2017年11月28日火曜日

中国J-31がSUV広告に登場

この自動車メーカーですが本当に新規企業らしくよくわかりません。解放軍が設立した企業なのでしょうか。解放軍はかなりの数の企業を傘下に置いています。もっとも軍で正式採用されたわけではないのでメーカーとの交渉で実現したのでしょうね。それでなければ戦闘機を広告に出すのは同なのでしょう。お金だけ出せばなんでもありなのでしょうか。いずれにせよともに食指は動きませんが、J-31についてはいつどこで脅威にならないとも限らず情報収集は必要でしょうね。F-22やF-35が一般企業のイメージ広告に出たことはあったのでしょうかね。

China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars

中国のステルス戦闘機が自動車販売の引き立て役になっている

J-31 meets SUV

China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars
WIB AIR November 27, 2017 Robert Beckhusen


技術の結晶で未来イメージの中国のJ-31ステルス戦闘機の画像がSUVの広告に登場した。
J-31が中国の新興自動車メーカーHanteng AutosのSUVモデルX5の広告で姿を見せている。
広告では塗装が赤のSUV(「産業力」と「国力」を象徴)をジェット機とともに見せている。
すると新興企業が自社SUVを国家主義や軍と結びつけるマーケティングを展開しているのか。さらに興味を惹かれるのはやはり国営瀋陽航空機が開発したJ-31(FC-31)はステルス機で中国軍に正式採用もされていない中で異例の登場だ。
Above, at top and below — the J-31 as car salesman. Photos via Chinese Internet

J-31モックアップが空母遼寧に乗せられたことはある。イランやパキスタンのような海外顧客を狙ったのだろう。だが今度は同機が多用途車の販売を助けるわけだ。ただJ-31は顧客がまだないことが問題だ。

J-31はF-35共用打撃戦闘機の競合機種だ。機体サイズはほぼ同じでJ-31はステルス性で劣り、JSFのエイビオニクス、通信装備も搭載していない。ただしJ-31二号機が2016年12月に初飛行しており、新型赤外線センサーを搭載してやや大型になっているのが確認されている。今のところJ-31はこの試作型二機しか存在が確認されていない。

ただ公平を期すと、J-31は双発機である点がF-35と異なる。また中国機にはF-35Bの揚力ファンは内蔵していない。F-35ではこのために他の二型式でも設計上の妥協が必要となった。中国がF-35の設計資料を入手したといわれ、F-35の設計上の難点を回避してJ-31を製造したのではないかと言われている。
J-31試作二号機は一号機と異なり無煙エンジンも採用して、ステルス性にも寄与する。正式採用されれば空対空ミサイル12発と重武装の航空優勢戦闘機を目指すとみられる。だがまず採用国を見つける必要がある。中国海軍は可能性がある。あるいはF-35は手が出ないが競合上必要だと思う国だろう。
いずれにせよ将来の導入国には製品保証がついていることを祈ろう。■

★★F-3を目指す最新26DMUから浮かび上がる設計思想



ラプターみたいな想像図ですね。米記者による図のためでしょうか。2030年代以降の投入を考えると先送りは困るのですが、これだけの規模の新型戦闘機開発事業は今後はなかなか現れないはずなので、当然海外メーカーも注目しているのでしょう。国産開発、共同開発それぞれ優劣はありますが、合理的な決断を期待したいところです。F-3には無人機の運用能力も必要となるのでしょうね。

Aviation Week & Space Technology

Japan Refines Design For Indigenous Future Fighter

日本が次期国産戦闘機に磨きを入れる
A Japanese combat aircraft may have become more conventional
日本製戦闘機は通常の姿になったようだ

Nov 23, 2017Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology


  1. 日本が目指す国産戦闘機は長距離航続力を重視する方向に変更したようだ。平成26年度の設計案26DMU(デジタルモックアップ)が最新版だ。
  2. 平成30年中に国産開発、国際共同開発のいずれかを選択する予定だ。次世代戦闘機は三菱重工F-2の2030年代退役に備える狙いがあるが、防衛省は事業先送りも匂わせている。
26DMUの特徴
  1. 26DMUの姿がこれまでも部分的に現れているが防衛省の公開セミナーで出た想像図で明確になった。以前の25DMUとの大きな違いは翼幅が縮まりアスペクト比が高くなったことだ。
  2. 26DMUの後縁形状は以前は後方だったが今度は前方角がつく。この変更で翼付け根の琴線が延長されているようでこれもアスペクト比を増やす。高アスペクト比で航続距離は伸びるが、超音速飛行では抗力が増える効果が出る。
  3. 防衛省は航続距離と長時間飛行性能で妥協しないようだ。防衛装備庁(ALTA)で次世代戦闘機を主管する土井博史は2016年にAviation Weekに当時未発表の26DMUは長距離飛行性能を重視しその他性能は中程度で甘受すると語っていた。
  4. 25DMUからこの設計思想が採用されたのは分析結果で長距離性能が重要と分かったためだ。この効果が空戦性能より重視された。
  5. 25DMUで長距離ミサイル6発の機内搭載が示され26DMUも継承している。MBDAのメテオと短距離ミサイルの混合搭載が考えられ、長距離交戦の想定だ。25DMUでは機関銃一門も想定した。
  6. 想像だが、26DMUで機体構造や推進系の改良で主翼変更による巡航時空力特性の劣化を補うのだろう。技術陣はF-2よりファスナーではなく接着剤の大幅採用で10%の重量削減を狙う。
  7. 26DMUの各フィンは鋭くなり延長されている。尾翼も変更された他、主翼後縁部に可動部分が二か所と以前の一か所より増えた。
X-2の成果
  1. 他方で次期戦闘機技術の実証機X-2は目標を達成した。三菱重工が同機を初飛行させたのは2016年4月でその後同機はALTAに引き渡された。当初はフライトテスト50回予定だったが、データが良好のため一部を割愛できたと関係者が同上セミナーで述べていた。結局34回で各1時間で完結した。
  2. 同上関係者はレーダー特性がすぐれていたというがそれ以上の言及は避けた。IHIのXF5エンジンも高迎え角でも性能は予想以上だったという。
  3. X-2はステルス、高機動性、低速での取り扱いの実証が主な目的だった。推力偏向エンジンノズルを搭載し、高迎え角はXF5に難易度が高かったがエンジンは難なく作動したと同上関係者は述べた。推力も想定より若干高かった。その他の条件でもエンジン推力は予想以上だった。X-2の最高速度記録は高度6千メートル(20千フィート)でマッハ0.8だった。
  4. X-2で迎え角がどこまで試されたかは不明だが、同上関係者によれば米独共同開発X-31実験機が1992年に70度を試している。その状態で飛行すると運動エネルギーが急速に失われ、空戦時に不利だが、巧みに操縦すればミサイル回避も可能でドップラー手法でレーダー追尾もかわせる。■

2017年11月27日月曜日

B-1の投入頻度が高まっていることに注目



「死の白鳥」問題はTu-160「白鳥」と混同した韓国記者の記事を朝日新聞がそのまま紹介したた背景がわかりました。思い込みは怖いですね。B-1は「ボーンズ B-ONE-s」と呼ぶべきでしょうね。報道機関にはB1の誤った記述を早急にあらためてもらいたいものです。

B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions 多用されるB-1爆撃機がミッション回数記録を更新

Lancers are driving a sharp increase in Pacific show-of-force flights 太平洋でランサーが示威飛行を急増させている。

B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions
WIB AIR July 10, 2017 Robert Beckhusen

  1. 北朝鮮がICBMの初発射に成功した直後に、米空軍B-1ランサー2機はグアムから離陸し、同国近くまで進出した。韓国と日本の戦闘機を従えて。
  2. 7月7日、8日には同型2機がペンタゴンが「示威行動」と呼ぶミッションを実施した。
  3. 太平洋で爆撃機フライトが急増していること自体は目新しいことではない。ランサーはアンダーセン空軍基地から飛んで威力を見せつけることが増えているのはAir Force Magazineが示している通りで2016年は合計73回もあった。これは前年比62パーセント増だ。
  4. 今年は2016年実績を上回るの確実だ。「倍増してもおかしくない」とスティーブン・ウィリアムズ准将Brig. Gen. Stephen Williamsが同誌に語っている。
  5. B-1はB-2スピリット、B-52ストラトフォートレスと並ぶ空軍が運用中の爆撃機三種のひとつだが、他機種と違うのはB-1に核運用能力がないことだ。このため空軍はランサーをしきりに投入しており、イラク、アフガニスタン、リビアで頻繁に飛んでいる。
A B-1 Lancer takes off from Andersen Air Force Base on June 20, 2017. U.S. Air Force photo

  1. このうち対イスラム国作戦では2016年2月までに3,800発を投下している。
  2. その後、B-52がカタールのアルウデイド航空基地に移動しB-1と交替し、B-1は全デジタル式コックピットへの改修に入った。ランサーの大部分は1980年代製のままになっていた。
  3. 2016年8月にB-1はアンダーセンに到着し、2006年以来久しぶりの同基地配属となった。
  4. グアムから米軍は「連続爆撃機プレゼンス」“Continuous Bomber Presence” (CBP)を実施している。ランサー、ストラトフォートレス、スピリット各機を交代でアンダーセンから発進させ北朝鮮と中国の抑止がねらいだ。
B-1s lined up at Andersen Air Force Base, Guam in February 2017. U.S. Air Force photo

  1. このうちB-2は試験用機体も入れて20機しかなく老朽化が進んでいる。このためCBPミッションはB-1とB-52に任せることが多い。
  2. B-1はペイロード75千ポンドがあり危険空域を高速ダッシュで脱出できる。このため米大統領は同機を北朝鮮ミサイル陣地の粉砕に投入するとみられる。
  3. B-1は500ポンド爆弾84発または2,000ポンドMk-84爆弾20発を搭載し、長距離攻撃ではAGM-158JASSMミサイル24発で北朝鮮を数百マイル先から攻撃できる。■

北朝鮮がEMP攻撃をしかけたらどうなるか



戦略軍に強力なEMP対策をしてあっても前線部隊は事情が違います。たしかにEMP脅威は誇張され気味ですが、一時的でもネットワーク機能が失われれば混乱は必至です。皆さんもネット接続が10分でも切れればパニックになるのでは。となると重要装備から対策すべきなのですが、敵がもっと大きなパルスを発する爆弾を投入すればいたちごっこですね。e爆弾の話題がずっと前にありましたがごく狭い範囲でEMPを発生させる手段の整備がどこまで進んでいるかでしょうね。


How North Korea Could Win a War Against America: EMP Weapons? 

北朝鮮はEMP攻撃で米軍に勝てるか

November 26, 2017


  1. 朝鮮半島で開戦となれば、通常兵器のみを使う場合でも結果は壊滅的となる。核兵器が投入されればもっと悪い結果になり、エスカレートすれば最終戦争になるかもしれない。
  2. 核兵器が大都市に投下された場合の想定は明らかだが、戦術核兵器を見落としている。北朝鮮が米軍の侵攻を戦術核兵器で止めれば、米軍同盟国軍には電磁パルス(EMP)による被害の方が大きくなる可能性がある。EMPは強化対策がない電子装備に甚大な損害を与える。ネットワーク機能や高度センサー類に依存する米軍は脆弱だ。ほとんどが冷戦終結後の装備だ。
  3. 国防アナリストや軍関係者にこの問題の深刻度を口にしたがらない傾向があるのは機密情報のせいもあるがEMP効果の防護ずみ装備が少ないことを知っているからだろう。
  4. 「一部は大丈夫だがそうではないものもある。装備により事情が違う」とデイヴィッド・デプチュラ David Deptula 空軍中将(退役)(現ミッチェル研究所長)がThe National Interestに語っている。
  5. 「この課題は大変だが...EMP対策は非常に高価で、この25年間でコスト削減が最優先の中で対策は重視されていない」
  6. 戦略予算評価センター主任研究員のブライアン・クラーク Bryan Clark はもっと端的だ。
  7. 「装備の多数にEMP強化策はありません。旧式アナログ装備や冷戦期の装備にはあります」「高高度核爆発で低空でEMP効果が起こるかは不確かで、北朝鮮が自軍に被害を起こさずにEMP攻撃を実施するかも不明です」
  8. 同センターのマーク・ガンジンガ―Mark Gunzingerは元B-52パイロットでペンタゴンはEMP攻撃を想定し対策予算を確保すべきだと主張する。
  9. 「過去10年間でDoDは敵の『ハイブリッド』脅威を警戒するようになった。WMD(大量破壊兵器)もここに入る」「このためDoDはWMD環境でも作戦実施できる能力整備に努めている」
  10. 北朝鮮問題に限ればガンジンガーはEMPで北朝鮮軍も影響を免れないが米軍装備の方が一層脆弱だという。
  11. 「可能性が高いかと聞かれれば、そうと言わざるを得ない。軍の装備やネットワークは機能しなくなります。同盟国の側も同様です」
  12. ただし、北朝鮮が大都市など人口稠密部分に核兵器を使用しなくてもEMP効果で連合軍を狙えば、米国は核反撃に向かわざるを得なくなる。
  13. 「もし北米の給配電網に超強力EMP攻撃をだれかが使えばどうなるか。大統領が肩をすくめて『打つ手がない』とこぼす状況はあり得ないでしょう」とジョシュア・H・ポラックThe Nonproliferation Review編集長が語っている。
  14. 「ただし、この話は誇張気味だと思いますよ1.4メガトン爆発でホノルルの街路灯で数個が消えただけでしたし、EMP委員会の暗い予測が本当でも抑止力の投入までいくかどうか。核兵器攻撃を受けて甚大な損害を受ければやはり甚大な損害を狙う反撃が妥当でしょう」
  15. どちらにせよ米国が政権転覆を目指し介入してくれば北朝鮮が躊躇などしなくなるのは確実に思える。
  16. 「仮説にすぎないEMPに核兵器をわざわざ投入するとは思えない。狙うなら都市破壊だろう」とジョセフ・シリンシオンJoseph Cirincioneが以下語っている。
  17. 「EMPは突拍子もない構想です。いったん敵が核兵器を投入すれば、一線を越えたことになり核の応酬を招くことは必至です。米軍司令官が『空中炸裂に過ぎないからこちらも同様に対応しよう』と言うはずがありません。圧倒的な威力で核反撃をしてきます。こちらの側の核兵器と指揮統制機能は核戦争でも作動するようになっており、EMP炸裂ごときで機能不能になるはずがありません」■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
Image: Reuters.

2017年11月26日日曜日

F-22アフガニスタン実戦デビューの背景にあるもの


すっかり忘れられた感があるアフガニスタンですが、ここにきて空爆作戦が強化されているようです。その中でF-22が実戦に投入されたとのニュースあり、その背景を見てみましょう。


The F-22 Mission in Afghanistan: Overkill or Realistic Training? F-22のアフガニスタン投入は過剰装備なのか現実的な訓練だったのか

A U.S. Air Force F-22 Raptor banks left causing vapor contrails during an aerial demonstration at the Australian International Airshow and Aerospace and Defense Exposition (AVALON) on March 3, 2017, in Geelong, Australia. (U.S. Air Force photo/John Gordinier)米空軍F-22ラプターが左旋回し機体の後ろに水蒸気が見えた。オーストラリア国際航空ショー・航空宇宙防衛装備展示会(AVALON)にて。 March 3, 2017, in Geelong, Australia. (U.S. Air Force photo/John Gordinier)
POSTED BY: ORIANA PAWLYK NOVEMBER 21, 2017


F-22が初めて実戦投入されたのはシリアで3年前のことだった。
  1. 第五世代戦闘機はステルス性能で地対空ミサイルの攻撃から逃れる想定だ。だがシリアには米軍機攻撃の意図はなかった。そのため航空優勢を確保する目的で生まれた同機は高高度偵察機あるいは統制機として投入されていた。
  2. ラプターはアフガニスタンで先週日曜日に戦闘デビューし、麻薬工場と思われる施設を小口径爆弾で攻撃したと空軍が発表している。
  3. 外部には過剰兵力で装備の無駄使いとの批判もあるが空軍関係者は付随被害を最小限にする目的のため妥当な投入であり、現実的な状況で同兵器の使用効果を見る演習の意味もあったと弁護している。
  4. 「今回あえてF-22を選択したのは同機に小口径爆弾搭載の能力があり付随被害はあくまでも最小限にする必要があったためで、SDBが同機で使える状態になっていたためだ」と空軍中央軍報道官ダミアン・ピカート中佐がMilitary.comのメール照会に返答してきた。
  5. ラプター投入は当初は奇異に聞こえた。タリバン戦闘員に同機の対応が必要な高度装備は持ないためだ。
  6. F-22にはB-52ストラトフォートレスとアフガン空軍のA-29スーパーツカーノが随行しタリバン収入源を壊滅させる作戦になったとジョン・ニコルソン米陸軍大将Gen. John Nicholson(NATO軍の普及の支援作戦司令官兼米在アフガニスタン軍司令官)が説明している。
  7. ラプターについて大将は「精密攻撃弾運用能力があるため」投入されたと説明。
  8. だが搭載兵装だけの問題ではない。パイロットにも良い訓練になったはずとワシントンDCである国防アナリストが語った。「こちらがアフガニスタンでF-22を使うのはロシアが最新鋭装備をシリアに投入するのと同じ理由です。つまり現実に即した訓練です」と説明してくれた。「双方ともまだ実戦投入していない装備があります。実戦投入すればテスト環境と違う形で実際の作動状況が分かりますし、次の実戦投入に役立ちます」
  9. 米軍が戦闘状況に装備を投入する場合は「一番安上がりな装備を選ぶのではなく、次回必要となる装備を投入するはずです」とアナリストは述べた。
  10. としても機材はいろいろ選択できたはずだ。F/A-18E/FF-15Eの各機もGBU-39小口径弾は運用できる。
  11. 「ただし(米中央軍の)言う通りなら、そうした機材は出払っていたのでしょう。指揮官にとって使える機材があるのに過剰性能だからと言って投入しないのはおかしい」
  12. KC-135ストラトタンカーがカタールのアルウデイド航空基地から、KC-10エクステンダーがアラブ首長国連邦のアルダフラ航空基地から飛びラプターを支援した。アフガニスタンで給油機はF-16も支援した。
  13. 「KC-135はカンダハールからも飛ばしF-16が近接航空支援と攻撃任務をアフガニスタンで展開するのを助けた」(ピカート)
  14. さらに11月20日から21日の夜に空軍は「バグラム基地配備のF-16で麻薬施設を攻撃し、これをカンダハールのKC-135が支援した」
  15. F-22編隊はアルダフラを離陸したが指揮官がアフガニスタン国内の作戦にラプターを再び投入するか注目される。なお、各機はフロリダ州のティンダル空軍基地の所属だ
  16. 一方でF-16やMQ-9リーパーがアフガニスタンで投入される回数が増えている。空軍は8月から9月にかけ計900発を投下したが、昨年同時期は270発だったと空軍実績で判る。
  17. 「今年は2012年以来最多の投下をしている」とニコルソン大将は述べている。「その理由としてアフガニスタン政府軍が攻勢に出ていることがあり、こちらも機材を投入することが多くなっているためだ」「今年の攻勢では空軍力による支援を活発に行っている」とも述べた。■

★平壌が核攻撃を受ければこうなる



国民の命など全く考慮していないとしたら金正恩は恐ろしい人物ですが、思考がそうなってるのでしょうね。北朝鮮国民も選択肢なく追随しているのですが本当に選択肢はないのでしょうか。なし崩し的に核兵器を使う(使える)とは思いませんが、最悪の状況に備える必要はあります。一度に数百万単位で人命が失われた場合、周辺からの救難はほぼ不可能でしょう。経済、社会面でも自国だけでの復興は困難になるはずです。シミュレーションの範囲にとどまることを祈るばかりです。ただ今年になって核戦争の脅威が日本にも現実になったのですが事態が鎮静化すれば消えるものでもなくこれから延々と「現実」の世界に直面する必要があります。

 


1.5 Million Dead: This Is What Would Happen If America Nuked North Korea's Capitol 

死亡150万人:北朝鮮首都が核攻撃を受ければこうなる
November 24, 2017

北朝鮮は米情報機関にとって難易度最高の対象で、情報収集や解析に普通より長い時間がかかり危険も伴う。協力者を確保するにも年単位の勧誘(時には脅迫)が必要となり、中央情報局や国家情報局でも北朝鮮については情報源に余裕がない。そこで衛星画像の分析や電子情報収集に重点が移り、国家情報局長ダン・コーツDan Coatsが上院情報員会に「得られる情報は極めて限定されている」と明らかにしている。
ただし一つ確実なことがある。金正恩が核ICBMを米国に向け発射するという常軌を逸したシナリオ実行に踏み切った場合だ。ドナルド・トランプ大統領は「怒りと炎」で米核戦力による報復攻撃に踏み切るのは必至だろう。この可能性があるのかを国防長官ジム・マティス、国家安全保障補佐官H・R・マクマスター、米戦略軍司令官ジョン・ハイテン大将と議論するまでもない。議論するとすれば北朝鮮攻撃の標的をどこに設定するかだ。
平壌が報復攻撃の標的になるのはまちがいない。金正恩は親族や軍高官と米核攻撃の前に防空壕に逃げ込むだろうが、結果に違いはない。米報復攻撃の狙いは北朝鮮の軍事指揮命令系統の破壊であり、経済体制、政治指導体制も破壊し金正恩に二度と核を使わせないことだ。核兵器そのものも破壊すれば理想的だ。
アレックス・ウェラーステインのNukeMapアルゴリズムのウェブサイトを利用して米国が平壌中心部を750キロトン爆弾一発で狙った場合(米国最大の核爆弾B83は1.2メガトン)にどんな人的被害が発生するかを検討してみた。平壌は高人口密度都市で、一発で150万人以上が死亡すると出た。国連統計では同国の総人口25.281百万人だが、平壌市内で750キロトン爆弾が爆発すれば総人口の6パーセント近くが消滅することになる。米国で言えば、一回の攻撃で19.27百万人が一度に死亡するのと同じだ。
負傷者(855,410名)を加えると死傷者合計は2.3百万名になる。
平壌市内の主要建築物で被害の様相を見よう。平壌北西部にある戦勝祖国解放戦争博物館の来場者、職員は50から90パーセントが数時間あるいは数日、数週間で死亡する。凱旋青年公園では建築物が崩落し生命を奪われるもの死亡者が続出する。大同江の対岸の朝鮮労働者施設も同様だ。熱放射線の到達する外縁でも第三度火傷で四肢切断が必要となろう。これが半径11.1キロで起こることである。平壌市内に金正恩が肝いりで作った高層ビルもすべて崩壊し投資が無駄になる。
このような人為的な地獄絵図は誰も見たくないはずだ。人命喪失と道義が崩壊になする。世界場いかなる場所でも核攻撃が発生すれば文明に穴が開き、医療技術が進歩したとはいえ21世紀と言えども生命のもろさは石器時代と変わらない。
北朝鮮は幻想の下で暮らすべきではない。米国都市を核攻撃するなどという無分別さを示せば自国消滅を覚悟すべきである。ドナルド・トランプは迷うことなく報復措置を命じる。今までの大統領とは違うのだ。■
Daniel DePetris is a fellow at Defense Priorities.
Image: Reuters
NukeMapで任意の場所に核爆弾が投下された場合の効果を試せます。


2017年11月25日土曜日

F-35:英国の導入規模縮小か


やはり国防力整備は経済力あってのことですね。それにしてもF-35の導入機数は各国低いままですね。高額な買い物のままで各国が躊躇しているのか、それほどの規模が必要ない=第四世代機も大事にしながらF-35を使えばいいと考えているからでしょうか。それだけにF-35はじめ運用機材の供用年数は伸びていくので、それだけ新型機が搭乗する機会が減ることになり、戦闘機の世界はこれから長い閉塞の期間を迎えるでしょう。

Aerospace Daily & Defense Report

Britain Mulling F-35 Future Commitments

英国がF-35の導入機数を熟考中

F-35: USAF
Nov 22, 2017Tony Osborne | Aerospace Daily & Defense Report

LONDON—英国がF-35導入縮小に向かいそうだ。現在英国は国防計画を見直し中。
  1. 2015年版の戦略国防安全保障検討(SDSR)は138機のF-35導入方針を堅持していた。二年たち、国防トップの表現が微妙に変化している。
  2. 国防参謀次長マーク・ポフリー中将Lt. Gen. Mark Poffleyは国会国防委員会でF-35機数削減案に「共感を覚える」と11月21日発言し、「これが現実の状況」とも述べた。
  3. 中将は英国は「原則138機をめざした」が契約は48機のみと指摘。残る機体の調達の予算のめどがたたないという。
  4. 国会では議論がF-35の高価格に向けられている。国防省は48機運用を想定した総費用を積算し、2025年まで91億ポンド(121億ドル)、2048年までで130億ポンドと報告した。
  5. 91億ポンドにはシステム開発実証事業への英国分担分と48機の機体価格、支援インフラ費用を含む。
  6. 国防省報道官は「138機購入に変更はない」と述べている。
  7. 今年末に英国向け14号機が納入され、2018年は3機が新たに加わる。英国は17機を3か年一括購入で、13機を2か年一括購入でそれぞれロッキード・マーティンの低率初期生産(LRIP)のバッチ15および16から導入する予定だ。
  8. F-35導入機数を巡り不確かになってきたのは英国国防省がSDSRを覚悟しているからだ。評価作業は7月の内閣府発表によれば国家安全保障顧問マーク・セドウィルが進めており、200億ポンドと言われる国防予算不足を埋めるべく追加削減提言が出るのは必至だ。
  9. 欠損の理由に英ポンドの為替変動がある。EU脱退を決めてからのポンド安で米国から購入の装備価格が15から20%上昇している。F-35は戦略核抑止体制更新に次ぐ二番目の高額案件だが、為替をめぐる不安から影響を受けるのは必至だ。
  10. だが関係者は英国がF-35複数型を将来運用する可能性に触れており、ポフリー中将も「(今後の混成運用を)後日検討する」と言っている。
  11. 当面は英空母戦力整備が中心で、12機構成の実戦部飛行隊二個を編成し、機種転換用にも一個飛行隊を整備する。「空母戦力を確立するため二個飛行隊は必要だ」(ポフリー中将)
  12. F-35を搭載する新型空母は女王臨席の上英国海軍に12月7日編入される。■

2017年11月23日木曜日

AIで衛星画像解析を大幅にスピードアップ



AIで消える商売が多いと言われますが、皆さんは大丈夫ですか。翻訳も真っ先になくなるといわれますが、日本語のような2バイトデータの場合はまだ猶予があるようです。衛星画像をAIに解析させたらどうなるか、というのが今回のテーマですね。ISRの世界もどんどん変わっていきますね。


AI CAN HELP HUNT DOWN MISSILE SITES IN CHINA

AIで中国国内のミサイル陣地をあぶりだせ

A surface-to-air missile is seen through a doorway in Zhuhai, China.
QILAI SHEN/BLOOMBERG/GETTY IMAGES

  1. 核施設やその他秘密施設を衛星画像から探し出す技能を有する人材は情報機関でも限られる。だがディープラーニングが得意な人工知能でグーグルやフェイスブックでは人間の顔が簡単にフィルターできるようになっている。そこで米研究者がディープラーニングのアルゴリズムに中国の地対空ミサイル陣地の識別方法を教え込んだところ人の処理の数百倍の速さでできたという。
  2. アルゴリズムで90千平方キロの中国南東部で地対空ミサイル陣地を探索させた。AIで莫大なデータをフィルターし学習させたところ90パーセントの確率で専門家作業と同じ結果が得られた。さらにすごいの作業時間60時間がディープラーニングソフトウェアにより42分に短縮されたことだ。
  3. 「アルゴリズムがミサイル陣地だと確実に言える場所を探し出した後で人間が確認しましたがアルゴリズムで大幅に時間が節約できました」とカート・ディヴィス(ミズーリ大、地理空間情報センター所長)が語る。「これが初めてではないでしょうか。今回どれだけの時間が節約でき、今後の人的活動にどんな影響がでるでしょうか」
  4. ミズーリ大による研究成果は10月6日に Journal of Applied Remote Sensingに掲載されたが、ときあたかもビッグデータの洪水に対して衛星画像解析専門家の不足が目立っている。この分野で中心の民間企業DigitalGlobeは一日で70テラバイトの生の衛星画像を処理しているが、民間衛星や政府のスパイ衛星のデータ量はもっと多い。
  5. デイヴィスは仲間とともにディープラーニングモデルを見せてくれた。衛星画像処理用に大幅に強化改修してあり、情報機関や安全保障専門家の関心を呼びそうな施設を識別できるようになっている。ディープラーニングモデルにはGoogleNetやResNet’Microsoft Researc)がありもともとは写真ビデオ映像の処理用に作成されたものがあるが、ディヴィスのチームはこれらで衛星画像の処理にあたらせ、途中でディープラーニングにカラー、白黒双方の画像の解析を教え込み、SAM陣地画像が白黒しかない場合に備えた。
  6. チームは北朝鮮全土より狭い範囲の中国領土の写真を使った。
  7. 実際に北朝鮮の兵器開発の動向は衛星画像を日々解析して把握されている。解析専門家でほぼ全数のSAM陣地を比較的小さな同国で探している。だがディープラーニングツールでも自動的に新規SAM陣地が現れればフラッグを立ててくれる。新規SAM陣地を見つけ出すことで別の関心を呼ぶ施設を発見することもあるのは貴重な装備を守るためSAM陣地を敷設することがあるからだ。
  8. 最新研究ではディープラーニングAIを衛星画像解析に応用する課題にも触れている。そのひとつに訓練データベースに必要な例が足りず、衛星画像の正確な識別が困難なことがある。ミズーリ大チームは一般公開情報で世界各地の2千点近いSAM陣地画像にDigitalGlobeの衛星画像を組み合わせて訓練用データを作成してからディープラーニングモデル四点を試し最良の作動モデルを選び出した。
  9. 研究チームはAIの訓練用にあきらかに中国SAM陣地とわかるもの90点を選び出した。これだけの訓練ではディープラーニングを正確に行えないことが多い。ディヴィスのチームはこの90例をわずかに角度を変えることで893千例に変えた。
  10. ディープラーニング成果が今回出たのはSAM陣地が衛星から見た場合に特徴のあるパターンを示し比較的大きいためもある。ただしディヴィスはこれより小さな移動式レーダー装備や軍用車両で同等の効果は期待できないと注意する。今使える衛星画像のピクセル数が小さく識別の効果が出ないためだ。
  11. 不完全なAIでも情報収集に大いに役立つ。例として国際原子力エネルギー機関はすべての核施設を申告通りに監視しながら未発見施設を200か国で探す面倒な仕事を抱えている。ディープラーニングツールでIAEA他機関は衛星画像で原子力発電所はじめ大量破壊兵器の開発状況を監視できるはずとミドルベリー国際研究所(カリフォーニア州モントレー)の東アジア非拡散研究の主任研究謹メリッサ・ハンナムが指摘している。
  12. 「この世界では大量のデータがあり完璧なデータ少しよりたくさんのデータを生かす方が優れていると言えます」■

2017年11月22日水曜日

☆米海軍の中国対抗策は通常型潜水艦の日本前方配備と日米共同運用だ



中国にとって日本ほど目障りな国はないでしょう。経済力、軍事力以外にその地理条件が中国の進出をどれだけ阻害しているか計り知れませんし、国民が知らないところで抑止力になっている16隻の潜水艦があるわけです。したがって中国が事あるごとに日本の弱体化を狙うのは当然でしょう。日米共同潜水艦運用構想は注目されれば、日本の「平和勢力」をけしかけて邪魔を中国がしてくるのは当然かもしれません。まして台湾も加えれば大変なことになりますが、反対が強いのはそれだけ中国に不都合なことの裏返しなので実現に向けて努力してもらいたいところです。こうしてみると中国の打つ手を日本に有利にするオセロ方式が有効なことが分かりますね。補給拠点の考え方は空軍でも見られますね。たくさんの空港と港湾が日本にはありますので、うまく活用できるはずです。ここでも「平和勢力」が邪魔してくると思いますが。

 


How the U.S. Navy Could Beat China in a War

米海軍はこうすれば中国に勝てる
November 21, 2017

  1. 原子力潜水艦のみの米海軍潜水艦戦力にディーゼル艦を追加せよと提言するのはどんな人たちなのか。
  2. そんな提案が出てきたのは今年3月の下院シーパワー兵力投射小委員会の公聴会で、「将来の戦力構造」研究で三団体から異なる意見が表明された際だった。戦略予算評価センター、MITREコーポレーション、そして海軍幕僚部が艦船数、種別構成、無人有人装備組み合わせまで広範な研究成果をそれぞれ発表した。
  3. 海軍幹部には各研究成果を比較検証した結果を海軍の公式見解とし戦力構造構想として議会に提出し艦船、航空機、武装の予算配分を決める根拠となる。ただし一つ共通意見がすでに生まれている。米海軍にはすべてがもっと必要なのだ。海軍の試算は将来の難易度の高いミッションをこなすには355隻が必要だとしおよそ3割の戦力増になる。
  4. 戦力拡張では低コストでも高効果の艦を大量調達する必要がある。ディーゼル電気推進潜水艦がその好例だ。海上自衛隊(JMSDF)のそうりゅう級は世界最高峰の通常型潜水艦と言われ日本の納税者は540百万ドルを各艦に負担している。これを議論の基準に使いたい。ヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦は2,688百万ドルで5倍の開きがある。
  5. ただしUSNI Newsのミガン・エクスタインによれば海軍作戦部付けの評価部門次長チャールズ・ウィチャード Charles Werchado が原子力・通常型混成で潜水艦部隊整備を提言したMITREを「強く非難」したとある。本人発言を引用する。
  6. 「こちらが中国のような国家ならディーゼル艦の大量調達を選択すればよい。敵と本国水域で戦えばいいからだ。だがこちらは艦を展開する必要があり、展開には燃料がつきものだ。ヴァージニア級は就役期間通じ燃料補給が不要だ。ディーゼル潜水艦に反対ではないが、母港から200マイル以内を戦闘水域にできなければ給油艦多数が必要となる。給油中は艦が脆弱だ。スノーケルを付けるのだろうか、これも脆弱性を増やす。グローバルな海軍力を展開するこちらには選択肢になりえない」
  7. と、地理条件、補給面、戦力からディーゼル艦に反対する。ではその反対意見を検分してみよう。まず地理だが反対意見は米ディーゼル艦の母港は米本土に想定しているようで、東アジアから遠い地点から活動するとしている。戦場になりそうな東シナ海、黄海から遠い地点にディーゼル艦を配備しても無意味だ。航続距離の制約は事実でこれは変えようがない。だがこの事を誇張すべきではない。賢い配備で距離は克服できる。
  8. 欠点を戦略的、政治的長所に変換すればよい。ディーゼル艦を多数調達し、戦闘地点に近い極東に恒久配備し、米日共同潜水艦司令部の下に置く。前方配備で解決できる問題は多い。例としてそうりゅう級潜水艦の航続距離は6,100カイリで北東アジアの哨戒に十分だ。米日両国が共通仕様艦を採用すればさらに優秀な性能が実現するはずだ。
  9. これは思い付きではない。ディーゼル艦の効果は北東アジアで実証ずみだ。米潜水艦は第二次大戦で日本を手ひどく痛めた。JMSDF潜水艦部隊は第一列島線で東西南北の海上通行を抑えている。冷戦中の日本の功績は海中戦力の整備でソ連潜水艦が日本海やオホーツク海から太平洋へ移動するのを探知していたためソ連潜水艦は近海から出られなかった。
  10. 連合側の海洋戦略で列島線防衛が再び重要になる中で理想的な展開ではないか。尖閣諸島を占拠しようとする中国のその他の野望も抑止できるのではないか。中国は西太平洋で簡単に活動できなくなる。潜水艦戦力を増強し、重要な海峡部分に待機させれば中国指導部が軍事冒険を望んでも動きを止めざるを得なくなる。接近阻止領域拒否戦術でディーゼル潜水艦の調達が中国に得策なら米日両国にも中国の動きを封じるべくディーゼル艦調達が効果的なはずだ。
  11. ここでから戦略面で対応が二つ生まれる。まず同盟関係の視点で潜水艦配備を考えてみよう。中国は同盟をバラバラにして個別対応しやすくしたうえで、米国を西太平洋から遠ざけようとする。したがって日本は米国の離脱を恐れる。米潜水艦部隊を恒久的に前方配備させ、かつ日米共同運用する以上に効果的な策が日本にあるだろうか。米国にとってもアジアから離れない姿勢を示すことになる。
  12. また日米両国が台湾に共通仕様ディーゼル艦を建造させたらどうなるか。台湾にジョージ・W・ブッシュ政権はディーゼル潜水艦8隻建造案を16年前に提示した。だが米国内の造船所にディーゼル艦の知見がなく、かつ諸外国でも建造するところがなく、北京の激しい反発もあり構想は消えた。
  13. 今こそ構想を実現すべき時だ。新型潜水艦があれば台湾は防衛力増強となり1980年代のオランダ製旧式艦(驚くべきことに第二次大戦中の設計の延長である)二隻を米日共通仕様のディーゼル艦部隊に変更し共同作戦が可能となるので日米両国は政治面で勇気を絞り台湾と組むべきである。そうなればディーゼル艦で新しい戦略外交面の可能性が開ける。
  14. 次の問題は補給だ。米海軍の戦闘補給部隊の拡充が必要なことは議論の余地はない。だが通常型潜水艦が理由ではない。前方配備の米潜水艦は日本の補給活動をモデルにするはずで哨戒から帰還後に母港で補給する。これで両国は陸上補給施設に注力できる。有事となれば中国軍は横須賀や佐世保といった日本の拠点を攻撃目標に含めるはずだ。ミサイル攻撃を受ければ施設機能が失われ、部隊は深刻な影響を受ける。
  15. これに対し日米連合側は太平洋戦争から学べる。米海軍は西太平洋への進撃で補給、修理拠点を分散し、時には臨時施設で行った。日本に数多くある島しょ部や内陸湾を活用し即席の補給拠点にする策を考えるべきだ。連合側には臨機応変さが必要だ。通常動力の水上艦艇でも燃料補給は必要だ。原子力艦艇も燃料以外のすべての補給品が必要だ。補給面の課題はディーゼル潜水艦だけの問題ではない。
  16. 三番目にディーゼル潜水艦の脆弱性がある。ディーゼル艦は定期的に浮上するかスノーケルで空気を取り入れる必要があり、スノーケル使用でレーダー探知される。そうりゅう級では「大気非依存型推進」を採用し、最長二週間潜航したままでいられる。JMSDFはこの性能を有効活用しながら戦術を鍛錬し北東アジア海域の哨戒活動で相当の時間を海底に潜んでいる。
  17. ここに米海軍所属潜水艦が加われば哨戒活動が容易になる。使える潜水艦が増えれば一回の哨戒期間を短くできる。アジアのホットスポット地点近くに部隊を配備すれば解決可能な問題は多い。また補給拠点を各地に展開できる利点もある。これで対抗勢力は脅威を感じ、同盟・協力国側は楽になる。多様な面で有望な構想だ。
  18. MITRE提案に耳を傾けるべきだ。否定してもはじまらない。グローバル海軍力の艦艇すべてをグローバル運用する必要はない。ディーゼル潜水艦は将来の米海軍の選択肢だ。実行するか決めるのは議会と海軍当局だ。■
James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific (second edition forthcoming 2018). The views voiced here are his alone.
Image: Reuters.