2017年3月21日火曜日

北朝鮮問題で中国軍が進駐する可能性



これはどうなのでしょうか。中国がこの通り動くのかわかりませんし、ティラーソン国務長官が中国に何を伝えのか、(中国が簡単に言うことを聞くとは思えません)、習近平主席の訪米が4月上旬、韓国大統領選挙が5月上旬という中で、北朝鮮への軍事行動があるとすれば4月中旬から5月初めまでの可能性が高いのですが、それまでに人民解放軍が国境を超えるのか、また中国が現状維持を望んでも北朝鮮が自滅の道に向かいつつある中で大きな力が朝鮮半島に働くかもしれません。そうなると待てば待つほど中国には不利な状況となりますからPLAが電撃進駐をし、北朝鮮軍と先に交戦状態に入る可能性も排除できないですね。あるいは自暴自棄の金正恩が北京や上海にミサイルを発射しないとも限りません。(日本が被弾する可能性のほうが高いですが)4月は神経をすり減らす月間になりそうです。

China could potentially stop a US strike on North Korea — without starting World War III 中国は米軍北朝鮮攻撃を発生させないはず、ただし第三次大戦を巻き起こさない形で

By Alex Lockie, Business Insider
Mar 16, 2017 7:18:36 pm
北朝鮮のプロパガンダポスターでは米国を狙うミサイルが描かれている。.| Via Flickr.
北朝鮮が弾道ミサイルを連続発射し、米国・同盟国のミサイル防衛網を突破する狙いを示したのを受け、米軍が北朝鮮で斬首作戦をいつ実施するのに注目が集まっている。
Business InsiderがStartforのシム・タックとともに作戦決行の場合の予想を詳しく述べていたが記事では大事な国を失念していた。中国だ。
米軍が北朝鮮攻撃に踏み切れば中国はどう反応するだろうか。

中国は北朝鮮の現状のまま維持したいはずだが第三次世界大戦の開始は望んまない

北朝鮮が核の恫喝を米、韓国、日本につきつけるのは中国としても認めないとしても、朝鮮半島統一は防ぎたいはずだ。
中国は北朝鮮の隣国であり、米軍は攻撃するとしても中国を警戒させたくないはずだ。だからといって30分なのか30日なのか不明だが事前通知をすれば中国は攻撃を実施させないよう動くはずだ。

南北朝鮮統一は中国にとって脅威

「統一となれば強力な国家が中国国境の隣に出現」し、民主体制が機能し、技術力を誇示するのは「中国が出現してほしくない事態」とタックは言う。
米軍25千名が現在韓国に常駐するが、数十年に渡り38度線から北に入っていない。中国としてはこのままにしておきたいと考えているはずだ。

北朝鮮が消滅すれば中国はむき出しになったと感じる

中国にとって北朝鮮とは「米軍同盟軍への物理的緩衝」だとタックは指摘する。
米軍が北朝鮮国内に基地を設営すれば、中国国境に近く、中国封じ込めの手段となる。
タックは米軍により朝鮮統一が生まれることは中国として「なんとしても防ぎたい」とし、中国軍が国境を渡り西側諸国と戦火を交える「可能性はまったくない」と言い切る。

北朝鮮を過度に支援し西側に対抗させれば中国の自殺行為

緩衝だからといって強制収容所と米核攻撃を公然と狙う国際的孤立国家を中国が援助にかけつければ「第三次世界大戦を開始することになる」とタックは言う。
そこで中国は北朝鮮滅亡を遅らせようとしても、西側に対抗する部隊を派兵するまでに至らないのではないか。朝鮮戦争の状況とは違う。

中国の対応はまず外交

現在、米国は空母打撃群一個、原子力潜水艦、F-22、F-35を太平洋に展開中だ。米軍の主要装備がフォールイーグル演習に参加中だ。
だがタックによれば北朝鮮の運命は軍事作戦計画よりも国務長官レックス・ティラーソンが会談する中国外交筋にかかっているという。

外交努力は失敗しても非軍事解決策に希望は残る

「利用できる外交手段は残っており、軍事オプションしか残っていないのではない」とタックは述べ、「仮に軍事オプションしかないと実施を決定すれば高い代償につく。軽く流せるような規模ではない」という。
両陣営とも軍事行動をいきなり取るのではなく考えられるすべての外交手段を試すとしても迅速をめざすはずだ。
タックは米国が北朝鮮攻撃が迫っていると中国が見れば、平壌に圧力をかけ交渉の座につかせるはずだという。西側主導の秩序で朝鮮半島統一の日が来るのは避けたいはずだという。

「中国は軍の北朝鮮進駐で罠をしかける」(タック)

「中国軍部隊が公然と現れれば米軍も北朝鮮への進軍を考え直すのではないか。なぜなら大規模交戦のリスクになるからだ。
中国軍が平壌や北朝鮮国内核施設付近に現れれば、米軍は爆撃を簡単に実施できなくなる。

中国が「完全無欠の」指導者に事態解決を求めるのは確実

国際社会の意見に無関心で国内で自由な意見を認めない中国でさえ人命を軽く扱う金正恩を公然と支援したいとは思わないはずだ。
北朝鮮内に入る中国軍は「政変を迫り、金正恩に」武装解除を求めるはずだとタックは見る。
「北朝鮮の存続を図り、中国の利益に沿って動かせても米軍の格好の目標にさせないはず」(タック)
これが中国に一番理想的であり、米軍攻撃も実現できなくできる。

中国の勝利になっても、中国は悪漢と見られるはず

中国指導部としては強力な統一朝鮮が米国主導で国境の向こうに出現するのは避けたい。また北朝鮮崩壊で大量の難民が流入するのも防ぎたいところだ。一方で朝鮮半島の核による緊張は緩和したいはずだが、これを実行すると中国が醜い一面をさらけ出す。

米軍攻撃を避けるべく、北朝鮮の核兵器解除を中国が一方的に進めたとしよう。その場合、中国が北朝鮮の核開発をこれまでなぜ黙認し、技術拡散をなぜ止めなかったのか、深刻な人権侵害に黙っていたのはなぜかとの非難を呼ぶことだろう。

で結局どうなるのか

中国の関心は北朝鮮国民25百万人を独裁圧政から「救い出すことではなく」緩衝国家として残すことだとタックは指摘する。
中国としては金正恩に代わる政権を立ち上げる可能性を希求し、新政権はやはり西側に対抗し米国と協調路線を取らないことが大切だ。
中国が望む北朝鮮とは「西側に反旗を翻し、自国路線を主張する」国家だとタックはいう。
中国が影響力の行使を怠れば時の利は逃げるだろう。■


★日米演習にフランスもミストラル強襲揚陸艦で参加



ジャンヌダルクが太平洋にやってくるようです。画期的な進展になるのですがどうでしょう。総理のフランス大統領会談の後で正式に発表になるのでしょうか。消息筋は故意にリークしたのでしょうか。中国への包囲網が強まりそうですね。どちらにせよ間もなく明らかになりそうです。

French carrier to lead joint amphibious Pacific drill in show of force aimed at China: sources
フランス空母が共同太平洋軍事演習に加わり中国に力の誇示をするとの消息筋談話
By Tim Kelly and Nobuhiro Kubo | TOKYO | Fri Mar 17, 2017 | 8:46am EDT
FILE PHOTO - French landing helicopter dock ship ''Mistral'' sails off the Naval Base in Toulon, February 18, 2011. REUTERS/Jean-Paul Pelissier/File Photo
フランスの揚陸強襲ヘリコプタードック艦「ミストラル」、ツーロン軍港を出港。2011年2月18日撮影。 REUTERS/Jean-Paul Pelissier/File Photo
  1. フランスは中国への軍事力誇示の一環としてミストラル級強襲揚陸母艦をテニアン島へ派遣し、日米軍事演習に英軍ヘリコプターとともに加わる意向だ。
  2. 「中国に明確なメッセージを送る上陸演習になる」と消息筋が語っている。別の筋は演習は5月第二週から第三週にかけ実施されると明らかにした。
  3. 中国は兵力投射に使える空母建造も進めており、太平洋に影響圏を広げる動きを示している。これに憂慮する日本と米国だがフランスもニューカレドニアや仏領ポリネシアがあり同様に深刻に捉えている。
  4. テニアン島は米国の行政下にあり、北マリアナ諸島に位置する。東京からは2,500キロ離れている。
  5. 日本は米国の緊密な同盟国としてアジアでは中国に次ぐ海軍力を保有し、フランス、英国とも防衛協力を緊密にしている。
  6. 英国は昨年10月にタイフーン戦闘機四機を日本へ派遣し航空自衛隊と共同訓練を実施した。英空軍機は中国が一方的に領有を主張する南シナ海上空も航行の権利の一環で飛行し帰国の途についた。
  7. 日本防衛省は米英仏との共同上陸演習は何も決まっていないと返答してきた。
  8. 安倍晋三首相は3月19日日曜日から欧州砲門中で、フランス大統領フランソワ・オランドとの会談も予定される。■


2017年3月20日月曜日

★トランプ政権が次世代戦闘機開発を急ぐ姿勢を示すが....



ステルス路線を追求する空軍に対して、海軍は早々とステルスを捨て攻撃力重視の構想を進めていますが、トランプ政権は空軍案を優遇しているようです。果たして投入予算増加が認められるかが注目ですね。それにしてもF-35はまだ戦力化していないのですが、はやくも後継機開発が始まっているのですね。

Aerospace Daily & Defense ReportTrump Seeks Sharp Funding Increase For Next-Gen Fighter

Mar 16, 2017 Lara Seligman and James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

次世代戦闘機コンセプト Boeing
  1. ドナルド・トランプ大統領が米空軍の次世代戦闘機で予算を急増させ開発を急がせようとしている。
  2. 2017年度補正予算はオバマ政権の残した同年度国防予算に300億ドル上乗せしホワイトハウスはこの一部を次期戦闘機に支出したいとする。
  3. ただし追加支出案が原案通り議会通過する可能性は少ない。本予算で予算がすでに手当されているからだが、予算管理法(BCA)の上限キャップ対象になる可能性もある。キャップ解除には上院60票の賛成が必要で、ホワイトハウスが賛成票を得る可能性はない。
  4. それでも第六世代機開発に資金を投じるのはF-35以後の戦術戦闘機の拡充近代化が迅速に必要との現政権の問題意識があるためだ。
  5. 追加支出案は3月16日に発表され、『次世代航空優勢戦闘機』(NGAD)(現在は侵攻対空戦闘機(PCA)と呼ばれる)としてF-22ラプター後継機の開発研究費の大幅上乗せを狙う。オバマ政権の2017年度予算ではNGADにわずか21百万ドルを研究開発試験評価(RDT&E)勘定で支出するとしていた。
  6. トランプ政権はこれを一気に八倍の168百万ドルにしようとする。
  7. 補正予算で急増させれば空軍が予定より早く技術開発段階に入る可能性が生まれる。予算不足で空軍はPCA関連予算を2017年度は減額要求せざるを得ず、全体事業の遅は必至と見られていた。追加予算が手に入れば空軍はPCAを予定通りの日程に戻せる。
  8. 空軍はPCAで代替策検討を最近開始し、一年から18ヶ月かけ完了する見込みだ。PCAはファミリー構成で、各種性能を異なる機種に搭載するが、次世代ステルス戦闘機としては共通だ。ロッキード・マーティンのF-22およびF-35の後継機となる。
  9. 第六世代戦闘機の開発を加速には議会内にも強力な支持派がついている。マック・ソーンベリー下院議員(共、テキサス)は下院軍事委員会委員長としてペンタゴンに敵側が投入しつつある新型機に対抗できる技術開発を「急ぐ」よう求めている。
  10. 「予算だけの問題ではない。どれだけ早く実験レベルの技術を実戦部隊に応用できるかが問われている」とソーンベリー委員長は3月16日語っている。「脅威が迅速に変化しており技術も急速に進歩している。とくにロシア、中国といったほぼ互角の実力を持つ各国を考えると背筋が寒くなる」
  11. 予算書では米海軍の目指す次世代戦闘機F/A-XXで同様の増額は求めてずRDT&Eは1.2百万ドルのままだ。■


2017年3月19日日曜日

韓国で何が起こっているのか


韓国では大統領弾劾であたかも勝利だと自画自賛していますが、すぐ隣に史上最悪の国家体制があるのに当事者意識はあるのでしょうか。仮に北朝鮮を攻撃するとしたら次期大統領が当選する前と言われていますね。5月連休が最後のタイミングでしょうか。北朝鮮が崩壊したとしても核技術を韓国が引き継げばまたややこしくなります。本当に日本の周りには面倒な隣人が多いと思い知らされますね。ここは「国民感情」は別にして地政学的に日韓の実務軍事部門がどれだけ連携できるかが大切ですね。

Korea on the Brink 崖っぷちの韓国

Analysis: President Park's spectacular fall means nothing good for U.


      tBY: Aaron MacLean

March 17, 2017 4:56 am
  1. 今や前大統領となった朴槿恵が権力の座からの追放される様子は海外は驚きを持って見ていた。昨年秋の当初の報道は雪だるまのように拡大し、世代を巻き込んで政治危機になった。親友で「心霊助言者」の崔順実の娘が著名女子大に政治圧力により入学した。「乗馬奨学金」が成績が低いこの娘のため特設され、同大学生が抗議の声を上げたのは驚くべきことではなかった。
  2. 公明正大な姿勢を目指す政府、大学当局にとってこの状況は望ましいはずがないが、他国でも特権層に甘いのは見られる出来事だ。だが話はそこで終わらなかった。崔は心霊顧問として(批判派は「カルト指導者」とか「ラスプーチン」と呼ぶ)実業界大物に働きかけ大統領に近いことを逆手に広範かつ巧妙に利益を手にしていた。大統領への影響度を測る尺度として大統領演説原稿には崔の校正が入っていたと韓国報道が伝えている。
  3. 朴前大統領弁護団はすべて大統領の知らぬところでの話として弁護に当たっている。ソウルに集まった大群衆は街路を埋め、朴の支持率はどんどん下がった。昨年12月に弾劾され、先週金曜日に裁判所が弾劾措置を支持したため、朴は大統領官邸を離れた。検察が本人を尋問するとみられる。大統領選挙は5月9日に実施される。
  4. ただし朴は今回の事件発覚前でも国民の支持は低かった。2012年の当選後もスキャンダルが数々あり、2013年には国家情報機関が当選を助けようと100万回のツィートをした件もあった。その翌年に恐ろしいセウォル沈没事件が発生し、死亡304名の大部分は高校生だった。朴はこの事件の処理がまずいと批判され、ハリケーン・カトリーナの際のジョージ・W・ブッシュ大統領の手際の良さと対照的だった。
  5. ただし崔スキャンダルの本質は実はもっと深く歴史に由来する。朴の父朴正熙は1961年に軍事クーデターで実権を握り、1979年に暗殺されるまで同国のトップに立った。崔の父親崔太敏も娘同様に精神面で強い影響を朴正熙に与え、その娘の養育にも一家言を持っていた。なお、朴の母親も1974年に暗殺されている。
  6. スキャンダル拡大で中道勢力と朴・崔二代目の談合と取引が明らかになり韓国左翼勢力は神経が逆なでされた。
  7. 保守派は初代朴政権時代を富と安定の時代として回想する傾向があり、この時代に政府の後押しでコングロマリット集団つまり今日の財閥が生まれ、爆発的な成長で世界進出し、「アジアの奇跡」と呼ばれるようになった。ただし左翼勢力は軍事独裁体制で一握りの家系による財閥支配を許し、民主体制の責任義務なしに富を蓄積した時代として記憶されている。崔事件で朴がサムソングループの合併企業運営に関与していたと明らかにされたが、朴家と財閥の関係がまだ健在だと示している。
  8. 朴の追放は行政にも大打撃だが韓国の民主体制の健全性を示す結果になった。弾劾が憲政を乱すことなく進んだためだ。ただし米国の視点から見れば残念だ。次期大統領で誰が当選しても米国と親しい関係にならず、北朝鮮に宥和的になるのは間違いない。日本の安倍、朴政権、台湾のと北東アジアに親米政権が揃う幸福な事態は短期しか続かなかった。
  9. 韓国世論調査でトップを走るのは文在寅Moon Jae-inで米国への猜疑心を隠すことなく、平壌には日光政策とでも言うべき宥和政策を主張している。二番手がAhn Hee-jungで文より現実的かつ中道よりといわれる。ただし支持率は文より15ポイント下回り、同じ党内で指名を争う関係だ。与党は候補者を絞りきれておらず、おそらくそれどころではないのだろう。
  10. 米国のTHAAD配備開始が大方の予想を裏切り先週前倒しで実施された。韓国政局の動向とくに左翼政権誕生は必至と見ての動きだ。今年夏までに配備が完了するが新大統領就任は春になる。配備を取り消すのであれば、搬入がはじまってからでは実施が難しくなると見越しての行動だろう。■



Aaron MacLean   Email Aaron | Full Bio | RSS
Aaron MacLean is a senior writer at the Washington Free Beacon. A combat Marine veteran, he was educated at St. John’s College, Annapolis, and Balliol College, Oxford. He served as an infantry officer in Afghanistan, and his final assignment in the Marine Corps was teaching English literature at the U.S. Naval Academy, where he was the 2013 recipient of the Apgar Award for excellence in teaching. Aaron is a 2016 Next Generation National Security Fellow at the Center for a New American Security, and has been a Novak Fellow, a Claremont Lincoln Fellow, a Marshall Scholar, and a Boren Scholar. He lives in Virginia, where he was born.

★★中国対抗策で米海軍ディーゼル潜水艦を日本配備し日米合同部隊を創設したら



原子力潜水艦は米国が、ディーゼル推進潜水艦は日本設計を標準にして日米が共同作戦体制を組み、かつ米潜水艦(日本他が建造すればいいですね)を日本に配備する。横須賀、佐世保は当然ミサイル攻撃を受けるので、補給拠点をたくさんある日本の国内島しょ部に臨時に設ければよい、との米海軍大ホームズ教授の主張です。しかし米海軍はかつての大艦巨砲主義ではないですが、原子力潜水艦に偏重した思考になっていますね。大丈夫でしょうか。

The National Interest


One Way the U.S. Navy Could Take on China: Diesel Submarines

March 17, 2017

  1. 米海軍潜水艦が原子力推進だけで構成されている中、ディーゼル潜水艦を追加する提案が採択される余地はあるだろうか。
  2. きわめて少ない。3月の下院シーパワー兵力投射小委員会の公聴会でこの話題が取り上げられ、「将来の海軍戦力構成」を検討した三機関がそれぞれの持論を展開した。海軍幕僚部、戦略予算評価センター、MITREコーポレーションがそれぞれ検討した内容を艦艇総数、艦種、有人艦無人艦の運用まであらゆる点に言及して陳述した。
  3. 海軍上層部は各研究成果を比較評価する。その結果から海軍は兵力構成の解説文書を作成し、議会が艦船、航空機、装備にどれだけ予算を計上するか審議する。ただし現時点でも各論者に共通の認識が生まれている。つまり海軍はこれからの任務遂行に355隻必要としており、およそ30パーセントの増加をすべきという点だ。
  4. 隻数をこれだけ増やすとなれば低コストでも威力のある艦艇を多数導入することになる。ディーゼル電気推進潜水艦がここに入る。世界最高性能といわれる海上自衛隊のそうりゅう級建造費は540百万ドルだ。議論ではこの金額を標準にする。他方でヴァージニア級原子力攻撃潜水艦は2,688百万ドルで建造している。差額が5倍あり、540百万ドルは相当低いといわざるをえない。
ディーゼル潜水艦を拒絶する米海軍の価値観
  1. MITREがまとめたハイブリッド構成の原子力・通常型潜水艦部隊構想について海軍作戦部長官房の評価部次長チャールズ・ワーチェイドが「厳しく批判した」とUSNI Newsのミガン・エクスタインが伝えている。
  2. 「当方が中国なら、ディーゼル艦を多数調達する。なぜなら戦闘が本国近辺で展開されるとわかっているからだ。一方、我が方は展開する必要があり、そのため燃料が必要だ。ヴァージニア級を就役させれば耐用年数分の燃料がついてくる。ディーゼル潜水艦に偏見はないが、母港から200マイル離れた地点で戦闘するのだろうか。結局、給油艦が余分に必要になる。給油中は脆弱になる。シュノーケルも脆弱要因だ。グローバルな海軍をめざすなら検討の対象にならない」(ワーチェイド)
ディーゼル艦は本当にに無力なのか
  1. こうしてディーゼル艦を地理、兵站、戦闘能力の各要因で排除しているが、順番に反論をしていきたい。まず、地理条件ではディーゼル潜水艦は黄海や東シナ海から離れた場所に配置されてこそ効果を上げる。またディーゼル艦では巡航距離にも制約がある。だがこの点だけを取り上げたくない。部隊を巧妙に配置すれば距離は克服できるからだ。
  2. ディーゼル潜水艦は北東アジアで広範に使用されており、第二次大戦中は米海軍が日本を相手に潜水艦戦を展開した歴史もある。戦後に海上自衛隊が創設されて60年余だが日本の潜水艦部隊は日本列島含む第一列島線の東西南北をうまく押さえている。事実、冷戦中の潜水艦活動は日本の大きな貢献であった。ソ連潜水艦を追尾し日本海、オホーツク海から太平洋への通行を監視していたため、ソ連潜水艦は大胆な動きを取れなかった。
米日合同潜水艦司令部ができれば
  1. うまく配置すれば米海軍は技術上の不利を戦略面政治面で優位点に転換できる。こういうことだ。ディーゼル艦多数を極東地区に常時配備し、戦闘場面になりそうな地区近くに置く。また米日合同潜水艦部隊とする。これが利点を生む。前方配備で航続距離の問題は克服可能だ。そうりゅう級は6,100カイリの航続距離があり、北東アジア各地を見張るのに十分だ。米日合同潜水艦部隊はそうりゅう級のような共通の艦を運用すれば相当の威力を発揮するはずだ。
  2. 列島線防衛が連合軍海洋戦略で意味を盛り返してきた中でこのアプローチは理想的だ。尖閣諸島を奪取しする等中国の不穏な動きどう封じ込めるか。北京が大事にするものを脅かせばよい。つまり西太平洋へのアクセスだ。北東アジアに潜水艦を多数配備し、第一列島線の各海峡の封鎖能力を実証すれば、中国もうかつな行動は取れなくなる。中国が接近阻止領域拒否でディーゼル艦を調達し近海で運用すれば米日両国には絶好の状況が生まれ、中国が切望するアクセスを拒否する機会になる。
  3. そこで戦略的な論理が両面から出てくる。潜水艦配備を同盟国との関係の視点から見てみよう。中国は同盟関係を切り崩したいと考え自国に有利なな状況を作り、米国を西太平洋から排除したいと考える。東京は超大国がいなくなれば不安に感じるはずだ。米国がフラフラしないことの象徴として潜水艦部隊を日本に前方配備で常駐させ運用を多国間指揮命令系統に置く以上の選択肢はない。これで米国はアジアに残ることが示される。
台湾にも共通仕様潜水艦を
  1. 東京とワシントン双方が中国の外交攻勢をものともせず、台湾にも共通仕様の潜水艦数隻を調達させるかもしれない。実は16年前にジョージ・W・ブッシュ政権が台湾にディーゼル潜水艦を8隻提供する話があった。米造船業はディーゼル潜水艦建造は数十年行っておらず、外国政府も手を貸す体制になかったため(北京の怒りを恐れたため)案件は成立しなかった。
  2. 今こそ構想を実現すべきだろう。潜水艦を提供し台湾を自衛させる。台湾には1980年代製の旧式オランダ建造潜水艦が二隻ある他、驚くべきことに第二次大戦時の艦もある。そこで各国が台湾と共同作戦をする政治上の勇気があれば台湾は米日ディーゼル潜水艦部隊作戦を連携しておこなえる。
狙われる横須賀、佐世保
  1. 次に兵站補給活動がある。米海軍に戦闘兵站部隊を拡充する必要があるのは疑う余地が無いが、これは通常型潜水艦の導入だけが理由ではない。前方配備の米潜水艦は日本の補給活動方式を採用し、哨戒活動後は母港に戻り燃料補給して海域に戻ればよい。同盟各国で陸上補給機能を強化できるが、戦時に中国は横須賀、佐世保の港湾基地も当然攻撃対象にする。そうなれば中国は戦闘を有利に展開できる。ミサイル攻撃が確実に来る前提で陸上施設が被害を受け機能を失う事態の想定で海軍部隊は貴重な燃料や補給を失うことになる。
  2. この事態に対処するため、同盟各国は太平洋戦の戦訓を紐解く必要がある。太平洋を西に進出する米海軍は燃料運搬船、補給艦、工作館を島しょ部臨時基地に配備した。日本には島しょ・入江がたくさんあり、十分活用できるはずだ。つまるところ通常動力の水上艦艇への燃料補給に加え原子力推進艦も燃料以外の補給が必要だ。(ジェット燃料がなくなれば空母の航空機運用は不可能になる) ディーゼル潜水艦向けの兵站補給もこの一環で実施できる。
海上自衛隊の潜水艦運用をモデルに
  1. そして三番目にディーゼル潜水艦の弱点を忘れてはならない。ディーゼル潜水艦は定期的に浮上するかシュノーケルで空気を取り入れエンジンで充電する必要がある。シュノーケルレーダー探知されやすい。ただしそうりゅう級は「大気非依存推進」を搭載し、最大二週間潜行したままでいられる。海上自衛隊と日本政府はこの方式の妥当性を正しく評価している。一方で海自潜水艦部隊は戦術配備方式を完全にマスターして相当の時間にわたり北東アジアで哨戒、待機して母港に戻る活動を繰り返している。
  2. ここに米艦が加われば部隊規模は拡大し、哨戒出動可能な艦の確保が楽になる。ローテーション投入できる潜水艦が増えれば、航海日数を短縮化できる。結論として、母港が危険地域となる出動海域から近くなれば兵站補給活動も充実し多様化できる。そうなれば敵対勢力を怯えさせるが同盟側へは安心材料となる。
  3. その意味でMITRE提案は耳を傾ける価値があり、非難対象ではない。ディーゼル潜水艦は米海軍の未来の選択肢である。その選択肢を実行に移すきかが議会と海軍が真剣に考えるべき課題だ。■
James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific (second edition forthcoming 2018). The views voiced here are his alone.


2017年3月18日土曜日

ロシアの改ヤーセン級潜水艦は要注意、ロシア初の多用途攻撃潜水艦



War Is BoringWe go to war so you don’t have to

ヤーセン級潜水艦の艦体図. Illustration via Wikimedia

Russia’s Most Formidable Nuclear Attack Submarine Is Almost Ready

‘Kazan’ prepares to launch

by DAVE MAJUMDAR

ロシアがヤーセン級原子力攻撃潜水艦の二号艦を3月30日に進水する。艦名はカザンで、885Mプロジェクトの設計を手直しし、多くの面で一号艦K-560セヴェロドヴィンスクを上回る。
  1. ロシア海軍はカザン引き渡しを2018年に予定する。作戦投入されれば米海軍に最強の相手となる。「潜在敵国が投入する原子力潜水艦で一番高性能の艦となるはず」と海軍分析センターでロシア問題の専門家マイケル・コフマンがNational Interestに語っている。
  2. カザンにはセヴェロドヴィンスク建造が始まった1993年以降に登場した技術が盛り込まれている。カザンは旧式艦での教訓も同時に採用している。
  3. プロジェクト885の各艦が従来のソ連、ロシアの潜水艦設計と一線を画し多任務を想定しているのは米シーウルフ級やヴァージニア級に通じるものがある。
ヤーセン級攻撃潜水艦. Photo via the U.S. Naval Institute
  1. マイケル・コフマンはノーマン・ポーマーと共著で米海軍協会のProceedings誌に「ロシア初の真の意味の多用途潜水艦だ」と解説している。「セヴェロドヴィンスクは対潜、対艦、陸地攻撃をすべてこなす。興味を惹かれるのは艦首の大型ソナードームでイルティシュ-アンフォラ Irtysh-Amfora 製ソナー装備があることと艦中央部の垂直発射セルでカリバー(SS-N-27/30シズラー)またはオニクス(SS-N-26ストロウバイル)の巡航ミサイル32発を搭載する。対艦・履行上攻撃用装備の搭載はロシア水上艦・潜水艦が長距離ミサイルをシリアに向けて2016年発射しており注目される」
  2. ロシアはプロジェクト885M潜水艦を計7隻建造する予定で、ノヴォシビリスク、クランスヤルスク、アルハンゲリスク、ペルムが白海に面するセヴェロドヴィンスクのSevmash社が建造中だ。
  3. その一方でロシアが狙う次期攻撃潜水艦は米海軍の弾道ミサイル潜水艦を狩るのが目的だ。
  4. 同上記事の両著者によれば「新型SSNは西側SSBNに対抗するもので、相当の規模の建造になるはずだが、現時点では建造は数年先に開始という以外はわからない」
  5. きわめて強力な新型攻撃潜水艦を開発する技術水準がロシアにある音は疑う余地はない。問題はクレムリンが必要な予算を確保できるかだ。■
This article originally appeared at The National Interest.


2017年3月17日金曜日

★KC-46不足のため100年間飛び続けそうなKC-135はまだまだ健在



100年前といえば、第一次大戦がおわろうかというときですが、その当時の機体が今も飛んでいるというのと同じ話ですね。航空機の発展があきらかに停滞してきたのか、50年代の設計がよほど頑丈になっているのでしょうか。10年前の乗用車をそのまま乗ることも無理ではないですが、少ないですよね。しかしKC-135のブーマー操作員は腹ばいの無理な姿勢をまだ続けることになりそうですね。

Aviation Week & Space Technology

Short On Cash For KC-46, U.S. Air Force Eyes Souped-Up KC-135

Mar 9, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology
KC-135 Stratotanker
ボーイングKC-46新型給油機を十分調達する予算が足りないため、米空軍は代替策として機齢60年のKC-135ストラトタンカーに最新装備を搭載しあと40年の供用ができないか検討している。
  1. 空軍は次世代給油機KC-46を179機導入を第一歩とし給油機部隊を更新したいとする。だがボーイングのペガサスが完全に供用できるのは2028年度になる。残るKC-135の300機は将来のKC-YまたはKC-Zが実用化になる2030年から2040年まで主力のままと残る。
  2. 統合軍体制のストラトタンカー頼みは今後も続き結局100年間飛行することになると航空機動軍団(AMC)のカールトン・エヴァーハート大将は述べている。
  3. しかし1950年代のウェポンシステムを改修する代わりに新型KC-46をなぜもっと導入しないのか。全ては予算が原因だとエヴァーハート大将は説明。大将は空軍協会主催の航空戦会議で報道陣に語った。
  4. 「全てはお金であり、資源であり、継続決議(CR)です」とし、議会が政府支出の4月までのつなぎをしていることを言及した。財政年度の最後の数ヶ月をCRで運用するのが今や通常になっているが、CRでは現時点の支出規模しか認めず、新規事業でも予算が自由に使えず、長期的には混乱が生まれているのだ。
  5. KC-135を退役させてもKC-46資金が生まれるわけではない。国防総省では運用維持(O&M)予算を調達勘定に流用できない仕組みがあるためだとリチャード・アブラフィア(Tealグループアナリスト)は指摘する。
  6. アブラフィアは「国防総省の難問は調達勘定とO&M勘定が別になっていることですね」としつつエヴァーハート大将は「現実的になっている」と付け加えている。
  7. KC-46の追加導入の代わりにKC-135を近代化すれば空軍に給油能力が追加されると指摘するのはトッド・ハリソン(戦略国際研究センター)だ。空軍が今の段階でもっと給油機が必要なら、KC-46追加導入では間に合わない。なぜなら現在の生産予定では機材が利用可能になるのは2020年代以降とハリソンは指摘する。
Boeing’s next-generation KC-46 assembly line
米空軍はボーイングの新型KC-46ペガサス運用を2017年から開始する。Credit: Boeing

  1. 一方で空軍としてはKC-135が将来の戦場でも生き残れるようにしておきたいところだ。操縦席に液晶ディスプレイを導入し、レーダー高度計、オートパイロット、デジタル飛行指示他コンピュータ換装で総額910百万ドルのブロック45改修を進めている。だがAMCは次のブロック改修の方向を検討中とエヴァーハート大将は述べている。
  2. エヴァーハート大将はリンク16や見通し線外通信装置を導入したいと考えており、KC-135にも画像他のデータをリアルタイムに近い形で他機種と共用させたいとする。機体防御も段階的に導入し、電子対抗措置でジャミングへの有効策を、機体防御装備や音紋制御まで考えているかもしれない。
  3. 「KC-135は相当期間飛び続けることになるが、ネットワーク化した多面的な指揮統制環境に入り、敵は当然こちらの給油機を狙ってくるはずだ」とジョン・トーマス准将(戦略立案担当)は述べる。
  4. さらにKC-135にはFAA認定の自動従属監視送信装置(ADS-B)が搭載されつつある。これはGPS技術で機体の位置、対空速度他データを得るものだ。
  5. 「KC-135は傑作機ですが近代化が必要なのは否めません」とエヴァーハートは述べている。「この機体を使い、将来のKC-Zにつなぎます。またKC-46の新型電子装備をKC-135にも導入したい」
  6. それでもハリソンは空軍は自らを追い詰めないよう配慮が必要と指摘する。KC-135改修の代償は長期にわたる機能の発揮になるからだ。
  7. ハリソンも「空軍もあと何年707を本当に飛ばすつもりなんでしょうね」という。■


★南シナ海での中国への対抗手段を日米豪印シンクタンクが検討した結果



The National Interest


How to Push Back Against China in the South China Sea


March 16, 2017

ワシントンで最近毎年恒例のトラック-2「クアッドプラス」対話が開かれた。参加したシンク・タンクはオーストラリア、日本、インド、米国の四カ国で、別に招待された「プラス」国は今回はシンガポールだった。
  1. 今回の対話は重要なタイミングのもとで開催された。民主体制四ヵ国並びにその他民主主義国は一連の課題に直面している。前回からの12ヶ月でロシアがクリミア半島で地位を固め、ウクライナ東部でも「グレイゾーン」だとして紛争を巻き起こした。中国は南シナ海(SCS)で拠点を要塞化し、国際仲裁裁判所の出した結論を無視している。また多くの国で選挙に忙殺されグローバルな問題が後回しになっている。
  2. 価値観とともに政治機構も共有している各国であり、それぞれの問題は理解できる。問題は各国の力をどう調整して共通課題に対処したら良いかという点だとわかった。
  3. 今年は米国から南シナ海問題に関し緻密なペーパーがジェイムズ・クラスカ教授(米海軍大学校)から提示された。教授は中国の一方的なSCS活動に三段階で対処すべきと主張。うち二点は当方の主張と同様だ。米航行の自由作戦(FONOPS)を支援、補完し、2016年の国際仲裁裁判所の出した判決の法的根拠を強化する点だ。
  4. まず2つの方法論を守りつつクラスカ教授は他国(残りの四カ国含む)もFONOPSを実施し国際海洋法の執行を強化すべきと主張。FONOPSで社会の関心も上がれば、作戦実施の負担は各国で共有できる。FONOPSは国際仲裁裁判所判決を尊重し法による支配の原則を強化維持を各国が図るべきという。
  5. SCSに関する外交活動で仲裁判決を高く掲げる必要が有ることでは異論がないがFONOPSはオーストラリア他が躊躇する選択肢だ。だがクラスカ教授の三番目の対策に一番興味を覚えた。合法的対抗策の実施だ。ここで言う対抗策とは他国の権利を阻害する国家に国際法に従って相応の対価を支払わせることだ。合法性を担保するため、行動はバランスの取れたものであるべきで、無関係の第三国を不利にせず、より広い国際規範に合致させる。たとえば人権の尊重だ。
  6. SCSで中国は他国権利を制限しており、UNCLOSに反する。とくに無害通航権をEEZ内部で制約なしで認めてきた流れに反する。ただし今の段階で中国は外交抗議以外の手段はとっていない。そこで各国による合法的対抗策は中国艦船や航空機に各国EEZや領海内で同様の制約を加えることだ。中国艦を尾行し退去を求める。誤解ないようにここで考えているのは探照灯や拡声器の使用であり、砲門を開くことではない。
  7. これはいろいろな点で有益だ。まず、裏返して同じ状況が生まれる。つぎに第三国の主張権利を侵害しない。だが、一番の理由はFONOPSで直面している費用対効果の悩みを相手側にも与える効果だ。
  8. 正しいか誤っているかは別に中国はSCSを中核的権益ととらえており、自国権益を守るべく主張を一層強めている。中国の国内感情は強く政府としても引き下がれない状況だ。FONOPSは中国の主張に法的根拠がないことを改めて示す意味があるが、国際裁定結果が出てからは中国は合法性に二次的な意味しか認めていないのは周知のとおりだ。FONOPSの実施を慎重にすれば中国を過剰反応させずエスカレーションのリスクも生まれない。
  9. 中国艦船に他国海域通過を困難にさせても上記の懸念は発生しない。非対称だった領土領海の主張がひっくりかえり、反対意見に意味が増える。エスカレーションのリスクは対策を行う国の手に握られる。各国が権利を明確に主張しても、リスクは中国が主張する海域でFONOPSを行うより相当低くなる。
  10. 合法的対策で四カ国の行動を制約される要因は皆無だ。各国が実施できる戦略だ。四カ国はそれぞれの海軍力や海空の能力の恩恵があってこそ同戦略を追求できる。個別では警告を出すことだけでも、集合すれば相当の威力になる。検討の価値がある考え方であり、次回FONOPSの議論が頭をもたげた際に再度思い出す価値がある考え方だろう。■

なるほど、目には目を、というわけですか。もしこの戦略を実施するなら国際海峡を多数有するわが国は厳格な執行が必要となりますね。特に尖閣ではEEZは愚か接続水域まで現在はわがもの顔で中国艦船が通過していますので、今の措置では足りなくなります。海上保安庁があれば法執行が可能と主張する向きがあるようですが、日本漁船が追い回される現状をどう見ているのでしょうかね。海上自衛隊を出さないことで抑止力になっているとの議論もありますが、日本以外の各国からは奇異な意見だと写っているのでは。人権は中国にとって一番触れてもらいたくない点ですね。結局、中国は異質な価値観にこだわれば孤立を深めるでしょうね。



2017年3月16日木曜日

再び遅延するPAK-FA(T-50)


出る出る詐欺のようなPAK FAですがさらに実戦配備が遅れそうです。ロシア航空産業の実力が低下しているのかもしれません。インドとの共同開発もこれで遅れることになるのでしょうか。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
T-50のエンジンコンプレッサーが不良となっている。 Photo via Wikimedia

Oof — Russia’s Stealth Fighter Delayed Again

The problem is with the engines

by DAVE MAJUMDAR

スホイT-50 PAK-FAステルス戦闘機開発が再び遅延している。エンジンテストが2018年に先送りされたためだ。
  1. 「現時点での作業はロシア国防省との契約の枠内で実施中」と合同航空機製造会社のセルゲイ・コロトコフがTASS通信に語っている。「フライトテストは実施中だ。来年第二段階に入る」
  2. もともと新エンジンは2017年第四四半期にPAK-FAでフライトテストを始める予定だだった。
  3. 次世代エンジンのサトゥルン・イズデリエ izdeliye 30 (別名イズデリエ129)をT-50用に開発した。推力はドライで24,054ポンド、アフターバーナー付きで39,566ポンドといわれる。
  4. 新エンジン搭載でPAK-FAはロッキード・マーティンF-22ラプターに匹敵する運動性能を発揮すると期待されている。アフターバーナー無しで巡航速度がマッハ1.5で高度60千フィートで最高速度はマッハ2.0を超える。
  5. ロシアはステルスより操縦性や運動性能を重視し、エイビオニクスも充実しているようだ。
  6. 「目にした分析内容ではきわめて洗練された設計で米第五世代戦闘機と同等から一部では優れているとあった」と米空軍で情報部門に籍をおいていたデイヴ・デプチュラ中将は述べていた。「推力ベクター、尾翼が全面的に可動式で空力学上も優れた設計でF-35を上回る」が、アクテイブ電子スキャンアレイレーダー、赤外線センサー、電子戦装備をどこまで統合したエイビオニクスになっているか疑問だ。
  7. 米国の場合は数十億ドルを投じ複雑な統合エイビオニクス装備やパイロット機体間インターフェイスを作り上げ、ラプターは相当の威力のある機体に仕上がった。
  8. 最終的にロシアはPAK-FAでも不具合点を潰して高性能機として配備するはずだが、これから何が起こるのか、クレムリン予算で何機調達できるかも不明だ。■