2017年12月6日水曜日

★★F-15Jは有効なミサイル母機になれるか JASSM-ER、トマホーク...空中発射巡航ミサイル保有を目指す日本



F-15の最後の(?)任務はミサイル発射なのでしょうか。その任務拡大はF-3につながるのでしょう。この任務にP-1は使えないでしょうか。中国、北朝鮮、さらに韓国までがこの動きに反対するでしょうし、国内勢力にも手を回し一大反対運動になりそうです。それだけ反対するのは相手に都合が悪い証拠で、抑止効果の第一歩ともなります。


Japan May Turn Its F-15J Eagles Into Cruise Missile Carriers

日本はF-15Jをミサイル母機に変えるのか

Being able to strike deep into contested territory over long-ranges and at short notice is on Tokyo's weapons wish list.

敵地を長距離地点から最小限の探知可能性で攻撃する能力を日本が求めている

CP9ASNGF/WIKICOMMONS
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 5, 2017
本が戦略面で分岐点に来た。憲法第九条の厳格な順守の時代は終わろうとしている。新旧の脅威が高まっているためだ。日本政府は第二次大戦後の制約を取り払い高能力かつ長距離に展開可能な軍事力を整備し国境線をはるかに超えた地点への兵力投射を狙うようだ。北朝鮮の脅威が拡大する一方で、中国とも尖閣諸島巡り対立があり、日本は迅速に防御固い敵中心部の攻撃能力整備が必要と認識している。
当誌のトレヴィシック記者が空中発射巡航ミサイルを求める日本の動きを解説しているが、日本の報道では共用空対地スタンドオフミサイル距離拡大版JASSEM-ERの導入を期待しているとう。同報道で目新しいのはF-15Jで2千ポンド級の高性能装備を発射しようとしている点だ。
日本には200機近くのF-15と20数機の複座F-15DJがある。現在は各機は航空優勢、迎撃任務に投入されているが、巡航ミサイル運搬用にも使えるはずだ。D型がこの任務にぴったりに見える。
USAF
航空優勢任務を中心にしたF-15A/B/C/D各型を攻撃用機材に転用した事例は前にもあった。F-15A/Bが長距離攻撃任務に投入されたことがある。F-15Eストライクイーグルの登場前のことだ。先陣を切ったのがイスラエル空軍でその後10年でIAFのイーグルは多用途戦闘機、ネットワーク強化機材、偵察機、前方指揮統制機にと多様に進化していった。
一見すると奇妙な組み合わせだがJASSM-ERは日本のイーグル装備として理想的かもしれない。F-15Jは長い航続距離を持ちJASS-ERを抱えても長距離飛行できるのではないか。これで500マイル超という同ミサイルの運用半径がさらに広がる。またKC-767の空中給油でF-15の行動範囲も伸びる。すべて合わせれば日本から数千マイル離れた地点も確実に攻撃できる手段になる。
HUNINI/WKICOMMONS
KC-767Aと F-15J


これが実現すれば北朝鮮国内の攻撃に非常に有効となり、同時に中国の尖閣諸島上陸等にも抑止効果が生まれる。
日本国内報道では新型空中発射巡航ミサイルに艦船も数百マイル先から攻撃させたいとの意味不明な内容がある。日本がJASSM-ER対地攻撃をまず実用化してからロッキードと共同でJSSSM-ERに対艦攻撃能力を付加し同じくロッキードの長距離対艦ミサイル(LRASM)同様の存在に変身させることはありうる。また国産で両用対応の巡航ミサイルを開発し、先に配備するJASSM-ERを補強するのかもしれない。時間がたてば意味がわかるだろう。
自衛隊がF-35を後年に実戦配備するが、第五世代戦闘機開発を棚上げしてF-35導入規模が拡大する可能性もあり、JASSM-ERはF-15に新しい存在意義を与えるだろう。
空中発射巡航ミサイルの効力を高めるのは海上および沿岸部に配備する長距離巡航ミサイルの追加だ。そこでトマホーク巡航ミサイルの最新型(簿ロックIV TACTOM)が出てくる。トマホークは今や対地、対艦両用に使えるようになり、垂直発射管からの発射も可能で、イージス艦や今後建設されるイージスアショアからの運用も可能だ。


PHOTO BY © CORBIS/CORBIS VIA GETTY IMAGES
B-52がAGM-109空中発射式トマホークをテスト発射した。A-6にも同様の機能が期待されたが結局実現しなかった。
マホークは空中発射も可能だ。AGM-109として米海軍、米空軍が一時は運用に期待していたが、現在は同ミサイルを運用可能な機材がないし、生産中のトマホークは空中発射用に最適化されていない。F-15は大型かつ強力なためトマホーク運用の可能性を秘めるが、トマホークはJASSM-ERと異なり残存性が劣る。とはいえ、トマホークに統一する選択肢は非常に柔軟な結果を生み、レイセオンは喜んで空中発射型を提供するだろう。
本が目指す新しい戦略的な役割については今後も伝えていく。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

ズムワルト級二号艦が海上公試を開始!

建造主による公試ですから海軍によるテストもこれからで就役はまだ先ですね。ズムワルト級は全部サンディエゴに配備するともいわれていますが、米海軍は三隻しかない同級をどう使うつもりなのでしょうかね。期待された高性能砲弾もあまりの高額のため取り消しになっていますね。


Navy's 2nd Stealthy Destroyer Heads Out to Sea for 1st Time

ステルス駆逐艦二号艦が初の海上公試に出港

future USS Michael Monsoor 1800
The future USS Michael Monsoor passes Fort Popham travels down the Kennebec River as it heads out to sea for trials, Dec. 4, 2017, in Phippsburg, Maine. (AP Photo/Robert F. Bukaty) -- The Associated Press
The Associated Press 5 Dec 2017
BATH, Maine — 米海軍のステルス駆逐艦ズムワルト級二号艦が12月4日、初の建造主による海上公試に出港した。
海軍引き渡しでUSSマイケル・マンソー(DDG-1001)となる同艦はケネベック川を下り北大西洋に入った。そのまま数日間海上で過ごしてからバスアンアンワークスに戻り補修を行う。
マンソーは三隻建造になった同級の二番艦で電気推進方式を採用したほか、新型レーダー、ソナーを搭載し強力な主砲、ミサイルとステルス艦形が特徴だ。
一番艦USSズムワルトは就役ずみでサンディエゴを母港にしている。三番艦リンドン・B・ジョンソンは建造中。
艦名は同名のネイビーSEAL隊員にちなむ。イラクで2006年に敵の投げた手りゅう弾に自らを盾にし戦友を守った。25歳だった。死後に名誉勲章を受けている。
三隻は米海軍史上最大かつ技術最先端の駆逐艦で、同時に最も高額となり海軍の予算資料によれば三隻の建造費は129億ドルだ。■
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This story has been corrected to show the second destroyer is named the Michael Monsoor, not the Lyndon B. Johnson.
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This article was from The Associated Press and was legally licensed through the NewsCred publisher network. Please direct all licensing questions to legal@newscred.com.

★よくわからない長距離巡航ミサイル導入構想(日本)

Govt considers long-range cruise missile


Mitsubishi F-15 (1)
By 航空自衛隊 [GJSTUv1], via Wikimedia Commons
http://alert5.com/2017/12/05/japan-mulls-strike-variant-of-f-15j-to-be-armed-with-jassm-er/#KLlitrjLAjWz8WKq.99 で詳細を読む8:25 pm, December 05, 2017

The Yomiuri Shimbun
府が空対地、空対艦長距離巡航ミサイルの導入を検討中だ。
新型ミサイル導入の主目的は有事に敵艦船を戦闘機で撃破することだと消息筋が伝えている。
同時に北朝鮮を意識し日本の抑止力を高める狙いがあるとみられ関連費用を来年度予算要求に盛り込む。
検討対象のミサイルは米開発のJASSM-MRで航空自衛隊のF-15など現行機種で運用できないので改修とシステム搭載が必要だ。
防衛省は平成30年度予算に関連経費を計上していないが、政府筋によれば同省は「機体改修の研究費を平成30年度内導入を前提で計上する最終調整中」だという。
JASSM-ERの射程は900キロ以上と言われる。つまり北朝鮮に接近せず日本海上空から同国各地を攻撃できる。
ただし専守防衛の立場で政府は敵基地攻撃能力を保有しないとしている。憲法上はこの能力の整備は可能だ。
政府は2018年末の新防衛大綱の準備として敵基地攻撃能力を検討する。
防衛省は対艦ミサイル研究を平成30年に開始するが対地攻撃能力も同ミサイルに付与する予定だ。2022年に試作品を完成させ数年で実戦化する。JASSM-ERはその前に導入する予定だ。■

2017年12月5日火曜日

アイスランド基地を再稼働させロシア潜水艦への警戒を強める米海軍

米空軍の実験:高速飛行で燃料消費量を抑える?

 

原油価格が落ち着いている現状でも省エネは大事な課題です。
今回の記事で言う高速飛行がどの程度なのか触れていませんが、本当にこの通りならいいことずくめなのですがね。これができるのも空中給油機を展開できる米空軍ならではなのでしょう。

Could flying faster save the Air Force fuel?

高速飛行で米空軍は燃料消費を抑えられる?

Two F-22 Raptors prepare to take off during an Air Force Operational Energy mission at Joint Base Elmendorf-Richardson in Anchorage, Alaska, Aug. 13, 2017. The aircraft were part of a demonstration to assess if flying at an increased speed consumes less fuel while saving precious flight hours. (U.S. Air Force photo by Corrie Poland)
Two F-22 Raptors prepare to take off during an Air Force Operational Energy mission at Joint Base Elmendorf-Richardson in Anchorage, Alaska, Aug. 13, 2017. The aircraft were part of a demonstration to assess if flying at an increased speed consumes less fuel while saving precious flight hours. (U.S. Air Force photo by Corrie Poland)

By Corrie Poland, Air Force Operational Energy / Published December 04, 2017

JOINT BASE ELMENDORF-RICHARDSON, Alaska (AFNS) -- 日曜日朝のアンカレッジ郊外でハワイ州軍所属の戦闘機パイロットがエルメンドーフ-リチャードソン共用基地に集まり当日の運航ブリーフィングを受けている。三週間にわたるレッドフラッグアラスカ演習が終わったばかりだ。

  1. コーヒーをすすりながら担当官の説明に耳を傾け、パイロットたちは当日のミッションは簡単ながらユニークなものと理解した。空軍運用エネルギー事業Air Force Operational Energy Programの支援としてF-22の六機はパールハーバー-ヒッカム共用基地からアラスカに移動し、途中KC-10エクステンダー給油機二機の支援を受けた。2017年8月13日のことで、飛行速度を増やすと運航中のエネルギー消費の最適化につながるかを見極める目的があった。
  2. 「資源の保全は重要」と編隊隊長ダン・トンプソン大尉が述べる。「良い訓練が戦闘能力の確保には絶対必要で、資源や時間の有効活用で訓練効率があがるのです」
  3. 高速飛行で燃料消費が下がるとは常識に反するようだが、第618航空作戦センターが2014年に提唱し、高速飛行で燃料消費量が減り飛行時間が短縮されるとの主張には実証が必要だった。
  4. そこでF-22飛行隊に空中給油機を付けて高速飛行させた。別の飛行隊には標準飛行速度を守らせた。5時間に及ぶフライトで研究陣はデータ多数を集め結果を比較対照した。高速飛行部隊は飛行時間を1割短縮し次回のミッションでは燃料注入量を6%減らした。
  5. 「この形なら運用コストと合わせてもっと大事な時間を節約でき、大切な実戦や訓練にあてることができる」
  6. 米政府で空軍は年間50億ドルもの支出をする最大の燃料消費機関で、省エネを図りながらミッションを成功させようとしている。次の段階はこの手法を戦闘機部隊全体にひろげることだ。
  7. 「運用時の燃料消費を効率化して投入機数を最大にしながら予算を節約すれば納税者にも朗報だ」と航空戦闘軍団司令部のラッセル・ジョンソン中佐が説明している。
  8. 空軍運用エネルギー改善事業のミッションは既存の壁を空軍の持つ人員、情報、画期的な考え方を投入してトップクラスの成果を出す解決策を空軍組織全体に応用することを目指している。くわしくは以下を参照されたい。www.safie.hq.af.mil/OpEnergy/ あるいは www.Facebook.com/AirForceEnergy.

2017年12月4日月曜日

KAI:T-50値下げでT-X採用に期待し、スキャンダルの影響を脱せられるか

T-Xで機体価格を値下げしないとT-50は勝てそうもないのでしょうか。ロッキードの要望を受け入れて社員の人件費も下げるとその後どんな副作用を生むのか、スキャンダルで経営陣交替と言うのも悲しいですが、政府の「天下り」(韓国にもこの表現があるのでしょうか)トップの経営手腕が問われそうですね。
KAI considers price cut of T-50 unit to win bid: new CEO
KAI新CEO:T-50機体価格値下げで採用をめざす


KAI expresses confidence for next year, despite damage of reputation over recent corruption case
KAIが来年の展望を示したが、同社は汚職案件で評判を落としている。


By Shim Woo-hyun Published : Dec 3, 2017 - 16:50


SACHEON, South Gyeongsang Province -- 米次期練習機案件の成約を狙っていると韓国唯一の航空機メーカーKAI(韓国航空宇宙工業)の新トップが121日に語った。

  1. 慶尚南道泗川市の同社本社で開かれた記者会見で社長兼CEOに就任したキム・ジョウォンKim Jo-wonはKAIが米提携先ロッキード・マーティンの要望でT-50高等練習機の機体価格を引き下げると述べた。 
  2. 「ボーイングとの競合に勝ち抜くためロッキード・マーティンから価格値下げの要望があり、KAIには生死の境目となる商機であり労務費含めコスト削減に取り組んでいる」
  3. 発言の背景には米空軍が進める高等パイロット養成機材T-Xが17兆ウォン(150億ドル)と巨額な規模になっており、2018年第一または第二四半期に選定結果が発表される見込みになっている事情がある。
  4. KAIは保守整備ビジネスへの参入も検討しており、長期にわたり売り上げの安定化を狙う。韓国政府の認可は1月に出そうで、KAIは子会社を設立し事業にあたらせるとキムCEOが述べた。
  5. 同CEOは政府出身で主に監査畑を歩いてきたが10月にKAIトップに選任されたのは旧経営陣が汚職・横領で退き空白ができたためだ。
  6. 同社の評判と業績に傷がついた形だが来年の回復をめざす。すでにヘリコプター納入を再開し、海外市場での追加受注を期待する。
  7. 本年第三四半期には航空機輸出売上が92.5パーセント、軍用売上で34.5パーセント下がった。
  8. KAIは軍、森林局、警察向けにスリオンヘリコプター30機を来年納入する。また780百万ドルでフィリピン政府にFA-50PH訓練シミュレーターの2019年三月引き渡しの契約を成立させている。
  9. キムCEOによれば2018年のKAIはアルゼンチン、ボツワナ、インドネシア、フィリピン等へFA-50PH練習機の輸出を進める。また別の二国での成約に期待する。■

金正恩斬首作戦で生じる望ましくない結果4例

世界の指導者の中で暗殺が公然と話題になるのは金正恩くらいでしょう。斬首作戦が実行に移されるかはわかりませんが、北朝鮮の「清算」は大変です。本当に面倒な事態です。では金正恩にどう退場していただくのかが課題ですね。



4 Reasons Why Assassinating Kim Jong-Un Could Become a Total Disaster

金正恩の暗殺がまずい結果を生む四つの理由
December 3, 2017

朝鮮はICBMテストで再び国際社会を人質にとった。韓国の反応が注目されていないが、北朝鮮への先制攻撃能力を整備を「キルチェーン」戦略で進めている。関連してソウルは北朝鮮指導部の斬首攻撃の能力も整備し金正恩含む指導層の暗殺をめざしている。
 斬首攻撃で一番大事な質問が抜けている。その後どうなるのか。韓国は金正恩が攻撃に向かう前に食い止めるのが斬首作戦の目的とするが、北朝鮮がこの脅威で自制するとは思えない。斬首攻撃が成功した場合に多様な影響がうまれるが一部でも検討する価値はある。


1.総合戦
北朝鮮は世界有数の閉鎖社会で判らないことが多数ある。その一つが軍事指揮命令系統で、上層部がどれだけ忠誠なのかも不明だ。軍は金正恩が抹殺されても士気喪失せず国家のために戦うのではないか。
 軍エリート層は現行の政治体制から恩恵を受けており、生まれてからすぐ始まる思想教育で金一族への忠誠を叩き込まれており、金正恩が死亡しても変わらない。さらに国が攻撃を受けて上層部が消滅しても軍指導部が淡々と攻撃計画を実行に移すだけだろう。
 ソウル攻撃がその一部で一千万ちかくの住民に砲弾数万発の雨をふらせる。また米軍基地へのミサイル攻撃もある。一部は生物化学兵器となろう。また韓国のみならず米国への核ミサイル攻撃もありうる。これは斬首作戦への報復として攻撃を仕掛けた結果、国内に侵攻があった場合だ。


2. 内戦の勃発
金正恩は鉄の統制で統治している。だが突如として本人が側近とともに死亡した場合、後継者は不明となる。軍は外敵に立ち向かうどころでなくなり、軍内部の反対勢力や一般市民の始動層へ対応を迫られるかもしれない。
 韓国との全面戦争よりはこちらが望ましいともいえるが、事はそう簡単ではない。難民が大挙中国へ向かうだろう。中国が進駐し国内秩序が回復する可能性も排除できないが、これではソウルがめざす韓国主導の半島統一に逆行する。混乱は韓国にも波及するだろう。
 韓国、中国、米国、その他世界の懸念は北朝鮮の核兵器、生物兵器、化学兵器の行方だ。上記三ヵ国には大量破壊兵器の確保が急務となり、このため総合戦のシナリオが現実になるかもしれない。


3. 国家崩壊
金一族が消えれば北朝鮮の国家体制は一夜にして崩壊し混乱状態が生まれる可能性がある。このため内戦同様の状態が生まれる。混乱鎮圧とともに北朝鮮の大量破壊兵器の確保を名目に中国、韓国、米国が国内に進軍する可能性もある。
 最大の危険は中国軍と米韓連合軍の衝突だ。北朝鮮軍の残存兵力との戦闘もあり得るが最大のリスクとはいいがたい。
 ただし危機はこれだけではない。中国、米国、韓国間で調整し武力衝突を避けたとしても、実際に米中間でこの課題を検討中といわれるが、朝鮮人民は民族主義の傾向がきわめて強く、中国の支配を長く受けてきた。さらに北朝鮮は70年間にわたり反米が染みついた国である。イラクやアフガニスタンでの米国の経験は国内反乱勢力の鎮圧がいかに困難かを示しており、中国や韓国が処理できるとはとても思えない。


4. 再統一
最良のシナリオは金正恩含む上層部の除去で朝鮮半島再統一が比較的スムーズに進むことだ。これが最も望ましいものの課題もある。統一費用は1兆-5兆ドルとの試算がある。
 実際の費用は試算の上方に向かいそうだ。直近事例はワルシャワ条約崩壊後のドイツ統一だ。西ドイツから東に2兆ドルの富の移転が発生したが、東ドイツの人口は1989年時点で西の四分の一で、一人当たり所得は西の三分の一だった。ウォールストリートジャーナルのピーター・M・ベックが以下書いている。
 「北朝鮮の一人当たり所得は南の5%未満だ。毎年の韓国GDP増加分だけで北朝鮮経済全体に相当する。北の人口は南の半分だが出産率が高く急増中だ。北朝鮮の生活水準を同等にするには当時の東ドイツより大きな規模の資源が必要だ」
 朝鮮半島の再統一費用がそこまでの規模にならない可能性もある。まずドイツ並みの社会保障のしくみはないので、コストを下げられる。さらに韓国が海外直接投資で統一費用を確保する可能性も北朝鮮の膨大な鉱業資源を考えればありえる。統一で韓国に若く頑健な労働力が手に入る。とはいえ再統一は短期で極めて大規模な支出を伴う。


 斬首作戦を実施したい気持ちは理解できるが、その後どうなるのか、との質問はないがしろにはできない。■


Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: North Korean soldiers stand guard at the beginning of the parade celebrating the 70th anniversary of the founding of Workers' Party of Korea in Pyongyang October 10, 2015. Isolated North Korea marked the 70th anniversary of its ruling Workers' Party on Saturday with a massive military parade overseen by leader Kim Jong Un, who said his country was ready to fight any war waged by the United States. REUTERS/Damir Sagolj​

B-52エンジン換装は2020年以降に先送り、その他米空軍主要戦略事業の概況



No $ For New B-52 Engines Til 2020; Nuke Modernization Moves Ahead: Gen. Rand

B-52エンジン換装の予算がつくのは2020年まで無理、核近代化は前進とランド大将
B-52H Stratofortress
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on November 30, 2017 at 5:09 PM
  1. ロビン・ランド大将Gen. Robin Randは米空軍の爆撃機、ミサイル部門のボスで老朽化進むB-52のエンジン換装を本当に望んでいる。空軍は関心を有する企業を招きに二日にわたり情報公開セッションを行うが、ボーイングロールズロイスがすでに受注目指し動きはじめている。だがランド大将はAssociation of Old Crows主催の会議に集まった記者に早くても2020年まで予算のめどがつかないと述べた。
  2. 76機残るB-52Hのエンジン交換実施は当然その後になる。空軍は新型B-21爆撃機やICBMの更新を控えており、海軍にもミサイル潜水艦の建造事業がある。
Air Force photo
Gen. Robin Rand
  1. B-52エンジン換装は「検討課題であり進めたいが、長官の前では口ごもらざるを得ない」
  2. つまり「エンジン換装の決断に今までになく近くなっている」が「それだけ事態が切迫しておりB-52を今後も供用するならエンジン換装が必要だ」とする。
  3. この点で後押しする企画が技術公開日で、実際は12月12日13日の二日間ルイジアナのバークスデイル空軍基地が会場だ。公式案内では空軍が民間から情報を求める企画で正式提案を受けつける意図はなく、調達を決めるわけでもないが、空軍が求める契約の大枠がわかるはずだ。
  4. 業界は大いに興奮しており、ボーイングは8月に5分半の動画をYouTubeに掲載し、同社のエンジン換装案を広報した。9月にはロールズロイス役員トム・ハートマンがFlightGlobalで「急いで対応する」と述べていた。
  5. だが実際はそうではない。「FY20年度計画の選択肢の一部にすぎない」とランド大将は言う。複雑な予算手続きで議会が2018年度の支出法案作りに取り組んでおり政権は2019年度予算要求案をまとめ来年初めに提出する。エンジン換装はその後になるとランド大将は明言している。「まだ決定されておらず、あるとすれば20年早々だろう」
  6. 航空業界に造詣が深いアナリストのリチャード・アボウラフィアRichard Aboulafiaはエンジン換装に懐疑的だ。「たしかに名案だが、それはこれまで30年の間に限ってのことで実施は困難だろう」とするが、ペンタゴンの予算作業を考えると実施はきびしいのか。
  7. 「問題はエンジン換装で節約できるのはO&M勘定(燃料、部品予算)なのに出どころは調達勘定になっていること」とアボウラフィアは述べている。「O&Mの節約分が調達費を上回るがそれぞれで相殺するわけではない。O&M節約分で調達予算が助かるわけではないのですが、DoDはこれに固執していますね」
  8. 「このためエンジン換装はなかなか実現していない。例外はKC-135とC-5Aだけです。後者のTF39は本当に面倒なエンジンで稼働率が低いうえにスペアパーツが入手しにくくなってますからね」
GBSD次期ICBM整備
  1. B-52の次に2020年度予算ではランド大将のグローバル打撃群段はもう一つ大事な決定が必要だ。ICBMでボーイング、ノースロップ・グラマンのどちらを選定しミニットマンIIIミサイルの後継機種を実現するかだ。(8月に両社とも3億ドル超の技術成熟化リスク低減契約を交付されているがロッキードがこの段階で落とされた) 地上配備戦略抑止力(GBSD)となる同事業の最終規模はペンタゴンの費用解析事業評価(CAPE)室によれば少なくとも850億ドルになるという。
Minuteman III in silo
  1. これはミサイル本体だけで済む問題ではないとランド大将は報道陣に語った。GBSDは「本体の保全方法、指揮命令方法他大幅に変更を伴う。ただし契約企業の仕事のやり方で異なってくるので今の段階でこうなるとは簡単に言えない」
ALCMあらためLRSOスタンドオフミサイル
  1. 他方で1980年代製の空中発射巡航ミサイル(ALCM)の交替が進んでいる。8月には「概算9億ドル」で試作品の長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイルの製作契約をロッキード・マーティン、レイセオンの各社に交付している。最終選考は2022年の予定だ。ただ核兵器嫌いの民主党議員が事業をつぶさないかぎりLRSOはB-52、B-2および開発中のB-21が運用するはずだ。
B-21
  1. B-21は最低でも100機を単価550百万ドルで調達する。この野心的ともいえるコスト目標のため通常の調達手続きではなく空軍迅速戦力整備室(RCO)が進めており、事業規模の大きさのためRCO職員が多数B-21に向けられている。
  2. B-21はグローバル打撃軍団最大の謎である。空軍がノースロップ・グラマンに契約交付して二年以上になるが、極端までの極秘扱いで、制式名とニックネームのみB-21レイダーとして意図的に不明確なCGI図と公表されたただけだ。空軍は同機は無人機運用も可能とし、大量の爆弾搭載能力があり、核兵器運用も後日可能となるだろう。また搭載内容をモジュラー化し、ISR、電子戦に使い分ける。会議ではランド大将が電子戦について語っていたので記者はEW能力がB-21に搭載され敵の高度対空装備を突破できるとのうわさについて聞いてみた。大将は詳細に触れず基本的な考え方についてのみ語った。
B-21 Raider artist rendering
  1. 「B-21はシステムをファミリー構造にしている」とし、単一の機体にはならないとランド大将は述べた。「具体的な性能についてここでは話せない」としながら「B-21は厳しい状況でも十分に活躍できる機体になる」と後で記者団に語ってくれた。
  2. 「センサー中心の機体となるだろう」とレーダー他の装置が兵装同様に重要になり、F-35共用打撃戦闘機と似てくると述べ、「長距離打撃機となりスタンドオフ攻撃と敵地侵入能力を実現する」とし、敵対空装備の有効範囲外から長距離巡航ミサイルを発射するか、防空網をかいくぐりステルス性能と電子欺瞞能力を発揮するのだろう。
  3. いわゆる接近阻止領域拒否の防衛体制がロシアや中国で整備が進んでいるが、B-21はその弱点を探し出す。「A2/ADを通過不可能な壁のようにいう人がいるが、実はA2/ADはチーズの塊、スイスチーズで、穴がいっぱいあるんですよ』■

2017年12月3日日曜日

韓国にラプター6機が展開中


Six US F-22 stealth fighter jets arrive in S. Korea for joint air drills
韓国にF-2編隊2六機が到着し、共同演習に参加する


(Yonhap)

By Yonhap Published : Dec 2, 2017 - 15:25
Updated : Dec 3, 2017 - 10:08

F-22ラプター戦闘機6機が翌週の空軍演習に参加するため12月2日韓国に到着した。北朝鮮への力の誇示の意味もある。

韓国上空をF-22が6機同時に飛び回るのはこれが初となる。

ヴィジラントエースVigilant Ace 演習は12月4日から8日にかけ展開される。米軍のF-35A、F-35B、F-16Cの他にB-1B爆撃機も参加する。韓国空軍はF-15K、KF-16、F-5を参加させ、合計230機が8基地から展開する規模になる。

両国は北朝鮮の核施設、ミサイル施設、移動式ミサイル起立発射機の模擬攻撃を行う。

米韓両国は10月に米戦略機材の定期巡回配備で北朝鮮の核・ミサイル脅威に対抗すると合意している。

北朝鮮は両国の共同演習を侵攻作戦のリハーサルであり挑発行為だと毎回非難し、これに対し両国は防衛的な性質の演習だと主張している。■