2018年9月21日金曜日

米空軍はF-15XにもF-22生産再開にも関心なし



貿易赤字問題にひっかけて日本政府が無理な妥協をしていいのかという問題ですね。念願のF-22が手に入ると喜ぶ方がいるようですが、車でいえば90年代の「名車」を今更新車と銘打って入手するようなものでしょう。米空軍が商売上手なロッキードの言い分を聞き流しているのは当然でしょう。さて、日本はどうしますか。



Why the Air Force Won't Buy the F-15X or 'New' F-22 Raptor 米空軍がF-15Xも「新規生産」F-22ラプターを求めない理由

Old designs and Russia and China catching up have a lot to do with it.  旧式設計でありロシア、中国が急速に追いつこうとしている背景にある

空軍はボーイングF-15X最新型の導入、ロッキード・マーティンF-22あるいはF-35のエイビオニクスを導入した改良型同機の追加購入のいずれにも関心を示していない。優先順位がおかれているのはF-35を可能な限り多数調達し第5世代戦闘機の比率を増やすこと、同時に次世代技術を導入した航空優勢を確立できる次世代機の実現だ。
「現状では第四世代機が8割、第5世代機が2割だ」と空軍長官ヘザー・ウィルソンが9月5日のDefense News取材で答えている。「今後想定される戦闘では第5世代機を増やすことで大きな効果が出るので5-5の比率にしたいところであり、第四世代機の導入予定はない。つまり第5世代機を増やすということだ」
.F-22の近代化改修または生産再開のいずれも検討対象ではないとウィルソンは述べている。
これは当然だ。米空軍は第四世代機の生産再開に強硬に反対してきた。F-15やF-16では今後は有効活用はできないためだ。確かに非ステルス機でもスタンドオフ兵器の利用が可能だが、ロシアS-400や中国HQ-9といった最新装備で守られた空域では生き残れないと見る。
改修型F-22ラプターの生産再開について議会の求めに応じて空軍がまとめた報告書では生産ライン再開が高価かつ時間ガかかりすぎることを指摘している。「生産ライン再開とともに生産補給業者のネットワークを再開、再設定し原材料を確保して熟練度高い労働力を確保するリードタイムが課題で、サブシステムの再設計や管理コストも相当のものになる」と空軍は報告書でまとめていた。
「生産再開の場合の初回必要経費は70億から120億ドル(2016年ドル価格)で、194機調達の場合の調達単価は206から216百万ドルで2025年度から2034年度にかけ納入と想定した。194機調達の場合、総調達費用は400から420億ドルと試算した。総調達費用と生産再開に必要なコスト98.69億ドルを合わせると総額は503億ドルとなる」

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U.S. Sailors prepare for flight operations on the aircraft carrier USS George Washington (CVN 73) in the East China Sea July 28, 2014.

Leaked Chinese Military Document Suggests America Is a Declining Power 漏洩中国軍事文書が米国を没落国と見ていることが判明

さらに空軍はラプター生産再開となった時点で米国の航空優勢がロシアや中国に脅かされる事態を想定する。「F-22生産再開の大日程では新造機材の納入は2020年代末と見て」いると空軍報告書は述べている。「F-22は現行脅威に対して依然として優位な存在だが新規生産機材が納入される2030年以降ではF-22に強力な相手が立ちはだかっているはずだ」
またF-22生産ライン再開の場合、ラプター後継機をめざす次世代侵攻制空(PCA)事業との競合も発生する。「F-22生産再開の場合は空軍参謀総長自らが承認した航空優勢2030構想(AS 2030) 、各方面能力強力チームEnterprise Capability Collaboration Team (ECCT) のフライトプランの実現に必要な資源を食い合うことになる。同プランでは急展開中の接近阻止領域拒否(A2/AD)下の脅威環境を前提に侵入生存可能な性能が必須としている」
米空軍は予算5億ドルで航空優勢システムファミリー構想としてF-22及びボーイングF-15C後継機を次世代制空Next-Generation Air Dominance (NGAD)の名称で検討開始している。侵攻制空戦闘機 Penetrating Counter Air (PCA ) は将来実現する「各種性能のファミリー」の「航空分野プラットフォーム部分」で航空優勢を担当する想定だ。だが各種性能のファミリーとはPCAだけを指すのではなく、基地や補給活動、通信、情報収集監視偵察(ISR)、指揮統制まで含み装備も新型、既存を共に想定する。空軍にとって制空任務とは運動行為にとどまらず非運動行為の電子戦やサイバー戦まで広い分野を想定する。
ロシア、中国はじめ潜在敵各国がますます装備能力を向上させる中、現在の米軍の力が試される機会が増えている。このため空軍は新型制空戦闘機を開発し米軍の優越性を守る必要に迫られている。「敵勢力は機材、兵器の性能を向上させておりますが、こちらも同様に向上させており、将来の空対空作戦は根本的に変わるのではないでしょうか」と航空戦闘軍団の航空優勢中核機能チームを率いるトム・コグリトー大佐がNational Interest 取材に以前答えていた。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter:  @davemajumdar.

2018年9月20日木曜日

GPS次世代衛星の整備に向かう米空軍

我々の生活でGPSは必須で、これを無料で使えることで民生分野がどれだけ恩恵をうけているのかわかりません。少しでも利用料を取れば米空軍も助かるのではないかと思いますが、無料ということは有事の際にいきなり民生用途が制限されてもおかしくないわけで日頃から正しい理解が必要ですね。次世代GPSで精度ともに強靭性が強調されているのは衛星が決して安全な存在でないことを意味しているのでしょうね


Air Force awards next GPS satellite contract米空軍が次世代GPS衛星契約を交付

By: Valerie Insinna

初のGPS III 衛星がバックレイ空軍基地からケイプカナベラルへ搬送された。打ち上げ予定の12月より相当前倒しになった。 (Lockheed Martin)

 
ッキード・マーティンが次世代GPS衛星群の最新バッチの契約を72億ドルで獲得した。
交付決定は当然と見る向きが殆どでロッキード・マーティンが現行GPS III事業でまず最初の衛星10基の製造を担当しているからだ。また直近の契約関係では単独入札で追加衛星22基を製造することになっていた。
「世界はGPS抜きでは回らなくなっており、行き先案内からATMでの現金引き出し、さらに株式取引までが依存している」と空軍長官ヘザー・ウィルソンが声明を発表している。「今回の各衛星でこれまでを上回る精度と対妨害機能が実現し、一層の強靭性が実現する」
ロッキード・マーティン、ボーイングノースロップ・グラマンの三社がフェイズ1契約を2016年に獲得し、事前可能性調査を実施したがボーイング、ノースロップ・グラマンはともに競合を辞退していた。
ボーイングは2018年4月に入札に参加しなかったと明らかにし、仕様が「現行GPSの要求水準より成熟化した生産を強調しながら価格削減、ペイロード性能や柔軟性は重視していなかった」と述べている。
同月にはノースロップ・グラマンも競合に加わらない決定をし、同社社長兼CEOのキャシー・ワーデンは競合参加に「魅力がない」とした。
今回の交付には空軍が想定した競争状態がなかったが、空軍は同事業の調達戦略を自画自賛している。検討過程を省き、調達先選定を加速化できたのは単独入札だったためだが空軍は日程上で5ヶ月を節約できたと述べている。
空軍は同時に固定価格契約を進展の表れとし、ロッキード・マーティンがコスト超過分は全額負担することになる。
「今回の調達でSMC変革の基本原則多数を実証出来たと思う」とジョン・トンプソン中将(宇宙ミサイルシステムズセンター長)が述べている。「製造を安定し固定価格で行うことで費用の大幅節約が生まれ、予定通りの納品さらに将来の戦闘能力の引き上げの機会が生まれる」

ロッキード・マーティンは8月にGPS III衛星一号をバックレイ空軍基地(コロラド州)からケイプカナベラルへ出荷しているが、12月の打ち上げ予定より相当前に実施できた。最新バッチの衛星GPS IIIFは2026年打ち上げまでに完成する。■

2018年9月19日水曜日

J-20がF-22/F-35に勝てない理由とは


J-20が本当にすごい性能があるのかもわかりません。中華ステルスが機体だけの可能性もあり、米側の目指すネットワーク機能がない可能性もないわけではありませんが、遅れを取っていることは確かでしょう。問題はスパイ活動も含め中国が遅かれ早かれ同程度の技術を入手することで、だからこそ米側は技術漏洩がないように(F-35図面が大量に流出しています)守りを固めながら「第六世代」機開発を急いでいるのでしょう。

Why China's Stealth Fighter Can't Touch an F-22 or F-35 in Battle. We explain.

中国ステルス機がF-22、F-35に手も足も出ない理由をご説明しよう


September 13, 2018
空軍は「一方的な」優位性を西太平洋で維持しており、これは中国人民解放軍空軍が成都J-20ステルス戦闘機を実戦配備しても変わらない。というのが空軍トップ制服組の言い分で、新型中国軍用機の登場で地政学的な影響を問われてこう答えたのだ。
「第5世代戦闘機技術を使う際に重要なのは機体ではなくシステムのファミリー構成だ」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将がペンタゴン報道陣に8月10日話していた。「ネットワークが一方的な優越性を与えてくれるのであり、よくF-35対J-20の戦闘結果の想定を聞かれるが意味のない質問なのだ」
確かにゴールドフェインが言うように米空軍は今後もシステムのファミリーに中心を置き、ネットワーク化とデータ共有こそ鍵を握るとし、個別機材の性能はその次とする。ロッキード・マーティンF-35とJ-20をそのまま比較するとゴールドフェインの見解では自身がロッキード・マーティンF-117ナイトホークを飛ばしていた時代に戻るかの感覚にアンルという。当時は敵空域に侵入する際も外部と完全に切り離されていたという。「今はシステムのファミリー構成が中心で個別機材には重きを置いていません」(ゴールドフェイン)
ゴールドフェインがナイトホークを比較対象にしたのはJ-20の装備が1980年代製のF-117のように単純だというつもりではない。J-20の情報は乏しいが、同機にフェイズドアレイレーダーや電子戦装備が相当なまで搭載されている兆候はり、電子光学式赤外線センサーはコンセプト上はF-35が搭載する装備と似ている。ただし、中国機には「センサー融合」機能やネットワークがかけており、F-22ないしF-35とは異なると見る空軍関係者がある。

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中国側に決定的に欠けている分野として航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将が記者に語ってくれたのが「スパイク・マネジメント」で、F-22やF-35のコックピットでは現在自機が敵レーダーに探知されている様子を各種方面から表示している。パイロットはその情報で敵から逃れるため探知されている地帯を回避しながら交戦することができる。この技術をマスターするのに米国でも数十年かかっている。また試行錯誤も数多くあったのも事実だ。
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2018年9月18日火曜日

中国潜水艦部隊の「優位性」を無にする作戦は可能?

 

中国が米国主導の国際秩序に公然と挑戦する姿勢を隠そうともしないため、各国の包囲網さらに米国による貿易戦争を招いています。中国経済が弱点を露呈するのは時間の問題とはいえ、錬金術のような予算拡大で建造した潜水艦部隊が忽然と消えるわけではなく、潜水艦部隊は悪夢になります。ではどうしたらよいでしょう。対潜能力は日本の能力が卓越しているため、中国は日本の対潜アセットの排除に必死になるはずですね。P-1やP-3Cを守るのが航空自衛隊の役目、島しょ部の艦船通過を阻むのが陸上自衛隊の任務で、海自潜水艦は阻止任務、水上艦はASWに専念できるようにすべきでは。

US submarines are better than China's 'by far,' but in a war that may not matter 米潜水艦は中国艦より「相当」優位だが有事には解決にならない

Sep. 11, 2018, 5:56 PM

A Chinese submarine attends an offshore blockade exercise2005年のロシア共同演習に参加した中国潜水艦 Zha Chunming/Xinhua/Associated Press

  • 中国が20年にわたり潜水艦開発に多大な予算を投じてきたが米潜水艦の優越性は変わらない
  • だが中国が数の面や場所、場面で米国の優越性を脅かす可能性はある
  • 中国は「グレイゾーン状況」で優位で開戦一歩手前まで緊張を高めるだろう



国ほか太平洋周辺国が危惧しつつ見守るのは中国の潜水艦部隊の増強でこの二十年間にわたり新型かつ柔軟運用可能な潜水艦の全隻数は米国を上回るまでになった。
米潜水艦は中国艦より高性能とはいえ、有事の際は隻数と地理条件で中国に有利で米国や同盟国の優位性を脅かす可能性がある。
海軍近代化は中国がめざす「海洋権益重視」のあらわれと国防総省は年次報告「中国の軍事力」で開設している。
人民解放軍海軍への作戦要求は高まっており、潜水艦に高優先順位がつき、米海軍の海洋支配への対抗が期待されている。
現在の勢力は56隻でうちミサイル原潜4隻、攻撃型原潜5隻、ディーゼル動力攻撃型潜水艦47隻だが2020年には69隻から78隻になるとペンタゴンは見ている。
中国はこの15年間で原子力潜水艦10隻を建造し、うち普級ミサイル潜水艦は「中国初の信頼性を備えた海洋配備核抑止力」とペンタゴン報告書は述べている。
だが原潜は可能性が一番高い有事シナリオでは使い勝手が悪いと指摘するのがブライアン・クラーク(予算戦略評価センター主任研究員)だ。
「騒音が比較的高く、追尾は容易で、対地巡航ミサイルを除けば大した戦力でなく隻数も多くありません。もっと遠隔地の標的のグアムやハワイの攻撃手段でしょう」(クラーク
China navy naval bases Asia Pacific中国海軍の構成と配備基地をペンタゴンがまとめた US Defense Department

クラークは通常型潜水艦のほうが「重要な潜水艦戦力」とし、とくに対艦ミサイル発射可能な艦や大気非依存型推進方式(AIP)搭載艦に注意を促している。後者はディーゼル電気推進方式の欠点を克服している。
1990年代中頃以降の中国は宋級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦13隻を建造し、さらにロシア製キロ級12隻を調達し、うち8隻が対艦巡航ミサイル発射可能だ。
キロ級は通常型ディーゼル潜水艦で定期的に浮上する必要がある。
「それでも優秀かつ頑丈で信頼性高い潜水艦で長距離対艦ミサイルを搭載しています」とクラークは評する。短距離運用でキロ級は「スノーケルを使わず接近し長距離戦を行うとの懸念が米側にあります」
さらに元級ディーゼル電気方式大気非依存型攻撃潜水艦を17隻建造し、2020年までに20隻になるとペンタゴンは見ている。
Navy Ray Mabus China Chinese Yuan submarineレイ・メイバス海軍長官(当時)が元級潜水艦Hai Jun Changに宁波で乗艦した。2012年11月29日。REUTERS/US Navy/Chief Mass Comm. Specialist Sam Shavers
「元級AIP潜水艦はとても優秀」とクラーク(元米海軍潜水艦士官)は述べる。「通常任務は二三週間でAIPを使えばスノーケル浮上は不要です。日米両国の心配のたねとなるでしょう」
元級各艦は魚雷と対艦ミサイルで水上艦部隊に脅威となる。
クラークは「元級が一番の懸念になるのは米艦船の攻撃能力がありながら追尾探知が難しく攻撃機会は皆無に近いからです」
だが中国のディーゼル電気推進潜水艦に不利な点もある。
china navy yuan class submarine元級攻撃型潜水艦 .Congressional Research Service

静かとはいえ米原子力潜水艦が最大限に静粛運行した際の静粛度に及ばない。また米潜水艦並の航海日数はなく、定期浮上の必要もある。中国の潜水艦乗員に米海軍乗員が有する経験の深さはない。
「そうなると中国潜水艦は米国水準に達していないことになります」(クラーク)
中国潜水艦はインド洋まで遠征し対海賊運用を東アフリカでおこなったが第一列島線周辺での運用が大半である。フィリピン海に展開すれば米艦船攻撃も可能とクラークは見る。
第一列島線の大部分は中国の陸上運用機材・ミサイルの行動半径内で中国の目指す接近阻止領域拒否戦略の一環となる。その同じ地域で米国および同盟国の優位性が脅かされている。
China Asia Pacific first island china第一、第二列島線の大まかな位置。 US Defense Department

「中国は数の上で優位で、作戦投入可能な潜水艦を多数保有していますが、同時に作戦海域も狭くてすむので有利なのです」(クラーク
対潜能力で米国や関係国に制約がある。
米潜水艦には対地攻撃や監視偵察など各種任務があり、対中国潜水艦攻撃に特化できず対潜作戦は水上、航空部隊に任されるが中国空軍機やミサイルの標的になる。
「ASW装備は中国の接近阻止戦術の前に脆弱度が最高に大きく、中国沿岸に近い海域で展開になるためこれは当然でしょう。そうなると動きが取れず進出前の中国潜水艦との交戦もままなりません」(クラーク)
数とともに地理条件で中国は「グレイゾーン」対決で有利となる。これは開戦一歩手前の状況で米海軍もこの状況に備える必要を認めている。
「中国とのグレイゾーン対決ならどうなるか。中国は第一列島線を通過して潜水艦多数を出動させ大洋に展開しようとすれば封じ込めは失敗」となり米側には大きな課題だとクラークは指摘。
「グレイゾーン事態でも武器は発射できず、かといって全隻の追尾は不可能なので所在不明の元級がフィリピン海に遊弋していれば事態がエスカレートしかねません。元級から巡航ミサイルが発射される心配につきまとわれるでしょう」「中国はホームチームでテンポと進展を自分でコントロールできるというわけです」(クラーク)
だが米国および関係国はこの状況にすでに直面している。
china coast guard scarborough中国沿岸警備隊がフィリピン漁民とスカボロ礁で対立した。2015年9月23日。AP Photo/Renato Etac

中国は沿岸警備隊を展開し南シナ海での海洋権益を執行して(国際法廷でこの主張は却下されているが)、人工島を構築し軍事拠点として固持する構えを示している。 
こうした沿岸警備艦船が米海軍艦船と遭遇すると中国は米国を侵略者と非難している。
中国沿岸沖合や人工島周辺の海域では「自国領海であり人口島のミサイルやレーダーで守られる安心感からやりたい放題だ」とクラークは指摘。「中国側は緊張を自由自在に高めたり下げられる」
武力衝突の可能性が高まる状況で中国潜水艦が優位となるが戦闘が長引けば欠点があらわになる。
「AIPでも連続使用時間は限られる酸素や推進力を失う、スノーケル浮上する必要が出てくる。

「そこで時間要素が関係する。もし米国と日本が中国潜水艦をしのげば元級はそのうちスノーケル浮上あるいは帰港を迫られる事態になり、それだけ脆弱になるのです」(クラーク)■

2018年9月17日月曜日

歴史に残る機体17 ノースアメリカンF-100スーパーセイバー

歴史に残る機体17 F-100スーパーセイバー

こうやって見ると航空機の歴史はいろいろわからない事象に果敢に挑戦した先人の苦労でいっぱいだとわかります。またA型で成功した機材は以外に少なく、以後BCD...と続いて改良され傑作機といわれるようになったのがわかります。F-100は傑作機とは言えないでしょうが歴史に残る機体でしょうね。台湾の話が出てきますが、実は日本でも一時採用候補になっていたのでは。しかし最後はCAS任務についたというのは悲しいですね。


The F-100 Super Sabre Was the Air Force’s First Supersonic Jet F-100スーパーセイバーは米空軍初の超音速ジェット機And workhorse of the Vietnam War. そしてヴィエトナム戦で大活躍した




1947年10月14日、オレンジ色塗装のベルX-1をチャック・イエーガーが操縦し水平飛行で初の音速飛行を達成した。X-1はロケット推進で実験機だったが、ジェットエンジン技術が進展し超音速戦闘機の実現が見えてきた。

ノースアメリカン社は独自に朝鮮戦争時の最殊勲戦闘機F-86セイバーを超音速機に変えようとしていた。セイバーの主翼後退角は35度で高速飛行に適し機首に大型空気取り入れ口があった。F-100「スーパー」セイバーでは主翼が45度になり、機首空気取り入れ口は整形され楕円形になった。1950年代の最新戦闘機「センチュリーシリーズ」一号機としてF-100には「ハン」のニックネームがついた。100(ハンドレッド)の短縮形だ。

搭載するJ-57-P-7ターボジェットにアフターバーナーがつき、燃料を直接テールパイプに放出した。燃料が大量消費されるがF-100は高高度で時速850マイルの超音速を実現し、F-100でスピード記録が数点生まれた。

空軍は同機を採用しF-100Aが1954年10月に就役した。ただし事故が多発し、空中分解でエースパイロットのジョージ・ウェルチが死亡するなど災難が続き全機飛行停止措置が必要となった。不安定な飛行や制御不能なヨーは小さすぎる尾翼が原因と判明した。

これは解決したがハンには別の問題もあった。高速飛行可能で20ミリ機関砲M-39を四門搭載したものの同機の設計思想は一時代前のままで、空対空ミサイル、長距離レーダーは未搭載で航続距離の短さは落下タンクで補っていた。事故多発のF-100Aは1958年までに順次撤去された。
RF-100Aは高速偵察機としてカメラ四台を機関砲の代わりに搭載し、原型機より成功したと言える。ドイツ、日本へ配備された同型機は東ヨーロッパやおそらく中国北朝鮮の上空50千フィートからスパイ飛行を行った。当時撮影された画像では迎撃機が遥か下方で懸命に追いつこうとしている様子が残っている。高高度偵察飛行は1956年に登場したU-2が交代した。

その後登場したF-100C戦闘爆撃機(476機製造)では主翼を大型化かつ強化し、エンジンも強力なJ-57-P21に換え最高速度は924マイルになりパイロン6箇所に6千ポンドを搭載した。さらに燃料搭載量が二倍になり主翼上に空中給油用プローブがついた。これによりF-100Cは単発機として当時最長距離のロサンジェルス・ロンドン間を1957年5月13日に14時間で飛行している。サンダーバード飛行展示隊がF-100Cを1956年採用し、来場者をソニックブームで驚かしたがその後FAAがこれを禁じてしまった。

F-100Dは1,274機製造され主翼尾翼が大型化されレーダー警報装置もつき、ハードポイントが追加され、AIM-9B熱追尾空対空ミサイルを運用できるようになった。C型D型ともにナパーム弾、ズーニ2.75インチロケット弾、クラスター爆弾、AGM-45ブルパップ初期型、AGM-83空対地誘導ミサイルが搭載可能だった。

NATO配備のF-100飛行隊では戦術核爆弾四種類の運用に備えた。だが高速低空飛行する戦闘爆撃機が自機が投下した核爆弾の爆風から逃げられたのか。通常兵器でも同じ危険があったが。

ハンパイロットは「肩越し」のトス投下で超音速機をバレルロールで上昇させた。ハンのMA-2低空爆撃装置が自動的に爆弾を投下させる間ほぼ垂直に飛行し、核爆弾は弧を描き目標に接近するが機体は上空をロールしつつアフターバーナー全開で反対方向に退避するのだった。

空軍はF-100 ZEL(ゼロ長離陸)もテストし、巨大ロケットブースターを機体下部に取り付け軌道上を一気に離陸する構想だった。この奇妙な発進方式の背景にはNATO航空基地がソ連核攻撃で抹消される危惧があったことがある。テストは成功したがZELが実戦配備されることはなかった。

ヴィエトナム戦争での大活躍---MiG撃墜一号記録を作ったのか

1961年4月、F-100D部隊がフィリピンからタイヘ移動し東南アジアでの米軍ジェット機の初の展開となった。戦闘投入は1964年が初めてで北ヴィエトナム対空陣地制圧にむかった。その後1965年3月2日にF-105戦闘爆撃機の援護としてローリング・サンダー爆撃作戦に加わった。ドナルド・キルガス大尉操縦のF-100はタインホア鉄橋攻撃に加わっていたがヴィエトナムのMiG-17四機編隊が雲中から突如現れた。これがヴィエトナム戦初のジェット空戦となった。MiG-17は米戦闘機より低速かつミサイル未搭載だが強力な機関砲三門でF-105一機を撃墜し2機目に甚大な損害を与えた。

キルガスは落下タンクを捨て急旋回しながらMiGの後尾につこうとした。ソ連製戦闘機は垂直降下しキルガスを誘おうとした。F-100は大型機のため機体引き起こしができなくなる。高度わずか7千フィートでキルガスは機関砲四門を浴びせた。以下本人による記録である。

「MiGの垂直尾翼上に閃光を目にしたと思うとすぐにMiGの姿が消えた。速度は580ノットだったと思う。トンキン湾の飛沫を浴びた、と大袈裟に言うつもりはないがぎりぎりのところで機体を引き起こした」

その日、MiGは三機喪失したが、二機はヴィエトナム側対空火砲の誤射のためだった。三番機の運命が不明だがキルガスが同機を仕留めたと主張しているのは正しいのかもしれない。ただし空軍は「可能性あり」としか認めていない。

その後旧式化したF-100は北爆任務から外され、南ヴィエトナム出ヴィエトコン相手に戦う地上部隊の支援に回された。1967年、州軍部隊四個飛行隊がF-100Cで現地に派遣された。最盛時にはスーパーセイバー490機が南ヴィエトナム上空を舞い連日地上支援ミッションを平均二回こなしていた。事前に計画された標的の攻撃以外に近接航空支援を必死に求める声に臨機対応した。
複座F-100F練習機の7機が初の「ワイルド・ウィーゼル」に改装され敵防空レーダー探知に投入された。EF-100Fにはレーダー受信機二式が搭載され敵レーダーの位置を探り、ロケットポッドで位置を知らせ随行するF-105に攻撃を任せた。その後AGM-145シュアライク・レーダー追尾ミサイルも搭載し、自機でレーダー施設を排除できるようになった。この試行で9箇所を破壊したものの二機を喪失した。実験成果に喜び空軍はF-4やF-105をワイルドウィーゼル任務に投入した。

F-100Fは「高速前線航空統制」任務にも投入され後部座席から敵を探知し、位置を煙幕弾で味方航空部隊に知らせた。コールサイン「ミスティ」の高速FACは優勢な防空体制の上空を飛び、その他の低速観測機では危険な任務だった。

スーパーセイバーは爆弾やナパーム弾40百万ポンドを投下し、合計360,283ソーティーをこなし1971年に現地から撤退した。この実績はF-4ファントムやF-105を上回る。F-100パイロットは代償も払った。戦中の喪失機材は242機でうち敵火砲により186機、基地攻撃により7機を失った。

ただしスーパーセイバーの極端に高い事故率はコンプレッサー失速や主翼破損、さらに一貫して発生したヨーの不安定さが原因で深刻だった。全生産2,294機のうち889機を喪失し324名のパイロットの命を奪った。

その他運用国での実績

フランス、デンマークでもF-100D型、F型を運用し、フランスはアルジェリア反乱勢力への空爆に投入した。台湾もF-100A戦闘機仕様118機を導入しその後レーダー探知機やサイドワインダーミサイルを搭載した。中国のMiG相手の空戦や大陸上空のスパイ飛行もこなしたと言われる。

トルコもF-100C型、D型、F型200機以上を受領し、Su-15と交戦多数を行い、少なくとも一機を地対空ミサイルで喪失している。スーパーセイバーの500ソーティで1974年7月のキプロス介入を支援したが対空火砲で6機を喪失しさらに2機が事故で失われた。750ポンド爆弾でニコシア空港を空爆し、ヘリコプター強襲作戦を上空援護し、誤爆でトルコ駆逐艦コチャテプを撃沈した。

晩年

米州軍では1980年までスーパーセイバーを運用した。退役後の325機はオレンジ色に塗装されQF-100標的無人機としてミサイル試射に投入されたが、今でも飛行可能な状態のF-100が数機残る。

米国初の超音速ジェット機は戦闘機としては卓越した存在ではなく、恐ろしいほど高い事故率にみまわれたものの革命的な新技術の先駆けで新戦術も生んだ。だがヴィエトナムで苦戦する地上部隊の支援という地味な仕事についたのである。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
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