2013年5月15日水曜日

航空母艦から無人機の発進に成功した米海軍は航空史に1ページを加えました

U.S. Navy Makes Aviation History With Carrier Drone Launch

By Reuters
aviationweek.com May 14, 2013
Credit: US Navy

米海軍が5月14日に航空史を書き換えた。無人ジェット機を航空母艦から発進させることに成功し、今後の無人機の軍事利用に大きな一歩となった。中国やイランなどを意識していることは間違いない。
  1. X-47Bステルス無人機はUSSジョージH.W.ブッシュからヴァージニア沖合いで発艦し、メリーランド州の海軍基地に予定通り着陸した。
  2. 「5月14日は記念日になった」と大西洋海軍航空部隊司令官テッド・ブランチ少将Rear Admiral Ted Branchはコメント。「従来の海軍航空兵力に一線を画す出来事がX-47Bの発艦で実現した」
  3. 同 機はステルス性に加えF-35の二倍近い航続距離を有し、今後登場する無人機とともに中国やイランが開発中の中距離対艦ミサイルへ有効な対抗手段になりう る、と国防アナリストたちはみている。ミサイルに加え接近阻止領域拒否構想により米海軍空母部隊は海岸線近くで作戦できなくなる状況の可能性があり、有人 機は空中給油ないとミッションが実施できなくなり、それだけ脆弱性が生まれる。
  4. そこで2,000海里の飛行距離があるX-47のような無人機があれば海軍は長距離攻撃・偵察能力を発揮できる。
  5. 「戦略上大きな意味が出てきます」と見るのは戦略国際研究所の上級国防アナリストのアンソニー・コーズマンAnthony Cordesman, a senior defense analyst at the Center for Strategic and International Studiesで、同機は「真の意味での長距離ステルス航空機システムだ」とする。
  6. 「太平洋への再バランスが進む中で海軍はこれまで以上の航続距離を求めています」と見るのはランド研究所主任研究員ブリン・アルカイアBrien Alkire, a senior researcher at RAND’s Project Air Forceだ。「無人機システムなら実現できることで、今後は十分なスタンドオフ距離から作戦が実施できることになります」
  7. 今回のX-47Bはノースロップ・グラマンが製作した2機のひとつで、精密誘導爆弾2発が搭載できる。火曜日は通常の有人機と同様に空母のカタパルトから発艦した。
  8. 2週間の艦上テストに続き着艦テストを実施する予定で、同機のテイルフックが甲板上のワイヤーを捕らえ、減速し艦上で停止させる。
  9. 発艦は大きな一歩となったが、国防アナリスト陣は次の段階として、海軍がX-47Bの実証内容から作戦用の無人機を開発するのを注目している。
  10. 「X-47Bはすごい」と戦略予算評価センターシンクタンクのマーク・ガンジンガー国防アナリストMark Gunzinger, a defense analyst at the Center for Strategic and Budgetary Assessmentsは言う。「無人艦載航空機へ一歩踏み出しました。でも本当にすごいことはこれからでしょう。この性能を作戦で使いこなせるかが課題でしょうね」
  11. 今後登場する無人機には全範囲周波数帯で有効なステルス性能full-spectrum broadband stealthが加わり、レーダー探知を逃れるはず、とアナリスト陣は見る。ステルス性能が無人機の最大の防御手段だ。
  12. 米軍の無人機にはアフガニスタンやパキスタンの辺境地帯に投入されているプレデターやリーパーがあるが、敵の防空体制突破に有効ではなくステルス性もない。
  13. 空母運用で長距離、全天候飛行可能な機体として設計されたX-47Bは大幅な自律飛行が可能となっており、遠隔操縦されている現在の無人機とは一線を画す存在だ。
  14. このことが米軍が無人機の作戦利用に過度に依存しているのではないか、自律的なロボットの利用が今後拡大するとの懸念を生んでいる。
  15. すでに人権団体Human Rights Watchが「殺人ロボット」へ反対姿勢を示す報告書の中でX-47Bは完全自律型兵器開発への一歩との見解を示している。
  16. 今後開発する機体は無人艦載航空偵察攻撃システムUnmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike System (UCLASS)の名称でX-47Bの知見をもとにした作戦用の機体となる。
今月中にも海軍から設計提案の初期内容の要求が出ると見られ、ロッキード・マーティンボーイングジェネラルアトミックスも参入するだろう。■

2013年5月14日火曜日

多数の機種を有するローテクUAS大国イランがステルス技術をものにする可能性はあるのか

Iran Ramps Up UAS Development Programme

                   
                        UAS Vision  May 13, 2013                    
                                            



イランが最新のUASを「ハマセー」Hamaseh=勇壮なるもの の名称で発表した。同機は古典的な尾部が二つに分かれた構造でIAIのスカウト無人機、TadiranのMastifの1980年代の設計を踏襲している。
  1. 発 表は5月9日のことで、同機は107mmロケット二基と電子装備と思われるペイロードを搭載していた。おそらくレーダーだろう。イランによると同機は敵の 探査を逃れることがステルス性により可能、とのことだが、見たところ着陸装置は固定式であり、主翼の外板でハードポイントを強化しているなど、西側基準で 言うステルス性を実現しているとは思えない。イラン説明では同機は偵察と戦闘ミッション目的で設計されたという。
  2. 技術成熟度はさておき、同機の設計を見るとイランのUAS技術の成熟度が高まっていることがわかり、同国は現在40種のUASがあり、そのうち30種が何らかの形で生産されている。
  3. Another UAS unveiled in 2012 was Shahed 129 followed another Israeli design – the Hermes 450. In April 2013 Tehran unveiled four new programmes – Azem-2, Mohajer B, Hazem 3 and Sarir H110, dubbed as a ‘long-endurance UAS’. Sharir 110 was first shown on a march in Tehran, on April 10, 2013. As other recently unveiled Iranian designs, it follows the design of the Israeli Hunter (Developed by IAI), which has seen operational use with the US Army in Iraq and Afghanistan over the past decade.2012年にはシャヘド129Shahed 129が発表されているが、これもイスラエルのハーミーズ450の設計を踏襲している。2013年4月にはさらに4機種が発表されており、アゼム-2  Azem-2、モハジェルB  Mohajer B、ハゼム3Hazem 3、サリールSarirH110の各機種である。シャリールSharir 110は長距離飛行UASと呼ばれテヘランで2013年4月に初飛行している。これもイスラエルのハンターHunter無人機の設計を踏襲している。な お、ハンターは米陸軍がイラク、アフガニスタンで10年近く運用している。
  4. H- 110サリールは双発UASで長距離飛行ミッションを想定した設計だ。シャリール110も尾翼は二つで推進式のプロペラ動力機で、主翼パイロンに外部兵装 を搭載して展示してある。(SA-7クラスの空対空ミサイル) イランは同機にステルス性があると説明するが、その設計では疑わしい。同機はイスラエルの ハンターUASに類似している。
  5. イランは無人機システムの運用上の技術・戦術・手順techniques, tactics and procedures (TTP)を開発する中で機体開発も進めている。無人機が軍事演習すべてに動員されており、イランは対無人機作戦でも訓練をしている。
  6. . ここでアフガニスタンから発進した米軍RQ-170センティネルをイランが2011年に「拿捕」した事件がからむ。同機はイラン東部を偵察していたといわ れる。イラン電子戦部隊が同機の航法システムを妨害し無傷のままイラン国内に着陸させたとしている。そこでRQ-170の機体からリバースエンジニアリン グでイランが探知されにくくする技術特に電磁シールド技術を入手した可能性はあるし、素材やトポロジーの利用方法から低探知製の新型機に応用しているかも しれない。ただしステルスの全面応用には複雑な加工方法、特殊素材、空力制御が必要で現在のイランの実力では無理と見られる。その証拠にイランからはまだ ステルス機の形状をしたUASは出ていない。
  7. イランはイスラエル上空の偵察ミッションをレバノンのヒズボラを利用して2006年から実施しており、ヒズボラは2011年にアバビル Ababil UASをイスラエル攻撃用に使っている。ただしいずれの場合もイスラエル空軍ジェット機が迎撃している。
  8. ア バビルではステルス性が限定されるため、イランは以後の新型機では被探知性の軽減を課題にしてきた。その一環で最近の特記すべき成果は2012年10月に シェヘド129がレバノンから飛来し南部イスラエル上空の偵察ミッションに成功したことで、この際は30分間経過してから迎撃された。イラン筋はこれがイ スラエル上空侵入の初めての事例ではないというものの、その根拠は示していない。イスラエル軍もこの事例から教訓を得て、2013年4月の事例ではイラン 無人機はイスラエル沿岸に到達する前に迎撃されている。



2013年5月13日月曜日

F/A-18生産を2020年まで維持しようとするボーイングは商魂たくましく拡販に走っています

Boeing Aims To Keep Building F/A-18 Jets Through 2020

By Andrea Shalal-Esa/Reuters

aviationweek.com May 10, 2013
Credit: U.S. Air Force photo/Capt. Shannon Collins

.ボーイングはスーパーホーネットおよびその電子攻撃機版の生産を2020年まで継続する意向だ。ただし、海外販売が200機超となり、米海軍向け追加販売が150機となることを条件としている。
  1. 同社副社長(F/A-18 ・EA-18担当)マイケル・ギボンズMichael Gibbonsが議会関係者にシミュレーター、展示物、記念品を満載したトレーラーで同機販売に熱を入れている。
  2. 同副社長の役割は2014年度予算内でEA-18G21機分の予算を守り、スーパーホーネットの優位性を強調することであり、ボーイングは同機の改良によりロッキード・マーティンの第五世代機F-35への優位性を確保しようとしている。
  3. .F/A-18 はボーイングが生産する唯一の戦闘機であり、同社はF-35の生産遅延と費用超過につけこんで、F/A-18 の販売を増やそうとしている。ただし、F/A-18 生産が縮小となることで販売拡大はいっそう緊急性を帯びてきた。
  4. 「ボーイングにとって今年が分かれ目でしょう。」と語るのは国防コンサルタントのジム・マカリースJim McAleeseでスーパーホーネット調達の予定が海軍にないことから同社は拡販に必死になっているのだという。
  5. ボーイング支持派の議員からF/A-18の調達を海軍に求める予算案が繰り返し出ており、海軍はもっと戦闘機が必要でF-35の配備までのつなぎが必要だという。
  6. ギボンズからは海軍がF-35の二飛行隊を就役させるかわりにスーパーホーネット二飛行隊を配備することの優位性を議会関係者に理解させようとしている。
  7. 「当 地では議会関係者の皆さんが航空問題に詳しくない方も含めスーパーホーネットがなぜ次世代機になれるのか、なぜ購入可能価格の選択肢になるのか、を特に予 算状況が厳しい環境でご理解いただこうとしています」とし、新しいタッチスクリーン式のコックピットディスプレイを議会関係者に試してもらったという。
  8. 海 軍はスーパーホーネットの単座E型と副座F型を2000年から使用中。ボーイングは同機を原型ホーネットの「改良版」として前回の国防予算削減の際に予算 確保に走ったが、専門家に言わせればスーパーホーネットは実質的に別機体だとし、主翼が拡大し、機体延長で燃料搭載量を増やし強力なエンジンに換装してい るからだ。
  9. 海軍との契約終了は2015年中ごろだが、スーパーホーネットおよびグラウラーの生産はオーストラリアがグラウラー追加導入を発表したことで2016年までは続きそうだ。オーストラリア発注は確定というものの、ボーイングの期待数の半分しかなかった。
  10. そこでボーイングが売り込み先で有望と見ているのがブラジル、マレーシア、中東諸国(同社は国名の特定を拒否)で、ボーイングがこの数年間にデモ飛行を精力的に行っている。アナリストの中にはクウェートほか数カ国と販売契約締結を今年上半期に成約しそうだという。
  11. さらにF-35導入を見直そうという各国に対してF/A-18データを提供している。カナダ(35機導入希望)、デンマーク(30機希望)が該当。
  12. ギ ボンズとしては合計で200機を越える海外受注を期待してブラジルの35機整備では十分訴求力ありと見ている。ブラジルの決定は第3四半期と見られる。こ の数年間のボーイングはブラジルで存在感を増しており、ブラジルの航空機メーカーエンブラエルSAほかの企業と提携関係を樹立している。
  13. ボー イングからブラジルほかの国に持ちかけているのは8から9百万ドル規模のスーパーホーネット性能改修でタッチスクリーンコックピットディスプレーの大型 化、ミサイル追跡機能、推力20%増のエンジン、新設計燃料タンク、機体をレーダー探知しにくくする機内搭載兵装ポッドをまとめて提供しようというもの だ。
  14. 主 サプライヤーであるノースロップ・グラマンはボーイングと共同で自社予算で原型機を製造中で、レーダー探知性能が本当に下がることを実証する。この機は性 能向上型スーパーホーネットAdvanced Super Hornet と呼称され、「スーパーデューパーホーネット」と揶揄する向きもあり、今年夏あるいは初秋に海軍試験場に持ち込むとギブソンは言う。
  15. .ボーイングは海軍向けに75ないし100機の追加販売をもくろみ、運用コストが現役機体の中では最小と強調している。そうなるとスーパーホーネット組立てラインを2020年あるいはその先まで維持できる見ている。
  16. ボー イングは同機の時間当たり運用コストは$16,000でF-35よりはるかに低いとし、調達費用もずっと低いという。ロッキードとペンタゴンからはF- 35の生産価格はこれから下がってくると主張し、提供する性能の水準が高いこととして電子戦・ジャミング能力やレーダーに探知されにくい特徴があると強調 している。「ボーイングは海軍がカ艦載型F-35が高価過ぎて導入をあきらめることを期待しているのでしょう」とロッキードとつながりが強いコンサルタン トであるローレン・トンプソンLoren Thompsonは見ている。


英空軍の給油ミッションを実施する民間会社エアタンカーは欧州の給油機不足解消の切り札になるのか

AirTanker Aims To Solve European Tanker Shortage

By Tony Osborne
aviationweek.com May 06, 2013
Credit: Crown Copyright


英空軍(RAF)の空中給油・輸送機部隊の運用を実施している民間企業エアタンカーAirTankerが英国以外での売り上げ確保の模索を始めた。
  1. 同社が期待をかけるのはヨーロッパで恒常的に給油機が不足しているためで、同社保有のA330-200ヴォイジャー給油輸送機の余剰機材を軍用仕様のまま他国にリースすることを考えている。
  2. 「これまでは委託運用中心だったが、今後は自社で営業をかけていく」と同社CEOフィル・ブルンデルPhil Blundellは語る。「当社機材を最大限活用する方法を検討しています」
  3. 同社はヴォイジャー14機を購入し、RAFの旧式VC-10およびロッキードトライスター給油輸送機と交代させる。平時にはヴォイジャー全機は必要ではない。9機あれば十分である。残りの5機は有事の追加投入機材用として想定される。
  4. そこで予備機材の軍用装備を取り外し、チャーター航空会社にリースすることが可能だが、軍用仕様のまま他国にウェットリースしたほうが営業上は有利と見ている。
  5. 「英国防省には予備機の経費負担がなくなるのが利点です。必要となればいつでも予備機を追加投入できますので、固定費負担を減らしたまま給油能力を確保できます」(ブルンデル)
  6. そのほかの売り上げ策として他国のA330の安全点検補修チェックの実施があり、同社は2014年上半期中にC点検資格を取得する予定。
  7. 英 国防省はヴォイジャー中核機材9機の飛行時間を欧州諸国、NATO加盟国に提供できないか検討中という。この案は欧州防衛庁European Defense Agency (EDA)も賛同しており、RAFヴォイジャーをNATOを通じ提供し、機材利用にはC-130の飛行時間を利用したとみなして支払いが発生する。つま り、A国が給油機をB国に1時間貸し出したとすると、B国はC-130 換算で3飛行時間分の借りができることになる。このように機材を共同利用することで英国には固定費負担が軽減できる効果が生まれると同社は説明する。
  8. 「英 国およびRAFはヴォイジャーで欧州各国の空中給油・輸送のニーズを解決することができるとともに、英国製国防装備の優秀性を示すことができます。EDA が基礎作業をしてくれました。政策上も政治上もこの実施方針は明確になりました。同時にマリではからずも露呈したように空中給油能力の不足がある一方で、 米国がアジアに戦略重点を移す中で当社の事業にははずみがつきます」(ブルンデル)
  9. た だし課題も残る。エアタンカーのヴォイジャー各機はRAFの第一線戦闘機へ空中給油をまだ実施していない。給油作業に必要な英国軍事航空公団 Military Aviation Authority (MAA)の認可を得ていないため、作戦機材の乗員の空中給油訓練が実施できないので、それまではRAFはVC-10・トライスターを引き続き給油任務に 投入することになる。ヴォイジャーからの給油を最初に受ける機材はパナヴィア・トーネードGR4となり、タイフーンがその後に続くものと見られる。ただ し、給油機共有が実現するとしてもNATOのどの機種を給油対象とするのか、どの国が実際に支払いをするのかは未定だ。
  10. RAF のユーロファイター・タイフーンを今年三月にマレーシアの国際航空展示会に派遣した際は、イタリア空軍のKC-767 が二機で支援をしている。イタリア空軍のユーロファイター機がKC-767より給油を受けた実績があるため、この際の給油許可が出ている。VC-10やト ライスターでは機材が予想外の故障を起こしかねないため、派遣部隊の司令官は旧式給油機の使用を好まなかった。
  11. 給油機不足は実際にフランス空軍がマリ介入作戦で経験しており、フランス、イタリア両政府はラファエル、ミラージュ2000両機のKC-767からの給油許可を急いで取得したが、実際は数回のソーティ実施後に下りている。
  12. 他 方エアタンカー社はヴォイジャー各機の防衛装備の拡充に乗り出した。各機には赤外線対抗装置二基が装備されており、アフガン戦域では十分とされてきたが、 脅威内容が変わってきたため三基装着が必要と判断されている。予算31百万ドルでこの改装が行われており、完成すれば英国からアフガニスタンへ直行し、機 材の空輸を支援することができるようになる。
  13. 同社が保有中のヴォイジャーは4機で、うち3機が多用途給油輸送機として製造され、残る一機は旅客機仕様から給油機に改造される。5号機、6号機が今年中に納入される。■

コメント: RAFは空中給油・輸送ミッションそのものを民間委託しようとしているのですね。英国以上に財政が厳しい日本でもこれから防衛業務の民間委託というコンセプトが本当に実現するかもしれませんね。でも、周辺国へ余剰機材を利用させることはできないでしょうね。


2013年5月12日日曜日

次期米陸軍ヘリへの採用を期待するテキサスの新興企業AVX

AVX Presses Case For Coaxial-Rotor JMR Demonstrator

By Graham Warwick



aviationweek.com May 06, 2013
Credit: AVX Aircraft


新興小企業が大手を差し置いて新型回転翼機の実証事業契約を勝ち取れるだろうか。ベルボーイングシコルスキーを相手にAVXエアクラフトAVX Aircraft は可能と信じている。
  1. テキサス州フォートワースが本社の同社は共用多用途機Joint Multi-Role (JMR) 開発で米陸軍は同社を選定し、高速回転翼機実証二機種のひとつとすべきと主張する。実証機は2017年に初飛行予定。
  2. 選 定の意味は大きい。JMR技術実証機はその後に続く次世代垂直離着陸機Future Vertical Lift (FVL) の先行と位置づけられ、シコルスキーUH-60ブラックホークとボーイングAH-64アパッチ合計数千機にかわり2030年代から就役となるからだ。
  3. 規 模の大きさからボーイングとシコルスキーは共同事業体をJMR、FVL双方で組み、シコルスキーX2高速同軸ローター機を原型とした複合ヘリコプター compound helicopterを提案する。EADSノースアメリカもユーロコプターX3ハイブリッドヘリコプターを原型にした提案で参入の動きを見せている。
  4. AVXの設計案(上図参照)では同軸ローターにダクテッドファンと小型翼を組み合わせている。ただし契約獲得を狙う小企業は同社だけではない。パイアセッキエアクラフトPiasecki Aircraftからは主翼つき複合ヘリコプターにベクター推力ダクトつきプロペラーの機体の提案が飛行ずみX-49Aスピードホーク技術を元に出ている。
  5. .AVX 社はベルの元従業員が発足させたもので、同軸ローター技術、ダクテッドファン技術が基盤だ。同社からはベルOH-58Dカイオワウォリアー武装偵察ヘリの 性能向上改修の提案があったが、なんといってもブレイクスルーしたのはベル、ボーイング、シコルスキーを尻目に同社が陸軍からJMRとFVLの概念研究契 約を勝ち取ったことだ。
  6. 同 軸ローター技術でホバリング効率が向上し、テイルローターの出力損失がなくなる、とAVX社長兼主任技師のトロイ・ガッフィーTroy Gaffeyは説明する。ベルの技術部門長をしていた。ダクテッドファンで推進力が生まれるので、ローターは揚力を生むだけでよく、必要な出力も大幅に縮 小できる。陸軍は速度230ノットを希望しており、エンジン出力の三分の二をファンにまわし、残りをローターが使う。
  7. ロー ターを傾け推力を生む必要がなく、ブレイド荷重を低下し振動を最低でも50%減らすことができる。「機首を少し上げれば抗力が減り同出力でより高速になり ます」とガッフィーは言う。「機体構成のつぼは空力特性です」 ダクテッドファンは小さく軽くできるし、巡航性能は優秀だという。
  8. 最高飛行速度で揚力の6割はローターから生まれ、残りの4割は小型前進翼と後部のダクテッドファンとスタブウィングが生む。ただし230ノット飛行ではローターが抗力の半分を生むので、それを減らすべくAVXは改良フェアリングの効果を検証中だ。
  9. 直 径56フィートのローターが生む高揚力で外部積載量は大きいとガッフィーは語る。提案書では同機は機体重量は27,000 lb. で兵員12名、貨物13,000 lb.を運ぶ。乗員は4名。これに対しUH-60Mは22,000 lb.で、9,000 lbを外部輸送できる。貨物輸送量からはむしろチヌークに近い、とガッフィーは言う。
  10. 200 kt. で巡航しペイロード4,300-lb.には3,100-shpのエンジンが必要となる。だが目標は230 kt.なので4,600 shp以上の出力が必要となる。
  11. そ の他の複合ヘリコプター機種も同じ問題に直面している。「230 kt. で問題になるのは出力水準です。大型エンジンはコスト高で燃料も多く必要としますが、その反面輸送力の余力が大きくなります」とガッフィーは言う。もし陸 軍がスピードは高くつくことを認めてくれれば、AVXもダクテッドファンを取り外す。「なくなればスピードは170-kt.ぐらいになります」
  12. AVX は生産のため多くのサプライヤー各社を集めたが、陸軍が新参会社をこれだけ重要なプログラムに選定するだろうか。ガッフィーはすべては陸軍の指示書にある とおりで、JMR入札者はFLVの開発リスクを減らすためにも実証機を飛行させる「切実なニーズが」あると証明すべしという点である。
  13. 「ティルトローター機ではXV-15があってV-22があるのに、なぜベルはV-280を飛ばす必要があるんでしょうか。X2でも同じでしょう。同機はすでに飛行済みで性能を証明済みです。X3に至ってはユーロコプターはまだ同機を飛行させていません」(ガッフィー)
  14. 「当社では同軸ローターとダクテッドファンは効率性を実証する必要があります。大手各社はFVL構想が生きている間は自社の機体を飛行させているでしょう。そこで競争を活性化させるためにも小規模な当社は陸軍が見放さないと考えています」■

2013年5月11日土曜日

ペンタゴンの中国警戒②宇宙空間 衛星攻撃も覚悟する米国

Pentagon Cites New Drive To Develop Anti-satellite Weapons

By Reuters
aviationweeek.com May 08, 2013
Credit: USAF
アシュトン・カーター国防副長官Deputy Defense Secretary Ashton Carterから懸案の国家安全保障に不可欠な衛星群の防護策づくりに米軍が着手したこと、潜在敵国の宇宙作戦実施能力への対抗策の検討に乗り出したと発言が出た。
  1. 「わが国の宇宙計画をとりまとめ衛星への脅威に対応すべく各界の最良の知識を動員します。必要であれば宇宙機を用いずに実施します」とナショナルプレスクラブで発言。
  2. カーターが言っているのは敵の脅威に対して軍用・情報収集衛星群の生存性を確保する方法、衛星群が利用できなくなった場合の作戦運用方法である。
  3. 2014年度予算に関係支出が入っており、「わが軍へ不利な状況を生む相手の宇宙利用を拒否する能力」も支出が認められているという。副長官は具体的に何を意味するのかは説明していない。
  4. 国防総省はほぼすべての軍事機能が米国の衛星群で支えられていると強調してきたが、重要な通信機能、目標捕捉、気象データ、敵ミサイルの発射の警報が提供されている。
  5. ペンタゴンが公表した中国の軍事力開発の年次報告書では中国がコンピュータ・スパイ活動で技術を入手し近代化をねらっているとするが、中国からは根拠がない、と一蹴されている。
  6. 同報告書では中国の宇宙空間での能力拡充を取り上げ、「多方面でプログラムを同時に進めており、有事に敵の宇宙配備アセットの使用を制限するか防止させる能力の向上をめざしている」と記述している。
  7. 中国の軍事戦略立案者は宇宙空間を自国の目的に利用するが敵には利用させない事が鍵と見ている。報告書では中国の軍事分析から「有事の際に敵の衛星ほかセンサーを破壊あるいは捕獲する事が重要だ」との記述を引用している。
  8. 米国は中国の衛星攻撃能力開発を憂慮しており、実際に中国は2007年に老朽衛星を標的にミサイルを発射し莫大な数のデブリを宇宙空間に飛散させた。
  9. 米国の最重要軍事情報衛星への妨害能力を拡大中との情報報告が昨年に出てから中国の動向にいっそう注意を向けている。
  10. 同報告の内容に詳しい筋からは中国が高軌道で米国衛星群の破壊能力を有しているとの信頼すべき情報があると語っている。その手段には衛星、ミサイル、地上発射の妨害策があるという。低軌道ではすでに対衛星手段のテストが実施されているとのこと。■

2013年5月10日金曜日

英軍が運用するUASは現在合計500機規模になっている

British Military Now Has 500 UAS

                   
                        UAS Vision, Posted on May 8, 2013               
                                            

英軍はUAS500機を運用中で、国内空域での運用を検討中とガーディアン紙が報道している。
  1. UASの拡充は2030年までに保有機の三分の一を無人機にする英空軍の目標の一環。
  2. 現時点で英国内で無人機と通常機が一緒に運用されているのは民営のウェストウェールズ空港のみ。国防省は同空港で新型ワッチキーパー監視用UASのテストを行うとともに運輸省、民間航空局と共同で「遠隔操縦航空機への空域開放」の実証をしている。
  3. 英軍運用のUASには、ヘルファイヤミサイルやレーザー誘導爆弾を搭載するリーパーから片手に入るブラックホーネット超小型ヘリコプターまで多数ある。両機種はアフガニスタン戦に投入され、ハーミーズ450監視無人機は陸軍が導入したワッチキーパーに代替されている。
  4. 国防省によれば各無人機は有人機と共通の交戦規則で運用しているという。
  5. アフガニスタンに配備中のリーパー5機で合計350発のミサイルおよびレーザー誘導爆弾を投下発射している。さらに5機が追加配備され、その操縦運用はリンカンシャー州ワディンゴンの英空軍施設で行う。
  6. . ただ国防省によればアフガニスタンに投入する10機のリーパーは来年中の英軍撤退に伴い国内に再配備する。「リーパー各機の配備場所は未定」と国防省ス ポークスマンはいい、「現状では国内運用の予定はない」とする。英軍の配備済みリーパーは累計飛行時間45千時間を越えて、国防省は今後の無人機運用に自 信を持つにいたった。
  7. 同スポークスマンによれば将来の戦闘航空機勢力は有人高速ジェット機と遠隔操縦航空機の混成となる。リーパーの運用経験で21世紀の空軍力で無人機が重要な存在となることが実証された、という。
  8. ただし国防省は完全自律型無人機の導入予定は持っていない。自律型無人機は批判勢力が警戒する構想だ。「操縦、武装利用で人員が介在しないシステムの開発予定はありません。」
  9. 将 来の軍用、民間航空に無人航空機システムは不可欠の存在として、民間シンクタンクRoyal United Services Institute の主任研究員Elizabeth Quintanaは国防省は今以上に無人機利用を進めるべきだと語る。「将来の兵力構成で無人機が必要な要素であることを国防省、政府は認め、倫理的に受 け入れられる利用法を検討すべきです」とし、「これまでの議論は公開されておらず、国防省はこの問題を堂々と先に進めるべきでしょう」とする。
  10. また同研究員は最近の調査で英国民はUASの使用を不安に思っていないことが判明したという。「素性が判明したテロリストを殺害するのか、逃がしてしまうのかという選択を突きつけられれば国民はUASを利用すべきだと賛同しますよ」

Photo: Andrew Chittock/Alamy

2013年5月9日木曜日

F-35運用コストをめぐりペンタゴン内部で見解の相違

Pentagon Struggles To Pin Down F-35 Ops Cost
By Amy Butler

aviationweek.com May 06, 2013
Credit: U.S. Air Force Samuel King Jr.
Amy Butler Washington

ペンタゴンでF-35の飛行時間あたりコストをめぐり意見対立があるのは運用費用がいくらになるのか把握できないことの証拠と通常なら受け止められる。
  1. こんな論争は顧客予定国の懸念を増すだけで、運用コストの前では開発コスト、購入コストが小さく見えてしまうが実際はこれらも大幅に伸びているのだ。運用コストが判明するまでは導入を先送する動きもでてきた。
  2. . この数ヶ月にわたり、ペンタゴン関係者はF-35の飛行時間あたりコストcost per flying hour (CPFH)を同一条件で既存機種と比較検討しようとしてきた。ただし異なる数字がペンタゴンのF-35プログラム推進室責任者であるクリストファー・ボ グダン中将 Lt. Gen. Christopher Bogdanと調達責任者のフランク・ケンドール国防次官Frank Kendall,から相次いで飛び出した事実は価格の比較検討は言うほど簡単でないことを示している。ただしどこかで数字の合意ができないとワシントンお よび各国で困ってしまう状態になる。各国とも財務情況に与える影響を今後数十年間にわたり考慮した上で導入を決意する必要があるためだ。
  3. ボグダン中将はオランダ国会議員にF-35運用費用はF-16の10%高と先月に発言している。
  4. F-35AのCPFHは$24,000と米軍関係者は見ている。ボグダン中将はこのデータをオランダ関係者に開示し、「F-16とF-35の飛行時間あたりコスト比較」と説明した。
  5. ただしこれは仮数字だと関係者は言う。F-35Aの飛行訓練は始まったばかりで、テストは継続中なので、データが集まっても機体のライフサイクルコストに直結していない。耐久性テストで部品またはシステムでサポートが必要なものが出ればCPFHの上昇要因となる。
  6. 開発費は急上昇し、機体単価は2001年の原契約時の二倍まで増加しているのに加え、就役開始時期が遅れているので購入予定各国は機体価格だけでなく、運用コストでも神経を尖らせている。
  7. オランダは当初の85機購入を33機まで縮小しようとしている。そんな中でボグダン中将がオランダ側に示した数字だが、報道と同時にケンドールが疑義を示し、数字は今月予定でペンタゴンが議会に提示する数字よりはるかに大胆だというのだ。
  8. ボグダンの示した10%の数字は「多分に仮定のもの」とケンドールはペンタゴン詰め記者に語っているが、どこが仮定なのかについては語っていない。
  9. 今回議会に提出する数字は昨年度の特定装備取得報告書の数字よりも低くなるとケンドールは発言。昨年度はF-35AのCPFHは$31,900でF-16C/Dは$22,500だった。
  10. 「今年はこれより低くなる。ただしボグダン中将の数字までは低くならないと思う。」とケンドールは発言。
  11. ケンドールによるとF-35のCPFH算出方法は少なくとも六通りあり、これが誤解の元になるという。飛行時間を短くすれば、時間当たり費用は増える。ただし全体としての保有費用は既存機種と大差なくなるという。
  12. 「そ もそも保有にかかわる費用とは何でしょうか」とケンドールは問いかけ「比較できる範囲で機体を稼動状態にしておく費用のことでしょうか。これは使用する国 で違ってきます。」 同じ機体でも国ごとに飛行時間は異なるし、予備部品をどれだけ確保するのか、整備人員がどれだけ有効に対応できるのか、ほかが変動要 因だ。
  13. 米海軍は50年間の供用期間で1兆ドル以上と算定しているが、これを論破できるだけの材料はまだ見つかっていないようだ。
  14. CPFH は全体保有費用のひとつの要素にすぎない。コスト削減につながる可能性が大なのが機体の維持管理関係だとケンドールは見る。初期機体の単価は2001年時 点予想のおおよそ2倍になっているが、このことで各国が購入を先送りする結果となった。たとえばトルコは二年間先送りすると発表しており、トルコ向け機体 の価格は百万ドルずつ上昇する、とボグダン中将は言う。
  15. それでも同中将はF-35A単価は80から90百万ドルに落ち着くと楽観的に見ており、これは現状での各国の導入案から計算したという。
  16. と いうことで管理室は全体保有費用の引き下げに重点を置いており、ボグダン中将によるとロッキードに対して年間生産契約を根拠に価格引下げを迫っているとい う。さらに生産後改変費用を初期生産機体に上乗せさせようとしている。この費用だけで各機5百万ドルかかっており、飛行テスト後に見つかった不良の対策だ が今後も発生しそうだ。■

2013年5月8日水曜日

ペンタゴンは中国の軍事力整備をこう見ている

China Expanding Its Military Mindset, Pentagon Says


aviationweek.com May 07, 2013
Credit: Chinese Internet

中国は軍事影響力をグローバル規模で広げようとしており、各種演習、海賊対策その他手段を使っているとペンタゴン報告書が分析している。
  1. 「中 華人民共和国(PRC)は長期間にわたり軍備近代化を進めており、交戦力向上に加え短期紛争での勝利と高密度地域内軍事紛争でも勝利を目指している」と恒 例の議会向け年次報告書でペンタゴンは分析している。5月6日公開の「PRC関連軍事保安関係の動静報告書2013年版」“Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2013”である。
  2. 台湾海峡の軍事対立に備えるのが依然として中国の軍事関連支出の主要関心事だとペンタゴンは分析。
  3. 「台湾海峡の有事に備えることが人民解放軍(PLA)の重大任務であり、馬総統の2012年1月再選後は緊張状態が減っているが変化はない」「抑止力が低下すれば、PLAは台湾に対し独立姿勢の撤回を求めるか軍事力での統一を図り台湾支援の外国勢力の撃破を狙うだろう」
  4. 「ただし中国の関心対象は拡大しており、国際秩序にも影響を与えやすくなっており、軍近代化も領土紛争の範囲を超えた広範囲のミッション遂行能力への支出が中心で、海賊対策、平和維持活動、人道援助、災害援助、地域大軍事活動を視野に入れている」
  5. 「想定ミッションには国際安全保障体制に挑むものもあれば狭い範囲の国益追求をめざす領土主張の解決、海外における勢力圏の拡張を狙うものもある」
  6. そ の実現手段として2012年も高性能の短距離、中距離弾道ミサイル(通常弾頭搭載)、対地・対艦巡航ミサイル、宇宙兵器、軍事サイバー空間作戦能力の整備 をした。ペンタゴンは「接近阻止領域拒否(A2/AD)ミッションを想定している」と分析している。(PLAは「干渉排除作戦」と表現)
  7. 核抑止力と長距離通常兵器抑止力の整備も続けており、高性能戦闘機、限定つき地域内軍事力投射、初の空母就役、統合防空体制、水中戦、指揮統制能力の改善に加え三軍でこれまで以上に緻密な軍事演習を展開しているとペンタゴンはまとめている。
  8. 他 国との軍事演習の回数も増えており、相手国とのつながりを強化することでPLAの政治的な利益も増大している、とペンタゴンは分析。演習を能力向上の機会 として2011年から2012年にかけてPLAは合同演習を21回実施しているが、それに先立つ5年間(2006年ー2010年)が合計32回だった。■

2013年5月4日土曜日

英空軍 リーパーに自国製ブリムストンミサイルを搭載する意味は何か

U.K. Looks To Integrate Brimstone On Reaper UAV

By Anthony Osborne tony_osborne@aviationweek.com
May 03, 2013
Credit: Tony Osborne
MQ-9 Reaper UAV fleet.英空軍はMBDA製ブリムストン空対地ミサイルを保有するジェネラルアトミックスMQ-9リーパーUAVに搭載する検討中。
  1. このため実証作業を米国内で行う予定で、案が国防装備支援技術開発担当国務大臣フィリップ・ダンのスピーチによりワシントンで披露された。「現在ビッグサファリグループと共同で英国製ブリムストンを米国製機体に装着する作業を進めております」
  2. 英国防省がスピーチ内容を確認しており、それによると英国製ミサイルを米国製機体に取り付けようとするが、機体は米国の海外軍事販売制度により購入しているため、米側のビッグサファリ担当室が実証作業を担当する。
  3. 「ブ リムストンをリーパー含む英空軍が運用する攻撃用機体で運用する方法を検討中です。テストは米国内で行います」と国防省担当者がAviationweek に話している。「英国の海外ビジネス拡大の一環として世界で通用する英国製技術を示す機会をたえず模索しており、国内雇用と投資を確保する一助にしようと しています」
  4. 英空軍のリーパー5機がアフガニスタンに配備中だが、米国内の試験運用で影響を受けることはない。配備中の機体は武装偵察任務に投入中で、ロッキード・マーティン製ヘルファイアミサイル、500ポンドのGBU-12ペイブウェイIIレーザー誘導爆弾を搭載する。
  5. ブ リムストンはヘルファイアと共通点が多い、デュアルモード誘導はレーダーとミリ波シーカ0を使い、打ちっぱなしモードで複数目標を打撃する同時発射も可能 だ。合同保護者作戦(リビア)Operation Unified Protectorでその効果が実証されており、トーネードGR4から発射されている。現状ではブリムストンを装備するのは同機のみである。
  6. 同ミサイルの装備は英国防省がリーパー部隊を2015年以降も稼働させる意向であることのあらわれだ。現状の5機はまもなく10機に増強されるが、アフガニスタンでの戦闘作戦が2014年12月で終了する前提で予算計上されたもの。
  7. ただし英空軍上層部によるとリーパーは英国内で運用の予定はなく、海外で緊急展開が必要となるまでは保存しておくとのことで、パイロットはシミュレーターで訓練し、離着陸時の支援要因は米国内で訓練を続けるのだという。■