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B-21に輸出の可能性が浮上。輸出先想定5か国に日本も。 実現すればクアッドで共通装備となるのだが、その可能性は?

B-21 Stealth Bomber Official Artwork

 

B-21次世代ステルス爆撃機は過去50年の西側爆撃機の生産実績を上回る規模の製造となる予定で、米空軍の発注規模が200機超になる可能性が出てきた。さらに同盟国への輸出がとりざたされている。

 

B-21は現有のB-1BおよびB-2に交代し2030年代の第一線運用を想定し、試作型が2022年に初飛行する。現在稼働中の大陸間爆撃機では米国から輸出実績はないが、B-21は長距離戦略爆撃用途以外の任務もこなす想定で、空中早期警戒機、データ中継機、空中給油機、スタンドオフミサイルを運用する攻撃機、レーザー等指向性エナジー兵器搭載機にする構想がある。

 

幅広い活躍を実現しB-21には西側世界で最も威力の高い機材になる期待が寄せられており、特に運用維持経費が現行機より大幅に下がるため海外でも高い需要が見込まれる。時間当たり経費はB-2の四分の一程度になる想定でB-21導入が可能となる国も一定数出現する。生産機数が増え、さらに製造ラインも追加すれば効率がさらに上がり、研究開発費用も増やせるので輸出仕様の実現も容易となる。同盟国での爆撃機運用が実現すれば、中国、ロシア、北朝鮮、イラン等の敵対勢力へ威力を発揮し、輸出の後押しとなる。では、B-21導入可能性がある5か国を順にみてみよう。

 

 

1. オーストラリア 

B-21輸出が可能となればオーストラリアの導入可能性が高い。事実、オーストラリアは同機受け入れ用施設の構築をすでに同国内の米軍基地で始めている。中国を視野に入れたオーストラリアの軍備増強は西側が認めるもので、東南アジアへの西側最前線としての同国の位置に大きな意味があり、オーストラリアがさらに遠方の目標地点の攻撃能力を実現すれば広義の西側目標が実現する。同国はF-111長距離攻撃戦闘機を米国以外で唯一運用していた。オーストラリアは同機を隣国インドネシアの威圧に運用していたが、B-21を導入すればこの用途が復活し、同時に対象地がより広範に広がる。オーストリアが導入するF-35Bによる兵力投射能力を補完する効果が生まれる。オーストラリア北部の各基地や遠隔地点の航空基地への脅威が現実のものとなっているが、B-21があれば緩和効果が期待される。B-21の航続性能ならオーストラリア本国から東アジア東南アジアの大部分が作戦範囲に入る。オーストラリア政府に核兵器導入の構想があるとの報道があり、事実ならB-21の訴求力が増すはずだ。

 

2.イスラエル

イスラエルもB-21導入の可能性が高く、高性能長距離機材として活用する余地が大きい。同国は核兵器保有9か国の一角を占め、B-21はジェリコ2ミサイルやドルフィン級潜水艦と核抑止力を実現するはずだ。より重要なのはB-21はGBU-57など高性能地上貫通兵器の運用能力があることで、現状のイスラエルには同兵器を運用する能力がないが、イランイスラム共和国への軍事オプションが生まれる。B-21がこうした兵器を搭載すればイランの核施設や地下ミサイル基地を無力化できるのが、イスラエルは現時点でこの実施能力は未整備だ。核兵器があるが、適切な運搬ができなければ効果は期待できない。またイラン領空内で長時間にわたり作戦行動可能な機材もなく、F-35やF-15でも不可能な任務をこなせる機材はB-21のみとなる。イスラエルは兵力投射拠点を北アフリカさらにパキスタンにまで拡げる構想を練っており、B-21導入は効果を上げる選択となる。

 

3.日本

日本は攻撃的性格の装備品導入を増やしており、北朝鮮、中国、ロシアを想定した長距離精密誘導ミサイルの実現をめざしているが、B-21導入候補国として浮上してきた。日本の軍事組織は米軍のプレゼンスのもと強い統制調整を受けており、同機の導入を許しても米国にとってリスクは比較的低いはずだ。逆に日本がB-21部隊を編成すれば大きな効果が生まれる。日本が同型機を相当数発注するはずだからだ。第六世代機で有人型無人型の二機種を国内開発をめざす日本にはB-21が唯一の米国からの輸出機材になってもおかしくない。防衛装備販売で日本の対米貿易黒字を減らす効果も期待できる。

 

 

4.インド

インドは対艦攻撃任務に特化した爆撃機調達へ関心を以前示し、ロシアのTu-22M中型爆撃機の導入を一時真剣に検討していた。実際にTu142(Tu-95が原型)を対潜哨戒任務に運用していた。B-21はLRASM(長距離対艦ミサイル)をステルス特性と高性能センサーをあわせ強力な対艦攻撃機材となる。米国もインド洋に爆撃機を展開させており、インドへのB-21販売が俎上にのぼれば承認の可能性は高い。中国の補給路で死活的なインド洋でにらみをきかせることに加え、インドの核抑止力の一環として深部侵攻能力が重宝されるはずだ。インド海軍はP-8対潜哨戒機を導入済みでインド洋上の哨戒活動に投入しているが、一B-21がインド海軍標識を付けて運用される可能性は決して低くない。

 

5.フランス

NATO加盟国でフランスが米国の戦略パートナーとして浮上してきた。実際に同国は同盟内で二番目の軍事力を保有し相当の余裕もある。同国はこれまでシリアでの米作戦を思念し、米仏両国でシリアに地上部隊を展開しており、東アジアでもフランスは西側の軍事対応を主張する米国の立場を支えている。フランスは戦略爆撃機運用の実績が長く、ミラージュIVを冷戦時に配備しており、B-21運用が実現すればロシアの動きを抑止するにとどまらず、中東、西アフリカさらに東アジアでも同じ効果が期待できる。フランスは西側によるイランのミサイル開発の制約を提唱し、太平洋の海外領各地は爆撃機の運用基地として活用する可能性がある。フランスがステルス爆撃機を今から国内開発する可能性は極めて低い。■


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Five Potential Export Clients for America's Upcoming B-21 Stealth Bomber: From India to Australia

August-1st-202

 

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