2022年9月4日日曜日

空母建造を断念し、弾道ミサイル潜水艦整備を重視する南朝鮮23年度国防予算は現実的な選択。だが、狙いが北朝鮮に限定されていないことは要注意。

 

U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Michael Chen/Released.

南朝鮮政府は、新空母の代わりに、北朝鮮への対決戦略に適したミサイル潜水艦に予算を投入する

CVXとして知られる南朝鮮初の空母建造の野心的な計画が深刻な危険にさらされているようだ。同プロジェクトが、南朝鮮の2023年防衛予算案で予算計上されなかったというニュースだ。このことは、ソウルのF-35Bステルス戦闘機運用計画にも疑問を投げかけるが、弾道ミサイル発射可能な土山・安昌浩Dosan Ahn Changho級攻撃型潜水艦を含め、さらに資金を投入されるはずの潜水艦部門にとっては朗報となるはずだ。

CVXが2023年に予算計上されないとの確認は、昨日Naval Newsが伝えたところだ。Naval Newsは南朝鮮の空母計画が次の防衛予算で敗退する可能性があると予測していた。

昨年開催された国際海事防衛産業展2021(MADEX2021)で展示された現代重工業(HHI)のCVXの設計模型。YouTube Screencap

2023年の国防予算案が2日に発表され、総額57兆1000億ウォン(約425億ドル相当)と、今年より4.6%増となることが明らかになった。

2023年予算で、新規取得プログラムには2%増の17兆ウォン(約127億円)が充てられ、残りは賃金や整備など軍の日常的な運営費に充てられる。金曜日に予算案が国会に提出され、承認される予定だ。

CVX計画は、今回の予算案で最も注目される損失であり、北朝鮮の核の脅威を考慮し優先順位の変化と、おそらく空母の設計自体がさらに野心的になったための犠牲のようだ。特に、尹錫烈(ユン・ソクヨル)新大統領政権は、北朝鮮へのタカ派的なアプローチを含め、前政権と大きく異なる政策的立場を強調している。

以前のLPX-II計画では、米海軍の設計と同様に、短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)のF-35Bを搭載する揚陸強襲艦を拡大設計する想定だった。

 

当時LPX-IIと呼ばれていた南朝鮮空母の初期完成予想図。South Korean Ministry of Defense

最新のCVXプロジェクト案では英国海軍のクイーン・エリザベス級のツイン・アイランド型上部構造と「スキー・ジャンプ」離陸路を含む、大型航空母艦の設計となっていた。

現代重工業(HHI)の設計案は、全長850フィート、幅200フィート、総排水量約45,000トン、最大約20機のF-35Bを運用するとしていた。

また、後部には小型の回転翼式無人機を運用する補助甲板や、無人水上機(USV)や無人潜水機(UUV)を展開する適応型ウェルデッキも特徴だった。

大宇造船海洋工学(DSME)が提案の別のCVX案は、艦首の離陸ランプがないものの、二重アイランド構造を持つ、ややオーソドックスなものであった。この艦は全長860フィート、全幅150フィート、排水量約4万5,000トン。F-35Bを16機、中型ヘリコプターを6機同時に搭載するとしていた。

DSME社のライバルCVXの設計模型。YouTube Screencap

CVXの設計ニ案は、南朝鮮海軍の現行独島級揚陸ヘリコプター艦(LPH)よりかなり大きい。独島級は、全長652フィート、幅101フィート、排水量19,500トン。

CVX設計案はともに、STOVL型F-35B搭載を前提にしているが、ソウルはさらに大きく、高能力の空母を検討しているのではないかとの兆候さえあった。斜めデッキ、離陸ランプ、拘束ギアを装備したものだった。新世代戦闘機KF-21の艦載機や大型ドローンによる短距離離陸・回収(StoBAR)作戦が可能にするはずだった。

固定翼機運用空母は、南朝鮮にとって重要な新展開で、莫大な投資であったことは明らかだ。

例えば、英国海軍のクイーン・エリザベス級空母は、1隻約23億ポンド(約28億5000万ドル)の税金が投入されており、年間運用コストは約9600万ポンド(約1億1200万ドル)である(航空団はここに入っていない)。

以前、新空母の価格は18億3000万ドル程度になりそうと報じられたが、これは非常に楽観的と思われ、F-35Bのコストは20機取得で約27億ドルと予想されていた。

南朝鮮は通常離着陸型のF-35Aを運用中で、後続の発注には空母搭載型のF-35Bが含まれる見込みだ。ここでは、2022年7月に南朝鮮上空で米空軍と南朝鮮空軍のF-35Aが一緒に飛行している。U.S. Air Force photo by Senior Airman Trevor Gordnier

以前、DSME関係者は、CVX設計契約は2022年に受注できると述べ、南朝鮮は2030年代初頭までに空母を就航させることができるとまで予想していた。

これがことごとく実現できなくなりそうになってきた。F-35Bの用途を見つけることは今も可能で、既存の大型揚陸強襲艦に搭載するのなら大規模改造が必要になると思われる。より現実的なのは、陸上基地運用だろう。この場合、北朝鮮のミサイル攻撃に弱い滑走路を避け、生存性を高めるためジェット機を分散させることができる。また、飛行距離もF-35Bに適しており、南朝鮮は通常型離着陸機であるF-35Aを運用中のため、その恩恵も受けられる。

コスト面もさることながら、空母の有用性、特に北との衝突の可能性を考えれば、ますます疑問視されているようだ。空母は間違いなく海洋力の象徴であり、中国や日本と歩調を合わせるのには役立つが、新政権下で防衛態勢の中心理念として推進されているいわゆる「3軸システム」には適合しない。

3軸システムとは、北朝鮮からの核攻撃に対応できる幅広い防衛体制を構築するためのものだ。まず、キルチェーンシステムは、必要に応じ平壌の核・ミサイル施設に先制攻撃を行い、ソウルを防衛する。2つ目は、南朝鮮を狙う北朝鮮の弾道ミサイルが発射されれば、それを破壊するための南朝鮮防空ミサイルネットワークがある。第三に、KMPR(Korea Massive Punishment and Retaliation program、圧倒的対応とも呼ばれる)は、北朝鮮が先制攻撃を行った場合に、通常兵器による報復を投入する取り組みだ。

2022年5月25日、北朝鮮が日本海に向け弾道ミサイル3発を発射し、ソウル駅で北朝鮮のミサイル発射実験のファイル映像が入ったニュース放送を映し出すテレビ画面を見る人々。Photo by JUNG YEON-JE/AFP via Getty Images

急速に発展中の潜水艦艦隊がKMPRで主要役割を果たす予想で、3軸システムに全体で5兆3000億ウォン、約39億ドルが投入されるとあり、2022年より9.4%増加した。

南朝鮮で最新の土山安昌浩級ディーゼル電気攻撃型潜水艦(別名KSS-III)は、当初からKMPR計画が求める生存可能な通常攻撃能力を提供する設計だ。

2021年8月13日に行われた「土山安昌浩」の就航式。DSME

もちろん、北朝鮮との紛争では、CVXがステルスF-35でスタンドオフレンジから攻撃任務を遂行する可能性もあるが、The War Zoneが過去に指摘したように、空母は北に対するその他作戦に適しているとは言いがたい。

2023年予算案では、KSS-III潜水艦プログラムに2,486億ウォン、約1億8,500万ドルが計上される。

土山安昌浩級で、南朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)潜水艦を運用する国のグループに加えることになる。SLBMとしては珍しく、搭載するのは通常弾頭だ。昨年9月頃、同潜水艦の1番艦がLBMの水中射出実験に成功した。その1番艦は先月、海上に展開し、初の作戦哨戒を開始した。

KSS-IIIの1番艦「ドサンアンチャンホ」の就役式に用意された公式ビデオ。

土山安昌浩級は、水中重量が約3,800トンと、これまでの南朝鮮潜水艦よりかなり大きく、燃料電池を用いた空気独立推進システムを搭載している。初期のバッチI型3隻は各6SLBM発射管を基搭載しているが、巡航ミサイルの搭載も可能だ。

SLBM自体の詳細はほとんど知られておらず、Hyunmoo 4-4またはK-SLBMなど各種名前で呼ばれている。報告によると、同ミサイルの射程は311マイルで、ヒョンムー2B弾道ミサイルの海軍型の可能性がある。

南朝鮮のSLBMは、地上配備型短距離弾道ミサイル「ヒョンムー2B」が原型とされる。SIPA VIA AP

SLBMは、北朝鮮のミサイル能力拡大に対応するためソウルが開発したミサイルプログラムの1つだ。その他には強力な陸上兵器もあるが、SLBMは生存性の高いオプションとなり、北の先制攻撃のリスクを念頭に置けば特に重要となる。

ソウルのミサイル計画は、米国との二国間協定に基づくミサイル射程距離に関する制限が解除されたことで可能になった。バイデン米大統領と文在寅前南朝鮮大統領の間の合意により、制限は完全に撤廃された。

長距離ミサイル全般、そしてKSS-III潜水艦が搭載するSLBMは、KMPRドクトリンに関わるものだ。

北が核攻撃を行った場合、潜水艦の生存能力により、陸上ミサイルが破壊されても、想定どおりの対応が可能になる。SLBMは政権目標や指揮統制施設に照準を合わせ、巡航ミサイル連射よりも知られることなく、より大きな運動能力で攻撃が可能となる。この準第二次攻撃能力があれば、北朝鮮の侵略を思いとどまらせることにつながるはずだ。

重要なのは、空母とSLBM搭載潜水艦の両方が、半島有事以外の場面でも南朝鮮に力を発揮する方法を提供することだ。特に空母計画は、北朝鮮だけでなく、中国や日本といった地域ライバルが関与する潜在的な事態にも関連しているように思われていた。新政権の中国に対するスタンスの変化も、CVX予算の削減の一因となったかもしれない。最後に、空母があれば、現在西太平洋で行われている訓練のように、米国などとの大規模な海軍演習に深く参加することも可能だっただろう。

しかし、空母と対照的に、潜水艦計画は非常に順調に見える。土山・安昌浩(アン・チャンホ)級バッチIIでは、SLBM発射管を6から10に増強する。

原子力潜水艦の可能性も議論されている。ミサイル規制が撤廃されたことで、これら(および以前の)潜水艦も、射程がかなり長い新型SLBMを搭載できる可能性が出てきた。また、KMPR構想は通常兵器をベースにしているが、南朝鮮が核弾頭開発にも着手するとの憶測が以前からある。SLBMは、その際に当然の選択肢となる。

南朝鮮のSLBM開発で特に注目されるのは、急速に北を凌駕しつつあるように見えることである。平壌はかなり定期的に核SLBMをパレードしているが、意味のある形での海上抑止力の運用は、今のところ非常に限られている。

2021年1月のパレードで公開された北朝鮮のSLBM「プクグソン5」 Korean Central News Agency

SLBMの能力だけでなく、ソウルは抑止力に関し対米依存を減らすことができる。潜水艦は、北朝鮮との紛争において、巡航ミサイルによる精密攻撃、機雷敷設、特殊部隊投入、さらに北朝鮮のSLBM潜水艦シンポ級を追い詰めるなど、多くの役割を担える。

ソウルは少なくとも今のところ、SLBM潜水艦部隊の利点が空母を上回ると判断しているようだ。■

 

South Korea Drops Aircraft Carrier Ambitions, Doubles Down On Submarines

BYTHOMAS NEWDICKSEP 1, 2022 1:48 PM

THE WAR ZONE


ロシア軍の人的物的損失は増えるばかりだ。ウクライナ側発表からロシア軍の弱点を検討したWarrior Maven記事

 

A destroyed Russian tank

UKRAINIAN DEFENSE MINISTRY PHOTO


 

ここ数日間だけで、ロシア軍戦車12両、APV21両が破壊されている

 

 

クライナ軍は、半年前の侵攻開始以来、ロシア軍戦車2,000両以上、48,700名、装甲兵員輸送車4,300台を破壊した。この数字はウクライナの待ち伏せ攻撃、対装甲戦術、旺盛な戦意と有効性を反映していると言える。ウクライナ国防省の9月2日発表では、ここ数日で12台のロシア軍戦車と21台のAPVが破壊されたと明記している。

 

戦車

ウクライナ軍は、ロシアの機械化攻撃を鈍らせ、減速させ、あるいは破壊するため、非常に効果的に対装甲兵器を活用していることは疑う余地がない。Global Firepowerによると、ロシア軍は戦車1万2000台を運用しており、ロシアには激しい攻撃を維持するのに十分なハードウェアと重装甲車両が存在することを示唆している。この1万2,000台という数字は多いように思われるが、どれだけの戦車が整備され、アップグレードされ、実戦対応できる状態にあるのだろうか。このうち、数千の戦車が運用状態にないとする報告は多数あり、ウクライナ戦での2000台の戦車破壊の意味は極めて衝撃的だ。

 

ロシア戦車の多数は冷戦時代のT-72であり、ソ連製戦車は対装甲兵器の感知、照準、防御、機動性に劣ることが判明している。ロシア軍は高性能な1990年代のT-90戦車も運用しているが、T-72が大量にあることから、侵攻軍は主に1970年代の戦車を運用している可能性が高い(T-72は1973年に初めて運用された)。しかし、たとえロシアが古い戦車を何千台も保有していたとしても、クレムリン指導者は、対人戦術に弱いと判明している戦車を大量に送り続けることに抵抗があるのかもしれない。

 

Business Insiderによると、ジャベリンやRPGなど対戦車兵器が有効であることが証明されたことで、上空からの対装甲攻撃から守り、リスクを軽減するために、間に合わせで「ケージ」を上部に置いたロシア戦車があらわれた。しかし、ウクライナの砲撃で戦車が炎上した場合、ケージのため戦車兵の脱出が困難になるため、その後放棄されたとの指摘がある。

 

ウクライナ側は、高台や建物など構造物を利用し有利な位置から攻撃し、侵入してくるロシア車両を破壊するために不明瞭な位置や隠れた位置に陣取っていたようだ。ウクライナ対戦車砲の成功は、ロシアのT-72とT-90には、センサー、照準、能動防御システムが劣ることを示唆している。T-72は長年にわたり大量生産され40カ国に輸出され、ウクライナも運用しているため、搭載する照準センサーの範囲、解像度、有効性はウクライナ軍もよく知っているようだ。

 

T-90

Tass

 

 

T-72戦車の運用能力がわかれば、対装甲兵器を使用するウクライナ軍はロシアの戦車や装甲車に攻撃を成功させる距離や位置取りで有利となる。イラクのT-72は、1990年代の湾岸戦争とその10年以後のイラクの自由作戦で米エイブラムス戦車に破壊されたが、エイブラムスがT-72よりも遠距離で有効な高精密センサーにより、安全な距離からT-72を補足追跡し破壊できたのが一因だった。

 

さらに、ポーランドとチェコがウクライナに数百両の戦車を送ったこともあり、ウクライナのT-72戦車は開戦以来大幅に増加しているのも重要要素だ。ウクライナ戦車は、対人兵器ほどのインパクトはなくても、戦車を保有することで、ウクライナは防衛や領土奪還の反撃に使える有用な機械化車両を手に入れた。

 

ロシアのロケット弾を破壊する

ウクライナ侵攻初期のロシアによるロケット弾やミサイル攻撃で、ウクライナの子どもや家族、非戦闘員数百人が犠牲になったが、こうした攻撃を追跡、迎撃、阻止することは困難なようだった。

 

誘導ミサイルと非誘導ミサイルの両方が発射され、多くは数百マイル飛翔した。ウクライナ市民を恐怖に陥れ殺し、抵抗の意志を削ぐ、あるいは断ち切る意図的な作戦と思われた。これはうまくいかなかったが、ロシアの攻撃はウクライナ全土に損失、トラウマ、破壊をもたらした。

 

MLRS

 

The Next-Generation Drone Launching, German KF51 “Panther” Tank

BY KRIS OSBORN, WARRIOR MAVENJUN 24, 2022


Ukrainian Anti-Armor Attacks Defining War Against Russia

BY KRIS OSBORN, WARRIOR MAVENAUG 29, 2022

 

 

ロシアに侵攻し地上のミサイル発射装備を破壊する能力がないウクライナにとって、ミサイル攻撃を阻止する唯一の希望は、長距離地上発射ロケット装備であった。ウクライナのゼレンスキー大統領が戦争初期に多連装ロケットシステム供与を要求したのは、このような戦術的な事情からだろう。ゼレンスキーは特に「発射装置」を破壊する必要性を考えていたのかもしれない。ロシアのミサイルやロケット発射台を空から破壊できない場合、発射台を攻撃できる射程距離を持つ地上発射兵器が重要になる。ウクライナには大砲があり、さらに西側諸国から30km以内の標的を攻撃できる砲を受け取っているが、ロシアの発射台を破壊するためには、より射程の長い兵器が必要だ。

 

MLRSとGPS誘導型GMLRSが到着し、数カ月にわたりロシアの重要目標を破壊し、補給線、部隊の集中、指揮統制施設、そしてもちろん、ロシアのロケットやミサイルの発射台を標的にしている。MLRSとGMLRSの多くは30km砲の2倍以上の射程があり、ウクライナ軍はロシアの重要目標をスタンドオフ攻撃可能になった。ウクライナが自国の情報収集能力に加え、NATOの監視能力の恩恵を受けていることは広く知られている。これまでウクライナ軍はロシア発射台がどこにあるか知っていても、攻撃できなかった。しかし、長射程ロケット弾を手に入れた今、攻撃できるようになった。

 

ウクライナ国防省が9月2日に発表した統計によると、ウクライナ軍はロシアの大砲システム1,126基、対空戦システム153基、MLRS289基を破壊したとある。

 

 

航空防衛

ウクライナ国防省が発表した戦域破壊の統計は、米国と同盟国が提供する防空設備が大きな効果を上げているという米国防総省の直近の報告を裏付ける証拠にもなっている。

 

国防総省が最近発表したウクライナへの継続的な支援に関する報告書では、レイセオンが米陸軍と最近締結した1億8200万ドルの新型地対空ミサイルシステム(NASMS)納入契約に触れている。この動きは、ウクライナに新兵器を実際に「生産」して納入し、米軍備蓄の枯渇を回避する米国防総省の新戦略を示すものである。

 

コリン・カール国防次官UnderSecretary of Defense Colin Kahlの説明によれば、米国の新たな取り組みとは、産業界と協力して、長期戦を支援するため新兵器を製造し、米国からウクライナに送り込むことである。カールは、バイデンによる29億8000万ドルの支援策で説明されたこの構想は、ロシア侵略者への対抗を持続させるため、ウクライナ軍を長く維持し、強化することを目的としていると示した。

 

国防総省高官によれば、NASMSの納入は、ウクライナに防空ミサイルを提供する継続的な努力で最新の進展であるという。この支援活動は、米軍の装備開発展開の加速ぶりを利用したものである。

 

陸軍の取得・物流・技術担当次官補ダグラス・R・ブッシュDouglas R. Bushは、国防総省報告書の中で、「取得のスピードと機敏性が最優先事項である」と述べている。「本契約の迅速な締結は、陸軍が産業界のパートナーを通じて同盟国へ重要能力を提供する能力が加速化されているのを示すもう一つの例だ」。

 

ウクライナ国防省が提供する戦争データは、ウクライナの防空能力にさらなる信憑性を与えている。9月2日更新の戦時データによると、ウクライナ軍は234機の航空機、205機のヘリコプター、853機のドローンを破壊したとある。Global Firepowerの報告によると、ロシアが772機の戦闘機を保有しているのに対し、ウクライナは69機である。しかし、ロシアは制空権を獲得していない。

 

ウクライナがすでに235機のロシア軍機を撃墜しているという事実は、戦争初期に、ロシア戦闘機が「リスクを嫌い」、ウクライナの防空圏内への飛行に消極的だったと国防総省オブザーバーが述べた理由の説明になるかもしれない。

 

ロシアが772機の戦闘機を運用しており、その多くが運用されていない可能性があるとするGlobal Firepowerの情報が正しければ、ウクライナはすでに3分の1以上を破壊した可能性がある。固定翼機加え、ウクライナ軍はヘリコプターに対して肩撃ち式スティンガーミサイルで大成功を収め、ロシア航空攻撃を無力化した。Global Firepowerによると、ロシアは1,500機以上のヘリコプターを運用しており、ウクライナ側は205機を撃墜したと報告している。これはいくつかの可能性を示唆している。ロシアが実際に運用しているヘリコプター数はグローバル・ファイヤーパワーの想定よりも少ないか、ウクライナ側による破壊の程度を考慮し、ヘリコプター攻撃を控えているかのどちらかだろう。

 

明らかに、ロシアの航空攻撃を鈍らせ、減速させ、あるいは単に破壊する能力が、これまでのウクライナ軍の成功で大きな要素として浮上している。■

 

Ukraine Reports has Destroyed 2,000 Russian Tanks, 254 Aircraft & 47,000 Soldiers - Warrior Maven: Center for Military Modernization

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

SEP 2, 2022

 

Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization and the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2022年9月3日土曜日

米空軍CV-22飛行再開ニュースでいつものメディアチェックを行ったら....

 

CV-22 Osprey, USAF


米空軍のCV-22オスプレイが飛行再開しましたが、横田基地に同型機が配備されている日本でも飛行停止措置に関心が集まっていたのでしょう。恒例のメディアチェックを行いました。9月3日現在でこの話題をとりあげたメディアの表記に注目しました。順不同です


  1. 東京新聞「CV22」X

  2. 朝日新聞「米軍輸送機オスプレイCV22について、」X

  3. サンスポ「CV22オスプレイについて、」X

  4. 神戸新聞「CV22オスプレイ」X

  5. 共同通信「CV22オスプ...」X

  6. 日刊スポーツ 「CV22オスプレイ」X

  7. 時事通信CV22オスプレイ」X

  8. 日本共産党東京委員会「CV22オスプレイ」X

  9. NHK「CV22オスプレイ」X

  10. 日本経済新聞「CV22」X

  11. 毎日新聞「CV22オスプレイ」X

  12. 産経新聞「CV22オスプレイ」X

  13. TBS 別記事ですが 「V-22」◯

  14. FNN 別記事ですが「CVー22」◯

  15. テレビ朝日 別記事ですが 「CV22オスプレイ」X

  16. 日テレ 別記事ですが 「MV22」X

  17. テレビ東京 別記事ですが 「CV22オスプレイ」X


結果、正確な表記で報道していたのは2社だけでしたので正答率は12%、つまり88%は存在しない機体をあたかも正しい内容として伝えていたのですね。何度も繰り返しますが、CV22という機体は存在しないのであり、

「-」がついているとわかっていながら、縦書き印刷のため省いていると釈明するのであれば、全部横書きのネット報道でそのまま乗せてなにも感じないのでしょうか。ちゃんと表記している会社が二社しかないのが理解できません。「素人」を排除するうちわの論理ですね。これだから既存メディアは信用力を失っていくのでしょう。ご意見が荒ればぜひちょうだいしたいです。■


ロシア経済は破綻に向かっているのか。実体はそこまで単純でないが、制裁等の影響がじわじわ効いてきたようだ。Foregin Affairs記事のご紹介

  

 

 

4月、ウクライナ侵攻を開始しわずか数週間後、プーチン大統領は、欧米がロシア経済を締め付けることはあり得ないと主張していた。米国や欧州の制裁措置でロシアを屈服させることはできなかったし、今後もできないだろう。プーチンは、「対ロシア政策は失敗したと、すでに自信を持って言える」と幹部に語った。「経済的な電撃作戦は失敗したのだ」。

ここまでふてぶてしい態度は、プーチンなどロシアの指導者によく見られる。しかし、戦争が始まり、制裁が発動されて6カ月が経過した今、多くのオブザーバーが、西側制裁が立案者が約束した厳しい効果をもたらしたかどうかを疑問視している。国際通貨基金(IMF)など国際的なオブザーバーは、ロシアのGDP予測を今年初めから上方修正した。制裁発動直後の当初予想と比べると、ロシアの巧みなテクノクラート的政策決定と、世界のエナジー市場逼迫による石油・ガス価格の高騰もあり、ロシア経済は予想以上に好調だ。

しかし、ロシア経済の好調さでは背景を考慮しなければならない。制裁数カ月でロシアを紛争から追い出すほどの痛みをもたらすと予想したオブザーバーや政策立案者はほとんどおらず、ロシアの戦争継続は驚きではない。しかし、ロシア経済は痛手を負ったままだ。2008年金融危機時より急な成長減速に見舞われており、危機後の回復の見込みはない。生活水準は社会的支出で支えられているが、その維持は難しく、来年度の政府予算について厳しい判断を迫られそうだ。プーチンはこれまで、国民に厳しい犠牲を強いる戦争ではなく、「特別軍事作戦」を戦うとロシア人に約束してきた。しかし、時間が経てば経つほど、戦争の犠牲と一般ロシア人への制裁の影響は大きくなる一方だ。

ロシアは我慢できるか

ロシア経済の健全性を確認するため、マクロ経済データから見てみよう。ロシアのGDPは昨年比で約5%縮小し、減少率は開戦以来、月を追うごとに高まっている。石油・ガス産業含む工業生産は、エナジー価格の高騰を反映し前年比2%程度の減少にとどまっているが、製造業は4.5%減少している。インフレ率は15%強で、3月にルーブルが暴落し、その後回復した後の18%近いピークから低下している。インフレ調整後の月給は、昨年比で約6%減少している。(ロシアの公式データに懐疑的な意見もあるが、国家統計局が大規模操作を行っている証拠はない)。

ロシアのインフレ統計は、製品の購入が時折困難になったり(iPhoneの場合)、ほとんど不可能になったりしている(レクサスの自動車の場合)現実を十分に捉えていないのかもしれない。同様に、インフレ率のデータも、品質低下の影響を定量化するのに苦労している。例えば、ロシア政府は、制裁措置によるサプライチェーン問題で生産が難しくなったエアバッグやアンチロックブレーキのない車の販売を認めるよう、規制を変更しようとしている。このような品質低下はインフレデータには現れないが、いずれ都市部の裕福なロシア人が入手困難の輸入品を求めるようになるだろう。

政府統計が捉えたインフレ率を考慮しても、賃金は昨年比で約6%減と、大幅下落傾向にある。高齢者の主な収入源の年金など社会福祉費は、開戦以来、インフレに侵食されてきた。政府は6月に年金支給額を8%以上引き上げ補填したが、今後数カ月間にこうした高額な社会支出の増額がなければ、一般的なロシア人の所得は下半期に減少することになる。小売売上高が10%近く減少しているのは、消費者が来るべき厳しい状況を見越して、貯蓄に走り始めていることを示唆している。

石油は流れ続けている

家計は生活水準低下の影響を受け始めたばかりだが、一部産業が大きな打撃をすでに受けている。原材料メーカーと製造業含む工業生産の集計データを見るより、各セクターを個別に分析する方がより深い見識が得られる。原材料部門はわずかな影響しか受けていないが、これは価格が高いことと、欧米の制裁でも石油含むほとんどの物資が自由に流通できることを考えれば、当然だ。

ロシア経済の回復力は、天然資源貿易に負うところが大きい。米国からの静かな外交支援を受けた英国とEUは、今年後半に発動されるはずだったロシアの石油輸出への制裁措置を弱めている。エナジー価格の高騰を防ぐため、西側諸国はロシアが中国やインドなど他の顧客に石油輸出を振り向けるのを阻止する取り組みから手を引いている。現在では、制裁措置の微調整で、欧州企業はロシア産石油を第三者に出荷することができる。

欧米諸国はロシアの石油・ガス輸出に対し制裁をほとんど実施しておらず、EUの石油輸入禁止措置も12月まで有効でないため、ロシアの石油輸出量は制裁発動以来、基本的に変化がない。制裁により、ロシアは世界の基準価格から1バレル20ドル程度のディスカウントで原油を販売せざるを得ない状況になっている。それでも、ロシア政府が発表した石油の税収入に関する最新の月次データによれば、ロシアは1月とほぼ同額の輸出収入を得ているようだ。対照的に、ロシアにとって石油輸出より重要度の低い天然ガスの輸出収入は、クレムリンがヨーロッパへの販売を制限しており低迷している

産業界の苦境

エナジー産業とは異なり、ロシアのその他産業部門は大きく打撃を受けている。影響が特に大きいのは、自動車、トラック、機関車、光ファイバーケーブルなどで、それぞれ生産が半減している。また、繊維や食品加工など、外資系企業や複雑なサプライチェーンの影響を受けにくい分野では、生産量が横ばいか、昨年より増えているものもある。

このような産業界の混乱の原因の一つに、ロシアに工場を持っていた日本、米国、欧州の企業が撤退したことがある。工場の一部は、ロシアの新オーナーシップの下で再開予定だが、単独操業は難しいかもしれない。また、製造業は必要資材の調達に苦労している。海外からの部品調達は、はるかに困難となり、正式な規制対象にない製品でさえ、入手、出荷、支払いが難しくなっている。モスクワの鉄道機器メーカー、トランスマッシュホールディングのCEOは、ロシアメディアで輸入部品の輸送と支払いが困難であることについて、「完全な封鎖に直面しているとは言えない」と述べた。「しかし、摩擦の増加に直面している」。

今後数カ月間の重要問題は、こうした産業界の混乱が激化するのか、収束するのか、ということだ。一方で、ロシアが半年近くかけ代替決済や物流網を整備したことで、無認可の重要輸入品が国内に届くようになる。しかしロシア企業は調査に対し、在庫を使い続けていると答えており、必要な部品を調達するのに苦労していることがうかがえる。月次データでは、ロシアの工業製品・部品の輸入は、戦前水準を大きく下回っている。

一般ロシア人への制裁の影響は、今後ますます大きくなっていくだろう。

ロシア産業界の運命は、いくつかの理由から重要である。特に、ウラルやシベリアのモノゴールドと呼ばれる、単一工場や産業に依存する町では、産業は重要な雇用源である。過去には、このような都市で解雇が行われると、大きな抗議行動や社会的混乱が起こり、政治的に不安定になることがあった。ロシアのシンクタンクによる直近の調査では、制裁によりモノゴールド半数が直接悪影響に直面している。ロシア政府は、財政が逼迫しているため、苦境にある産業の支援用の資金調達に苦慮している。

ロシア政府の財政は、クレムリンが戦費を隠すためと思われる支出に関する詳細公表を停止しているため、解析が難しくなっている。ロシアが詳細データを発表した最後の月となった4月には、国防費が前年比40%増だった。ウクライナ攻撃のための給与や運営費の増加に加え、クレムリンはウクライナの戦場で損傷したり破壊された膨大な装備品の再生産に、将来にわたりかなりの資源を割り当てる必要がある。戦費は中央政府のバランスシートだけでなく、義勇軍の増派を求められる地方政府にも膨らみつつある。

このような財政支出は、これから1年のインフレ圧力に拍車をかける。政府は以前ほど多くの収入を得ているわけではない。6月以降、世界の石油価格は緩やかに下落し、さらにロシアは石油を大幅に値引きして販売しなければならないため、石油税収は侵攻後数カ月間の好調さに比べ普通レベルに落ち込んでいる。石油以外の税収は劇的に減少している。インフレ率を調整すると、2022年の最初の7カ月間で、非石油収入は約15%減少し、今年中にさらに減少すると思われる。

その結果、現在の傾向が続けば、ロシアの予算は大幅赤字に傾く。今後、原油価格が上昇し、税収が増えれば、状況は一変する可能性がある。しかし、戦争が続き、生活水準が低下するままだと、財政支出への要求がなくなることはない。

財政赤字が拡大すれば、クレムリンは複雑な立場に立たされる。クレムリンはほぼ借金せずに戦争に突入したが、西側制裁により、外国人投資機関に債券を新規発行できない。ルーブルを対ドルで下落させれば、ロシア政府の支出はすべてルーブル建てのため、財政均衡の効果がある。しかし、ルーブル下落はインフレを促進し、その過程で生活水準を低下させ、制裁は効いておらず、ロシア経済は安定しているといのクレムリンの目論見を台無しにすることになるだろう。

コスト増がのしかかる

ロシア経済は安定しているとのクレムリンの主張は、ある意味で正しい。銀行は健全で、ほとんどの産業は通常通り操業中で、重要なエナジー部門は石油供給を続けている。高級車が不足しているとはいえ、店頭に食料は十分にある。自動車や洗濯機の生産は予想をはるかに下回るので、消費者はできることなら大きな買い物は先延ばしにするだろう。クレムリンにとって楽観的なシナリオは、ロシア人が我慢してやり過ごすことである。

とはいえ、戦争と制裁のコストは、たとえ最初のインパクトが西側諸国やロシアが懸念したほど劇的でなかったとしても、積み上がってくる。今のところ、ロシア指導層は、6カ月間の西側制裁を乗り切ったことに満足している。しかし、これからの1年、ロシア産業界は、欧米の輸入部品がない世界に適応するため苦闘し続けるだろう。原油価格が上昇しない限り、ロシア政府は社会支出の継続と財政赤字や高インフレの許容の間で、より厳しいトレードオフに直面することになる。ロシア経済は、クレムリンの戦争遂行を停止させるような形で崩壊することはないだろう。しかし、急激な景気後退、生活水準の低下が長く続き、急回復の見込みはほとんどない。■

Is Russia’s Economy on the Brink? Moscow’s Struggle to Sustain Its War in Ukraine

By Chris Miller

September 2, 2022