2012年8月10日金曜日

高性能有人戦闘機の必要性 アフガニスタン、イラクの例外に論調を脱線させないために何を考えるべきか

誤 解される向きもありましょうが、当ブログでは有人戦闘機の存在を否定しているのではないのです。無人機やEWの出現はあっても、有人戦闘機は制空権確保に 必要な装備であることに変わりありません。その思いを同じくする論文がAir Force Assn.機関誌に出ていましたのでやや長文ですがご紹介しましょう。                                          
       
Air Force Magazine Vol. 95, No. 8     August 2012        

    Aberrations in Iraq and Afghanistan    

                                    By Daniel L. Haulman   
                
                       
最近10年間の戦役で空軍は制空権を確保するために戦う必要が一回もなかった。これは正常な状態ではない。
            
  • 空 中での戦闘は米国が参戦した主要戦で20世紀の大きな特徴だった。1918年以来の米国の空軍力は勝利を次々におさめ、1999年まで米国による総撃墜機 数は17,500機であり、第一次大戦624機、第二次大戦15,800機、朝鮮894機、ベトナム137機と言う内訳だ。
  • これが1990年代のイラク、セルビアでは数は少なくなったが、それでもイラクで39機、セルビアで9機を撃墜している。
    *
    1991年、米空軍戦闘機が炎上中の油田を飛行中。イラク陸軍がクウェートから撤退する中で放火したもの。砂漠の嵐作戦で米空軍は37機を撃墜しつつ損失はゼロだった。(USAF photo)

    • ただし21世紀になり、空中戦そのものが消えている。21世紀に米国が関与したイラク、アフガニスタンでエースは輩出していない。空中戦の勝利そのものに気づくことがなかった。
    • 双方の戦闘で空軍力は大きな役割をはたしたが、制空権を巡る戦闘はそこに含まれていない。空中戦そのものが発生していない。
    • そこで21世紀になり空中戦の時代は終わったと主張する向き、高額な制空戦闘機や高度に訓練を受けるパイロットはもう不要だとの主張が出てきた。
    • なぜアフガニスタンとイラクで空中戦が大きな役目を果たしていないのか。むしろこの二例が異常なのである。将来の戦争では再び米国は制空権確保のため戦うことが必要となり、制空権を最初は確保できないかもしれない。

    【アフガニスタン】
    1. 最 初の例外がアフガニスタンだった。2001年10月7日、不朽の自由作戦がタリバン政権を対象に開始された。空中にまともな相手がいなかった。当時のアフ ガニスタン空軍は小規模で、あまりに小規模のためジェーン航空年鑑に1999年から2002年まで記載がない状態だった。
      *
      アラスカ演習でのF-22。空中戦が最近発生していないため、有人機が必要なのかと言う疑問が出ているが.....
      (USAF photo by SrA. Garrett Hothan)


    2. また自国内に航空産業がないアフガニスタンは旧ソ連に航空機供給を依存していた。1980年代ゲリラ戦士が地対空ミサイルの扱いになれてきたためソ連は航空機運用で注意を喚起していた。
    3. 90年代を通じアフガニスタンでの重点は各勢力間の地上戦に終始した。旧アフガニスタン空軍の剰余機材は部族間で分配され、整備部品は不足し、飛行訓練がとくに成約を受けていた。
    4. 1996年までにタリバン勢力が最北部除く国内を平定したが残存アフガン空軍はあまりにも非力だった。当時の推測ではMig-21とSu-22各8機と輸送機わずか、ヘリコプター12機だった。大部分の機体は稼動できない状態であり、パイロットも数名のみだった。
    5. そこで米軍の作戦立案ではアフガン空軍を対抗勢力として一度も真剣に考慮する必要がなかった。イラクで「飛行禁止地帯」を維持する活動を日常的に展開していたのと比べると雲泥の差だ。
    6. ただし、アフガニスタンでもタリバンが航空機に爆発物を搭載した自爆飛行を米軍基地に実施するのではと危惧もあったので、当初から磐石の制空権確保が必須と計画立案上で認識されていた。
      *
      F-16で飛行前点検をするゲーリー・ノース大佐(当時)、1999年。機体の緑色の星は大佐が撃墜したイラク空軍MiG-25を示す。イラク南北に設定した飛行禁止区域の遵守を求めた南部の監視作戦にて。
      (DOD photo)


      1. 作戦の第一波で攻撃対象となった合計31箇所にはタリバン側の空軍基地、空港があり、Mig-21およびSu-22の運用基地二箇所は使用不可能とされた。
      2. 第一夜でアフガニスタンの防空網は崩壊し、その後7日間に渡り米空軍は残存アフガン機材をしらみつぶしに破壊していった。
      3. ペンタゴンからタリバン配下の空軍勢力が消滅したとの発表が出たのが10月25日で、アフガン空軍はその数週間前に消滅していた。
      4. 多国籍軍に対抗すべく発進したタリバン側の航空機は皆無で、米側には撃墜する対象がなかった。タリバン側には発進可能な機材は限られており、その機材も開戦後数時間あるいは数分間で破壊されていた。
      5. タリバン防空体制の破壊は徹底的で、米国は作戦初期から低速、低高度飛行のヘリコプター、輸送機、ガンシップ、無人機を心配なく運用できた。こういう機材は敵が有効な空軍力を保有していればきわめて脆弱な存在だ。

      【イラクの事例】
      二番目の例外事象はその17か月後のイラクで発生している。
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      空軍の撃墜・被撃墜比率は戦役により大きく異なる。ベトナム戦争で厳しい経験をした米空軍はその後は合計48機を撃墜し、被撃墜ゼロとしている。

      1. ブッ シュ大統領がサダム・フセイン政権の打倒をねらい開戦したが、イラク空域に侵入する米空軍パイロットは開戦当初はイラク空軍がアフガン空軍と同程度の不活 発な状態にあるのか知る由もなかった。事実、それをさかのぼる12年前にはイラク空軍は地域内でも有数の実力を誇る存在であった。
      2. イ ラク空軍は1980年から88年までイラン・イラク戦争を戦い、90年代初期には南西アジア最大規模の空軍で、固定翼機700機以上を保有していた。ソ連 からはMig-29、フランスからはミラージュF1が主要機材だった。イラクは空軍基地の整備をおこない、滑走路も拡充し、さらに航空機シェルターも強化 した。
      3. この強力なイラク空軍が米空軍という丸鋸にかけられたのだ。
      4. 砂 漠の嵐作戦(1991年1月17日ー2月28日)で米空軍はイラク空軍37機を撃墜している。その他米空軍と同盟軍は254機を地上で破壊している。F- 111やF-117はレーザーおよびテレビ誘導爆弾でシェルター内の機体141機を使用不能にしている他、113機を地上で破壊した。
      5. イランへ逃亡した期待も含めるとイラクは固定翼407機を喪失し、これは開戦前の戦力の半分以上にあたる。
        *
        アメリカ軍要員が地中に隠されていたイラク空軍のMiG-25をアルタカダム基地で掘り起こしている。イラクは攻撃による破壊を避けるべく機材を埋めていた。これはその一機。 (DOD photo)

        1. こ の破壊の影響は長く続いた。かつての強力なイラク空軍は戦闘部隊として機能できなくなり、2003年の戦争ではイラク空軍機は一機も米軍、同盟軍に攻撃を 挑んでいない。制空権の完全な確保により政権転覆と言う所期の目的が迅速に実現し、米軍・同盟軍がバグダッドに進軍するまでに一ヶ月未満だった。
        2. さらに90年代にも米国はイラク空軍力の弱体化を認識していたが、当時はイラク北部と南部に飛行禁止区域を設定し、その履行に米軍;同盟国軍があたっていた。
        3. サダムはこれに対しまれだったが米軍に挑戦をいどむ事例もあった。
        4. 1992年終わりごろと93年早々に米空軍F-16 のパイロットは高性能中距離空対空ミサイルで少なくとも二機のイラク機が飛行禁止区域を無視した段階で撃墜している。
        5. 1996 年にはイラク陸軍が北部飛行禁止区域下を進軍しクルド人の都市イルビルを占拠した。このため米軍は砂漠の打撃作戦を開始し、B-52から巡航ミサイル13 発をイルビル市内の軍事拠点に発射している。防空レーダー施設もここに入っていた。北部飛行禁止地帯での攻勢の結果、南部の飛行禁止地帯も北緯32度から 33度に拡大され、イラク空軍が訓練に使用できる空域が狭まった。
          *
          アフガニスタンのバグラム飛行場で放置されるMiG-21の残骸。不朽の自由作戦ではアフガン空軍の妨害を考慮することなく作戦立案できた米空軍であったが....
          (DOD photo)


        6. イ ラクの交戦能力にはもうひとつ制約条件があった。80年代末にサダムはソ連製戦闘機をユーゴスラビアに供与したが、国連による経済制裁発令により機材の回 収が不可能になった。1995年に国連安保理はイラク向け制裁の延長を可決し、イラク空軍機の機体部品は入手困難となり、作戦可能機はさらに減った。
        7. クーデターを恐れるあまりサダムは軍首脳部を追放し、空軍上層部も含まれていた。サダムは腹心の部下による軍の執行を望んでいた。そのため、イラク空軍には再興のための指導力が不在だった。
        8. サダムが国連査察を1998年に拒んだことで米国・同盟軍の空爆が実施され、砂漠の狐作戦で米英空軍はタリル空軍基地を爆撃しイラクが練習機を改造して遠隔操縦機にしていた機体複数を破壊した。遠隔操縦機は化学兵器あるいは生物兵器の搭載を想定していたと思われる。
        9. これでイラク空軍の残存勢力はさらに弱体化し、2002年には合計267機しか残っておらず、戦闘機はそのうち124機になっていた。戦闘行動がすぐに取れる機材はその一部だけだった。
        10. 米軍がイラク侵攻を開始した2003年にイラク空軍は姿を現していない。同盟軍の航空部隊、地上部隊は空からの抵抗を受けることなく行動を展開した。
        11. イラク空軍の不在を受けて米空軍は本来脆弱性の高い機材を投入した。A-10やAC-130ガンシップであり、各機は撃墜される心配なく飛行した。

          2005年撮影のイラク空軍基地にはMiG-27,MiG-25が使用不能状態で写っている。バグダッド進軍の舞台にイラクは一度も航空攻撃を試みていない。
          (DOD photo)



          【それでも新鋭高性能戦闘機は必要である】
          1. さ て、アフガンとイラクの両戦闘が始まってから技術進歩はめざましく遠隔操作無人機で敵を捕捉、攻撃できるようになり、地上の目標が移動中でもこれは可能 だ。ネヴァダ州の地上にいるパイロットが地球の反対側のイラクやアフガニスタンの目標を空爆している。このことから有人戦闘機はもはや不要だと主張する誘 惑に駆られる向きもあろう。
          2. しかし、遠隔操縦無人機は比較的低速であり、その撃墜は容易だ。高速で武装が充実し、防弾装備もある有人戦闘機なら簡単に無人機を撃墜できるが、その逆は無理だ。
          3. 将来の戦闘では敵側はいっそう強力な空軍力をもっているはずで、それはアフガニスタンやイラクの例ではない。中国、ロシアはそれぞれ第五世代戦闘機にステルス技術を組み合わせて開発中だ。
          4. 高度技術を運用する敵空軍が米国の制空権を脅かすだろう。空自体が戦場と化し、戦闘機が直接対決する事態が来る。
          5. 敵方が優越性を獲得すれば、戦闘の行方は直ちに変わる。空の支配は近代戦での勝利の必須条件だ。強力な敵戦闘機部隊は米空軍力の対抗を受けなければ我が方の輸送機、ヘリコプター、ISR機材、無人機を撃破する。
          6. 最新鋭戦闘機の価格は著しく高価に写るが、高性能新鋭機が不足した状態で戦争が勃発すれば、その代償はもっと高価なものになるのである。


          ダ ニエル・L・ハウルマンは空軍歴史研究局の歴史研究員である。三冊の著書がありそのひとつがOne Hundred Years of Flight: USAF Chronology of Significant Air and Space Events, 1903-2002(米空軍戦闘史)である。その他空軍関係の出版物にも多数寄稿している。

          ど うでしょうか。きわめてまっとうな主張であると思いますが。問題はF-35が①本当に高性能機なのか ②機体コストの上昇で誰も必要な機数を確保できなく なるのではないか ③F-35のため2000年以降貴重な時間がまともな新型戦闘機開発に資源を投入できなかった ④そのため西側防衛体制を危うくする可 能性を同機が持っていること がどうしても気になるのですが。ご意見をおきかせください。

2012年8月9日木曜日

次期弾道ミサイル迎撃用SM-3 IIAの配備開始は2018年

MDA Still Sees 2018 Deployment In Restructured SM-3 IIA Plan

By Amy Butler
aviationweek.com August 07, 2012

.レイセオンの新型SM-3迎撃ミサイルで三菱重工業と共同開発に10億ドル近くの追加契約が成立し、2018年の配備をにらんだ試射を行う。
  1. 予 算がついたことでSM-3の開発体制見直しを一年かけて進められる。以前は迎撃テストを2014年度実施と想定していたが、現在はこれが2016年にずれ こんでいる。実戦配備はイージス艦の新規ソフトウェア他センサー類とともに2018年となり、ヨーロッパへの配備を想定し、イランの中距離弾道弾による攻 撃に備える。
  2. 米政府監査部門が昨年同ミサイルで二つの問題を発見している。ひとつが方向変更・高度制御システムともうひとつがエアロジェット社 Aerojetが取り扱う推進剤で、サブシステム監査で不合格となっている。さらに三段式の同ミサイルのロケットモーターとノーズコーンの双方が三菱重工 による開発品だがこれらも問題を発生させている。まず推進系の大幅見直しを2013年に行うとレイセオンで防空ミサイル防衛担当の副社長ウェス・クレマー Wes Kremerは言う。
  3. 米ミサイル防衛庁MDAは7月に825百万ドルで既存SM-3 IIA改修作業の契約を承認した。これにより同ミサイルの開発費用のうち米国負担分は15.1億ドルになる。
  4. めざすのは直径21インチの迎撃ミサイルで従来のSM-3 1A/B型よりも高速、長射程距離で迎撃がかのうなもの。従来型は直径14インチ。
  5. 新型ミサイルはより大型の攻撃部分を装着し、目標捕捉と最終段階で機動性を改善するだろう。
  6. . 同ミサイルは北朝鮮から日本を防衛することを狙い、より少ない洋上艦船からの防衛実施をめざすが、ホワイトハウスは同ミサイルを2009年に欧州段階的適 合アプローチの中でフェーズIIIの根幹要素として選定している。そのねらいはヨーロッパ各国さらに米国東海岸をイランのミサイルから防衛することにあ る。
  7. この決定は物議をかもした。SM-3には聞き甥開き、前のブッシュ政権の原案からポーランドに二段式の地上配置中間段階防衛迎撃ミサイル(GBI)の配備があったが、これが波紋を呼んだ。防衛庁の長官が交代すればSM-3やGBI開発は再浮上するだろう。
  8. 名称こそ SM-3 IA/Bとつながっているが、IIAで唯一共有されているのが第一段段のモーターで、その他部分は新規開発分がほとんどだ。しかし、以前のモデルと同様にIIAは海軍のマーク41垂直発射システムでの使用を想定している。
  9. 日本は三菱重工業にほぼ契約金額どおりの支出をしており、同社がノーズコーン、第二および第三段ロケットモーター、組み立ておよび操舵制御部分の開発を分担している。
  10. 日 米協力体制での SM-3 IA/B開発はレイセオンと三菱重工に正式な契約上の合意がないまま進んでいる点で他に類を見ないとクレマーは解説する。MDAによる最近の予算計上は同 プロジェクトの最終段階に向かうものだという。「これで飛行テストまでの過程が契約下で実施できるようになる、クレマーは語る。■


2012年8月7日火曜日

2013年度国防予算 上院は承認したものの内容は.....

Senate Panel Approves Defense Bill


aviationweek.com August 03, 2012

上院歳出委員会が承認した国防予算法案は総額604.5億ドル(約4.8兆円)だが、予算案通過の時点で実質的に疑問の残る内容になっている。

  1. 「私の顔に笑みは見えないはず」ダニエル・イノウエ委員長(民主・ハワイ州)Sen. Daniel Inouyeは8月2日の同法案上乗せのあとに発言している。
  2. その理由として上下両院有力議員間で予算管理法が認める範囲で政府予算の執行を今後六ヶ月にわたり認める合意が生まれたためだ。
  3. ただし来年の三月までに現在の予算年度は半分が終わっていることになる。さらに11月の選挙結果で共和党が上院の過半数を握れば、法案も変更が加えられる。
  4. 合意済みの決議案には総額1兆ドルの包括的政府支出削減を回避する選択肢は含まれていない。
  5. 今回の国防予算法案の審議は実際の支出予算よりも赤字削減合意が実行されない場合の罰則となる強制執行停止sequestratonが中心だった。
  6. リ ンゼイ・グラハム議員(共和・サウスカロライナ)Sen. Lindsey Graham (R-S.C.) から提案され撤回されたのは象徴的な決議案で赤字削減策を提言するボウルズ=シンプソン作業部会の提言を活用し強制執行停止を部分的に実施する内容だっ た。その後、同議員からは別の改正案が動議され、連邦政府との契約企業には自社の従業員に強制執行停止に伴う雇用喪失の可能性を通知させようとするもの だった。これは同意形成できなかったが、各契約企業の観点から強制執行停止が予測可能で労働者調整再訓練通知法Worker Adjustment and Retraining Notification Actの適用が可能かについて長時間の審議に火をつけたといえる。
  7. . 実質面では同法案によりロッキード・マーティンの中距離拡大防空システム Medium Extended Air Defense System (Meads)には348百万ドルの予算を計上し、米国の参加を終了させる。なお議会の国防関連委員会三箇所がいずれもMeads予算を終了させている。
  8. ペンタゴンが進めているバイオ燃料の調達には上院歳出委員会は予算を認めた。他の三委員会は棄却している。
  9. ただし歳出委員会はこれ以外の議題では上下両院の国防委員会にならっている。委員会は空軍の戦力再構築提言を一年凍結する議決をして、800百万ドルを追加して州軍航空隊の削減を補うことを2013年度に承認した。
  10. また同法案では昨年度予算の繰越によりノースロップ・グラマンのグローバルホーク・ブロック30およびアレニアのC-27スパータンをそれぞれ継続させる。
  11. また歳出委員会は60百万ドルを追加しボーイングEA-18Gグラウラーの先行取得をさせる。さらに163百万ドルを追加しAN-TPY2レーダー向けに、189百万ドルでSM-3ミサイルのブロック1B調達を追加する。
  12. なお、次世代爆撃機Next Generation bomber ならびに即時全世界攻撃手段Prompt Global Strike 開発はそれぞれ要求が満額承認された。■

2012年8月6日月曜日

空軍新参謀総長にウェルシュ大将

airforce magazine Friday August 03, 2012
               
Welsh Confirmed as Chief of Staff:


8月2日上院がマーク・ウォルシュ大将Gen. Mark Welshの空軍第20代参謀総長就任が承認された。現参謀総長のノートン・シュワーツ大将は交代とともに退役する。この次にはオバマ大統領による正式承認が続く。その後、空軍は8月10日に就任式典を開催する。

ウェルシュ大将は1976年の空軍士官学校卒業生。在欧州米空軍の司令官を経て2010年10月より米空軍総司令部勤務。

上 院による承認はジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)が同大将の承認保留を取り下げたことから同日採血されたもの。同議員の保留はラックランド 基地(テキサス州)内で発覚した性的嫌がらせが理由。同基地は空軍の規則訓練を担当。同議員はウェルシュ大将と同日会見し、状況を話し合った後に保留を撤 回した。「ウェルシュ大将が深刻な状況認識を共有していることがわかった。大将が事件の捜査を続けるとの決意を示したことを嬉しく思う」と声明を発表して いる。

2012年8月5日日曜日

X-47B UCAS-Dのテスト最新状況

X-47B UCAS-D Begins Deck Handling Trials



aviationweek.com August 03, 2012

ノースロップ・グラマンX-47B無人戦闘航空機システム実証機 (UCAS-D) はまもなく地上での公試をパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)で開始し、空母飛行甲板上での取扱手順を確認の上、空母着艦を2013年に行う予定。
  1. X-47Bはパックス基地での初飛行を7月29日に実施しており、チェサピーク湾上空で36分間の飛行を高度7,500フィート速度180ノットで完了した。X-47Bは2機あり、パックスへはエドワーズ空軍基地での性能確認テストを完了してから陸送されていた。
  2. そ の間キングエアを同機に見立てて空母自動着艦時のテストをしている。1号機AV-1はソフトウェアを改修して空母運用への適合性を試される。この改修では 機体を空母運用条件に完全に一体化させるのが目的だ。陸上に設置したカタパルトで発進させ、同じく地上設置の拘束フックでの着艦試験をパックスで今年秋に 開始する。
  3. この数日以内に2号機AV-2を使った地上取扱性テストがパックスで始まり、無線操縦コントローラを飛行甲板操作員の右腕にストラップで取り付け、推進力、首脚操作、ブレーキ、テイルフックを操ることができる。
  4. 飛行甲板上では操作員が「黄色シャツ」責任者の後方に立ち、X-47Bをカタパルト上に移動させ、エンジン回転を上げて、各種制御系統を確認の上、同機をミッションコントロール責任者に引き渡す。
  5. 着艦時にはX-47Bは艦上のワイヤを捕らえたあとエンジン出力をアイドル状態まで下げ、甲板操作員が制御をし、テイルフックを引き上げて、同機をワイヤから離す。

2012年7月31日火曜日

ISR機材に民間商用機を転用する動きが加速

Smaller Commercial Aircraft Surge In Intel Missions

aviationweek.com July 23, 2012

情 報収集、監視、偵察(ISR)任務ではとかく無人機が注目されがちだが、小型民間機の転用がにわかに注目されており、十分に競合力があると見られている。 この傾向がファーンボロ航空ショーであらためて確認されたのは新規機材があいついで発表されたりデビューしたことから。
  1. こ の傾向には理由がある。まず、民間機を転用すれば運用コストが大型UAVよりも安価であり、現に米空軍のキングエア改造プロジェクトリバティの時間当たり 運用コストはリーパーより低いと下院情報委員会が判定している。また民間機ベースの機材であれば国内、あるいは国際空路を飛行しても支障がなく、軍事的脅 威を受けず、紛争地帯上空を飛行できる。同時に機内操作員は高い処理能力のデータリンクに依存せずにシステムを運用できる。データリンクのほうがUAV機 体よりも高価な場合があるのだ。
  2. ファーンボロでの最大の驚きはアラブ首長国連邦が支援する形で小型高性能ISR機材開発の動きがあることが判明したことだ。
  3. ピアッジオサーブと組んでこのプロジェクトを進め、P.180アヴァンティIIを大幅に改造する。まず海上パトロール機を生産するが、ピアッジオによると同機は最初から地上監視装置、戦術級ISRまたは通信・信号傍受情報活動(Sigint)装備搭載が想定されているという。
  4. .ピアッジオはアブダビ自動システム投資会社Abu Dhabi Autonomous System Investments (Adasi)と正式契約を締結しており、同機の開発及び試作機を2機制作すること、初飛行を2014年とする内容になっている。
  5. AdasiはUAE軍の主要開発案件で事業管理会社の役目を果たしており、その中にはシーベルカムコプターS-100垂直離陸UAV案件も含まれる。
  6. ピ アッジオのMPAプロジェクトは既存小型民間機をISR用途に転用する初の本格的な動きだ。MPAではP.180の主翼を拡大し、最大離陸重量と燃料搭載 量を増加させる。最大飛行距離は3,300海里(約6,100Km)、滞空時間は最大10時間(低空飛行では6時間)とし、巡航速度は350ノット (630Km/h)、実用上昇限度は41千フィート(約1万2千m)でsigintあるいは光学偵察には最適な性能となる。
  7. サーブの340MPAはファーンボロでも疲労されており、プロセッサーとソフトウェウェアで構成の同パッケージは機体ならびにセンサーの種類と関係なく作動する。サーブの展示例ではテレホニックスAPS-143レーダー・Flirシステムを搭載している。
  8. 以上の二つの計画から軍事・非軍事ユーザーが広域監視システムに関心を示していることがわかる。シエラネバダコーポレーションSierra Nevada Corp. およびITTエグゼリスITT Exelisは共同で広域空中監視wide-area airborne surveillance (WAAS) として米空軍向けゴーゴンステアGorgon Stare を原型に改良型を開発中である。
  9. これはヴィジラントステアVigilant Stareの呼称でツインオッター機に搭載する。空軍向け装備はリーパーUAVに積む。両社は機体装備を自ら運用し、利用者には都度料金を徴収するビジネスを想定している。
  10. ヴィジラントステアでは小規模な村落程度の地表を連続監視でき、歩行者を追跡可能できる解像度がある。
  11. ファーンボロに出展しなかったノースロップグラマンからはエアクローAir Clawが発表されている。この原型はクエスト航空機Quest Aircraft のコディアックKodiak短距離離陸軽飛行機で展示用にパーシスタントサーベイランスシステムズPersistent Surveillance SystemsのホークアイHawkeyeWAASが搭載されている。
  12. オーストリアのエアボーンテクノロジーズAirborne Technologiesからはイタリア製テクナムP2006TTecnam P2006T双発軽飛行機を多用途機に転換する案が提案されている。同機は民間向けに空中監視業務を提供することを専門とするエアロGBAeroGBへ引き渡される。同社も都度料金を徴収するビジネスモデルで英国の警察機関(名称未公表)と契約を交わしている。
  13. エアロGBはP2006Tを低価格で小型ヘリコプターよりも魅力的な選択肢だと宣伝する。搭載エンジン、ロタックスRotax 912S3は自動車燃料で作動するので経費節約になる。滑走路も400メートルで十分で、通常の巡航高度では飛行音はほぼ聞き取れない。
  14. さ らにヘリコプターよりも振動は少ないのでセンサー類の作動も安定する。同社役員グラハム・ジェイムズGraham Jamesは警察出身であり、同社が力を入れているのは「各顧客に今すでに使える技術があることを理解してもらい、たとえばほとんどの顧客が自社にはレー ダーなんて関係ないと考えていますが,実に多くのことができるんです」とのことである。■

2012年7月29日日曜日

2017年までの電子戦関連投資で海軍・海兵隊の支出規模が最大になる見込み

Navy, Marines Top Pentagon EW Investment

aviationweek.com July 23, 2012

米海軍・海兵隊は今後十年間に2008年から17年までに電子戦(EW)分野に219億ドルを支出済みあるいは予定しており、他軍よりはるかに大きな予算を支出する。
  1. 全軍の同時期合計支出実績・予定は442億ドル。同時期の米空軍の支出規模は123億ドルで米陸軍の91億ドルと比べると海軍・海兵隊の規模がはるかに大きいことがわかる。
  2. 「こ の三十年間で空軍は機体のステルス化を重視し、海軍は電子攻撃に着目してきました。空軍はジャミングに大きな関心を示さず、海軍は逆に低視認性を重視して きませんでした」(レキシントン研究所の国防アナリスト ローレン・トンプソンLoren Thompson, defense analyst for the Lexington Institute)
  3. 「海 軍は合同運用では電子線の技術を豊富に持っており、そのせいもあり低視認性機体に重要度を低く設定する傾向があります」(トンプソン) 空母から運用する 航空機ではジャミングやEWのほうがステルス性よりも評価されるということだ。ただし、海軍が空母運用型のF-35を取得すればこれも変わる。
  4. だが、他軍もEWを重視しはじめている。
  5. 「軍事利用では電磁スペクトラムへの依存が高くなっている。通信、航法、情報収集、監視、目標補足に無線、マイクロウェーブ、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線が多用されている」と米会計検査院が分析している。
  6. ペンタゴン全体でEW開発が急速に拡大しつつあり、2013年度の年間予算36億ドルが2017年に56億ドルになる。
  7. これは2000年代後半と反対の現象であり、その当時は国防総省が電子戦用途の支出は2008年の39億ドルが2010年45億ドルまで増えたあと2012年度に33億ドルまで減っている。
  8. 中でも最大の支出項目が電子戦装備および機体の調達費281億ドルで、開発費用が112億ドルでそれに次ぐ。
  9. 2016から17年度にかけては生産関連の支出が多くなり毎年38億ドルを想定する。
  10. 海軍のP-8Aポセイドンは10年間で23億ドルを支出実績あるいは予定されている。同機の初期作戦能力獲得は2013年の予定。
  11. これに次ぐ規模となっているのが海軍が想定する次世代ジャマーで21億ドルだ。このジャマーはEA-18Gグラウラー搭載の現有ALQ-99ジャミングポッドの後継モデルだ。
  12. 米 空軍の大型航空機防衛赤外線対抗手段arge Aircraft Infrared Countermeasures (Laircm) が三番目に大きなEWプログラムで17億ドル規模。これはミサイル発射地点を発見し、脅威レベルを判定の上、高密度レーザーを起動して飛翔体を追跡・破壊 する構想だ。
  13. その後に続くのがF-35共用打撃戦闘機と海軍のグラウラーで各15億ドルが今後10年間に支出となる見込みだ。■

イスラエル向けF-35で米国政府、ロッキードが合意形成

U.S., Lockheed Reach Deal On Israeli F-35s


aviationweek.com July 27, 2012

. ペンタゴンとロッキード・マーティンは総額4.5億ドルでF-35戦闘機の電子戦装備性能向上およびイスラエル特化システムの整備を2016年に開始する ことで合意したと、この件の内部に詳しい筋から判明した。この契約でイスラエルと合意済みのF-35計19機を総額27.5億ドルで導入する計画が前進す る。なお、イスラエルとの合意内容は2010年10月に締結されており、オプションで最高75機を購入するというもの。
  1. ペンタゴンからはイスラエル向け海外武器販売はすべてのオプションを使うと152億ドルになるという。
  2. F-35をめぐってはイスラエルとさらに規模の大きい共同事業が想定されており、中東地域が不安定になっている今日、米国にとっては同国の戦略的同盟国としての地位が高まっている。
  3. 来週レオン・パネッタ国防長官がイスラエルを訪問し、この合意内容が明らかになる予定で、長官はイラン都の緊張状態について討議内容に取り上げる予定だ。
  4. また費用面、技術面で困難な状況が続くF-35開発でも明るい話題を提供することになろう。
  5. F- 35開発へのイスラエル企業参加も増えることになろう。エルビットシステムズElbit Systems Ltdおよび国有企業イスラエル航空宇宙産業 Israel Aerospace Industriesの参画度がふえる。特に後者は同機の主翼生産を予定している。
  6. IAIはF-16戦闘機の主翼も生産しており、エルビット(ロックウェルコリンズとの合弁事業)は高機能ヘルメットのメーカーでF-35にも採用されている。
  7. イスラエル向けF-35開発での合意によりイスラエル製の無線・データリンク装備の取り付けが可能となる以外、その他の自国装備も選択できるようになる。
  8. また電子戦装備の改修は米国、イスラエル以外に同機をすでに発注しテイル9カ国にも恩恵が生まれるものだ。
  9. F-35はペンタゴンで最も高額な装備開発案件となっており、3960億ドルで2,443機を2030年代までに調達するものだ。
  10. ロッキード・マーティンならびに各契約会社が生産するのは米空軍、海軍、海兵隊用に加え、英国、イタリア、トルコ、カナダ、オーストラリア、デンマーク、ノルウェー、オランダの各共同開発国向け機体だ。
  11. これに対し国防総省は合計179機のF-35生産を2017年以降に先送りし、開発テスト期間を長く取り費用のかかる生産後改修を避ける事で費用節約を目指す決定をしている。最新の第三回目の機計画修正で33ヶ月79億ドル相当の追加となった。
  12. 電子戦装備の性能向上作業は大部分がBAEシステムズが担当すると消息筋があきらかにした。■

2012年7月26日木曜日

F-35のもたもたはボーイングF-18には好機となるか

       

Boeing Sees F-18 Program Growth In U.S. And Abroad

aviationweek.com July 16, 2012

F-35の価格上昇と日程の遅れを尻目にボーイングは海外市場でF-18への関心が高まっていると見ている。
  1. .同社はF-18の海外販売に関心を払っており、海外各国向けに生産参加まで持ちかける事も含め好条件の提示で商談を有利にすすめる。
  2. 現在F-18に関心を示しているのはブラジル以外にも多数あり、スーパーホーネットに盛り込まれた操縦制御面の技術改良が注目されているという。
  3. 米海軍が関心を示しているのは一体型燃料タンクで、現状の機体中央部搭載の燃料タンクにかわり搭載されればその位置を他のペイロードに使うことができる。
  4. ボーイングがF-18生産ラインを維持するためには米海軍あるいは海外顧客が同機調達に踏み切る決定をすることが必要だ。現状では2015年以降が問題となる。
  5. F-18生産ラインを活気づけているのはEA-18Gグラウラー電子戦(EW)用機である。
  6. ボーイングはグラウラーに期待をかけており、海軍が同機に2008年から17年までに15億ドルの支出予定であることから同機がEW機材としては三番目の規模のプログラムとなることも追い風だ。
   

2012年7月25日水曜日

ロシアの軍事輸出はインド市場を再び確保できるのか

Russia Tries To Arrest Losses In Indian Defense Market

aviationweek.com July 19, 2012

ロシアは欧米メーカーに奪われたインドの防衛装備市場を奪回すべく着々と計画を練っている。
  1. ロ シアは以前はインドへの最大の武器提供国であり、冷戦終結後もインドからの信頼を集めていた。しかし、高価格などの問題もあり、ロシアは急速にインド市場 でのシェアを失っている。ちなみにインドは2011年に世界最大の武器購入国となっており、同国だけで世界の武器貿易の10%を占めている。
  2. ロシア副首相ドミトリ・ロゴジンDmitry Rogozinはニューデリー訪問中の7月17日にインド側に防衛装備の共同開発と海外販売を提案している。
  3. ロ ゴジン副首相からは特に輸送機、旅客機で共同開発・生産への関心が表明されている。「ブラモスBrahMosミサイルが共同事業の好例であり、第五世代戦 闘機や多用途輸送機の共同開発、Su-30戦闘機やT-90戦車のライセンス生産も大型案件で現在進行中だ」とインド国防省関係者も明らかにした。
  4. インドは射程290キロメートルのブラモス超音速巡航ミサイルのインド海軍の運用承諾をロシア側へもとめている。両国の共同生産体制を敷いたのが1998年で、それ以降インドの三軍が同ミサイルを発注しているが、ロシア側はまだ動いていない。
  5. 「印 露の防衛関係で懸案が残っている。ロシアへ発注した装備の引渡しがたびたび遅れており、空母アドミラル・ゴルシコフが典型例だ。ロシアからいったん合意し た価格を途中で引き上げる事例があるのも事実だ。防衛技術の移転で障害が浮かびあがっており、部品供給も途切れがちだ」とインド国防関係者は不満を示して いる。
  6. この1年間でロシアの防衛産業はインドでたびたび苦杯をのまされている。インド提唱の中型多機能戦闘航空機(MMRCA)コンペではMiG-35がダッソー・ラファールに敗退している。これは150億ドルでインド空軍がまだ使用中のMiG-21の後継機を調達するもの。
  7. インド国防相A.K.アントニーA.K. Antonyは選考は政治判断を排除し専門的見地による結果だと強調。「インドの国防調達は政治的な考慮では決まらず、すべての販売希望者に平等な機会を提供している」
  8. 22機調達の攻撃ヘリでもMi-28NナイトハンターがボーイングAH-64Dアパッチに敗れている。
  9. と はいえ印露両国間のこれまでの実績を考慮すると、ロシアは当面はインドの主要防衛装備提供国の地位を守るだろうとの観測がある。しかしインド市場を巡る競 争激化を視野に入れれば、両国が共同事業形式で武器を開発することで二国間協力体制を維持するのが必要となるだろう。■

2012年7月22日日曜日

A400M引渡しへ向けて自信深めるエアバス

Airbus Confident Of A400M Delivery Schedule


aviationweek.com July 19, 2012

エアバス・ミリタリーA400Mの飛行テストは依然として進行中だが、同社は2013年中に4機を引渡できると自信を持っている。
  1. まず3機がフランスと1機がトルコに納入されるという。2014年には10機になり、英国、ドイツ向け機体が引き渡される、というのが同社の計画だ。
  2. A400Mの民間型式証明取得に向けて1,150回3,500時間のフライトが7月初旬までに実施されている。初飛行は2009年12月。型式証明は今年末に取得できる見込みだという。
  3. 同機は空中給油テストを実施していない。燃料ポッドを主翼下に装着し、空中給油機に転用する事が可能。
  4. マレーシア空軍は4機を発注しており、このポッドにより同機をヘリコプターや戦闘機に空中給油機能を持たせることを期待している。
  5. 同様に未実施な機能に貨物・兵員の空中投下、過酷天候下での運用テストがあるという。また自衛手段としてチャフ、フレアのテストもこれからだ。

2012年7月16日月曜日

台湾空軍のF-16改修作業をロッキードが実施

Lockheed, Taiwan Sign for $3.7B in F-16 Upgrades



aviationweek.com July 13, 2012

台湾の国営航空宇宙企業とロッキード・マーティンは台湾空軍が運用中のF-16A/B型合計145機の性能向上改修契約の覚書を締結したと7月12日に発表した。
  1. 本日その事実の裏付けが関係筋から取れて、米国政府と台湾が総額37億ドルの性能改修業務で合意できたことがわかった。
  2. ロッキード側からも確認が取れており、台湾の国営航空宇宙産業開発公司Aerospace Industrial Development Corp.とファーンボロ航空ショー会場で覚書がサインされたとのこと。
  3. 覚書によるとAIDCはロッキード・マーティンと共同で台湾空軍の老朽化進むF-16A/Bフリートの性能向上を図る。
  4. 同覚書はタイミングとして台湾と米国がF-145A/B計145機の改修を総額53億ドルで行う内容で最終案がまとまる寸前で出てきた。
  5. さらに多額の防衛装備取引の合意形成が今後州週間以内にまとまる公算だと消息筋が解説する。
  6. オバマ政権は台湾向けF-16改修案を昨年9月に承認し、中国を慌てさせた。だが、政府間の防衛装備取引の内容詳細はまだまとまっていない。
  7. オバマ政権関係者によると改修作業で後期モデルのF-16C/D型と同様の性能が実現するという。台湾はかねてから後期モデルの導入を防衛のため必要と求めてきた。
  8. .これに対し中国は米国による台湾向け防衛装備売却に反対の姿勢で、その根拠は中国による台湾統合の動きに逆行するからだという。中国はかねてから台湾を支配下に置くためには軍事力の行使もいとわないと公言している。
  9. 米議会で台湾を心情的に支援する勢力からはF-16新造機66機を今回の回収に加えて台湾に販売スべしと政府に圧力がかかっている。■