2021年8月11日水曜日

F-35のミサイル機内搭載本数が少なすぎる。F-3はその轍は踏まない方針で開発を進める。ロッキードはF-35の機内搭載本数を増やす設計改修を発表しているが買い手がつかない模様。

 

 

 

 

野太郎前防衛相は日本の次世代戦闘機は空対空ミサイルの搭載本数をロッキード・マーティンF-35より多くすると発言していた。

 

「ネットワーク機能を強化し、高性能ステルスが必要だ。F-35より多くのミサイルを搭載する」

 

この要求水準は突如現れたわけではない。ステルスモードのF-35で兵装搭載能力が限定されることが運用側にとって最大の不満点だ。通常離着陸型F-35AではAIM-120空対空ミサイルを4本機内に搭載するにすぎない。

 

機外に兵装を装着すればレーダー探知されやすくなる。ステルス性能を発揮するため兵装は機内に収める必要がある。だが、これではミサイル本数がものをいう空戦で不利になるのは必至だ。

 

ロシア、中国の旧型非ステルス戦闘機ははるかに多くの空対空ミサイルを搭載する。ステルス機のSu-57やJ-20でも機内にミサイル6発を搭載する。F-22は8発を機内に収める。

 

非ステルス機でもミサイル搭載能力がボーイングF-15EXを採用した米空軍で決め手となった。2020年時点で空軍は144機のF-15EXを調達するとしていた。米空軍はF-35Aを200機近く運用中で毎年50機近くを調達していく。F-15EX、F-35Aはともに機体価格が100百万ドル近くになる。

 

F-35が空対空ミサイル4本を搭載するのに対し、F-15EXは最大22本を運用可能とボーイングは説明している。

 

ミサイルを22本も搭載すれば重量、抗力で不利となり通常作戦では実施の意義がみつからない。だが、搭載本数を減らしてもF-15EXはF-35の2倍3倍のミサイルを運用できる。

 

日本が新型F-3戦闘機でミサイル搭載本数を増やすなら、F-22に近いレイアウトにする、あるいはステルス性能を断念しF-15EXに近い機体性能をめざすはずだ。

 

ロッキードがF-22ステルス戦闘機にF-35のセンサーやアイビオニクスを搭載するF-3共同開発案を日本に提示していたのは偶然ではない。だが、日本が旧型F-15Jが200機近く運用していることに注意が必要だ。

 

一方でロッキードはF-35機内にミサイルをもっと詰め込む方策を目指している。「社内研究開発を続けてF-35A、F-35Cにミサイル6本を搭載する設計改修案が完成している」と同社広報マイケル・フリードマンがBreaking Defense に伝えていた。

 

「これによりF-35の威力がさらに伸び、生存性も高まる。機内搭載ミサイルが二発追加されても低視認性はそのままだからだ」

 

ただし仕様変更により機内レイアウトの変更が必要だ。F-35運用国で子の改修分の追加費用を支払う動きはまだない。■

 

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Missiles to the Max: Japan's New Fighter Jet Will Pack More Firepower Than the F-35


by David Axe 

August 9, 2021  Topic: F-35  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-35MilitaryF-3JapanTechnologyWorldDavid Axe served as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

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Image: Reuters


2021年8月10日火曜日

ここまで差が広がった日本と英国の海軍力。それでもQE空母打撃群を日本にまで派遣する英国の意図を正しく理解する必要がある。

 


タイプ45(左)とまや級駆逐艦(右)

 

国の側につく日本と英国はともに海軍力を冷戦初期から整備し、海上で力のバランスを西側有利に維持することが国益につながると理解していた。

 

だが冷戦終結後の両国海軍は全く反対方向に進展し、日本が引き続き能力整備にあたり世界有数の艦隊規模を実現したのに対し、英国は艦艇数を大きく削減した。

 

その背景に両国の海軍部隊さらにいえば国防部門の実効性に大きな差がある。英国の国防支出は日本よりはるかに多いにもかかわらず、ほぼあらゆる側面で英海軍は海上自衛隊の実力に及ばない。

 

Japanese Maya Class Destroyer

 

 

両国海軍力の中心をなす駆逐艦で比較してみよう。日本は44隻と世界第三位の規模の駆逐艦部隊を運用するが、英海軍は6隻のみだ。冷戦終結時の英国は13隻を稼働しており、新設計のタイプ45級12隻を建造し交代させる構想だったが、予算不足にくわえタイプ45艦の建造費が高騰したため12隻が9隻に削減され、さらに6隻に減らされた経緯がある。

 

これに対し日本の駆逐艦戦隊は欧州各国の駆逐艦合計を上回る。単に隻数が多いだけでなく、各艦の性能が英海軍を上回っている。英タイプ45艦は垂直発射管48基を搭載するが、日本は96基で、単純比較すれば日本艦は2倍の火力を誇ることになる。

 

海上自衛隊はイージスシステムも運用し、垂直発射管から各種兵装を運用できる。対潜ミサイル、対空ミサイル、対艦ミサイルのほか対弾道弾ミサイルまでだ。これと対照的にタイプ45艦の垂直発射装備は旧式でアスター15、30の対空ミサイルのみ運用する。さらにアスターは日本のSM-3やSM-6より低速かつ射程距離も短い。SM-3最新型は1,200キロまで交戦が可能で、アスター30の10倍に達する。

 

日本は対艦ミサイルやAESAレーダーの技術でも先を行っており、世界に先駆けて艦艇、ミサイル、航空機に同レーダーを搭載した。国内の産業力、技術研究開発力により日本の駆逐艦戦隊には英海軍をはるかにしのぐ技術優位性がある。

 

British Type 45 Destroyers

 

日本の海軍部隊の火力は水上艦以外でも潜水艦が英海軍より優勢で、日本の潜水艦20隻に対し英海軍は11隻を運用する。英国の運用技術は米国に相当部分を依存しているが、日本は独自に潜水艦技術を磨き、最近はリチウムイオン電池の推進方式を実用化している。

 

これは日本独自の装備で、高速航行、短時間充電、長期間の電池寿命を実現しながら、容積が減り、保守管理が楽になるため各国海軍も導入を進めそうだ。新技術開発には確かに相当の費用が必要だったが、兵器としては英国装備より優秀なので経済効果が高く、予算内でより信頼性の高い選択となる。

 

英国の優位性は空母と戦略ミサイル原潜で、日本は核兵器や攻撃的兵力投射用装備の保有を自ら禁じている。日本にはひゅうが級いずも級の四隻の21世紀型空母がある。とくにひゅうが級は世界最高峰の対潜空母といわれ、いずも級はF-35B戦闘機運用を想定して建造されたとされる。

 

英国にはクイーンエリザベス級空母2隻があるが、両艦で技術的なトラブルが発生し、運用航空部隊も想定の半分程度にとどまっている。英海軍は費用と搭乗員の削減のためF-35Bを選択したが、戦闘能力が通常運用型の艦載F-35Cより劣り、艦容こそ威圧的だが運用戦力は低い。

 

いずも級同様にクイーンエリザベス級も早期空中警戒機がなく、通常型空母として能力も限定される。日本は今後新型空母を就役させるかもしれないが、クイーンエリザベス級は英国最後の空母となりそうで、しかも厳しい状況に取り囲まれている。タイプ45艦も同様に英国最後の駆逐艦となる予想で、今後は小型軽量で安価なフリゲート艦を中心にする。

 

British Queen Elizabeth Class Carrier

 

 

日本の海軍戦力は米国除く西側諸国の上を行っており、英海軍は他軍より優先されて装備近代化を続けていく。英海軍艦艇では水上艦から戦略ミサイル潜水艦まで押しなべてコスト超過と遅延に苦しんでいるが、日本の艦艇建造基盤は世界のトップクラスのままだ。

 

1970年代以降の英国産業力の減退で造船業も自国建造から海外発注が主流となり、艦艇建造も例外ではない。このため巨額の防衛予算を投じても非効率さを食い止められず、海軍国としての地位が守れなくなった。往時は世界最強の海軍国だった英国が艦艇の維持に苦労し、改修事業も次々に中止となり、有事に対応したくても満足な戦力を展開できなくなっているのが現状だ。■


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Japanese Navy vs. British Royal Navy: Contrasting Capabilities of Rising and Declining Naval Powers

June-16th-2021



2021年8月9日月曜日

連綿と使われ続けるM2機関銃は第二次大戦前に完成していた。当面後継装備は現れない模様....銃器の世界は航空機と大違いですね。

 

 

 

 

く戦闘に供用されているM2ブラウニング機関銃の開発は第一次世界大戦にさかのぼる。当時は飛行機が次第に兵装を充実させ、戦車が西部戦線に登場し、実戦で威力を徐々に現しはじめるとそれまでの小銃や小型火砲では歯が立たないことが明白になった。

 

当時の米軍の.30-06スプリングフィールド銃は威力があったものの装甲を改良した敵機に威力が限られた。米軍は射程と火力の両立を実現し確実にドイツ機を撃破可能な新型銃を求めた。そこで当時の米国で最高の銃火器の権威に相談した。それがジョン・モーゼス・ブラウニングだった。

 

ブラウニングは長年使われてきた.30-60弾倉をもとに新型大重量弾薬の実現を模索した。.30-60弾を拡大し大型弾倉.50ブラウニング式機関銃弾(BMG)が生まれた。この.50BMGは十分な威力と精度を大距離でも発揮した。当時の記録を破る長射程射撃を.50BMGが実現した。

 

.50BMG弾を発射するためブラウニングは実証済の機関銃M1917に目を向け、拡大し改良を加えたことで生まれた機関銃をテストに回した。この機関銃がその後正式採用されたが、その時点では水冷式で極めて重い銃になった。とくに高さが大きい設計は固定式発射を前提とし、航空機への搭載には不向きだった。

 

そこで設計を大戦間に再検討した。新設計では水冷式を空冷式に変更し、今日まで使われるM2ブラウニング機関銃が生まれた。

 

M2は地上部隊掃討用、対空射撃で第二次大戦中に実戦デビューし、その後装甲兵員輸送車両や低空飛行する敵機のエンジンブロックを狙うまでになった。

 

M2別名「マジュース」は重機関銃で米軍がその後の各戦役で使っており、今日に至る。威力と長射程が評価されている。

 

米国と合わせ海外でもM2の生産が数百万丁にのぼるのはブラウニングの原設計の優秀さを物語るものだ。登場してからの変更点はごくわずかしかなく、標準形となったのはM2A1だ。閃光抑制器がつき取扱いが楽になった。また新設計の銃弾倉は取外しが簡単になり、連続射撃で有利となった。

 

M2は戦闘中に実績を重ね、装甲、非装甲の標的相手の射撃、砲座に固定、非固定双方で使われてきた。マジュースが新型銃に交代する兆候はなく、今後も供用を続けそうだ。■

 

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Ripped to Shreds: Nothing Will Protect You from a M2 Machine Gun

by Caleb Larson

August 6, 2021  Topic: M2 Heavy Machine Gun  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: M2 Heavy Machine GunMachine GunsMilitaryGuns

 

Caleb Larson is a defense writer with the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture. This article is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


新興企業ハーミウスに大胆な資金投入で極超音速機の新技術実現をねらう米空軍の姿勢に注目。大人のお金の使い方だろう。

A concept image of the Hermeus Quarterhorse hypersonic aircraft.

ハーミウスのクォーターホース極超音速機の想像図. HERMEUS

 

  • 今回はターミナル1 ターミナル2共通記事です

空軍はベンチャーキャピタルファンド数社と60百万ドルをジョージアの新興企業に投じ、極超音速旅客機の軍用版の実現を狙う。

 

空軍はハーミウス Hermeus に7月30日に60百万ドルの契約を交付した。空軍で民生技術の軍事利用を実現すべく設立したAFWERXが仲介する事業としては最大規模になった。

 

空軍の研究開発トップ、ヘザー・プリングル少将は「極超音速機の推進システムには画期的な意義があり、前世紀に自動車がもたらしたように移動形態が大きく変わる」と述べた。

 

ハーミウスが製造するのは再利用可能な極超音速機で、従来の極超音速試験機はすべて使い捨てだったため大きく異なる機体となる。

 

空軍との契約によりハーミウスは技術開発を加速化しマッハ5飛行可能な旅客型の実現をめざす。完成すればニューヨーク=ロンドン間を90分で移動可能となる。

 

「当社の技術開発に資金を投じることで空軍が実用に耐える装備の実現を目指していることは明らか」と同社CEOにして設立者AJ・ピプリカが発言している。

 

今回の戦略的な資金投入合意によりハーミウスが軍とのつながりがさらに深まった。同社へは昨年1.5百万ドル相当の契約が空軍から交付されており、政府高官を世界各地に運ぶ研究がはじまっている。

 

ハーミウスは2018年に元ジェネレーション・オービットの技術者4名が設立し、まず無人実証機クォータホースの完成をめざしている。

 

今回の空軍からの契約金で同社はクォーターホースの試験飛行を18カ月後に実現できる見通しがついた。契約で同社はテスト要員を20201年中に50名にまで増やすことになっており、テスト日程を約1年短縮させる。

 

「人員投入を増やし加速化させつつ垂直統合も進めていく」とピプリカは語り、「これで内製化が進み、日程管理、コスト管理等を強化できる。全体ロードマップを大きく加速できる」としている。

 

今回の空軍契約の交付でハーミウスに今後3年間の戦略的目標が定まり、そのひとつにクォーターホース3機を完成させテスト飛行を開始することがある。テスト飛行には目標がふたつある。マッハ5飛行および機体を繰り返し飛行させることだ。

 

同社設立者でCOOのスカイラー・シュフォードは「機体を完成させエンジン技術のテストを全飛行域で行うのが目標だ」とする。

 

クォーターホースにはジェネラルエレクトリックJ85エンジン一基を搭載する。これはT-38練習機と同じエンジンでさらに高速域用のエンジンをハーミウスが開発中だ。

 

「エンジンと機体の一体化が社内でできることでシステム統合が迅速に進められる」と同社の内情に詳しい筋が開設する。

 

クォーターホースは「今後登場する機体へのつなぎの役目」とシュフォードは述べており、同社は「より大型の旅客機」の実現をめざしている。■

 

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US Air Force, Venture Firms Make $60 Million Bet on Hypersonic Aircraft Startup

BY MARCUS WEISGERBER

GLOBAL BUSINESS EDITOR

AUGUST 5, 2021

 

参考:ハーミウスのウェブサイトhttps://www.hermeus.com/

 

2021年8月8日日曜日

E-2Dは2025年生産終了するが、今後30年の供用期間を通じ性能向上を続ける。日本向け機材製造も続き、計13機を導入する。

 


E-2Dアドバンストホークアイ(VAW-120所属)が空中給油を受ける US Navy Photo

 

E-2Dの生産はあと四年で終るが、米海軍は同機を今後30年は稼働させたいとする。

 

性能改修でコックピット関連エイビオニクス、ミッションシステム各種、通信能力、サイバー保安体制が強化され、「艦隊の目」を2040年代以降も活躍できる状態にする、とNAVAIR PMA-231で空中指揮統制システムズを主管するピート・アロビオ大佐が述べている。

 

E-2Dホークアイ艦載戦術戦闘管理・空中早期警戒指揮統制機はノースロップ・グラマンのE-2Cを近代化した派生型だ。

 

「現時点では中心はE-2Dのミッション実行能力を向上させることだ」とアロビオ大佐は海軍連盟主催のカンファレンスで述べた。

 

E-2D改修は「デルタシステムソフトウェア・コンフィグレーション」(DSSC)の機能向上として進めており、開発開始から機内搭載まで4年の予定とアロビオは紹介している。現在はDSSC3のヴァージョン3.1の今年末導入をめざす。DSSC3.1では統合戦術無線交信システム(JTRS)やリンク16を導入し、DoDが求める2021年サイバー保安体制標準をE-2Dで満たすという。

 

「標的情報のリンク、相互調整、分散、評価を先端的水準で行う」(アロビオ)

 

DSSCは二年おきに更新され、2023年度にヴァージョン4が導入されるとデータ融合機能、GPS、レーダーの性能向上が実現する。

 

その後のDSSC5で「空母打撃群がA2/AD環境で戦力を発揮するため不可欠な性能向上が加わる」としつつ、内容は大部分が機密情報のため紹介できないとした。

 

「E-2Dには当初想定以上の期待が寄せられており、現在進行中の課題の多くに対応すべくこれまでのアーキテクチャを一新する」(アロビオ大佐)

 

さらにソフトウェア改修の六番目パッケージで統合全次元指揮統制(JADC2)システムや海軍作戦実行アーキテクチャとの相互運用体制が実現する。

 

「E2-Dの生産はまだ続いている。まだ新規製造機体のにおいが残っているが、機内のアーキテクチャや各種システム、コックピット周りの部品等はスマートフォン以前の2005年当時の設計だ」

 

特に機内搭載ミッションコンピュータやディスプレイを敵のサイバー攻撃に対し強化することが最重要事項だ。

 

ホークアイコクピット・テック・リフレッシュHETCRではエイビオニクスを最新の水準に引き上げ、パイロットにヘッドアップディスプレイを導入する。

 

戦域戦闘IDとミッションコンピュータのディプレイはオープンシステムアーキテクチャで今後のソフトウェアアップグレードパッケージの搭載が容易になるとアロビオ大佐は説明している。

 

要求内容にないが、海軍では「改良型着艦モード」ILMをE-2Dにも導入し着艦作業を部分的だが自動化できないか検討している。F/A-18E/FやF-35Cでは「マジックカーペット」と呼ぶ精密着艦が実現している。

 

E-2Dでは機体がフライバイワイヤでなく、機体上部に大型レーダーを搭載していることもありILM導入は簡単ではないことをアロビオ大佐も認める。だが空中給油を受けE-2Dミッションが今後最大9時間になれば、悪天候や夜間の着艦で疲労のたまった乗員には朗報となろう。アロビオもILMは「要求されていないが、艦隊の運用部隊からはナンバーワンの要望になる」という。

 

米海軍はE-2Dを48機運用中で2021年末までに4機が配備される。

 

常時22機を投入可能な状態に維持するのを2021年7月1日までに実現する目標が2月に達成され、予定を5カ月前倒しできたとアロビオは述べた。

 

ミッション投入可能なE-2Dは基本的に訓練に使い、パイロットに二地点間飛行、空母発着艦を習熟させているが、早期警戒任務についていない。

 

「完全な状態のミッション実施になれば戦いに勝つことにつながる」「機体には基本システムが11通りあり、完全に作動して初めて任務が達成できる」(アロビオ)

 

次の目標は完全な形でミッション実施可能な状態の機体を常時22機艦隊に配備することでこれを9月1日までに実現する。2月以降は平均で29機がミッション投入可能な状態となっている。

 

E-2Dが50機ほどそろえば、9飛行隊、一個予備飛行隊の整備が可能となり、各隊は5機を配備する。すでに5個飛行隊でE-2Cからの機種転換が進んでおり、2027年度で機体転換が完了する。うち二個飛行隊に空中給油対応のE-2Dが配備される。

 

現在26機のE-2Cが訓練専用で稼働中だが2026年度末までに姿を消す。

 

E-2Dの要求は86機のう78機分の予算が海軍に認められており、2025年までに全機完成する。

 

日本が発注した9機のうち3機が自衛隊に引き渡し済みだ。先に発注した4機は稼働中だ。

 

フランスは12月に3機のE-2D購入で合意しており、2027年度に引き渡す。台湾エジプトも導入交渉中とアロビオは紹介している。四か国は旧型E-2Cを運用中だ。■


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Navy Plans Upgrades to Fly E-2Ds into the 2040s - USNI News

By: Dan Parsons

August 3, 2021 10:02 PM • Updated: August 4, 2021 1:57 PM


B-21に輸出の可能性が浮上。輸出先想定5か国に日本も。 実現すればクアッドで共通装備となるのだが、その可能性は?

B-21 Stealth Bomber Official Artwork

 

B-21次世代ステルス爆撃機は過去50年の西側爆撃機の生産実績を上回る規模の製造となる予定で、米空軍の発注規模が200機超になる可能性が出てきた。さらに同盟国への輸出がとりざたされている。

 

B-21は現有のB-1BおよびB-2に交代し2030年代の第一線運用を想定し、試作型が2022年に初飛行する。現在稼働中の大陸間爆撃機では米国から輸出実績はないが、B-21は長距離戦略爆撃用途以外の任務もこなす想定で、空中早期警戒機、データ中継機、空中給油機、スタンドオフミサイルを運用する攻撃機、レーザー等指向性エナジー兵器搭載機にする構想がある。

 

幅広い活躍を実現しB-21には西側世界で最も威力の高い機材になる期待が寄せられており、特に運用維持経費が現行機より大幅に下がるため海外でも高い需要が見込まれる。時間当たり経費はB-2の四分の一程度になる想定でB-21導入が可能となる国も一定数出現する。生産機数が増え、さらに製造ラインも追加すれば効率がさらに上がり、研究開発費用も増やせるので輸出仕様の実現も容易となる。同盟国での爆撃機運用が実現すれば、中国、ロシア、北朝鮮、イラン等の敵対勢力へ威力を発揮し、輸出の後押しとなる。では、B-21導入可能性がある5か国を順にみてみよう。

 

 

1. オーストラリア 

B-21輸出が可能となればオーストラリアの導入可能性が高い。事実、オーストラリアは同機受け入れ用施設の構築をすでに同国内の米軍基地で始めている。中国を視野に入れたオーストラリアの軍備増強は西側が認めるもので、東南アジアへの西側最前線としての同国の位置に大きな意味があり、オーストラリアがさらに遠方の目標地点の攻撃能力を実現すれば広義の西側目標が実現する。同国はF-111長距離攻撃戦闘機を米国以外で唯一運用していた。オーストラリアは同機を隣国インドネシアの威圧に運用していたが、B-21を導入すればこの用途が復活し、同時に対象地がより広範に広がる。オーストリアが導入するF-35Bによる兵力投射能力を補完する効果が生まれる。オーストラリア北部の各基地や遠隔地点の航空基地への脅威が現実のものとなっているが、B-21があれば緩和効果が期待される。B-21の航続性能ならオーストラリア本国から東アジア東南アジアの大部分が作戦範囲に入る。オーストラリア政府に核兵器導入の構想があるとの報道があり、事実ならB-21の訴求力が増すはずだ。

 

2.イスラエル

イスラエルもB-21導入の可能性が高く、高性能長距離機材として活用する余地が大きい。同国は核兵器保有9か国の一角を占め、B-21はジェリコ2ミサイルやドルフィン級潜水艦と核抑止力を実現するはずだ。より重要なのはB-21はGBU-57など高性能地上貫通兵器の運用能力があることで、現状のイスラエルには同兵器を運用する能力がないが、イランイスラム共和国への軍事オプションが生まれる。B-21がこうした兵器を搭載すればイランの核施設や地下ミサイル基地を無力化できるのが、イスラエルは現時点でこの実施能力は未整備だ。核兵器があるが、適切な運搬ができなければ効果は期待できない。またイラン領空内で長時間にわたり作戦行動可能な機材もなく、F-35やF-15でも不可能な任務をこなせる機材はB-21のみとなる。イスラエルは兵力投射拠点を北アフリカさらにパキスタンにまで拡げる構想を練っており、B-21導入は効果を上げる選択となる。

 

3.日本

日本は攻撃的性格の装備品導入を増やしており、北朝鮮、中国、ロシアを想定した長距離精密誘導ミサイルの実現をめざしているが、B-21導入候補国として浮上してきた。日本の軍事組織は米軍のプレゼンスのもと強い統制調整を受けており、同機の導入を許しても米国にとってリスクは比較的低いはずだ。逆に日本がB-21部隊を編成すれば大きな効果が生まれる。日本が同型機を相当数発注するはずだからだ。第六世代機で有人型無人型の二機種を国内開発をめざす日本にはB-21が唯一の米国からの輸出機材になってもおかしくない。防衛装備販売で日本の対米貿易黒字を減らす効果も期待できる。

 

 

4.インド

インドは対艦攻撃任務に特化した爆撃機調達へ関心を以前示し、ロシアのTu-22M中型爆撃機の導入を一時真剣に検討していた。実際にTu142(Tu-95が原型)を対潜哨戒任務に運用していた。B-21はLRASM(長距離対艦ミサイル)をステルス特性と高性能センサーをあわせ強力な対艦攻撃機材となる。米国もインド洋に爆撃機を展開させており、インドへのB-21販売が俎上にのぼれば承認の可能性は高い。中国の補給路で死活的なインド洋でにらみをきかせることに加え、インドの核抑止力の一環として深部侵攻能力が重宝されるはずだ。インド海軍はP-8対潜哨戒機を導入済みでインド洋上の哨戒活動に投入しているが、一B-21がインド海軍標識を付けて運用される可能性は決して低くない。

 

5.フランス

NATO加盟国でフランスが米国の戦略パートナーとして浮上してきた。実際に同国は同盟内で二番目の軍事力を保有し相当の余裕もある。同国はこれまでシリアでの米作戦を思念し、米仏両国でシリアに地上部隊を展開しており、東アジアでもフランスは西側の軍事対応を主張する米国の立場を支えている。フランスは戦略爆撃機運用の実績が長く、ミラージュIVを冷戦時に配備しており、B-21運用が実現すればロシアの動きを抑止するにとどまらず、中東、西アフリカさらに東アジアでも同じ効果が期待できる。フランスは西側によるイランのミサイル開発の制約を提唱し、太平洋の海外領各地は爆撃機の運用基地として活用する可能性がある。フランスがステルス爆撃機を今から国内開発する可能性は極めて低い。■


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Five Potential Export Clients for America's Upcoming B-21 Stealth Bomber: From India to Australia

August-1st-202