2021年6月5日土曜日

コロナウィルスは自然発生ではない。武漢研究所起源説が証明されて困るのはだれか。バイデンも結局トランプ路線を進まざるを得ず、やはりトランプの主張が真実だったのか。

  

 

日本人はともすれば戦争でさえ、自然災害の変種ととらえる傾向がありますが、中国が関与した生物兵器の漏出あるいは意図的な拡散であれば、これはもう第三次世界大戦です。発生が発覚した2019年が開戦年であり、同時にPRCの終焉の始まりだったのかもしれません。わが国にも議論を封じている勢力がありますが、これから夜も眠れなくなる日が来るのが楽しみです。WHOは廃止になるかもしれません。



COVID-19 Cells

COVID-19 Cells. Image: Creative Commons.

 

 

ロナウィルスをめぐり科学研究界、政治指導層さらに主流メディアが起源を問う議論を封じてきたが、その努力が失敗に向かいつつある。

 

わずか数週間前までは武漢ウイルス研究所がウイルスの起源と主張すれば根拠のない陰謀説と一蹴されたものだ。トランプ大統領がこの説を繰り返したが、人種差別だと非難の対象となった。「実験室漏出」仮説を真剣に取り上げていたメディアはFox News、National ReviewAmerican Conservativeとごく少数で、それぞれ批判、非難され、黙殺されてきた。トランプ政権も同様の扱いを受けた。フェイスブックはじめソーシャルメディアで実験室起源説はすべて「偽情報」扱いで投稿できない扱いとなった。「集団思考」でおどろくほど頭が麻痺した好例だ。

 

だが、証拠が次々と出ており、ウィルスが自然発生と言えなくなってきた。疾病管理センターはじめ複数筋からウイルスが人為的に生まれた可能性は否定できないと従来の見解を変える発言が出ている。決定打となったのは五月末にバイデン政権がコロナウィルス起源を探る総合的調査を命じたことで、同政権の姿勢を180度変更した。同政権はトランプ政権が始めた調査活動を中止させていた。

 

こうした進展が米国の中華人民共和国(PRC)政策を大きく変化してしまった可能性がある。実験室仮説が真実だと判明すれば、反中タカ派は当然ながら米国は報復すべきと主張するだろう。危機状況の初期から保守派メディアは中国政府の透明性の欠如がパンデミックを起こしたと批判していた。

 

コロナウイルスは中国が世界にまき散らした生物兵器と主張する右派もあらわれた。そこまで過激にならなくても、責任がPRCにあるとの主張で武漢研究所の封じ込め体制の緩さに批判が集まっていた。マイク・ポンペイオ国務長官は2020年5月に「コロナウィルスが武漢の研究施設から始まった証拠は多数ある」と述べていた。

 

米国内の対中世論はコヴィッド流行が始まったことで大きく悪化し、同時に香港の民主運動弾圧を見て、今や敵意さえ示している。そこに武漢研究所が今回の出発点だとの証拠が出れば、さらに悪い状況になるのは必至だ。実際に今回の流行は偶発的に発生したのではなく、意図をもって米国他西側諸国を生物兵器で攻撃したとの疑惑が見え隠れしている。

 

そうなるとバイデン政権は中国へ強硬姿勢を示せとの圧力を受けることになる。中国へ宥和的姿勢を示し、協力関係を回復することでトランプ政権時との違いを示すはずだったのに、ますます「小型トランプ」の様相を示してきた。台湾、南シナ海、貿易と各問題でバイデン政権の対中姿勢は厳しさを増している。今回の大流行が中国の実験施設から始まったものと考えることでホワイトハウスはさらに強硬かつ対決に向かう政策を取らざるを得なくなる。このため米中関係の緊張は極めて危険な水準に入りかねない。

 

議会内のバイデンに近い勢力や主流メディアは一転して厳しい批判に直面しそうだ。議論をもみ消し、さらにコビッド大量流行でPRC政府に責任はないと主張してきたのが実はとんでもない誤算だったとどんでん返しになる。批判勢力はトランプ政権にただ反対するだけだった大統領選挙戦そのものに誤りがあったと指摘してくるだろう。トランプは中国政府との財政的つながりなど極悪非道な動機があったと指摘していた。このままだと新しいマッカーシズムさえ登場しそうだ。

 

米中関係にどんな影響が出ようと、今回のパンデミック起源の完全かつ客観的な調査が不可欠だ。今回の事件は科学界とあわせニュース報道に痛い教訓となる。イデオロギーや政局判断をもとに結論を急ぎすぎると、困った事態、破滅的な結果がその後生まれる。今回のような動きは決して繰り返してはいけない。■

 


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What Happens if the Coronavirus Wuhan Lab Leak Thesis Is True?

ByTed Galen Carpenter

 

Ted Galen Carpenter, a senior fellow in defense and foreign policy studies at the Cato Institute, is the author of 12 books and more than 900 articles on international affairs.

 


2021年6月4日金曜日

大隅海峡から太平洋入りした中国艦艇を海上自衛隊が捕捉。環球時報が記事にするとこれだけ嫌味な内容になる。

 こういう時は海洋法を根拠にするわけですか。世界で最も警戒されるのが中国人だというのも仕方ないですね。日本への警告? 神経戦にもちこもうというわけですか。そう簡単に海洋国家日本はくじけないでしょう。演習後のいせDDH-182は中国艦を監視していたのですね、ご苦労様です。   

 

A naval fleet comprised of the guided-missile destroyers Ningbo (Hull 139) and <em>Taiyuan</em> (Hull 131), as well as the guided-missile frigate Nantong (Hull 601), steams in astern formation in waters of the East China Sea during a maritime training drill in late January, 2021. Photo:China Military Online

誘導ミサイル駆逐艦寧波(艦番号139)、太原(131)、誘導ミサイルフリゲート南通(601)の三隻が隊列を組んで東シナ海で演習を展開した。2021年1月末撮影。 Photo:China Military Online

 

 

民解放軍海軍(PLAN)部隊が大隅海峡から太平洋へ展開したとの報道が5月31日に出たが、専門家からは全く正常な動きであり、PLANの海洋作戦能力向上を示すものとのコメントが出ている。

 

PLA艦艇は今年になり対馬海峡、宮古海峡とあわせ日本周辺海峡三か所を利用し太平洋方面に展開したと専門家は指摘。こうした移動は通常の動きながら、日本へ警告の意味があると解説している。日本は釣魚諸島や台湾問題などを通じ中国への敵意を強めて西側諸国との共同演習に加わっているが、演習が中国を狙ったものであるのは明らかだ。

 

海上自衛隊はPLAN部隊を見つけ、052D誘導ミサイル駆逐艦太原Taiyuan、054A誘導ミサイルフリゲート艦湘潭Xiangtan、093A型総合補給艦巢湖Chaohuの三隻が大隅海峡から太平洋に5月31日移動するのを確認しており、統合幕僚監部が翌日公表した。

 

太原

 

湘潭

 

巢湖

 

(上記はいずれも統合幕僚監部発表のもの)

 

こうした運用はすべて通常のものであり、PLANが外洋海軍を目指し着実に運用能力を引き上げている現状を反映している。各海峡は国際水路であり、日本の領海、領空を何ら侵犯したものではないという。

 

一方、日本のヘリコプター空母いせが四日間にわたるUSSロナルド・レーガンとの沖縄東方での共同訓練を終えた。日本はあわせて米、仏、豪各国との共同訓練を東シナ海で展開し、中国を封じ込める狙いとともに魚釣島や台湾のような問題を騒ぎ立てる狙いがあるとの見方が中国にある。

 

日本周辺でPLA艦艇の動きが頻繁になっているのはあくまでも訓練であり、特定国を狙う意図はない。戦闘対応能力を鍛えるという最重要な目的のためと中国軍事専門家でテレビ解説者のSong Zhongpingが環球時報に語ってくれた。

 

ただし、中国に悪意を示す国があれば、中国軍はこうした演習を利用して敵への対応を訓練するはずだとSongは語っている。■

 


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Drill by PLA warships in Pacific via Osumi Strait 'indicates far sea capability boost, warning to Japan'

By Liu Xuanzun

Published: Jun 02, 2021 08:16 PM

 

 


米空軍の22年度予算要求で、F-35追加調達希望がゼロに。かわってF-15EXは追加調達。これまでの流れと一変していることに注目。

 

 

F-15EXがフロリダ州のエグリン空軍基地で地上誘導を受けている。March 11, 2021. (Samuel King Jr./U.S. Air Force)

 

空軍がまとめた2022年度調達で予算復活希望の装備品リストは総額42億ドルで、うち14億ドルがボーイングF-15EXの追加調達12機にあてられ、老朽化したF-15C/D機材の穴埋めを期待している。

 

F-15EX調達予算が増額され、一体型燃料タンク24基の導入も含まれており、空軍の装備品リストで最上段に乗った。空軍はリストを議会に6月1日送付し、Defense Newsが入手した。

 

とはいえ、最大の驚きはF-35共用打撃戦闘機の追加調達希望が皆無なことだ。

 

予算手当てが必要な優先調達リストが各軍から議会に送られると、議員はリストを参照し予算修正を行う。とくに高額な艦艇や航空機が対象となることが多い。

 

これまで空軍はロッキード・マーティンF-35の調達を優先し、追加調達を模索してきた。しかし、FY22ではこの動きはなく、2020年代中ごろのブロック4改修を待つことを空軍関係者はほのめかしている。

 

逆に空軍作成リストではF-35の運用維持に360百万ドルを計上している。そのうち175百万ドルはF135エンジンのパワーモジュール20基用で、「機体稼働率を下げている」状況の改善を狙うもの、と空軍は正当性を主張している。

 

空軍はFY22で200機あまりの機材退役を想定しており、A-10ウォートホグ42機、F-16C/D47機、F-15C/D48機があることから、F-15EX調達を議会がさらに上乗せする可能性がある。

 

FY22予算で空軍が要求するF-15EXは12機、F-35は48機。

 

優先リストでつぎに大きい動きは825百万ドルを兵装システム維持や予備部品調達に充てて機材の運行を維持しようとするものだ。

 

具体的には37百万ドルで、特殊燃料の調達を含めたU-2の運行維持、U-2とT-38練習機の整備保守、ミッション立案セルの契約を延長する。さらに37百万ドルでEC-37コンパスコール用予備エンジン5基を生産終了前に確保する。EC-37はEC-130Hコンパスコール電子戦機材の後継機種だ。

 

リストでは377百万ドルで指揮統制用装備の強化をめざし、三次元現地展開長距離レーダーThree Dimensional Expeditionary Long-Range Radar事業を加速化させつつ、戦場空中通信中継Battlefield Airborne Communications Node 機材の調達、運用、維持を強化する。

 

リストには適応型エンジン開発に57百万ドルが計上され、ジェネラルエレクトリック、プラット&ホイットニーの両社が試作エンジンを完成させる。

 

希望リストにはインフラ関係に10億ドルをあて、うち736百万ドルで基地等の構築を進める。■

 

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US Air Force wish list includes more F-15EX jets but no F-35s The Air

By: Valerie Insinna 

 


2021年6月3日木曜日

(再出)ヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦SSN(X)の概略が浮上。ヴァージニア級からさらに戦力性能がアップする。問題は毎年2隻超の建造能力の実現だろう。目標は2050年度に達成する。

 SSN(X) next generation US Navy Submarine

 

海軍は現行のヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦(SSN)の後継艦について研究開発を2021年度中に開始する。新型艦はヴァージニア級より全幅が広がりシーウルフ級並みとなり、将来登場する水上、水中の脅威によりよく対応でき、最新の静粛化推進方式を採用し、各種技術を搭載するはずだ。

 

議会調査サービス(CRS)が2021年5月10日発表した文書では米海軍の次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の概略に触れている。以下、CRSによるSSN(X)に関する報告書から引用する。

 

海軍が2020年度にまとめた30年計画(FY2020-FY2049)建艦計画では、SSN(X)一号艦は2031年度調達とあり、同年にはヴァージニア級潜水艦一隻も調達する。2032年度、2033年度にヴァージニア級の最終調達として4隻を調達し、各年2隻を調達する。その後のSSN(X)調達も毎年2隻で2034年度に開始する。30年建艦計画でSSNを毎年2隻調達していくとSSN66隻を調達でき、現行の海軍SSN戦力整備目標は2048年度に達成できる。

 

トランプ政権が2020年12月9日付で公開した海軍建艦計画が2022年度30年建艦案の基礎となっており、SSNでは72隻から78隻を整備目標としている。この目標を達成するのは2040年代後半となり、2035年度から2041年度には毎年3隻、2042年度から2050年度には毎年2.67隻の建造が必要だ。

 

新型SSN(X)でも対潜戦(ASW)を重視し、移動速力とステルス性はヴァージニア級を超える水準とする。さらにSSN(X)は兵装搭載量が増え、搭載ペイロードの種類もヴぁージニア級を超え、敵の高性能艦、無人水中機UUVに対抗しながら、同盟国艦艇との協調性も確保する。

 

CRSのSSN(X)報告書ではさらに「海軍ではSSN(X)の設計で3案を検討し、ヴァージニア級SSNを発展させる案、コロンビア級SSBNを原型とする案、完全新規設計案がある。

 

「産業界にはSSN(X)の艦体直径はヴァージニア級の34フィートより大きく、シーウルフ級SSNおよびコロンビア級SSBN(それぞれ40フィート、43フィート)に近づくとの意見がある。

 

「2021年4月にCBOが2020年12月9日付の30年間海軍建艦案文書に対する検討結果を発表しており、2021年度ドル価値でSSN(X)の平均建造費を海軍は58億ドルとしているが、CBOは62億ドルと試算している。

 

潜水艦に詳しい専門家H.I.サットンはSSN(X)は以下の新技術が搭載されると見る。

 

  • レーザー兵器

  • 一体型艦首ソナー

  • 量子技術

  • 大型兵装庫に各種兵装やUUVを格納する

  • 魚雷発射管数を増やし各種兵装を運用する

  • 超大型艦側面アレイ

  • 静粛化対策済み電動推進

  • X字形状潜舵による操艦機能の向上

  • 巡航ミサイルや極超音速ミサイルを搭載するVLS


記事上部の想像図も参照されたい。■


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US Navy Outlines the Next-Generation Attack Submarine SSN(X) Program

Peter Ong  25 May 2021

 


イランの大型補給艦がオマーン湾で謎の発火沈没。

 


The Kharg, Iran’s biggest ship, burns and sinks.


ラン海軍最大の艦艇カルグが6月2日オマーン湾内にて火災を起こし、沈没した。火災には極めて不自然な点があり、発煙の様子から「何かとんでもないことが起こった」と解説する専門家がいる。

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カルグは公海を移動中に発火した。イランメディアによれば事故当時同艦は訓練中だった。


タスニム通信は火災は機関室で発生し、艦内各所が溶け海水が浸水したと伝えている。


消火作業が20時間かけ鎮火をめざしたが止められず、イラン海軍によれば乗組員400名は無事救助されたという。


事故原因は不明だが、中東筋によれば同艦はイラン海軍最大規模の艦艇のためかねてから「監視」されていたという。


Iranian Navy’s Kharg.


中東筋は今回のカルグ火災の原因は「外部」によるもので、同艦が単なる補給艦ではなく、ほかのミッションを実施していたのか改めて疑問が出てと、見ている。


なお、カルグは元英海軍の補給タンカーで1977年進水し、イラン海軍では1984年から供用されてきた。同艦の諸元は次の通り。


  • 満排水量: 33,500t 

  • 全長: 207m

  • 船幅: 25m

  • 速力: 21 knots

  • 乗員: 248

  • 武装: 1 × OTO Melara 76 mm, 4 × USSR 23 mm, 2 × 12.7mm machine guns

  • 航空機運用: 2 hangars and 1 helipad



Iran's Largest Warship Sinks In Suspicious Circumstances « Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

By   ARIE EGOZI

on June 02, 2021 at 1:42 PM


Iranian Replenishment Vessel 'Kharg' Sinks in the Gulf of Oman

Martin Manaranche  02 Jun 2021



Covid-19の起源はやはり武漢の研究施設との説が再び脚光を浴びるのは中国にとって不都合な状況。ではそれを伝えない国内メディアはいつまで報道しない自由を行使するつもりなのだろうか。

 日本ではワクチン注射をめぐり頓珍漢な意見の応酬、オリンピック開催を中止させ日本をおとしいれようとする陰謀論が展開しており、そもそも今回のウイルスがどこからどうやって発生したのかには関心を示す余裕がないようです。中国起源説をめぐり、国内メディアが報道しない自由を行使している間に欧米では再び中国の責任を問う声が強まっているのは実に興味深い進展ですね。Asia Times 記事のご紹介です。



武漢ウイルス研究所では厳しい保安体制が敷かれており、世界保健機関の調査団が同施設を2021年2月3日に訪問した。Photo: AFP / Koki Kataoka / The Yomiuri Shimbun

 

ここがポイント:バイデンが中国実験施設からウイルスが外部に漏れて大流行が始まったとの説に注目しており、米中関係はさらに悪化しそうだ。

 

謀論と一蹴されていたCovid-19の武漢研究所起源説が再び注目を集めている。

 

この説によれば武漢ウイルス研究所 (WIV)が生物兵器開発の一環でウイルスに手を加え、外部に漏出させパンデミックが始まったとする。

 

5月11日に米国の著名な免疫学者アンソニー・ファウチ博士が実験施設漏出説に可能性があると公言し、以前はこの説には信憑性がないとしてきた自らの見解を一変させた。5月23日、米情報機関をソースとする記事で武漢ウィルス研究所の研究員3名が2019年11月にCovid-19類似の症状にり患したとあり、中国で大量発生が公式に伝えられる数週間前のことである。

 

もっとも重要な点は5月26日にジョー・バイデン大統領が情報機関に二説のうちどちらに信憑性があるか調査を命じたことである。ひとつは実験施設からの漏出説、もうひとつはウイルスは自然界由来で動物から人体に転移したとする説明だ。

 

中国は現政権に不都合な場面を避けることを優先し、グローバル規模の衛生問題は二の次にしている。完全な協力と透明性をうたいながら、中国当局は今回のアウトブレイクの重要情報をいまも隠している。

 

特に実験室漏出説に対し中国政府は異常なまで敏感に反応し、ウイルスは武漢施設で作られたものではないと、一貫して強烈に否定している。

 

2020年に米中関係を冷え込ませたのがマイク・ポンペイオ国務長官の発言があり、2020年5月にパンデミックは武漢実験施設が起源と述べた。

 

中国の広報官はこれに対し米国には生物戦展開の実績がある、ウイルスは米国が起源、考えられる発生源はメリーランド州フォートディートリックの米陸軍実験施設だと反論を繰り広げた。

 

中国外務省広報官Zhao Lijianはツイッター上で2019年10月に米陸軍要員が武漢にやってきて疾病が始まったと暗示している。

 

実験施設起源説は実証ができていない。とはいえ、この説が再び脚光を浴びていること自体に重要な政治的意味がある。

 

まず、実験室漏出説が真実だとすると、中国は国際取り決めに違反していたことになる。国連生物兵器条約では生物兵器の使用はいうまでもなく、開発・製造まで禁止しており、中国は1984年に同条約を批准している。

 

次に武漢施設説が再び注目を集めることで、感染症研究の国際協力にブレーキがかかる。世界各地で数百万人が生死の境をさまよう中で、国際協力は最大限進め、今後の感染症大流行に備えるべき時だ。

 

不幸にも中国政府が協力を放棄し、情報開示も拒否すれば、実験室漏出説のみならずその他が言うような中国がアウトブレイクで初動を誤ったとする主張は確かめようがなくなる。

 

その結果、Covid-19パンデミックがどう始まったのか全体的に理解するのに役立つはずの情報が共有されなくなり、その他のアウトブレイク対策もおろそかになりかねない。

 

三番目に、バイデンが実験室漏出説の証明を求めてきたのは中国への対抗の意識があること、悪化した米中関係を好転する必要を感じていないことを示すものだ。

 

バイデンの動きには驚かされるものがあるが、今年3月にトランプ前政権が始めた実験室漏出説の調査を打ち切らせた際には、作業そのものに誤謬や先入観があることを理由にしていた。

 

北京にとって不愉快な展開となり、中国政府関係者は米国がもっと「客観的かつ合理的な」アプローチを両国関係に取るよう促し、ポンペイオが中国共産党を悪の存在と決めつけたことの反対に、「対立回避」を求めている。

 

だがバイデンが米情報機関に同問題への対処を命じた背景に国内政局が強くにじみ出ている。

 

一般の関心が報道機関が伝えた武漢実験施設説で強まると、バイデンは無視できなくなった。5月26日付命令でバイデンは政敵共和党を切り崩す一歩に進んだ。共和党は大統領が中国にトランプより弱腰と主張していたのだ。

 

バイデン発表に対し予想通り、中国外務省はウイルスは米陸軍実験室で生まれたとの主張を繰り返した。

 

最後に実験室漏出説が再来したことで中国と民主体制各国との亀裂が強まっている。ここから構造面で問題が生まれそうだ。

 

そのひとつが中国政体の特異性だ。中国共産党は徳政の維持こそ政権の正統性につながると強く信じている。同党指導部は不徳と非難されることには極端に神経質である。

 

中国は面子を保つ必要を感じれば、折れて出ることは考えにくく、いかなる証拠が提示されてもこれは変わらない。中国政府が新疆地区で大規模な宗教弾圧、文化抑制は一切行っていないと主張するのはこの一つの例だ。

 

外国政府から侮辱を受けたと感じれば中国政府は通常の二国間関係の維持など目に入らなくなる。この例がオーストラリアとの関係悪化で、オーストラリアがパンデミック起源の国際調査を求めたことで中国は侮辱されたととらえたのだ。

 

対極にリベラルな民主国家がある。そうした国の政府も民間も中国政府の動きを堂々と批判してくる。この動きはパンデミック一年目からすでに見られた。

 

リベラル民主国家における自由な報道機関が中国を批判し、中国政府関係者が反論する形が非生産的な「戦狼」外交でみられる。北米、西欧、日本、オーストアリア-ニュージーランドでの中国イメージは2020年に悪化した。

 

この負のスパイラルが中国と民主国家間でそれぞれの政治体制の主張が繰り広げられるたびに再発する。実験室漏出説の再来で事態は次のラウンドに移りそうだ。

 

もちろん国際社会は中国に圧力をかけ、同国が有するパンデミック関連の情報を開示させるべきだ。そして実験室漏出説のさらなる調査は不可欠に見える。

 

残念ながら、以前から続く政治的緊張関係のため、このプロセスを進めるのは苦痛となり、最終的な成果も限定的になろう。一方で、米中関係の低迷が続くのは確実だ。■

 

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Wuhan lab-leak theory is back with consequences

By DENNY ROY

MAY 31, 2021



2021年6月2日水曜日

ヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦SSN(X)の概略が浮上。ヴァージニア級からさらに戦力性能がアップする。問題は毎年2隻超の建造能力の実現だろう。目標は2050年度に達成する。

SSN(X) next generation US Navy Submarine

 

海軍は現行のヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦(SSN)の後継艦について研究開発を2021年度中に開始する。新型艦はヴァージニア級より全幅が広がりシーウルフ級並みとなり、将来登場する水上、水中の脅威によりよく対応でき、最新の静粛化推進方式を採用し、各種技術を搭載するはずだ。

 

議会調査サービス(CRS)が2021年5月10日発表した文書では米海軍の次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の概略に触れている。以下、CRSによるSSN(X)に関する報告書から引用する。

 

「海軍が2020年度にまとめた30年計画(FY2020-FY2049)建艦計画では、SSN(X)一号艦は2031年度調達とあり、同年にはヴァージニア級潜水艦一隻も調達する。2032年度、2033年度にヴァージニア級の最終調達として4隻を調達し、各年2隻を調達する。その後のSSN(X)調達も毎年2隻で2034年度に開始する。30年建艦計画でSSNを毎年2隻調達していくとSSN66隻を調達でき、現行の海軍SSN戦力整備目標は2048年度に達成できる。

 

トランプ政権が2020年12月9日付で公開した海軍建艦計画が2022年度30年建艦案の基礎となっており、SSNでは72隻から78隻を整備目標としている。この目標を達成するのは2040年代後半となり、2035年度から2041年度には毎年3隻、2042年度から2050年度には毎年2.67隻の建造が必要だ。

 

新型SSN(X)でも対潜戦(ASW)を重視し、移動速力とステルス性はヴァージニア級を超える水準とする。さらにSSN(X)は兵装搭載量が増え、搭載ペイロードの種類もヴぁージニア級を超え、敵の高性能艦、無人水中機UUVに対抗しながら、同盟国艦艇との協調性も確保する。

 

CRSのSSN(X)報告書ではさらに「海軍ではSSN(X)の設計で3案を検討し、ヴァージニア級SSNを発展させる案、コロンビア級SSBNを原型とする案、完全新規設計案がある。

 

「産業界にはSSN(X)の艦体直径はヴァージニア級の34フィートより大きく、シーウルフ級SSNおよびコロンビア級SSBN(それぞれ40フィート、43フィート)に近づくとの意見がある。

 

「2021年4月にCBOが2020年12月9日付の30年間海軍建艦案文書に対する検討結果を発表しており、2021年度ドル価値でSSN(X)の平均建造費を海軍は58億ドルとしているが、CBOは62億ドルと試算している。

 

潜水艦に詳しい専門家H.I.サットンはSSN(X)は以下の新技術が搭載されると見る。

 

  • レーザー兵器

  • 一体型艦首ソナー

  • 量子技術

  • 大型兵装庫に各種兵装やUUVを格納する

  • 魚雷発射管数を増やし各種兵装を運用する

  • 超大型艦側面アレイ

  • 静粛化対策済み電動推進

  • X字形状潜舵による操艦機能の向上

  • 巡航ミサイルや極超音速ミサイルを搭載するVLS


記事上部の想像図も参照されたい。■


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US Navy Outlines the Next-Generation Attack Submarine SSN(X) Program

Peter Ong  25 May 2021