2019年4月30日火曜日

米海軍は日本への前方配備部隊に揚陸艦1隻追加派遣

Navy Adding Fourth Amphib to Japan-Based Fleet for Operational Flexibility; 1 DDG Leaving Japan 米海軍が揚陸艦1隻を日本へ追加配備。DDG1隻を本国呼び戻し。

April 29, 2019 1:07 PM

揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD-18)のウェルデッキから揚陸強襲艇が発進している。ドーンブリッツ2015演習 (DB-15)にて。US Navy photo.


海軍は前方配備艦として揚陸艦四隻目を日本に派遣する一方、これまでで最長の前方配備となっていた駆逐艦を本国へ呼び戻す。

日本にはサンアントニオ級揚陸上陸ドック型艦二隻が配備されているが、ここにUSSニューオーリンズ(LPD-18)が加わる。USNI Newsは複数の海軍筋からこの配備は在日前方配備海軍部隊FDNF-Jに柔軟度を高めるのが狙いで、訓練とともに同盟国との協調運用を太平洋全域で強めるのも目指しつつ、域内の自然災害にも備える。

海軍はニューオーリンズの追加派遣でUSSグリーンベイ(LPD-20)、USSアシュランド (LSD-48)の修理日程を確保しつつ揚陸即応部隊ARGの即応体制を維持できる。

揚陸艦四隻目の追加で作戦配備にも別の選択肢が生まれる。特に人道支援や災害救助の場面だ。2018年は8月から11月にかけアシュランドは北マリアナへ三回出動し台風通過後の住宅再建などを支援した。FDNF揚陸部隊では重要なミッションとはいえ、ARGの三分の一が共同訓練からはずされてしまった。四隻目の揚陸艦が加わり、ARG専属ではない形になれば司令官には災害救援でも柔軟対応が可能となる。

.同時に強襲揚陸艦USSワスプ (LHD-1) はノーフォーク(ヴァージニア)へ回航され修理に入りかわりにUSSアメリカ (LHA-6)がやってくる。アメリカは航空作戦に最適化されておりかわりにウェルデッキがないが、航空機格納庫が拡大されており、F-35B共用打撃戦闘機やMV-22Bオスプレイの搭載数はワスプをしのぐ。



揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD 18)は2016年5月10日アデン湾を航行した。US Navy photo.



太平洋艦隊報道官レイチェル・マクマー中尉はUSNI Newsに対して「USSアメリカ、USSニューオーリンズは前方配備でインド太平洋地区の行動計画の一部を担う。これは米国の安全保障上のみならず国益の防御に役立ち域内の同盟国友邦国へは我が国の変わらぬ平和安定繁栄の堅持の姿勢を太平洋内のすべての国へ海上交通路アクセスの自由を守る象徴だ。USSアメリカは近代化改修を受けたところでF-35B共用打撃戦闘機運用が可能となり、基幹システムも更新されている」と発表。

駆逐艦ではUSSステサム (DDG-63)が日本を去り近代化改修に向かう。同艦は2005年から日本に配備されてきた。

2017年に相次いで発生したUSSフィッツジェラルド (DDG-62)、USSジョン・S・マケイン(DDG-56) の衝突事故を受けて米海軍と議会の間で海外基地に本拠を置く配備基幹の長さについて議論が起こった。下院軍事委員会がまず配備期間を7年から最長10年とする提案を示した。これに対し当時の米艦隊総司令官フィル・デイヴィソン海軍大将(現INDOPACOM司令官)は艦艇は本国修理を受けられるようローテーションしていくが厳格な期限に縛られたくない、艦隊への影響が懸念されるためと答えた。駆逐艦を本国へ呼び戻すと別の駆逐艦を選抜し海外へ送ることになるため修理日程でも調整が必要だ。

ステサムは艦齢24年目でうち14年を日本で過ごしたが予想外の酷使ぶりで、サンディエゴやノーフォークが本拠の場合と異なる。「同艦は長期ドック入りし最新の戦闘装備等を装備する再整備で弾道ミサイル防衛や水上戦、対潜戦能力も向上する」(マクマー中尉)

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSステサム(DDG 63) 2017年11月12日、西太平洋にて。 US Navy photo.



ステサムが日本を去る影響は測りにくい。FDNF-J隷下の駆逐艦ではUSSミリウス(DDG-69)が2018年5月に到着し1隻増えたが、フィッツジェラルド、マケインの移動で二隻減り修理作業はまだ続いている。マケインは横須賀で修理中で乾ドックを出ており、仕上げ作業中なので今年末までには復帰する。フィッツジェラルドは今月にミシシッピのインガルス造船で乾ドックを出たところだが修理工事の完工時期、艦隊復帰時期は不明だ。

フィッツジェラルド、マケイン両艦が修理を受ける間、各駆逐艦は空母打撃群に随行あるいは単独行動に投入され活躍している。

マクマー中尉からは「西太平洋での戦力低下にならないようその他艦艇の運用を効率よく進めていく

「米海軍の長期計画では常に各艦、各装備の効率かつ効果的な運用を目指している

「母港変更の決定については適宜発表していく」とした。■

米海軍に無人給油機が実現すると航空戦力にどんな変化が生まれるのか

New Navy Carrier-Launched Drone to Fly This Year - Change Attack Strategy 米海軍の新型空母運用無人機の初飛行が今年中に実現しそう-登場で海軍の航空攻撃戦略はどう変わるのか


海軍初の空母搭載無人機が高度な地上テスト中で、初飛行は早ければ今年中になりそうだ。導入で海軍航空戦力に新戦術が実現し、機材の攻撃距離が大幅に伸びる効果を生む。

無人給油機の登場でF-35CおよびF/A-18各型の攻撃半径はほぼ倍増し、空母戦略、技術に展望が開く。ボーイング製作のMQ-25試作機は現在各種テスト中で同社によれば飛行テスト実施も早期実施になる。海軍は昨年ボーイングを選定し次の開発段階に進めた。

テスト準備段階は業界の呼ぶ技術製造開発段階で地上テストから始まる。この段階から空母運用想定で難易度が上がる。

「政府と業界でチームを組みテスト日程をこなし2021年までの初飛行、初期運用能力獲得の2024年という目標を目指す」とMQ-25事業主幹のチャド・リード大佐がWarrior Mavenに伝えてきた。初飛行を2021年とするが海軍は今年中に実現できると述べている。

リード大佐はテスト段階を最長6年とするが、迅速開発方式で短縮化されるとSeapower Magazineが伝えたのは「デジタルモデリング」を多用した調達方式になったためだ。「機体に関すること全てをデジタル環境で再現しています」とブライアン・コリー少将海軍航空システムズ本部航空攻撃装備担当が同誌で述べていた。
Boeing image MQ-25 Stingray


無人機の空母運用では複雑な条件克服が課題だった。風速、艦の速力、海面状況、天候条件で無人機着艦は影響を受ける。

有人機の場合は「フレネルレンズ」が伝える照明ライトを見てパイロットが即座に調整し機体を「グライドスロープ」に乗せ安全に着艦できる。この作業は遠隔操作では困難でほぼ自律運用型の無人機でも同様だ。空母着艦とはヒトの解決能力と認知能力があって可能とされてきた。

とはいえ給油機で空母搭載機の攻撃半径が大幅に伸び、中国の「空母キラー」対艦ミサイルDF-21DやDF-26の射程範囲900マイルの外で発艦できるるようになる。

一例として現状の空母搭載戦闘機の有効行動半径は300から500カイリだが、これが二倍になれば兵力投射の選択肢も広がる。これで空母は敵沿岸地帯から離れた地点でも航空機発艦が可能となり、敵地内部への侵攻攻撃能力も実現する。

次世代の空母用「多重」防御手段が開発中で、電子戦能力、レーザー、長距離センサーは空母を困難な状況でも有効運用できる。同時にここ数年にわたるショック試験の結果からミサイルが艦の近辺に命中しただけでも艦に重大な影響が生まれる事が判明した。そのためDF-21Dのような対艦ミサイルで艦が損傷を受ける事態は直撃でなくても覚悟する必要がある。そこで敵ミサイルの誘導装置を妨害することで進路を外したり、空母近辺で迎撃してもはやり相当のリスクが残る。

2007年実施のショック試験結果を非営利団体MITREコーポレーションが解析したが「非接触型爆発で高圧衝撃波が艦に向かう」のが最大の脅威だと判明した。

MITRE報告書が興味をひくのはショック試験の発想は第二次大戦時にあるとの指摘だ。

「第二次大戦中の『ニアミス』爆発で艦体や上部構造物に損傷は生まれないもののショックや振動で重要装備が使えなくなる被害が生まれることがわかった」とMITREは指摘している。

MITRE分析ではさらに近接地点での爆発で隔壁が共鳴し艦が上方へ動くことがわかった。「局部的に大きく変形する」

こうした中で空母運用給油機の投入が今後の攻撃方法の選択肢に不可欠な存在となる。空母防御能力があらゆる段階で実現したとしても給油機により空母搭載機材の攻撃対象が全く新しくなるからだ。■

-- Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute --
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

2019年4月29日月曜日

アイオワ級の航空戦艦化は1980年代冷戦時の構想....実現の可能性は閉ざされていない

The Ultimate Warship: A Hybrid Aircraft Carrier-Battleship? 

空母+戦艦のハイブリッドは究極の軍艦になったのか



1980年代初めのレーガン政権は国防事業への予算重点配分をねらっていた。選挙公約に1970年代の「空洞化」を意識し軍再建があった。
その一環で第二次大戦時のアイオワ級戦艦各艦の復帰があり、1982年に工事がアイオワ、ミズーリ、ニュージャージー、ウィスコンシンを対象に主砲16インチ砲、5インチ砲が稼働可能となった。さらにハープーン対艦ミサイル16発、トマホーク対地攻撃巡航ミサイル32発のほかファランクス局地兵装システム(CIWS)4門を新たに搭載した。
ただし四隻が冷戦終結後に退役したのは各艦2千名もの人員が必要なためだった。国防予算縮小が背景にあった。現在は四隻とも記念艦あるいは博物館となっている。だが早期退役でさらに大胆な改修案が実現できなくなった。
1980年11月号の米海軍協会紀要に米海軍大佐(退役)チャールズ・マイヤースが寄稿したのは戦艦艦尾部分の大幅改修で第三砲塔を撤去するという提案だった。
第三砲塔部分はV字形状の飛行甲板とし、V字の底部が艦尾に位置し、Vの左右は前方に伸び航空機発進を実現するとした。昇降機2つでボーイングAV-8ハリヤーII12機を格納庫から運用するとした。
5インチ砲は撤去し、155ミリ榴弾砲の搭載で火力補強をねらった。V字飛行甲板の間のスペースには戦術ミサイルサイロを配備し、320サイロまで搭載可能としトマホーク対地攻撃ミサイル、ASROC対潜ロケットやスタンダード対空ミサイルを混合配備できるとした。これだけの本数はオハイオ級誘導ミサイル潜水艦のトマホーク154本を有に凌ぐ規模だ。
マイヤースはこれを「制海強襲艦」と名付け洋上で敵部隊を迎え撃つ構想で特に当時建造中のソ連海軍キーロフ級原子力巡洋戦艦を想定した。対戦シナリオでは米海軍は重装備キーロフ級が米空母や欧州へ急派する増援部隊輸送を脅かすのを阻止するのが重点だった。
制海強襲艦(IAS)はこのキーロフ級に16インチ砲とハープーンミサイルで立ち向かうはずだった。ハリヤー部隊も加わっただろう。戦力単位として経済的な存在となり、空母を本来任務に集中させる効果も生まれていたはずだ。
IASには別ミッションもあった。海兵隊上陸作戦の支援だ。16インチ砲は6門残っており、155ミリ榴弾砲も加え揚陸作戦前に上陸地点に砲撃を加える。海軍・海兵隊はイオージマ級ヘリコプター揚陸艦、タラワ級強襲揚陸艦に同艦を加え航空機動力で揚陸作戦を支援しただろう。
この構想でIASは航空強襲作戦の拠点となるはずだった。飛行甲板はヘリコプター運用にも投入できた。格納庫は海兵500名を収容できたはずだ。またハリヤーをヘリコプター部隊の援護にあてるほか近接航空支援任務にも当てて海兵隊本隊の上陸まで支えたはずだ。
話題となったもののIAS構想の実現は二回も延期された。国防総省と海軍は戦艦の現役復帰をとにかく早く実現したいとし、改修は最低限ですますこととしたのだ。
飛行甲板とミサイルサイロの搭載は実現しなかった。1980年後半に冷戦終結で予算縮小となり、1992年までに全艦は現役を解かれた。
実現しても制海強襲艦構想では1980年代の米軍活動では運用が難しかっただろう。ペルシア湾、グレナダ、レバノン、中米での各作戦ではIASは「必須」の装備とはいえなかったはずだ。揚陸艦一隻あるいは戦艦一隻で充分な規模だったが双方の中をとった存在では中途半端観が強かったはずだ。
IASはあくまでも大規模戦で真価を発揮する存在だった。キーロフ級を追い詰めその他重装備ソ連艦船を第三次世界大戦で撃破することで、米海兵隊のノルウェー上陸を支援し、海洋戦略の一助として空母部隊に加わりソ連の北極圏内基地を攻撃する。このシナリオではIASのミサイルサイロ320個は「必携」装備だったはずだ。16インチ主砲の斉射とトマホークで対地攻撃をソ連防空施設に与えれば空母部隊には天佑となり、ソ連上空での戦闘を実施していたはずだ。.
現在のアイオワ級戦艦は各地で係留されているが、レーザーやレイルガンといった新技術が実用化となれば再々度の現役復帰もありえない話ではない。たしかに財政状態は厳しいが可能性が全くないわけではない。アイオワ級は何度も復帰してきたが今後も続く話だ。■
Image: Wikimedia

2019年4月28日日曜日

イースター襲撃情報は事前通告されていたのに何も手を打たなかったスリランカ政府

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Indian police uncovered the Islamic State bombing plot that killed over 250 people on Easter Sunday, but Sri Lankan authorities didn't act 250名の生命を奪ったイースターの日曜日襲撃でインドはイスラム国の計画を事前把握し通告したがスリランカ当局は行動しなかった


Emily Schmall, Associated Press 1h

  • インドがスリランカにイースター襲撃を事前警告していた
  • インドは実行集団、標的地点、実行時間、自爆犯の居場所をすべてスリランカ政府に通知していた
  • キリスト教会や豪華ホテルをねらった4月21日の襲撃で200名超が死亡
ンド警察当局が通常の通信監視中に異常な内容に気づいた。最大の惨禍となった南アジア襲撃計画の詳細内容だった。
警察はインド南部で弱体化したイスラム過激派への同調者の動向を調べていたが今まで聞いたことのない名前が出てきた。ナショナル・タウヒード・ジャマートでスリランカでIS支援を受けた戦闘員集団としてイースターの日曜日に教会、ホテルを同時襲撃し250名超の人命を奪った主犯と当局が説明している。
インド警察当局は同集団の通信傍受に成功し陰謀内容を知ったと紛争処理研究所(ニューデリー)の Ajai Sahni専務理事が述べる。
「傍受内容は極めて具体的で詳細にわたるものだった。インド当局は集団について、標的も、実行予定時間も自爆犯の居場所も把握し、内容は全部スリランカ政府に伝えた」
スリランカ政府高官は自国の情報部門に襲撃の事前情報が伝わっていたが襲撃防止に何も手を打たなかったと認めた。
国防相、国家警察相を兼任するマイトリーパーラ・シリセーナ大統領と高レベル安全関連会合から閉め出されていたラニル・ウィクラマシンハ首相は、ともに事件後に実行計画を知らされたと述べている。
「極めて詳細に伝えられていた。行動が欠けていた。実態を調査中だ」(ウィクラマシンハ首相)
インドの情報提供は4月4日に始まり、自爆攻撃の計画が「重要な教会数箇所」に対して練られ、関与する六名の氏名が一覧表にあった。
警察副総監は保安部門上席職4名と同報告を共有し、内一名は「VIP」や外国大使館の担当だったという。あわせて所轄内の重要拠点や重要人物に特別の注意を払うよう求めた。
インドの情報提供はイースター当日の爆発の寸前に届いたのが最後だったとSahniは明かした。
警告が無視された理由が大きな論争となっている。元大統領マヒンダ・ラジャパクサが構築した反乱分子鎮圧の即応体制の解体を求める声も出ている。スリランカは長年に渡る内戦に苦しんできた。
26年間も同国少数派タミル族のタミル・タイガー戦闘分子が分離独立を求め騒擾を巻き起こしていた。同国多数派は仏教徒シンハリ族でラジャパクサの兄弟が国防相として冷徹に2009年に鎮圧に成功した。
今回の惨劇のもとはスリランカの治安維持体制の弱体化と指摘するのは国防担当相ルワン・ウィジェワルデネだ。
シリセーナは2015年の大統領選挙でラジャパクサを破り当選し、軍関係特に情報部門の調査を重視し、一般市民拉致誘拐殺害以外に、政治反対勢力やジャーナリストも内戦時に犠牲になったと指摘した。.
これ以後軍関係者に逮捕者が続出し、公判は今も続いている。
しかし4月26日、シリセーナ大統領はおそらく2020年再選を念頭に内戦後の軍情報関係者逮捕により国内治安体制が弱体化したと述べた。また国防相、警察総監の辞任を求め内閣の一新を約束した。
スリランカ治安部門がインド情報を信用しなかったのは内戦時代の疑わしい行動のためとの見方が専門家の間に根強い。
インドの調査分析部門Research and Analysis Wing (RAW)は対外情報集団で当初はタミル分離勢力を支援し、1970年代にタミル・タイガーに武器供与と訓練を提供した。ただし、1980年代以降は支援を停止した。
インドは1987年にスリランカを協定を結び平和維持軍をスリランカ南部に派遣し反乱勢力鎮圧をねらった。だがタミル住民への虐待行為が発覚し撤収を求められた。1991年にインド首相ラジブ・ガンディを暗殺したのはタミル・タイガーの自爆犯だった。
内戦最終段階ではタミル・タイガー鎮圧のスリランカ強硬策にインドが疑義をさしこんだ。政府軍の攻撃で数万名の一般市民が死亡したといわれる。行方不明者も数千名規模になった。少数派タミル族には今も当時の傷跡に苦しむものが多い。
インドの治安情報機関はスリランカから「道義的根拠」を失ったとインド対外情報機関で長官を務めたM・K・ナラヤナンは認める。「インドは当時の方針を守らず独断専行しスリランカの信頼を失った」
インドとスリランカの民俗文化面のつながりは数千年に及ぶ。民話ではスリランカ多数のシンハリ族はインドを放逐された王族の子孫といわれる。
一方、少数派タミル族は18-19世紀の英植民地時代に茶・ゴム農園労働で移住させられたものの子孫だ。
インドは周辺国に情報提供することで影響力を維持しているとナラヤナンは認める。
インドとスリランカは23キロ隔てらているだけで、インドから見ればスリランカは防衛上は中国の進出を食い止める防壁の位置づけだ。イースター襲撃事件の直後にインドはこの狭いポーク海峡に海軍、沿岸警備隊の艦艇を展開した。■

インドへのうらみつらみや過去のしがらみでバイアスがあったのかもしれませんが、情報がありながらなにも手を打たなかったのではスリランカ政治体制の責任は免れられませんね。同国の不安定化、弱体化につながる一歩になるかも知れません。実はそれが陰謀の狙いだったのかも知れません。しかし、日本でも来年のオリンピック等を睨んで警戒の動きがあるようですが、なんと言ってもオーム事件除けばテロ案件に巻き込まれていない国ですから初動が遅れると大変です。ましてや外国から入った情報をバイアスなしで受け止められるでしょうか。韓国から入ったらどうでしょうか。いろいろ考えさせられます。

★F-3開発はF-22/F-35ハイブリッド案に決まったのか

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Japan's New Stealth Fighter: A Hybrid Mix of the F-22 and F-35?

日本の次期ステルス戦闘機はF-22、F-35のハイブリッド案で決定?
 
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April 24, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyWorldJapanStealth

本政府は米F-22、F-35ステルス戦闘機の要素を組み合わせた新型機を実現したい意向だ。
極秘技術を日本に公開しハイブリッド戦闘機の実現を進めようとの姿勢が米当局から示されている。
日本には同様の経験が前にもあった。1980年代90年代にかけてロッキード・マーティンF-16戦闘機の設計をもとにライセンスを受けF-2開発を進め、主翼を大型化し電子装備を強化した。
だがF-2はあまりにも高額な機体になった。日本が目指すステルス機戦闘機は少数規模に終わったF-2後継機の想定だが同様にとんでもない単価になる可能性がある。
「高性能F-35ステルス戦闘機の極秘技術情報を日本へ開示し航空自衛隊F-2戦闘機の後継機種開発を進めたいとの提案が米国から入った」と読売新聞が伝えている。
航空自衛隊にはF-35もある。防衛省に届いた米提案内容ではF-35等を元に共同開発するとあり、世界最先端の戦闘機を実現するとのものだ。
日本政府筋によれば米国からF-35搭載のエンジンやミサイル制御用のソフトウェアの機密情報開示に応じてもよいと伝えてきたとある。F-35用のソフトウェアは今まで米国以外に公開していないが、F-2後継機に搭載されれば米国はソースコードを日本に公開することになる。
ハイブリッド機は日本が「F-3」と呼称するはずで機体はロッキードのF-22でセンサーや電子装備はF-35と同等になるとロッキードは提案。
日本は2000年代初頭に空自F-15後継機にF-22を取得したいと打診してきたが、米国はロッキードにF-22輸出を禁じる法制を成立させた。F-22ハイブリッド案が実現すればロッキードは輸出禁止措置を回避できる。
ただし日本が必要とする新型機の機数は少ない。空自はF-35A型B型あわせ141機導入を決めており、F-4と旧式F-15を更新する。
F-35の141機全部稼働で空自は改修型F-15J(102機)、F-2(82機)との混合編成となる。日本が考えるハイブリッドF-3はF-2後継機だがF-15J後継機としてもおかしくない。
だが完全新型ステルス機開発が184機程度では機体単価が高くなりすぎる。すでにF-2で痛い経験もした。
F-2では20年余りで100機足らずの生産を三菱重工が行いスケールメリットが生まれなかった。F-2はF-16の四倍の機体単価とされるが性能が4倍とはいいがたい。
米空軍はF-22の187機を700億ドルで調達した。既存技術の応用で日本向け戦闘機開発に節減効果が生まれそうだが、読売新聞は新型戦闘機開発予算は180億ドル程度と推計した。
これに対しTeal Groupアナリストのリチャード・アブラフィアの試算では日本のステルス戦闘機小規模生産には最低で200億ドル必要だという。
これだけの規模は「明らかに(空自の)予算規模を超える」とする。日本の防衛予算はGDPの1パーセント相当ちょうどだ。つまり年間500億ドル未満で、米国国防予算の10パーセントにも満たない。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

この問題はいつになったら方向性がはっきりするのでしょう。ロッキード提案を米当局も後押ししているようですが、F-2の苦い経験から日本はどっちに舵を切るのでしょう。一方で機体開発が今までと質的に変わっており、今までの体験を引きずったままで選択を誤りかねません。ここは目的とあるべき姿をゼロベースで考え直し、最適解を求める「ブレイクスルー思考」でことをすすめるべきではないでしょうか。(ブレイクスルー思考にご関心の向きは日本企画計画学会のウェブサイトhttp://www.bttnet.com/jps/index.htmを御覧ください。

2019年4月27日土曜日

F-35A墜落事故の捜索体制を強化する日米両国。中国、ロシアの機体奪取は発生せず?

今回の捜索活動は難易度がそこまで高いのでしょうか。機体、パイロットの回収は依然完了していません。まず、ロイター記事をBusiness Insiderが伝えています。

Japan is expanding the hunt for its F-35 that disappeared over the Pacific

Tim Kelly, Reuters 2m

japan f 35
航空自衛隊第3航空団302戦術飛行隊(三沢基地)所属のF-35A
  • 日本が4月9日墜落したF-35戦闘機の捜索活動を強化中
  • 回収できたのは尾部の一部にとどまりパイロットは見つかっていない
方不明のF-35戦闘機で日本は4月25日から捜索体制を強化し、海洋探索船が新たに加わったほか、米海軍のサルベージ部隊も数日内に合流すると航空自衛隊が伝えている。
墜落は4月9日発生し、訓練中に一機が太平洋上空の日本北西部付近で消息を絶った。尾部の部品数点しか回収されていない。
探索艦船が搭載するソナーは深度1,500メートルまで有効だ。
Japan F-35
三沢基地で第3航空団が初のF-35Aを2018年2月24日に受領した。US Air Force/Tech. Sgt. Benjamin W. Stratton
米海軍はサルベージ部隊を民間潜水支援船DSCVヴァン・ゴッホから運用し、17,150平方キロに及ぶ海域の探査を開始すると第7艦隊が報道発表した。
海上保安庁艦船が一般船舶を該当海域から締め出していると空軍報道官は述べている。該当海域は公海の一部。
「これだけの最新装備なので他国が回収する懸念が常に残る」と米海軍関係者は中国ないしロシアが機体入手に関心を持っているのではとの問に答えている。「そんな事態に日本がさせないと確信している」
捜索部隊は単価126百万ドルの機体からフライトデータレコーダー回収を急ぎ事故の実態を把握をめざす。
一方で事故機パイロットの医療記録の精査が続いており、同僚パイロットには本人の精神状態含む聞き取り調査を展開中と報道官は述べた。
事故機は製造後一年未満で三菱重工業が日本で組み立てた一号機だった。事故発生28分前に離陸し、突如姿を消した。280時間の飛行実績しかなかった。

一方、USNI Newsは以下伝えています。

Navy Black Box Detector Joins in Deep Water Hunt for Missing Japanese F-35A

April 26, 2019 12:13 PM
DSCV Van Gogh. 海軍サルベージ部隊が4月24日に沖縄で乗船した。


海軍は日本のF-35A墜落事故でマレーシア航空370便捜索時と同じ装備品を投入すると第7艦隊広報官が認めた。

海軍のサルベージ部隊を民間の深海度潜行可能無人水中機と運用し、TPL-25「ブラックボックス探査機」と呼ばれる曳航式センサーで深度25千フィートの海中で緊急信号を突き止める。

サルベージ部隊が民間潜行支援建設船DSCVヴァン・ゴッホに沖縄から乗船した。航空自衛隊細見三佐のF-35Aが海上に墜落した4月9日以降に展開中の捜索活動へ加わる。

「4月9日から17日にかけ米海軍誘導ミサイル駆逐艦USSステサム(DDG-63)及びP-8Aポセイドン一機が自衛隊捜索チームに加わり、およそ5千平方マイルの海域で活動した。米海軍所属のP-8Aポセイドンは182時間飛行した」

その余暇米空軍はU-2偵察機も投入した。日本からはJSちよだ(ASR-404)潜水艦救難艦が捜索中で海洋研究開発機構の調査船かいめいも加わった

JS Chiyoda(ASR-404) in 2017. Photo via Wikipedia


「かいめいには音響測定装置、磁力計のほか無人潜水艇で深度3千メートルまでの海底調査が可能」とフィナンシャル・タイムズが4月24日報じた。「墜落したF-35は深度1,500地点にあると考えられており、充分探査範囲内にある」

その他の報道では日米当局がF-35Aの搭載技術を敵対勢力が入手しリバースエンジニアリングされることを憂慮しているとある。ただし、米国某関係者はUSNI Newsに対し中国、ロシアが機体発見に動いている兆候はないと伝えている。

海軍サルベージ部隊が使うTPL-25およびソナー搭載無人潜行装備はマレーシア航空777機が消息をたった2014年に広範囲にわたる捜索に投入されたが結果を出せなかった。

TPL-25システムは海中の墜落機が発する信号を探知し、有効深度は最大20千フィートだ。US Navy Image