2020年5月16日土曜日

USAFはアジア太平洋でこう戦う---沖縄演習で垣間見えた中国対抗戦略とは

Aviation Weekに注目の記事がありましたのでお伝えします。次期空軍参謀総長にPACAF司令官が横滑りするのはいよいよ対中国戦略の実施が現実になってきた証拠でしょうか。

refueling squadron in midair 
嘉手納基地のZZ記号を付けたF-15の2機が第909給油飛行隊のKC-135からウェストパック・ラムランナー演習で給油を受けている。
Credit: Sr. Airman Matthew Seefeldt/U.S. Air Force

空軍はこれからの航空戦に向け新しい対応策を検討中だが、その片鱗が嘉手納航空基地で見られたので紹介したい。
  • 基地防衛の試行
  • 攻撃下の補給活動とは
沖縄で1月に実施された演習はウェストパック・ラムランナー WestPac Rumrunner の名称で制空任務を想定した。ボーイングF-15Cの24機は嘉手納ABから100マイル東に進出し、「侵攻軍」の米海軍F/A-18E/F(岩国MCASより発進)を迎撃した。同時に特殊作戦部隊(SOF)所属の機材が沖縄へ侵入を試みた。
この設定から将来戦の片鱗が見える。嘉手納基地のF-15C4機は燃料と装備を普天間海兵隊基地で補給した。日本配備中のE-2Dが嘉手納のF-15C部隊を支援し、侵入を試みるF/A-18E/FおよびSOFに対応させた。空軍が進めるアジャイル戦闘展開 Agile Combat Employment(ACE)戦略構想を試す機会になった。さらに海軍のノースロップ・グラマンE-2D部隊と現地のMIM-104ペイトリオット部隊(陸軍)で防御側の戦闘統制を試した。
ウェストパック・ラムランナーではACEや統合全ドメイン指揮統制Joint All-Domain Command and Control (JADC2)のすべてを試していないが、中国東方に位置する第一列島線の各基地に大きな意味がある。
「アジャイル戦闘展開や基地防御の知見を演習から得たい」と太平洋空軍(PACAF)司令チャールズ・ブラウン大将がAviation Weekに2月に述べていた。PACAF隷下の航空部隊は新構想を試し、技術以外に考え方の変化も求められている。
「答えを全て得たわけではないが、フィードバックし実効性を試せる」「そのあとで『これを戦闘教義にどう反映し対応策を変えるべきか』を考える」(ブラウン)
PACAF内の各基地と補給線の防衛が課題だ。空軍首脳部が今年2月公表した予算要求では補給網が攻撃下にある想定で対応案を盛り込んだ。目標は補給再装填で重要拠点となる基地の破壊、弱体化を狙う敵の協調攻撃に対し十分な回復力を基地で実現することだ。
「ACEのカギは軽く、無駄を削り、敏捷さの実現」「補給活動に足を引っ張られては困る」(ブラウン)
新構想の細部は非公開だが、空軍上層部は遠隔地の飛行場に部隊を分散させること、基地防御体制の強化の模索を認めている。
ブラウンは指向性エナジー兵器含む新技術に加え、高性能運動性エナジー兵器たるTHAADやペイトリオットでも分散配備を狙う。ブラウンは次期参謀総長に内定しており、開発中の小型モジュラー核融合反応炉で高出力装備の電源を確保したいとする。
PACAFは貨物コンテナーに装備品を入れ、各地で事前配備したいとするが、受入国の承認を事前に取る必要がある。そこで人道援助用の補給物資の事前配備から始めたいとする。
refeuling aircraft 
演習では嘉手納基地のF-15Cが普天間海兵隊航空基地で燃料補給を受けた。 Credit: Staff Sgt. Benjamin Raughton/U.S. Air Force


「人道援助災害救難から始めて各地に展開したい」「この地域では台風、火山、地震が多く発生しており、ここから始めたい」
軽く、敏捷にとの要求からも変化が生まれる。補給活動への脅威を減らすため必要な補給物資の量を減らし、空輸回数を減らす。ここから兵装装備品の軽量化や効率のよい運用につながるが、現時点の焦点は補給活動を必要最小限に絞り、ソフトウェアで効率良い決定を下すことにあてられている。
輸送機の防御も重要だ。航空機動軍団は無防備だったボーイングKC-135、ロッキードC-130Hの防御能力に予算を計上し、警告装置や赤外線/無線誘導式ミサイル対抗装備を搭載する。別の防御策は輸送機がどこを離着陸しているか敵にわかりにくくすることだ。
「各機材に防御装備を搭載するのは重要だが、同時に運用地にも注目している」「ここからアジャイル戦闘展開構想が生まれた。一地点で機材を分散させるのではなく、各地の飛行場に分散させる。防御策も各地で必要となる」
高額装備のTHAADやペイトリオットも各地に移動させる必要がある。「軽量で贅肉のない装備がほしい。銃弾数に制限がなく、今までと異なる費用曲線の装備があれば、高額装備は弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイル迎撃に専念させられる。高出力マイクロ波や指向性エナジーで各地での柔軟対応へ道をひらく。この考えで意味のある検討が進んでいる。まだ先は長い」(ブラウン)
その第一歩が各地での演習で、ウェストパック・ラムランナーもその一環だ。嘉手納基地の第18航空団が防空効果を発揮した。第5空母航空団のF/A-18E/F「侵攻部隊」は沖縄周辺100マイルの防空圏内に一機も侵入できなかった。SOFチームは着陸地点に到達したが、第44戦闘飛行隊のF-15Cが即座に侵攻部隊の機材を「撃破」したと、同隊司令のライアン・キャリガン中佐が述べている。
沖縄のF-15C部隊にとり分散展開は新発想ではない。10年も前だが、嘉手納の飛行隊がアジャイルイーグル構想のさきがけ作成に関与し、輸送機・給油機を伴いF-15Cを迅速に各地に展開した。ここからラピッドラプター構想へ発展し、ハワイのヒッカムAFBのF-22に応用した。今回さらにACEに発展したわけだが、PACAF各部隊の考えはハブ中心の運用が色濃いため、実施は課題となっている。高エナジーレーザーで各地の飛行基地を飽和ミサイル攻撃から守る体制が実現するまで数年かかるが、無人機への対抗装備でレイセオンが空軍実験本部と共同で実験を開始した。
「標的にならないよう訓練で配慮している」「甘受できるリスクの上でし適正規模の支援パッケージを配備部隊に届ける方法を模索している。兵装搭載要員と給油要員の両方は連れて行かない。兵装搭載要員に給油方法を訓練している」(コリガン)■
この記事は以下を再構成したものです。

Okinawan Exercise Offers Glimpse Into Future USAF Air War Strategy

 


Steve Trimble May 08, 2020

2020年5月13日水曜日

コロナウィルス後のPRC③ 米上院が台湾支援の決議を全会一致で成立させました。

日本ではコロナウィルス(武漢ウィルスの方が本来ぴったりなのですが)を自然災害、通り魔被害と受け止めて、人災と取る向きは少数でましてや中国の責任を追及する動きは皆無ですね。欧米から見れば誠に奇異に映るでしょう。ましてや参議院で中国を非難する決議が全会一致で成立する可能性も皆無でしょう。日本が変なのか、米国が変なのか。いえ、おかしいのは中国共産党です。



上院は国務長官に「台湾に世界保健機関オブザーバー資格を再度与える戦略」を求める決議を5月12日全会一致で採択した。中国に痛い一撃となった。今回の上院決議では国務省に「台湾の公式非公式外交関係強化に関する定時報告を議会に」求めるつつWHOに台湾をオブザーバー出席させるとある。

コロナウィルス大量発生で中国政府と台湾の対立が加熱している。台湾当局は5月18日のWHOコロナウィルス予防会議へ出席を希望しているが、北京は台湾とは中国国内の反乱省にすぎず、外交権がないと主張している。▶台湾はオブザーバー資格で2009年から2017年まで「チャイニーズ・タイペイ」の名で参加していたが、5月の会合にはWHOは台湾を招く「権限がない」と説明している。▶米国や台湾には台湾が出したコロナウィルスへの警戒呼びかけをWHOが無視したのは中国の神経を逆なでしたくなかったためだとの批判が強い。▶台湾で1月21日のコロナウィルス上陸以来の死者はわずか7名だが、中国はほぼ同時期に4千名が死亡との報道がある。

「2017年から中国は台湾をWHOから締め出している」とジム・インホフェ上院議員(共、オクラホマ)が発言。「これは受け入れがたい。コロナウィルスのパンデミック状態で世界が対応する中、中国外交は弱いものいじめを一層強めている」▶議案はインホフェ初め21名の議員が発起人となり、対中強硬派のジョシュ・ホーリー(共、モンタナ)、進歩派の中核エド・マーキー(民、マサチューセッツ)、ボブ・メネンデス(民、ニュージャージー)の上院外交委員会の中心議員が名を連ねた。

マイク・ポンペイオ国務長官はウィルスは中国武漢が発生地で実験施設の事故を中国政府が隠蔽したと一環して主張している。▶5月11日に長官は「中国共産党はウィルスの発生地点、発生状況、ヒト感染の発生過程を情報統制しただけでなく、WHOを使い別の筋書きを広めた」と述べている。

ポンペイオの意図はトランプ政権としてWHOに代わる組織を米主導で作ることにある。▶今回の上院での全会一致採択はポンペイオによる批判を党派を超えて支持しているあらわれだが、ポンペイオの目指す方向を無条件で承諾しているわけでもない。

「中国は初期にウィルスの被害を隠蔽した行為への責任、さらにワクチンや治療方法の確立に必要な科学情報の流通を妨害したことへも責任がある」とクリス・マーフィー上院議員(民、コネチカット)がNational Interest インタビューに答えている。▶「WHO脱退が正しい対応と言えるか。WHOが中国の過大な影響力を受けているに不満としても、米国脱退は問題を悪化させるだけだ」「中国への不満に現政権は何ら対応していない」と述べた。

この記事は以下を再構成したものです。

May 12, 2020  Topic: Security  Blog Brand: Coronavirus  Tags: Tby Matthew Petti 


Matthew Petti is a national security reporter at the National Interest. Follow him on Twitter: @matthew_petti.

2020年5月12日火曜日

超音速飛行に制限がついたF-35C....問題の山はいつ解決される?


ひとつひとつ問題を解決しているようですが、それだけF-35では各種の問題が発生しているのでしょう。しかし、同機はこうして実戦で本来の性能を発揮できるようになればいいのですが....
 

攻撃戦闘飛行隊VFA101所属のF-35CライトニングIIの初号機がエグリン空軍基地を離陸している。設計上の問題のため海軍、海兵隊のF-35で超音速飛行に制限がついている。 (Samuel King Jr./U.S. Air Force)


F-35で超音速飛行を続けると機体後部に破損が発生するリスクがあるが、運用面の条件変更で対応可能だとF-35共同事業室(JPO)がDefense Newsに伝えてきた。
この欠陥はDefense Newsが2019年に初めて報じ、米海軍・海兵隊仕様のF-35が高高度で超音速飛行すると機体構造の損傷あるいはステルス性の喪失につながるというものだ。
この問題のため海軍のF-35Cは超音速迎撃が実施できなくなる。
「この問題は2019年12月17日時点で特に対応不要かつ米軍での供用で発生していないと判明」とF-35JPOの回答文書にある。「欠陥報告は『修正作業不要』と分類され、複雑な作業による費用増加を正当化するだけの内容ではないと判断した」「解決しようとすると素材表面の塗装が長時間の飛行に耐えられるのか、同時に制御面の重量増ほか要求水準に合致するかの長期にわたる開発、飛行テストが必要となる」
空母運用仕様のC型、短距離離陸垂直着陸のB型で修正せずミッションは実施可能とJPOは述べた。
高速飛行を継続した場合に発生する可能性がある損傷のためF-35の機体以外に低視認性用の塗装に影響が出るだけでなく、機体背面の各種アンテナも損傷に弱いとDefense Newsが独自入手した文書に記述がある。
JPOではB型、C型の問題をそれぞれカテゴリー1の欠陥と分類し、重要ミッションの実施で障害になりうるとしている。カテゴリー1とは深刻度が最大の欠陥を意味する。
配備済みの機体で超音速飛行を続けて障害が発生すれば深刻だが、実はF-35では超音速飛行の頻度は低い。
F-22で超音速飛行は普通だが、F-35の超音速飛行は「緊急時対策」と、ハドソン研究所のブライアン・クラーク(退役海軍士官)は述べている。「超音速飛行はF-35では重要機能ではない」「実施はできるが、F-35パイロットからは超音速飛行は限られた場合のみで、その性能はなにかから高速で退避する場合に必要となるが、通常の戦術では必須ではないと聞いている」
実際に超音速飛行ではF-35の優位性が犠牲になるとクラークは解説する。「F-35の長所を捨てるようなものだ。ステルス性が下がり、燃料は急速に減り、アフターバーナーまで使えば、機体周囲の温度を上げるだけだ」存在を知らせる特徴を敵に発見させるだけとクラークは言う。
だがある退役海軍航空士官はアフターバーナー使用を制限すれば近接戦闘の場合に不利だとDefense Newsに話してくれた。
F-35運用のコンセプトは相手に探知される前に敵機を撃破することだが、長距離での攻撃には海軍航空部隊は歴史的にも文化的にも不信の目を向けている。ベトナム戦争では航空部隊はミサイルを過信し機関砲を廃止したことで空中戦での損失を急増させた。
海軍航空部隊が得た教訓は最新技術に依存し基本条件を犠牲にしないことで、このためトップガンが50年前に結成され、海軍攻撃戦闘機の戦術開発訓練教程が生まれた。
「解決策は『アフターバーナー使用は一分未満に』すること」と別の退役海軍航空士官は語っている。「機体が高性能でも深刻な制約になる」
機体がミサイル攻撃を回避する場合やドッグファイトで生き残るために高速飛行を迫られると深刻な問題になる。
この問題は海軍にとって複雑で、前方配備で機体を数ヶ月も連続稼働させると塗装や機体構造に重整備対応が必要となる。また損傷を受けた機体が発生しても運用艦が母港に戻るまでは修理できず、航空戦力の低下になりかねない。
「8ヶ月の海上運用で第一週に損傷機材が発生したら、以後損傷機材のまま残るんです。そうなると該当機材は完全修理が終わるまで戦力外ですよ」(上記退役海軍航空士官)
その他の欠陥
カテゴリー1の欠陥はその他3点あるがJPOはすべて公式に「解決済み」としており、改良されたか、現状のまま受容しているという。
緑色の発光問題といわれるものは昨年7月に解決済みとなった。ヘルメット搭載ディスプレイのLEDからの発光を指す。空母甲板の照明の視認を妨げる問題が夜間で発生していた。
この問題については「改良型有機発光ダイオード(OLED)のヘルメット搭載ディプレイ(HMD)で解決した」とJPOはDefense Newsに説明している。
「第三世代のF-35用OLEDヘルメットディスプレイユニット(HDU)では夜間の緑色発光を大幅に減らしている。米海軍、海兵隊向けのOLED式HDU第一次分をJPOは受領ずみで、第二次発注も行っている」(JPO)
F-35A、F-35Bでタイヤ破裂が発生した問題は油圧線の切断につながり、まだ解決に至っていないとJPOは記述しているが、タイヤ品種を変更してからは再発していない。
「DR(不良報告)は『修正予定なし』の分類で解決済みとされており、降着装置の設計はF-35の安全要求をすべて満たすもの」と文書にある。「初期に発生したタイヤ破裂問題は初期開発段階での設計変更で解決し、二重油圧系統の低下がタイヤ破裂で発生した問題は以後見つかっていない」
A U.S. Air Force F-35A sits on the flight line before testing and evaluation on Jan. 23, 2018, at Eielson Air Force Base, Alaska. All three variants of the F-35 were brought to Eielson to test their ability to operate in an extreme cold-weather environment. (Airman 1st Class Isaac Johnson/U.S. Air Force)
米空軍向けF-35Aがイールソン空軍基地(アラスカ州)のフライトラインで待機中。2018年1月23日。F-35の3型式はすべてイールソンで超低温環境での機能を試している。(Airman 1st Class Isaac Johnson/U.S. Air Force)

寒冷気候でバッテリー不調のまま着陸を迫られた事例が発生したがこれも解決済みとJPOは説明。この問題は超低温で機首の降着装置扉を開放した際に警告ベルが鳴って発生したとDefense Newsが独自に入手した「内部資料」に記載がある。
冷気が機内に入り、バッテリーを包むヒーターブランケットを圧倒した。28ボルトバッテリーを最適条件に保つためにヒーターブランケットがついている。バッテリーは停止しなかったが、冷気のため想定どおりの暖房ができず、警告ライトが点灯し、バッテリーが停止寸前と伝えてきた。
この問題ではソフトウェアを改良したとJPOは説明。
「この問題は2019年7月22日に解決した。バッテリー充電器のファームウェアを改良した」とある。「ファームウェア改良はバッテリーチャージャーのメーカーが担当し、ロッキード・マーティンが統合の上、JPOとともに実証した」■
この記事は以下を再構成したものです。

The Hidden Troubles of the F-35


グアムにB-1BがJASSM実弾を搭載し戻ってきたのは中国へのメッセージ


第7爆撃団が爆撃機任務部隊の展開で即応体制を示した。 PACIFIC AIR FORCES PUBLIC AFFAIR—PUBLIC DOMAIN

ッセージは明らかだ。米爆撃機隊は尻尾を巻いて逃げ出したのではない。ステルスで一撃をいつでも加えられるぞ、と言っているのだ。

「ボーン」B-1がグアム島に戻ってきた。しかもステルスAGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(JASSMs)20本とともに、米国の太平洋での戦力を示威する形で。同ミサイルは開戦となれば初期段階で投入される装備だ。

写真ではグアムに展開したB-1BにJASSM実弾が搭載されているのがわかる。B-1Bはスタンドオフ攻撃で米国と同等戦力を有する国の最高度防備標的でさえも狙う事ができる。さらに同ミサイルの後継モデルJASSM-ERが開発中で、完成すれば600マイル地点から攻撃できる。B-1B自体も大陸間横断の長距離航続距離を誇る。

総合すれば相手国には大きなメッセージになり、まさしくこれこそが機体を派遣する目的なのだ。

USAF
珍しい角度の写真でJASSMのステルス形状、赤外線画像センサーがわかる。ミサイルの最終飛翔段階ではこのセンサーで極めて精密な標的捕捉が可能だ。

空軍が10年以上に渡るアンダーセン空軍基地への爆撃機常駐を突然中止したが、B-1Bは米本国から太平洋各地を巡行しており、遠くは南シナ海まで活動範囲に収める。今回はB-1B部隊がアンサーセン空軍基地に戻ってきたが、同地にいつまで留まるかは不明だ。

Aircraft Spots
@AircraftSpots
USAF B-1Bs WHIP01 & 02 departed Andersen AFB, Guam to conduct operations over the South China Sea via separate routes 

USAF KC-135Rs DOLE11 & 12 provided tanker support
米空軍B-1B2機はそれぞれホイップ01、02としてアンダーセンAFBを離陸し、南シナ海で別々の行動を展開した。USAFのKC-135R、ドール11、12がそれぞれ空中給油で支援した。
View image on Twitter
769
2:53 PM - May 8, 2020
Twitter Ads info and privacy
342 people are talking about this

この新しい動きの背景にペンタゴンでよく聞かれる「動的兵力配備」構想がある。つまり戦略機材を予測困難な形で展開することだ。

グアムの滑走路を使う機材は中国との開戦直後に格好の標的になるのが厳粛な事実だ。グアムにTHAAD部隊が常駐しているが、中国は防衛網を圧倒する数の弾道ミサイルで米航空戦力撃滅を狙うはずで、最低でも滑走路を使用不能にする、支援設備を破壊することで航空戦力を使えなくするだろう。

アンダーセン基地への爆撃機常駐を取りやめたのはB-1B爆撃隊を酷使しているのとは無関係のようだ。

アンダーセン空軍基地で巡航ミサイルを爆撃機に搭載することは楽な仕事ではない。同基地は拡張されてきたとはいえ、回転式爆弾倉への兵装搭載用の施設がなく、ミサイルは一本ずつ爆撃機へ搭載する必要がある。この作業に何時間もかかる。


USAF

南シナ海が加熱する中で、ペンタゴンが断続的な爆撃機派遣でメッセージを送ること自体に驚くべき要素はない。太平洋での爆撃機常駐体制は終了したが、世界でももっとも予測困難な地から戦略的に撤退したわけではないことがはっきりとわかる。■

この記事は以下を再構成したものです。



BY TYLER ROGOWAY MAY 10, 2020
THE WAR ZONE

ドイツ空軍がスーパーホーネットとタイフーンの同時採択に走った背景



愕の決定が欧州、米国双方の防衛産業に大きな影響を生む。ドイツがボーイングF/A-18Fスーパーホーネットとユーロファイター・タイフーン改良型を同時採用しパナヴィア・トーネード90機の後継機にする決定を下した。ドイツはユーロファイター90機、スーパーホーネット45機を調達する。

ドイツ国防相アネグレット・クランプ-カレンバウアーは2019年9月にトーネード後継機は「可及的且つ速やかに」必要で調達を急ぐと述べていたが、今回の決定が迅速に下ったことには驚かされる。ドイツには雇用喪失を恐れ、スーパーホーネット採用を阻止する労組の動きもあった

両型式の採用は妥協の産物だろう。ドイツはトーネードで任務としていたB61核爆弾運用をスーパーホーネットで早期に目指すはずで、(NATO共同運用だが)ドイツによる核兵器抑止力の維持のため後継機選定は待ったなしだった。スーパーホーネットには電子戦専用のEA-18グラウラーがあり、今回の契約では15機がこの型式となる。グラウラーはトーネードECR電子戦仕様機と交代する。

今回の受注は完全勝利とは言えないもののボーイングには朗報だ。同社は737 MAXの飛行停止とコロナウィルス後の受注減で苦境にある。またF/A-18E/FはフィンランドのHX選定でも有利になりそうだ。フィンランドの要求内容に将来も生産ラインが閉鎖されないことがあるためだ。米海軍向けの同機生産はF-35Cや艦載ステルス制空戦闘機への移行で減る予想だが、ドイツでの受注でF/A-18E/F生産ラインは維持できる。

両機種同時採択の決定から見えるのはユーロファイターの商品力の低さで、原因はちぐはぐな開発と資金投入が低調なことだろう。電子戦用仕様のユーロファイターは構想だけで実機生産とテストは未実施のままのため、グラウラーに対抗できなかった。ユーロファイターで装備統合の動きも鈍いことでも悪評があり、各国とも別個対応を迫られている

ただし、ユーロファイターを余分に発注したドイツは同機を捨てることができないのだろう。トーネード90機はユーロファイター(攻撃任務)とスーパーホーネット(攻撃、核攻撃、電子戦)各45機で十分で、今回発注のユーロファイターのうち45機は初期調達機材の更新用だ。ドイツのユーロファイターは旧型機を廃止しても30%増となる。合計135機の一括発注はドイツ空軍の戦力を大きく拡充することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。



May 8, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: GermanyGerman Air ForceF/A-18 Super HornetMilitaryNATO




2020年5月11日月曜日

コロナウィルス後のPRC②(正)中国の目指す世界にさせないため西側が何をすべきか

武漢ウィルス後の世界は中国に厳しい態度をとる② (こちらが②の記事でした。おわびします)
「パンデミックが世界規模でひろがり、中国を野放しにすると破滅的な結果が生まれる実証になった。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思を示さない中国共産党には予防薬が必要だ」

実的になろう。中国と西側世界の関係は変化しつつある。

以前は北京を利益を生む「小切手帳」と見る向きが多数だった。だがこれは少数派だ。中国との協調を重視する勢力でさえ困難な事態の到来を覚悟している。

中国共産党の支配下にある中国の影響力は西側社会の自由、繁栄、安全に脅威だ。米国、カナダ、欧州の協力があってこそ自由主義国家群は繁栄できる。

新冷戦時代に突入するとの見方も現実的ではない。我々は相互につながった世界、独立国家が24時間ビジネス展開する世界に生きているのであり、そこでは「自由の共通観念」として海や空の自由移動を権利として認めている。


打開策として大西洋をはさむ自由主義国家は団結して中国の役割、世界問題に中立の立場を取らないことだ。国民主権、人権、自由な企業活動を共通価値とする我々と違い、中国共産党は全て否定する。我々がこうした価値観を守らなければ、大切な世界を失う。

欧米の指導層は従来と同じ形で中国に対処すれば危険だと認識しつつある。では何をすべきか。

中国問題が全面に出てきた理由のひとつに武漢で発生したCOVID-19の大流行に中国共産党がとった驚くべき対応がある。中国政府は高い伝染性を承知しながら、自国民の海外渡航を制限しなかった。

さらに国際保健基準で定めた報告を遅らせ、ウィルスの生体標本を他国に提供せず、研究やワクチン開発をさせなかった。もっともこの逸脱は今回がはじめてではなく、中国には悪い見本の歴史がある。


世界規模のパンデミックが発生し、中国を野放しにすると大変な事態になると実証された。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思がない中国共産党には予防薬が必要だ。行動を開始しよう。

NATOは中国の脅威を真剣に受け止める必要がある。中国の行動や国力はNATOの防衛能力を減少させかねない。

通信から産業制御まで、宇宙からサイバー空間まで、鉄道、橋梁、港湾まで中国は大西洋の両岸で足場を築いている。NATOが抑止力・防衛機能を発揮するために各インフラは必要だ。

中国によりスイッチを制御されたり悪意ある影響が出れば、NATO防衛体制が大きく損なわれる。NATOの抑止力維持に中国の干渉を許してはならず、外部脅威への自衛力を今後も維持する必要がある。

米国はグローバル大国であり、その権益・責任は世界規模にひろがる。その米国はインド太平洋で中国に対抗しつつ中東の安定化へも責務がある。米国が各方面で成功するためNATOに責任を果たしてもらいたい。特に欧州の安全を脅かす外部勢力への対応が必要だ。

NATOの最上位課題がロシアによる不安定工作への対抗なのは間違いない。その次に深刻な脅威が中東なのは欧州の平和安定に影響を与えるからだ。こうした現実脅威に対応すべくNATOは準備が必要だ。

強いNATOがあってこそ世界各地で中国に対応する余裕が米国に生まれる。

欧州の不安定化を狙う中国に対応すべく、EUが米国に不可欠な相手となる。


EUは中国の強奪的な振る舞いを制約してきた。特に貿易、金融、投資の各分野で顕著だ。

EUはアフリカでも米国と協力できる。アフリカは人権、経済、テロ活動、環境、公衆衛生と幅広い難題に直面し、統治機構と治安の不足が問題を悪化させている。

中国のアフリカ進出で問題は全て悪化している。中国は汚職を促進し、望ましくない貸付慣行を許し、誤った情報を拡散している。EUは米国とこうした課題の解決に加われるはずだ。

欧米の共同対応で国際機関の透明性、責任性を高めることができる。

中国共産党は積極的に自国民や関係者を各種国際機関に送り込み中国政府に従属する運営をめざしてきた。世界保健機関は氷山の一角にすぎない。この面での脅威に対応する協力相手が米国に必要だ。

中国問題への対処には強い欧米経済が不可欠だ。大西洋両岸の経済回復には相互の社会がからみあっている。

欧米の経済回復を共同作業とし、経済援助でなく投資活動と民間部門での共同事業を中心とすべきだ。

米国と欧州各国がここまでお互いを必要とする事態は今までなかった。大西洋両岸の指導層は世界で最重要な関係の強化を約束する支出を躊躇すべきではない。■

この記事は以下を再構成したものです。