 「F-35で日米部隊の総合運用はさらに上がり、米国だけでなく他の同盟国とも一体運用が可能になる。ネットワーク性能でイージス艦がF-35のウィングマンになり艦のミサイルの打撃範囲が広がります」
  9. 航空自衛隊は平行して既存戦闘機の大幅改修も実施する。F-15では8機が対象で、F-2でも空対空戦闘能力を引き上げる。
  10. アブラフィアはこの改修内容に注目しているが、なんといっても改修の進展が遅く、規模も限られていると指摘する。JASDFは空中早期警戒機など支援機材をうまく調達しているが、空中給油機は数機追加しないと太平洋上空に活動範囲を広げる際に追いつかない。F-15とF-2の改修も永遠に続くものでもなく、あと10年すれば厳しい選択を迫られるだろうと見る。
  11. F-2後継機にはコストが高くなるが、国産戦闘機が想定されているが、交代時期は2020年台後半となり、F-15も耐久性があるとはいえ、その時点で老朽化するはずだ。「そうなると航空自衛隊で深刻な戦力不足が後10年で発生します」(アブラフィア).
  12. 日本在住の防衛アナリスト陣もF-2後継機種選びで厳しい選択が後10年で必要になると指摘するが、F-15ではそうならないと見る点で一致している。
  13. 「F-2はすごい実力の機体だが、モスボール保存すればF-15に予算をまわすことができる。だがF-15の代わりになる機材がない。F-22が想定されていたが、実現していたら日本はF-35の導入はしなかっただろう」
  14. 「航空自衛隊のF-15はまだ十年以上の機体寿命が残っている。予算を内部装備にまわしたらよい。現にUSAFは2040年までイーグルを運用する予定だ。日本はUSAFと共同して運用コストを下げつつ、必要な技術を共同開発できるはずだ」
  15. 日本は国内産業の参加度合いを高く求めてくることでF-35の導入継続を2020年代まで続けるはずとアブラフィアは見る。
  16. 「他の各国ではF-35が高価格のため現行機種の交代用には手がでないのが現実だが、日本はこれまで一貫して戦闘機に高い値段を払ってきた。F-35はF-15やF-2と価格的に対して変わらない」とアブラフィアは指摘している。■


2015年6月5日金曜日

米海軍>黒海で米艦を追い散らしたとのロシア報道を否定する


この件は日本では報道がなかったのではないでしょうか。ロシアでは妄想に近いデマが流布しているようですね。ただし電子装備の防御というのは思ったより大変なようです。

VIDEO: U.S. Navy Denies Russian Fighters Chased Off Destroyer USS Ross in Black Sea

By: Sam LaGrone
June 2, 2015 10:18 AM • Updated: June 2, 2015 11:56 AM

USS Ross (DDG-71) transits the Mediterranean Sea on May 4, 2015. US Navy Photo
地中海に入るUSS ロス (DDG-71) May 4, 2015. US Navy Photo

米国防総省は誘導ミサイル駆逐艦USS Ross ロス (DDG-71) をロシア戦闘機編隊がロシア支配下の黒海海域から追い出したとのロシア報道に反論している。
  1. 複数のロシア報道がクリミアとロシア国防省からの情報として米駆逐艦が黒海内のロシア領海に接近していた、あるいは侵入したためスホイSu-24フェンサー戦闘機編隊がスクランブル出撃したと報じた。
  2. 「米艦は挑発的かつ強引な行動を示し、黒海艦隊を警戒させた」と国営通信RIAノーヴォスティがクリミアにいるロシア軍関係者の発言を引用している。
  3. 「(フェンサー編隊出撃で)アメリカ側に我が国境および国益の侵害を認めないわが国の即応体制を示した」
  4. ロシアは昨年3月にクリミア半島を併合し、軍備を増強している。併合を受け米国およびNATOが各種艦艇を黒海に派遣し、監視活動を続けている。ロスは5月23日に黒海いりした。
  5. USNI Newsは月曜日、火曜日と続けて海軍関係者に尋ねたところ、フェンサー編隊は、5月29日、30日、6月1日にロス上空を安全に飛行したと認め、海軍が見るところ「平常且つ安全」な飛行行動だったという。
  6. 「から騒ぎです」と海軍報道官ティム・ホーキンス大尉はUSNI Newsに6月1日午前述べている。
  7. 5月31日発表の米第六艦隊声明文ではロスとフェンサー編隊には「なんら相互作用はなく」黒海で接近しただけだという。
  8. 「航空機が帰還しロスは任務を続けた。ロスが過激な行動をとった事実も予定以外の行動をとった事実もない。乗員は通常通りプロらしい行動をとっている」(声明文).
  9. 第六艦隊発表の映像を見ると、フェンサーの一機がミサイルを搭載せずに同艦の近辺を飛行している。同艦はその時点でクリミア半島から25カイリ地点を航行していたと海軍関係者がUSNI Newsに伝えてきた。.
  10. ロシア側は直近で発生した事件、2014年4月のフェンサーによるUSSドナルド・クック(DDG-75)上空飛行に触れている。
A Russian Sukhoi SU-24 Fencer. スホイSu-24フェンサー.

  1. 「2014年4月の事件で、Su-24は最新の米駆逐艦ドナルド・クックの電子装備を『ブラックアウト』させた」とRIAノーヴォスティはロシア筋の発言を引用している。
  2. 2014年のフェンサー接近飛行の直後にロシア語ブログ数点でSu-24に新型ジャマーが搭載されており、クックのSPY-1Dレーダーが使用不可能になったと説明していた。ただしドナルド・クックは最新鋭誘導ミサイル駆逐艦ではない。
  3. 報道が出た2014年にUSNI Newsは独自にロシアの高性能ジャマーがフェンサーに搭載されていたのかを調査した。.
  4. 複数の航空機及びレーダー専門家がSPY-1Dレーダーを完全に作動不能にするジャマーをロシア戦闘機が搭載する可能性は大変少ないとの見解を示していた。■

ビデオはここから見られます。


2015年6月3日水曜日

★航空自衛隊>E-2D売却案件が米議会に通告された 4機、総額17億ドル



原文ではE-2Cが海上自衛隊が運用中と誤った記述になっていたため本国サイトに指摘しておきました。

Congress Notified of Potential $1.7B E-2D Advanced Hawkeye Sale to Japan

By: Sam LaGrone
June 2, 2015 4:28 PM

E-2D Advanced Hawkeye aircraft conduct a test flight in 2009. US Navy Photo
テスト中のE-2D Advanced Hawkeye 2009年. US Navy Photo


ノースロップ・グラマンE-2Dアドバンストホークアイ4機および支援装備の日本向販売を米議会に通告したと国務省関係者がUSNI Newsに明らかにした。

  1. ISR用の機体および予備エンジン、予備レーダー含め合計17億ドルを有償海外軍事援助(FMS)として売却する。
  2. 「日本の空域並びに海洋領域の状況把握がE-2D各機の搭載する空中早期警戒統制(AEW&C)能力で向上する。日本はE-2D各機を太平洋で運用し、現行のE-2CホークアイAEW&C機材を補強する」と国務省のデイビッド・マッキービイがUSNI Newsに文書で回答してきた。
  1. 案件では機体合計4機、T56-A-427Aエンジン10基、多機能情報分散システム低量端末装置 (MIDS-LVT)8台、APY-9レーダー4基を含む。
  2. 日本は現在も10機以上のホークアイを運用中で防衛省は昨年末にホークアイ改良型の導入を表明し、ボーイング737AEW&Cウェッジェテイルを退けた。同機はオーストラリア、韓国、トルコが運用中。
  3. 5月に議会は総額30億ドルでベル・ボーイングV-22オスプレイ17機及び支援装備の日本向売却の通告を受けている。
  4. 米海軍ではE-2D初の作戦部隊がセオドア・ローズヴェルト空母打撃群に配備されており、海軍が進める統合火器管制防空構想 (NIFC-CA) 構築の鍵を握る機材となる。■


米海軍>レイルガン技術を既存砲塔にも応用し高速発射弾を先に実用化する


これはすごい。レイルガンとほぼ同様の効果を既存の砲塔から実現できるとは。でもどうやって一度に射撃速度を2倍にできるのか、電磁効果なしで火薬で行えるのか全く説明がありませんし、原理原則が理解できません。

Navy Researching Firing Mach 5 Guided Round from Standard Deck Guns

By: Sam LaGrone
June 1, 2015 10:48 AMUpdated: June 1, 2015 11:25 AM

USS Ross (DDG-71) test fires the MK45 5-inch lightweight gun on April 30, 2015. US Navy Photo
Mk45 5インチ軽量砲の試射。USSロス(DDG-71) 2015年4月30日 US Navy Photo

米海軍の艦載砲に新しい意義が生まれるかもしれない。音速の五倍で発射する砲弾テストが成功した場合は。
  1. もともと海軍が開発中の電磁動力レイルガン用に開発された砲弾を使って、海軍海洋システムズ本部(NAVSEA)は超高速発射弾hyper velocity projectile (HVPs) の初期テストを実施中だ。発射には通常の火薬ベースの艦載砲を使うとNAVSEAがUSNI Newsに明らかにした。
An artist's conception of BAE Systems' Hyper Velocity Projectile. BAE Systems Image
BAEシステムズによる超高速発射弾の想像図 BAE Systems Image

  1. HVPを艦載砲から発射するとレイルガンよりも速度は劣る。レイルガンのマッハ7に対しマッハ5になるが、それでも非誘導式通常弾を海軍の5インチMk 45砲から発射するより2倍の速度になるとNAVSEAは解説。
  2. 艦載砲は海軍艦艇で標準装備だが、誘導ミサイルのような精密着弾ができないため、高度戦では有益度が小さくなっている。
  3. これに対し高速誘導弾が艦載砲で使えれば対空戦や弾道ミサイルへの脅威に対抗できる。その間に海軍はレイルガンを改良できる。
  4. 海軍が発表したレイルガンの想定用途リストでは「多用途レイルガンウェポンシステムで弾道ミサイルならびに航空機および水上艦艇の脅威に対抗する」ことを2025年までに実現するとしている。
  5. 誘導式HVP弾を Mk 45 砲から発射すればレイルガンの性能に近いものを早期に実現できるとUSNI Newsは理解した。
  6. 通常の高性能砲弾と違い、HVPの速度があれば爆発物は不要で、速度のエネルギーだけで目標を破壊できる。
  7. HVPが実用化されればスタンダードミサイルで航空目標に対応する必要がなくなり、艦艇はもっと安価な誘導砲弾を艦載砲から連射すればよい。
  8. NAVSEAは Mk 45 以外の砲でもHVP使用を検討している。.
  9. NAVSEAは詳細を語らないが、USNI Newsの理解では海軍はズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦 (DDG-1000).が搭載する高性能主砲システムAdvanced Gun System (AGS) (155mm)で一発40万ドルの誘導ロケット補助方式による長距離陸上攻撃砲弾Long Range Land Attack Projectile (LRLAP)を発射する構想があるが、この代わりになるとみられる。
A range of hyper velocity projectiles from different weapon systems. BAE Systems Image
超高速砲弾も発射するウェポンシステムにより形状は各種想定されている。 BAE Systems Image
.
  1. BAEシステムズジェネラルアトミックスが海軍と共同でレイルガンおよび砲弾改良技術に取り組んでいるが、NAVSEAは本案件に従事する企業名を明らかにしていない。
.
  1. BAEシステム製のレイルガンは来年にも初の海上射撃試験を実施する予定だ。■































































































































































































これはすごい。レイルガンとほぼ同様の効果を既存の砲塔から実現できるとは。でもどうやって一度に射撃速度を2倍にできるのか、電磁効果なしで火薬で行えるのか全く説明がありませんし、原理原則が理解できません。

Navy Researching Firing Mach 5 Guided Round from Standard Deck Guns

By: Sam LaGrone
June 1, 2015 10:48 AMUpdated: June 1, 2015 11:25 AM

USS Ross (DDG-71) test fires the MK45 5-inch lightweight gun on April 30, 2015. US Navy Photo
Mk45 5インチ軽量砲の試射。USSロス(DDG-71) 2015年4月30日 US Navy Photo

米海軍の艦載砲に新しい意義が生まれるかもしれない。音速の五倍で発射する砲弾テストが成功した場合は。
  1. もともと海軍が開発中の電磁動力レイルガン用に開発された砲弾を使って、海軍海洋システムズ本部(NAVSEA)は超高速発射弾hyper velocity projectile (HVPs) の初期テストを実施中だ。発射には通常の火薬ベースの艦載砲を使うとNAVSEAがUSNI Newsに明らかにした。
An artist's conception of BAE Systems' Hyper Velocity Projectile. BAE Systems Image
BAEシステムズによる超高速発射弾の想像図 BAE Systems Image

  1. HVPを艦載砲から発射するとレイルガンよりも速度は劣る。レイルガンのマッハ7に対しマッハ5になるが、それでも非誘導式通常弾を海軍の5インチMk 45砲から発射するより2倍の速度になるとNAVSEAは解説。
  2. 艦載砲は海軍艦艇で標準装備だが、誘導ミサイルのような精密着弾ができないため、高度戦では有益度が小さくなっている。
  3. これに対し高速誘導弾が艦載砲で使えれば対空戦や弾道ミサイルへの脅威に対抗できる。その間に海軍はレイルガンを改良できる。
  4. 海軍が発表したレイルガンの想定用途リストでは「多用途レイルガンウェポンシステムで弾道ミサイルならびに航空機および水上艦艇の脅威に対抗する」ことを2025年までに実現するとしている。
  5. 誘導式HVP弾を Mk 45 砲から発射すればレイルガンの性能に近いものを早期に実現できるとUSNI Newsは理解した。
  6. 通常の高性能砲弾と違い、HVPの速度があれば爆発物は不要で、速度のエネルギーだけで目標を破壊できる。
  7. HVPが実用化されればスタンダードミサイルで航空目標に対応する必要がなくなり、艦艇はもっと安価な誘導砲弾を艦載砲から連射すればよい。
  8. NAVSEAは Mk 45 以外の砲でもHVP使用を検討している。.
  9. NAVSEAは詳細を語らないが、USNI Newsの理解では海軍はズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦 (DDG-1000).が搭載する高性能主砲システムAdvanced Gun System (AGS) (155mm)で一発40万ドルの誘導ロケット補助方式による長距離陸上攻撃砲弾Long Range Land Attack Projectile (LRLAP)を発射する構想があるが、この代わりになるとみられる。
A range of hyper velocity projectiles from different weapon systems. BAE Systems Image
超高速砲弾も発射するウェポンシステムにより形状は各種想定されている。 BAE Systems Image
.
  1. BAEシステムズジェネラルアトミックスが海軍と共同でレイルガンおよび砲弾改良技術に取り組んでいるが、NAVSEAは本案件に従事する企業名を明らかにしていない。
.
  1. BAEシステム製のレイルガンは来年にも初の海上射撃試験を実施する予定だ。■


















2015年6月2日火曜日

南シナ海の対立をエネルギー面から見るとこうなる


China’s South China Sea Activity Takes a Page from Early Communist Party Playbook

By TIM DAISS on June 01, 2015 at 12:30 PM

south china sea
  1. 中国が南シナ海(SCS)スプラトリー諸島の環礁、入江を埋め立て2,000エーカーの土地造成をしていることで言葉の応酬が四週間目に入った。米衛星写真で人工島の建設現場がフィリピンが領有を主張する部分であることも判明した。中国はSCSの約9割が自国領土だとし、九段線と呼称し、U字の形で領有権を主張している。フィリピン、台湾、ベトナム、マレーシア、ブルネイもそれぞれSCSで領有権を主張している。このうちスプラトリー諸島は中国最南端からおよそ800カイリの距離にあり、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置する。
  2. 新しい衛星画像を公表した米国は改めて中国の埋め立て工事を中止させるとの立場を明確にしたが、中国は自国の主権の範囲として工事を続けており一歩も譲る気配がない。画像公表の一週間後に米海軍のP-8哨戒機にCNN取材陣が同乗し工事現場付近を飛行した。その際の中国軍からの無線交信は報道のとおりだが、同機は最終的に飛行を断念している。
  3. この米軍機飛行へ中国は素早くかつ強力に反応し無責任な行動を許したと米政府を非難する一方、自国権利を主張している。米国はメディアを利用し中国の大規模埋立へ関心を高めようとした。すると計算されたかのように中国国防省が白書を公表し、これまで沿岸抑止力を主眼においた整備をしてきた海軍兵力を遠隔領土の防護に専念できる形に変えると説明している。
  4. 恒例の防衛問題シャングリラ対話でも言葉の応酬は続き、両側とも引き下がる気配はない。米国防長官アシュトン・カーターからは中国政府は国際規範から「はずれている」と批判。「SCS上空の飛行は長年に渡り実施しており、これからも続ける。航行、作戦でも同様。したがって何ら新しい話ではない」とし、中国に埋立工事の即時中止を求めた。中国は米要求を一蹴し、自国主権を行使しているだけ、監視哨は国際義務を果たすために利用すると反論している。
  5. 最大の地政学的脅威と呼ぶ今回の事態に双方ともけんか腰だが、背景に争点が2つある。航行の自由および炭化水素資源だ。中国は埋立工事は自国の地政学的な拡張、経済力の伸張の延長だと捉える。また米国と肩を並べる超大国であると自国をなぞらえている。
  6. 米国および域内同盟各国は埋め立て工事を航行の自由への明白な脅威ととらえ、世界有数の重要通商路として年間5兆ドルの貿易量がSCSを通過している事を重視する。天然ガスや原油の輸送もあり、日本や韓国が仕向地だ。中国がSCSで自国の力を誇示し、問題地の環礁や小島を人工島に変えれば、国際常識のすべてに反することとなり、国際法にも触れる。
  7. さらに中国は1982年の国連海洋法条約を認めていないが、同年に中国も署名し1996年に批准している。その理由としてSCSは適用外だとしてきた。だが中国は米国等に埋め立て海域では12カイリ領海原則の遵守を求めており、中国が国際法に違反していると指摘する向きを非難しているが、これは見え透いたダブルスタンダードというものだ。
  8. Grenatec研究所が最新報告を発表した。同研究所はアジア大のエネルギーインフラストラクチャーを専門としており、航行の自由原則を米海軍がSCS内で誇示する航路を提案している。それによるとリード堆、スビ環礁、ミスチーフ環礁を結ぶ弧となっており、中国、フィリピンがそれぞれ領有を主張する地帯を含む。Grenatecによればこの案で「先例を作り」「抗議してくるのは中国だけのはずだから中国の外交的孤立感を浮き彫りにする」というのだ。
  9. 報告書ではリード堆にはSCSで一番有望かつ未採掘の石油ガス資源があると指摘。ただしSCS内の石油ガスの推定埋蔵量は大きくばらついている。中国の試算では2,130億バレルの原油があるとし、一方で1993年94年のの米地質研究所(USGS) 報告書では280億バレル相当としている。後者はすでに相当前の考察で低めに推定を出しており、中国の試算は過剰に見積もっている可能性がある。
  10. ただし今回の対立がどう展開するかは予測できない。新興大国が従来からの大国に挑戦する形だが中国が使おうとする筋書きが見えない。今日の中国は中国共産党(CCP)創設時の想定を現実に移しており、国連軍に対抗した朝鮮戦争初期の動きでもある。また北朝鮮が使っている戦略でもある。大胆に動いて掛け金を引き上げ、敵がついてこれなくするのだ。現在の中国の行動は大胆かつ計算の上だが極めて危険な動きで裏目に出かねなず、その場合は悲惨な結果になるだろう。■